ＦＵＫＵＳＨＩＭＡの「ＡＮＰＯ」を世界ブランドに商談進行に“地元局キャスターも起用”ＪＥＴＲＯのＰＲ戦略

Chu! PRESS

2022.12.21

政府は、日本国内の農産物の輸出額を２０２５年に２兆円、２０３０年には５兆円を達成することを目標に掲げています。これを受け、経済産業省所管の独立行政法人日本貿易振興機構（ＪＥＴＲＯ）では、各地の特産品を海外のバイヤーにリモートで紹介する「バーチャル産地ツアー」に取り組んでいます。これまでに静岡は「お茶」、熊本は「牛肉」、千葉は「海産物」などを取り上げてきました。

そんな中、先日、福島でも「バーチャル産地ツアー」が開かれ、そこで取り上げられたのが「あんぽ柿」。一般的な干し柿と違い、色合いも鮮やかで、中のとろっとしたゼリーのような食感が特徴です。贈答品としても人気で、まさに福島を代表する特産品。しかし、海外でなじみの薄い「あんぽ柿」。製法から味の説明まで、そう簡単ではありません。さらに福島では、原発事故の風評という特殊な事情も…。そこでＪＥＴＲＯが産地ツアーのパートナーに選んだのが、地元テレビ局の福島中央テレビでした。

今回は、「あんぽ柿」の生産施設を紹介するツアー。スタートすると、福島中央テレビがもつ四季折々の映像をふんだんに使った福島の紹介ＶＴＲが流れ、その後には、ＪＥＴＲＯ福島の所長とともに、サポート役の野尻英恵キャスターが登場しました。野尻キャスターは夕方の看板番組「ゴジてれＣｈｕ！」の担当で、イギリスでの生活経験もあり、英語も堪能。配信は、オペレーションだけでなく、内容も含め、まさにテレビ局クオリティ。「あんぽ柿」のアレンジレシピは、「ゴジてれＣｈｕ！」の料理スタッフが担当する力の入れようです。柿農家をつないだ中継や、Ｚｏｏｍの投票機能を使った演出もテレビ局ならでは。今回は、アメリカやフランスなど１２の国と地域から約６０人のバイヤーが参加。ＪＥＴＲＯがテレビ局と組むことは珍しいケースといいますが、終了後に早速商談の申し込みが入るなど、結果は上々だったといいます。

今回の産地ツアーでは、野尻キャスターが、あんぽ柿一つ一つが放射性物質の検査を受けていることにも触れ、安全性も伝えました。東日本大震災から１０年あまりが過ぎる中も、福島の農産物はいまだ原発事故の風評に苦しんでいます。産地ツアーをきっかけに、ＦＵＫＵＳＨＩＭＡの「ＡＮＰＯ」が、世界ブランドとなるか…。農産物輸出拡大に向けた、ＪＥＴＲＯの新たな戦略に取り組みに注目が集まります。

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