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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
with a camera in Iwaki City 1
 『ゴジてれChu!』木曜恒例の「ぶらカメ」のコーナー、今回は福島県の南部、海に面した茨城のすぐ北側の町、いわき市を巡ってまいりました。そのこぼれ話です。


小名浜港には多くの漁船が集まっている。
小名浜港には多くの漁船が集まっている。
 いわき市には、今回のロケ担当のディレクターと「立ち寄りたいね」と話していた店があります。小名浜港のすぐそばにある「うろこいち」という海産物の販売・料理の提供をしている店です。
 最初にお世話になったのは『ズームイン!!朝!』という番組で、盛りの良い新鮮で安価な「お刺身定食」を紹介した時です。過去の放送履歴を調べてみたら、21年前の11月でした。以来、小名浜に寄る機会があると、朝ごはんや昼食を頂きに伺った店です。

いわき市小名浜の名店「うろこいち」。
いわき市小名浜の名店「うろこいち」。
 アポなしのこのロケ、ご主人戸惑ったように姿を見せてくれました。8年半前の震災直後にも、私と今回のディレクターは「うろこいち」にお邪魔しています。店は津波に襲われ、幸い家族や従業員にけがなどはなかったのですが、海のヘドロが店内外に数センチ積り、店の中のものは津波でしっちゃかめっちゃか。これから借金してまで店を建て直して生活が成り立つのかと、一時は店を畳むことも考えました。しかし震災から2年後には店を再開、いまも元気においしい魚を提供しています。

ご主人の山野辺さん。「突然ですね。」とちょっと戸惑わせてしまいました。
ご主人の山野辺さん。「突然ですね。」とちょっと戸惑わせてしまいました。
 お勧めの丼を聞くと
「何でも美味しいよ。」
と言いながら
「穴子はどうですか?」
との事。
 他に、刺身などではしめ鯖、鰈・鰆も美味しいという事で、スタッフ分含めて注文します。因みにこちらの店、元々は市場の仲買人の為に開いた店なので、朝9時から営業しています。朝一のロケ先で朝ご飯を頂きます。

店には、津波被害からの復活に感謝する言葉が貼られている。
店には、津波被害からの復活に感謝する言葉が貼られている。
 すると…来ました、穴子丼。お重に入った穴子は手のひら2つ分位の大きさの穴子が、ご飯を覆いつくしています。しかもこちらの店の丼や定食には、半身の蟹が入った蟹汁がついてきます。
 早速頂くと…

穴子丼(1250円・税込み)。定食類の味噌汁は、蟹汁が普通。
穴子丼(1250円・税込み)。定食類の味噌汁は、蟹汁が普通。
ふわっふわの柔らかな身、そしてしつこくない程度の甘辛のたれが穴子の旨味を惹きたて、ご飯の進む味です。
 白菜の漬物で時折口の中をさっぱりさせながら、ぱくぱく頂きます。

手のひら2つ位の大きさの穴子が、びっしりご飯を覆いつくす。
手のひら2つ位の大きさの穴子が、びっしりご飯を覆いつくす。
 ご主人、お勧めしたものを味わって下さいとばかりに、しめ鯖・鰈・鰆に加え、穴子の塩焼き・刺身の盛り合わせまで持ってきます。ご主人、食べきれませんよ~~。
 穴子の塩焼きは、塩で穴子の旨さを引き出していて、シンプルですが穴子の美味しさを改めて認識できる逸品でした。それにしても…もうお腹に入りません!

穴子の塩焼き。これもふわっふわで、穴子本来の味わいが楽しめる。
穴子の塩焼き。これもふわっふわで、穴子本来の味わいが楽しめる。
 今の小名浜の状況の話を聞くと、お店の客数は
「震災前の7~8割」
だそう。ただそれ以上に、日本人の食生活の変化が、漁業関連に及ぼす影響が大きいと話します。
「いまは魚料理って言っても、家では朝の焼き鮭くらいのイメージでしょ。本当は春夏秋冬美味しい魚がたくさんあって、お肉に比べて種類も豊富で、刺身か焼くか揚げるか等でその楽しみ方は何百倍とあるんです。でもそういう食べ方をしなくなってきている。」

客足はだいぶ戻ったものの、食習慣自体が変わってきていると話す。
客足はだいぶ戻ったものの、食習慣自体が変わってきていると話す。
 加えて、福島県の漁業が原発事故の影響で「試験操業」が続いている点も追い打ちをかけていると言います。
「揚がる量が少ないんだもの。いま市場が始まるの、11時ですよ。」
 …一瞬言葉を失いました。私が21年前取材に行った時、ご主人は競りの始まる2時間前の朝4時に地元小名浜の市場を覗いて、揚がった魚の種類や量・質に目星をつけると、それを補う魚を探しに中央市場、更にはいわき市の別の港にも足を運び、とにかく新鮮で良いものを仕入れようと駆け回っていました。いまは試験操業といって、漁獲量を制限した上で、放射線量の検査をし、国の基準よりずっと厳しい基準をクリアしたもののみ、市場に出回るシステム。豊かな海を前に、地元漁師も実力を出し切れない状況が続いています。

しめ鯖。程よい酸味が食欲をそそる…。ご主人、もう十分頂きました。
しめ鯖。程よい酸味が食欲をそそる…。ご主人、もう十分頂きました。
「魚屋や加工場も随分少なくなりました。ここ(常磐沖)の魚は、(美味しさ・豊かさでは)間違いないんだから。早くたくさん揚がるようにならないとね。」
 ここの名物の一つ、いかの塩辛も、数年前のいかの不漁で提供できない時期もありました。秋刀魚も水揚げが少ないなど、原発事故以外の影響も、いわきの水産業を苦しめています。私達は魚に限らず米でも野菜でも、地のものを美味しく頂く事で、地元の産業を応援していく事ならすぐに出来ると改めて思いました。

平目のお造り。旨味が強い。
平目のお造り。旨味が強い。
 そんな話をしていると、ご主人のお孫さん兄弟2人が遊びに来ました(この時間は1階の店だけオープンしていて、2階はお昼時や団体客用に開けます。朝一の撮影時間は、ロケ用に2階をお借りしていました)。するとお兄ちゃん、格好が独特です。袈裟を羽織り、数珠をかけているのです。
「何だかこの子、仏像にはまっちゃって…。」
 開く本も、仏像を解説するもの。将来の夢を聞くと、
「仏像博士か、仏像を作る人!」
 渋いぜ。

お兄ちゃんは、仏像にはまっている。将来は「仏像博士か仏像を作る人」になりたいそう。
お兄ちゃんは、仏像にはまっている。将来は「仏像博士か仏像を作る人」になりたいそう。
 弟くんも、お兄ちゃんの影響から仏像の本を目にする事に抵抗が無く、本を開いて
「あしゅら。あしゅら。」
と阿修羅像がお気に入りの様子です。

弟も、兄の影響で仏像に興味が。「あしゅら、あしゅら」。
弟も、兄の影響で仏像に興味が。「あしゅら、あしゅら」。
 するとお兄ちゃん、特技の一つを披露。お経を読み始めます。経文は簡単にはすらすらと読めないものですが、何度も読み込んだのでしょうか、淀みないお経が店内に響きます。

お経もすらすら…。
お経もすらすら…。
 仏像への造詣の深さも半端ではなく、2階席の入り口の戸の前に立つと、合掌のポーズや

仏像のポーズだって覚えています。基本の合掌に始まり…
仏像のポーズだって覚えています。基本の合掌に始まり…
 手元でさらっと印を結んでみたり、

印を結んでみる。
印を結んでみる。
 弟さんも揃って、帝釈天のポーズをとってみたりと、
帝釈天のポーズ。決まってる~♪
帝釈天のポーズ。決まってる~♪
 様々な仏像のポーズをとってくれます。

弥勒菩薩のポーズ
弥勒菩薩のポーズ
 こうなるとお兄ちゃん、もう止まりません。縦長の紙に、何やら絵を描き始めました。本棚で仕切りを作るブックエンドの上には「ぶつぞうくいずっす」の文字が。ブックエンドの隙間から、紙芝居よろしく仏像のシルエットの絵を見せて、何の仏像か当てましょうクイズの始まりです(裏に正解の仏像の絵が描いてあります)。

ブックエンドを使って「ぶつぞうくいずっす」。『スッキリ』を見てくれているのかな?
ブックエンドを使って「ぶつぞうくいずっす」。『スッキリ』を見てくれているのかな?
 人を喜ばせようというサービス精神はおじいちゃん譲りなのか、即興で仏像クイズの枚数を増やしています。「手がこういう格好で…」「頭にくるくるがいっぱいあって…」等、ヒントも出してくれます。しかし仏像の違いがしっかり分かっていないと、シルエットだけでは簡単には区別がつかない…というか、仏像の名前をそんなに知りません、私。

問題(表)。これは何の像でしょう?
問題(表)。これは何の像でしょう?
 私が分かったのは、背景の炎で「不動明王」が分かった位。望めばきっと、立派な仏師になる事でしょう。その時には、デビュー作を見せてくださいね。そして美味しい海の幸、ご馳走様でした。(12月18日のブログにつづく)


答(裏)。不動明王像でした!
答(裏)。不動明王像でした!
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