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Chu! PRESS

2023.06.28

【神尾佑 酒に交われば】独自技術で再現した超希少酒!伝統と遊び心が共存する白河市の「有賀醸造」

【神尾佑 酒に交われば】独自技術で再現した超希少酒!伝統と遊び心が共存する白河市の「有賀醸造」
福島県出身の俳優・神尾佑(ゆう)さんが県内の酒蔵を訪ね、その酒蔵にまつわる物語を紐解いていく番組「神尾佑 酒に交われば」。

日本酒王国福島県には、50を超える酒蔵がある。今回訪れたのは、白河市の「有賀醸造」。日本の酒蔵では唯一ともいわれる、ある酒を手がけている酒蔵の物語だ。
郡山市の「焼肉 ふざん」にて
郡山市の「焼肉 ふざん」にて
近くてすぐに行ける海外とあって、近年、注目の旅行先である韓国。世界を席巻するK-POPアーティストの人気と共に、韓国グルメも熱い!「サムギョプサル」も、もはや定番!そして焼肉といえば…マッコリ!スッキリした飲み口で、良い感じに脂を流してくれる。
マッコリといえば、韓国の酒のはずだが…
マッコリといえば、韓国の酒のはずだが…
しかしこのマッコリ…なんだか辛口。ラベルには「虎」と書いてある…。
老舗から感じられる宿場町の名残
老舗から感じられる宿場町の名残
その秘密を探りに向かったのは、かつて茨城街道の宿場町として栄えた白河市釜子(かまのこ)地区。
1774年創業
1774年創業
この地に佇むのが、250年の歴史を誇る「有賀醸造」だ。蔵の裏にあるのは「釜子陣屋(かまのこじんや)」の看板。江戸時代、この辺りは越後高田藩の飛び領で、お代官様が住む「陣屋」がここにあった。
「釜子陣屋」の跡地とわかる看板
「釜子陣屋」の跡地とわかる看板
大名より「酒造りをしなさい」という命を受けて、集落の商人が創業したと言われている。
深い歴史と郷土愛
深い歴史と郷土愛
それが、先ほどの「県内産マッコリ」も手がける酒造りのプロ集団につながっている。
父親・義裕さんが10代目蔵元で社長
父親・義裕さんが10代目蔵元で社長
酒の味を決める杜氏は、社長の二男・有賀 裕二郎さん。さらに長男が営業で、四男が蔵人と、蔵は盤石の体制で守られている。
作業はこの「洗い場」から始まる
作業はこの「洗い場」から始まる
昔の名残が残るタンク
昔の名残が残るタンク
裕二郎さんに作業場を案内してもらった。酒米を洗う「洗い場」には、昭和30年頃から使い込んでいる年季の入ったタンクが。昔の銘柄があちらこちらに書かれていて、当時の蔵人のセンスが光る。洗米の水は、この専用タンクで冷やして使うという。
手に取ると、違いがよくわかる
手に取ると、違いがよくわかる
この日使っていたのは、ふくしまブランド酒造好適米の「夢の香」。精米歩合は70%だ。
「本蔵」にお邪魔すると…
「本蔵」にお邪魔すると…
「洗い場」の奥には、創業当時からの「本蔵」が構えている。取材に訪れたこの日、なんと「あと5日で絞れる酒」があった。仕込みは秋から冬にかけて5回ほど行われるが、2022年に初めて仕上がる酒が待っていた。
独自技術で再現した超希少酒
独自技術で再現した超希少酒
タンクの中からは、プツプツ、ピチピチ…と酵母が発酵する音が聞こえてくる。これが、日本酒の造り方を活用した”純米にごり酒”「虎マッコリ」だ。日本でいう「どぶろく」のような韓国のマッコリ。それを、蔵の独自技術で再現した、ほかに類を見ない酒といえる。
香りがふわ〜っと上がってくる
香りがふわ〜っと上がってくる
特別に「かい入れ」を体験させてもらった。下の方に米やガスがたまっているため、「かい入れ」をすると酒の元気な姿が見られる。思わず…子どもの頃に見ていた酒造メーカーのテレビCMを思い出し、歌い出す神尾さん。
幼い頃の記憶と重なり…!?
幼い頃の記憶と重なり…!?
「有賀醸造」の酒は、かつて献上酒として江戸まで届けられていた。越後高田藩の家紋をあしらった銘酒「陣屋」は、頑なに守るべき伝統。一方で、「県内産マッコリ」に挑むしなやかさもあわせ持つ。
伝統を守りながら、挑戦も
伝統を守りながら、挑戦も
その生みの親、10代目蔵元で父親の義裕さん。本場のマッコリとの出会いは、東京のコリアンタウンだった。「とてもおいしい」と思うとともに、「もろみに近い感じだから日本酒でもできるのではないか」と開発が始まった。しかしすぐにはできず、安定するまでに要したのは数年以上。試行錯誤の末、1990年に国産マッコリが誕生した。
右の「虎マッコリ」は700ml 1650円
右の「虎マッコリ」は700ml 1650円
約20年前には韓流ブームが追い風となり、オリジナルの「虎マッコリ」も空前の大ヒット!「幻のマッコリ」とも称された。
右側が10代目蔵元で社長の有賀 義裕さん
右側が10代目蔵元で社長の有賀 義裕さん
では、蔵元と杜氏と共に、郷土愛あふれる逸品を…乾杯。日本酒より度数が低いため、飲みやすい。「甘いと日本人の舌には絶対合わないので、頑なに辛口を追い続けてきた」と研究熱心な蔵元は振り返る。
研究熱心な父の姿勢を受け継ぐ息子
研究熱心な父の姿勢を受け継ぐ息子
そんな父親を「勇気がすごくある人」と話す杜氏の裕二郎さんは、マッコリ造りが始まった頃は、家業を継ぐ気もなかった。大学では生命科学を専攻、東日本大震災の後に実家に戻り、酒造りの手伝いを始めた。「地酒として近くの酒屋や飲食店で飲める酒を目指したいと思い、純米酒や大吟醸など特定名称酒の製造に挑戦した」と語る。
鑑評会で受賞するような上質な酒に
鑑評会で受賞するような上質な酒に
白河市近辺でとれた酒米「夢の香」を、阿武隈川の伏流水で仕込んだ新ブランド、特別純米「陣屋」。全国新酒鑑評会で金賞を受賞した。県内でもめずらしく、ミネラル感のある「中硬水」を使っていて、それで最後のキレを表しているという。口に入れると香りや甘みが広がるものの、のど越しがスッキリしている。
酒蔵からわずか100mのところにある
酒蔵からわずか100mのところにある
甘くないおつまみ
甘くないおつまみ
食中酒におすすめな特別純米「陣屋」、これにぴったりなおつまみを作ったのが近所の菓子店、江戸時代創業の老舗「坂本屋総本店」。「有賀醸造」の酒粕をベースに、地元の小麦粉と菜種油を配合し、味付けに醤油を味噌を加えた「酒かすクラッカー」だ。
老舗同士がコラボ
老舗同士がコラボ
酒粕の味がほんのりと…甘くないが、しょっぱくもない。「陣屋」との相性抜群だ。陣屋のあった郷土の歴史を伝えようと地域の方々と共に取り組んでいるアイデアマンの蔵元、そのこだわりが詰まっている。
深い歴史、郷土愛、挑む心を後世に…
深い歴史、郷土愛、挑む心を後世に…
そんな伝統と遊び心が共存する酒蔵の将来は…。「凝り固まったものではなく、自由な形で遊んでいけるような日本酒造りをやっていきたい」と話す杜氏の裕二郎さん。希少価値の高いマッコリを守りながら励むこれからの酒造りが楽しみだ。

Chu!PRESS編集部
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