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Chu! PRESS

2023.06.09

【神尾佑 酒に交われば】「酒になったか?」祝い酒を再び地元で…復活し、海の男に寄り添う浪江町の「鈴木酒造店」

【神尾佑 酒に交われば】「酒になったか?」祝い酒を再び地元で…復活し、海の男に寄り添う浪江町の「鈴木酒造店」
福島県出身の俳優・神尾佑(ゆう)さんが県内の酒蔵を訪ね、その酒蔵にまつわる物語を紐解いていく番組「神尾佑 酒に交われば」。

日本酒王国福島県には、50を超える酒蔵がある。今回訪れたのは、”日本一海に近い酒蔵”と言われた浪江町の「鈴木酒造店」。震災を乗り越え、新たな一歩を踏み出している酒蔵の復活の物語だ。
浪江町の請戸海岸
浪江町の請戸海岸
東日本大震災と福島第一原子力発電所の事故で大きな被害を受けるも、力強く着実に復興への道のりを歩んでいる浪江町。かつてこの町には、太平洋まで約100mの”日本一海に近い酒蔵”と呼ばれた老舗があった。
目の前に太平洋を臨む
目の前に太平洋を臨む
その酒蔵はいま…。
国道6号沿いにある交流拠点
国道6号沿いにある交流拠点
追い求めて向かったのは、2020年に町の中心部にオープンした「道の駅なみえ」。新たなチャレンジをしながらこの地の産業をつなぐ場にもなっている、復興のシンボルだ。
「なみえの技・なりわい館」で展示販売
「なみえの技・なりわい館」で展示販売
ここにある「なみえの技・なりわい館」では、町が誇る地場産品「大堀相馬焼」など、避難先で再起した9つの窯元の作品を展示販売している。
酒の購入ができる場所
酒の購入ができる場所
所狭しと酒が並ぶ「SakeKura ゆい」を歩いていると、蒸されている酒米の様子が…
ガラスの向こうに、蒸されている酒米が見える
ガラスの向こうに、蒸されている酒米が見える
そう、ここは全国的にも稀な酒蔵、道の駅にある「鈴木酒造店」。あの”日本一海に近い酒蔵”だ。
道の駅の中にある稀な酒蔵
道の駅の中にある稀な酒蔵
江戸時代の終わりに蔵を構えて約200年。震災で避難を余儀なくされ、「酒造りはもう無理なのかな…」と諦めかけたことも。そんな時、南会津の酒蔵の「ウチで1本でもいいから酒造りしないか?」との声に救われた。
山形の拠点「長井蔵」はそのままに
山形の拠点「長井蔵」はそのままに
その後、山形県で使わなくなった酒蔵を譲り受け、10年もの間、南会津や山形の酒蔵で技術を磨き続けてきた。そして2021年、再び、地元の浪江で酒を醸し始めることに。
地元で新たに構えた「浪江蔵」
地元で新たに構えた「浪江蔵」
専務の鈴木 荘司さんは、社長で杜氏の兄と共に酒蔵を再生し、ふるさとの酒を守ってきた。酒造りへのひたむきな情熱は、いまも変わらない。
たくさんの仲間たちに支えられ、いまの自分たちがある
たくさんの仲間たちに支えられ、いまの自分たちがある
夏でも室温が6度に保たれている「浪江蔵」では、一年を通じて酒造りをしている。訪れたこの日は、麹や酒の元となる酒母を造る「蒸米」の真っ最中だった。使っているのは福島市産の山田錦。特別に試食させてもらうことに。
酒質に大きく影響する大事な工程
酒質に大きく影響する大事な工程
「初めて食べました!普通のご飯じゃない!」
「初めて食べました!普通のご飯じゃない!」
ベタッとしておらずサラッとしているため、良い麹になる。仕込んでもじっくり溶けるため、良いお酒になるという。また、酵母や麹、水などで造る酒母の仕込みも行われていた。「地元の米や水で仕込むことで、地域の生活の一部に溶け込んでいく」ようやくこぎつけた、地元での酒造りだ。
時間が合えば、窓越しに作業の様子が見られる
時間が合えば、窓越しに作業の様子が見られる
かつての酒蔵があった場所に、案内してもらった。海の目の前…夏になると、家から海パンで海水浴に行くのが兄弟の常だったという。しかし、あの震災ですべて流され、何もなくなってしまった。残されていたのは、転がる酒瓶のみ…。
この堤防の真下に酒蔵があった
この堤防の真下に酒蔵があった
しかし、地元に根づいたものは、体の中に残っている。「酒の飲み手も覚えているその味を、絶対に絶やしてはならないという想いで、3回目の創業という気持ちで酒造りをしている」と鈴木さんは力強く話す。
「絶対に絶やさない!」強い気持ち
「絶対に絶やさない!」強い気持ち
ここの酒は、海の男たちに愛されていた。港町として知られる請戸地区。この町の漁師は、その日の水揚げが20万円以上になると漁業組合から大漁のお祝いが贈られた。それが鈴木酒造店の酒「磐城壽(いわきことぶき)」だ。それゆえに、「酒になったか?」という挨拶が漁の善し悪しを表現する合言葉として使われてきた。
港町ならではの「祝い酒」を贈る文化があった
港町ならではの「祝い酒」を贈る文化があった
海の男たちが愛した「祝い酒」
海の男たちが愛した「祝い酒」
漁師は命と隣り合わせの職業だからこそ、めでたい銘柄は好んで飲まれるという。港であがった魚と相性が良い、自慢の「海の男酒」だ。

蔵人と漁師たち、それぞれの熱い想いがこもった一杯をいただこう。
飲み比べできる試飲コーナー
飲み比べできる試飲コーナー
道の駅で始まった酒造りには、酒を身近に楽しめるアイデアも盛り込まれた。それが、酒蔵に併設する店でできる、全12種類の飲み比べ!500円でコイン5枚。ワンコインでワンドリンクいただけるようになっている。
「海の男酒」として愛されている逸品
「海の男酒」として愛されている逸品
鈴木さんのおすすめはもちろん、代表作の純米吟醸「磐城壽」、オール浪江の大漁旗「紺碧」ラベル。使っているのは、浪江町のコシヒカリ。食べておいしい米を、酒に表したいという思いで造られた。
コイン2枚分の量も、あっという間に…
コイン2枚分の量も、あっという間に…
しっかり、かつ華やかな印象…あまりのおいしさに、おすすめのおつまみを一緒に食す前に飲み干してしまった。4種のおつまみは、請戸漁港で水揚げされたシラスなどをのせた冷ややっこだ。地の物を使った組み合わせ、合わないワケがない!
一番右側が、請戸漁港であがったシラス
一番右側が、請戸漁港であがったシラス
そして、ここでしか味わえない純米大吟醸「磐城壽ゆい」もいただこう。「酒米の王」とも称される兵庫県産の山田錦で仕込んだ傑作だ。
「道の駅なみえ」だけの限定販売
「道の駅なみえ」だけの限定販売
同じ「磐城壽」でも、全く異なる味わい。華やかで、スッキリとした飲み口だ。女性は特にこちらを好むという。

さて、5枚のコインを存分に使って、味の違いを堪能!自分好みの一杯を探すことにしよう。
自分で選んで注ぐ楽しみも
自分で選んで注ぐ楽しみも
浪江で創業し、山形で踏ん張り、そして再び、浪江にのれんを掲げた「鈴木酒造店」。海の暮らしに寄り添う縁起の良い酒が、地元に帰ってきた。「酒になったか?」の合言葉と共に、活気に満ちあふれた漁港もぜひ復活してほしい。

Chu!PRESS編集部
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