2023.06.01
with a camera in Hinoemata village 1
『ゴジてれChu!』木曜恒例「ぶらカメ」のコーナー、今回は桧枝岐(ひのえまた)村です。
村入口のゲートは平成29(2017)年に新しく。「よくきらった」は「よくいらっしゃいました」の意。 |
山に挟まれるように集落が続く。村の約98%が林野だそう。 |
福島県は奥会津、最も南西部にある村で、面積は約390平方キロ、人口500余、福島県側の尾瀬の玄関口があり、尾瀬の入山・下山客が宿泊します。桧枝岐川で釣りが楽しめ、スキー場もあるので、観光業の盛んな村です。
村の中央部を桧枝岐川が流れる。 |
尾瀬桧枝岐温泉スキー場では、8月の「真夏の雪まつり」でシート下に保存された雪を使ってそり滑りなどが楽しめる。 |
文字通り山間の村で、嘗ては林業・木工業が盛んでした。冬は積雪が2m前後という豪雪地帯で、米が出来ない高冷地なので蕎麦・野菜等が栽培されています。また村内に高校が無いので、高校進学者は基本、親元を離れて高校生活を送ります。
観光業もあり、平成の大合併にも与しなかった。 |
六地蔵。服は冬仕様だが、ハローキティやシナモロールがデザインされた服を纏っている。 |
村を歩いていると、道路脇を一輪車を押して歩く男性がいます。買い物をした帰りだそうで、
「買い物に行くのは、週に2回位かな。」
「買い物に行くのは、週に2回位かな。」
一輪車を押す男性が。 |
買い物の帰りだそう。 |
きょうは野菜や卵、魚を買ってきたとの事。
「魚は何でも好き。」
聞けば御年97歳。嘗ては自宅から少し離れた所で畑仕事もしていたそうです。これからもお元気で!
「魚は何でも好き。」
聞けば御年97歳。嘗ては自宅から少し離れた所で畑仕事もしていたそうです。これからもお元気で!
好物のお魚も買ってきた。 |
自ら家に買い物してきたものを運ぶ男性。 |
暫く歩いていると、「歌舞伎の舞台」という看板が見えてきました。桧枝岐村の名物の一つが、「桧枝岐歌舞伎」です。江戸時代にお伊勢参りに行った村民が帰りに江戸で歌舞伎を見て、見よう見真似で村の人に伝えたのが始まりと言われ、現在でも村民に伝承され、村民が演じています。私は見た事がないので、行ってみる事にしました。
桧枝岐村と言えば、歌舞伎が伝統。舞台を見に行く。 |
細い参道には、幟が並ぶ。 |
鳥居をくぐってまっすぐ伸びる途中の細い道には灯篭と幟、そして小さな橋の側に「橋場のばんば様」があります。
建物で先が見えにくいのが、また好い。 |
橋場のばんば様にも寄ってみよう。 |
元は別の橋の側にあったものを、大洪水の際に今の場所に運んでこられたと伝わります。子どもを水難から守ってくれると信じられているほか、悪縁を断ち切り、良縁を結んでくれるそうで、縁を切りたければよく切れる鋏を、縁を結びたければ切れの悪い鋏を奉納するのだそう。またばんば様の頭にお椀をかぶせれば願いを叶えてくれるそうです。
悪縁が断ち切れるぞ! 鋏を持って来れば良かった…。 |
両脇には切れ味鋭そうなのと錆び付いた大きな「握り鋏」が。 |
そのばんば様を過ぎて見えて来たのが、歌舞伎を演じる舞台です。その舞台は嘗て明治26(1893)年の大火で一度焼け、明治30年頃に建て替えられたものと伝わり、国の重要有形民俗文化財に指定されています。
ばんば様の先、左手に見えるのが舞台。 |
明治期に再建された、村としては見事な舞台。 |
その舞台が今月(5月)の奉納歌舞伎を終え、開いている状態でした。
客席を通らない花道とでも言いましょうか、能でいう橋掛かりのような部分と、本舞台とで出来ています。
客席を通らない花道とでも言いましょうか、能でいう橋掛かりのような部分と、本舞台とで出来ています。
本舞台の左に、廊下のような花道的な部分が繋がる。 |
村民歌舞伎の団体の名が掲示されている。 |
壁には村の人が書いたのでしょうか、名前らしきものなどが書いてあります。
そしてこの舞台を扇形で囲むように森が広がり、下の方の斜面には石段が出来ています。ここが客席です。その上には鎮守神が祀られています。
そしてこの舞台を扇形で囲むように森が広がり、下の方の斜面には石段が出来ています。ここが客席です。その上には鎮守神が祀られています。
壁にはいたずら書き? |
森の木々を縫うように石段が造られている。上に鎮守神が。 |
桧枝岐村の名山でもある会津駒ケ岳と燧ケ岳に8世紀前半に鎮座した神をこの場所に勧請して祀ったのが起源のようです。道理で入口に鳥居があった訳です。
石段の最上部に、村の守り神がある。 |
村での出会いに恵まれるよう祈願した。 |
石段の一番上にある鎮守神に手を合わせ、石段の席に座ってふと見上げると、舞台の茅葺の屋根の上には若い青々とした草が…。桧枝岐村にも、遅めの春が訪れています。
石段上部からの眺め。舞台を見下ろす。 |
茅葺屋根に若草が。これも奥会津の春の景色。 |
石段を下りると、舞台の後ろからざっくざくと土を耕すような音がします。自宅周りで作業をしている女性がいました。
「タチアオイを植えようと思って…。」
こちらの女性は御年84歳。いやぁ雪国の方々は元気です。
「タチアオイを植えようと思って…。」
こちらの女性は御年84歳。いやぁ雪国の方々は元気です。
境内(地上部)から見上げると、昼前の陽射しが眩しい。 |
舞台のそばにお住いの女性。 |
「山が好きで、昔はバスで沼山峠(ぬまやまとうげ)まで行って、尾瀬沼まで入ったものです。」
尾瀬に入る場合、福島県側だと御池口(みいけぐち)か沼山峠から入るのが一般的。ただ沼山峠は帰りが上りなので、結構疲れるんですよね。
尾瀬に入る場合、福島県側だと御池口(みいけぐち)か沼山峠から入るのが一般的。ただ沼山峠は帰りが上りなので、結構疲れるんですよね。
嘗ては尾瀬にもよく行っていたという。 |
この緑はもしかして…。 |
山が好きと言う事で昔は山菜も採ってきたそうですが、
「今は足腰が弱ったので、家の周りにウドやゼンマイ、ウルイを植えています。ウルイは味噌汁の具にしたり煮付けたりしています。」
旬には食卓に山菜が並ぶんですね。
「今は足腰が弱ったので、家の周りにウドやゼンマイ、ウルイを植えています。ウルイは味噌汁の具にしたり煮付けたりしています。」
旬には食卓に山菜が並ぶんですね。
山菜を家の周りに植えている。 |
ウドやゼンマイなどが新緑をのぞかせている。 |
「桧枝岐歌舞伎を見にお客さんが多く訪れるようになったので、もっと多くの人が入れるようにと、ここの舞台は2度手前に移動させたんです。」
土台を補強するせいでしょうか、土留めが造られ、それが2度目の移動の際のものか、右側が更に手前に新しく造られているのが分かります。
「元々土留めは無かったんですよ。詳しくは役場の方が分かると思います。」
土台を補強するせいでしょうか、土留めが造られ、それが2度目の移動の際のものか、右側が更に手前に新しく造られているのが分かります。
「元々土留めは無かったんですよ。詳しくは役場の方が分かると思います。」
舞台は2度、位置をずらしていると言う。 |
その名残か、右の石垣の方が新しい。 |
作業中失礼致しました。梅雨時にはタチアオイが素敵な花を咲かせる事でしょう。舞台の移動の歴史まで聞かせて頂き有難う御座いました。(つづく)
指さす先、伝承館で話を聞いてみる事を勧められた。 |
綺麗なタチアオイを咲かせてください。 |
帰り際、舞台を見終えた家族が…。 |
名カメラマンの登場!? |
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