アナウンスルーム

アナウンサーブログ

徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
with a camera in Minamiaizu Town 2-2
 土蔵で営業していた元バーを改装し、地元のりんごを使った酒造りを兄弟で始めようとしている男性に出会いました。
バーがあった土蔵で、酒造りを計画中。
バーがあった土蔵で、酒造りを計画中。
こちらの男性が、中を案内してくれた。
こちらの男性が、中を案内してくれた。
「行く行くは、ここで醸造・販売が出来るよう手続きを進めていきたい。」

と話していた時、
バーカウンターは残して、営業を再開。
バーカウンターは残して、営業を再開。
バーカウンターの反対側が、未来の醸造所になっていた。
バーカウンターの反対側が、未来の醸造所になっていた。
 未来の“醸造所”にある冷蔵庫から持ち出してきたものは、
そして冷蔵庫から
そして冷蔵庫から
何かを持って戻ってきたら…
何かを持って戻ってきたら…
同じ会津のワイナリーで製法を指示して造ってもらった完成品、南会津産りんごのシードル(2種類)でした。

「このバーに来たお客さんに、『食品』として提供しています。」

 法律的な事は詳しくは分からないのですが、バーでの提供販売のみ許可が得られているそうです。

 このラベルの男性は?
既にシードルが造られていた!
既にシードルが造られていた!
しかも2種類のシードルだ。
しかも2種類のシードルだ。
「これは私達兄弟の挑戦を後押ししてくれた父がモデルなんです。左は父がうちに植えられている桜を、右は夕日を沈む様子を眺めているのをイメージしています。」

 シードルの名前は?

「『f#1(エフ・いち)』と『f#2(エフ・に)』です。fは父の名前の頭文字で、
後押ししてくれた父への恩返しのつもりで付けました。飲んでみます?」

 はい!! お願いします!!
f#1には、家の桜を見上げるお父さん。
f#1には、家の桜を見上げるお父さん。
f#2には、夕日を眺めるお父さん。
f#2には、夕日を眺めるお父さん。
「発泡系の酒の中には、作った酒に炭酸を後から入れるものもありますが、うちのは中で二次発酵させたものなんです。だから途中熱を加えて発酵を止めた状態にしてあります。」

 キンキンに冷えたりんごのシードルf#1の王冠を栓抜きで外します…が、一気に外さず、本当にちょびっとだけしか動かしません。

「これ、測ってもらったら、ドンペリ位のガス圧になっているんだそうです。なので一気に開けると、半分くらい中身が吹き出ちゃって、F1で優勝した時のようになっちゃうんです。だからゆっくり開けて、中のガスを徐々に抜いていくんです。…それにしてもこの中の酵母は活きが良いな。」
王冠は一気に開けず、最初は隙間を開ける程度。
王冠は一気に開けず、最初は隙間を開ける程度。
それでも瓶の上に炭酸が上がってくる。
それでも瓶の上に炭酸が上がってくる。
 すると、少し王冠をずらした所で

「あ~っ」

という声が。中からシードルが溢れてしまい、すぐさまタオルで拭きます。

「このタオルも、手の熱を瓶に伝えないようにする為なんです。」

 そんな酵母を使ったシードル造りだけに、酵母の敵は菌です。

「禁菌なんです。なので私は納豆を断って6年になります。納豆大好きなんですけどね。」

 酵母菌より納豆菌の方が強い為に、日本酒の酒蔵などで酒造り期間中の関係者は納豆を食べないのは有名な話です。長野での修業時代から、納豆断ちをしているんですね。
中の圧力に押されて、中身がこぼれだす。
中の圧力に押されて、中身がこぼれだす。
それでも少しずつ王冠と瓶の隙間を広げていく。
それでも少しずつ王冠と瓶の隙間を広げていく。
 5分以上かけて、漸く王冠が取れました。この開栓途中から既にりんごの爽やかな香りが漂い、マスク越しにも分かります。これがこちらのバーでのみ提供、まだ市場に出回っていない南会津産りんごシードル「f#1」です!
開栓に5分以上かかり、少々お疲れの様子(済みません、ロケの為に…)。
開栓に5分以上かかり、少々お疲れの様子(済みません、ロケの為に…)。
中身が少し溢れた後も、暴れん坊な炭酸だった。
中身が少し溢れた後も、暴れん坊な炭酸だった。
 味は…、すっきりしていてりんごの風味がしっかりしていますが、甘みは抑えめ。酒好きには飲みやすいのですが、

「ワインのような飲みやすさを求める方には、このf#1はふじで造っているのですが、
ひめかみで作ったりんごジュースがあって、これで割ってあげると飲みやすくなるんですよ。」
ついにf#1がベールを脱ぐ!
ついにf#1がベールを脱ぐ!
こちらが店内でのみ飲む事が出来るf#1。
こちらが店内でのみ飲む事が出来るf#1。
 実際に少し足して頂いたものを頂くと、りんごの風味・甘みが強まって、全くの別物。それでいてりんごの味わいが強いので、飲みやすい♪ ひめかみは甘さ・酸味のバランスが良い事もあって、口当たりも更に円やかになりますし、辛い系のお酒が苦手な方には、この方がぐっと飲みやすく感じるでしょう。

 更に通好みなのは…
りんごジュースを足すと、味わいが変わると言う。
りんごジュースを足すと、味わいが変わると言う。
逆さにして、濃度を均一にしてから加えていく。
逆さにして、濃度を均一にしてから加えていく。
「酵母が生きていたので、下にちょっと濁って“澱(おり)”が沈むんです。普通はその上の澄んだ部分を飲むんですが、お客さんの中には上の部分を知り合いに振る舞って、最後の澱の部分を楽しみに飲む方もいらっしゃいます。」

 澱の部分は透明度が一気になくなりますが、りんごの濃厚さ、ちょっとした苦さが加わって、これはこれで最後のお楽しみ的味変とも言えます。

 将来的に醸造の許可がおりれば、この土蔵でシードルを造りたいと考えています。
最後、澱が残る。これが好きな人も…。
最後、澱が残る。これが好きな人も…。
将来は、このタンクで醸造が始まる筈。
将来は、このタンクで醸造が始まる筈。
「土蔵の良さは冬は寒いのですが、夏は外がバカ暑くても、土蔵の中ってそんなに暑くならないんです。温度管理がしやすいんですね。」

 現在は味わいの違う2種類があり、f#1は魚に、f#2は肉に合うような味わいだとか。ワインの白と赤のようですね。そうすると酒の肴はどうなっているのでしょう?
温度計も、醸造時に大切な情報を伝える日を待つ。
温度計も、醸造時に大切な情報を伝える日を待つ。
こちらのシードルは赤王冠が魚に、緑王冠が魚に合う味わいだそう。
こちらのシードルは赤王冠が魚に、緑王冠が魚に合う味わいだそう。
 メニューを見ると、シードルに合いそうなものばかり。牛タンシチューなんて、良さそう♪

「シチューは4日間煮込みます。すごく手間がかかるんです。」

 そして豚みそは?

「味噌漬けした豚肉を、油で“茹でる”んです。」

 油で“茹でる”というのは面白い表現ですが、低温でじっくり火を通すのだそうです。

「私が勤めていたホテルで教わった作り方なんです。」

 ご飯が合いそうですが、

「そうお客さんから言われるので、ご飯も用意しています。」

 一番下にありました。これは下戸さんでも楽しめそうです。
メニューにも、シードルに合いそうなものが…。
メニューにも、シードルに合いそうなものが…。
「ご飯もありますよ。」
「ご飯もありますよ。」
 そして男性は、メニューの次のページを見せてくれ

「ここには何も書いていないでしょ? 表のページには書いてあるので、ここは…『裏メニュー』です。」

 では適当に指さすと…

「お出ししますよ。ただ何が出るかはお楽しみですが。見える人には(裏メニューが)見えるんじゃないですか。」

 洒落たメニューです。
ページをめくると、白紙だが…
ページをめくると、白紙だが…
裏メニューもあると言う。何が出るかは、お楽しみだ。
裏メニューもあると言う。何が出るかは、お楽しみだ。
「まだ費用がかかっているんですが、もう原価くらいの(1本)3000円で出しています。今は南会津町だけでなく、会津全体で幾つかりんごを提供してくれる農家を見つけています。今後は南会津と言うより会津全体で盛り上がっていければと思います。」

 りんごシードルへ掛ける意気込みを聞きながら飲むf#1は、格別でした。ご馳走様でした。
いまは1本3,000円で提供中。
いまは1本3,000円で提供中。
南会津産大人のりんごジュースは、度数約8~9%。
南会津産大人のりんごジュースは、度数約8~9%。
 因みにこのラベル、地元の画家の方に描いてもらったそう。もしかして、お会いできたりするのでしょうか?

「電話してみましょうか?」

 何と男性が連絡を取ってくださいました。

「これから伺う、で宜しいですか?」

 はい、勿論です!!

「では近くなので、ご案内しましょう。」
このラベルも、地域の画家が描いたそう。
このラベルも、地域の画家が描いたそう。
御本人とコンタクト。
御本人とコンタクト。
 外に出ると、

「これがラベルの桜ですよ。」

と教えてくださいました。大きくて立派な木ですね。

「樹齢60年位のソメイヨシノです。」

 あと3か月もしない内に、花を咲かせる事でしょう。またその時期に来てみたいですね。そしていずれはここで、会津りんごのシードルが生産される事でしょう。その夢もまた花を咲かせて下さいね。(つづく)
土蔵の外に、大きなソメイヨシノがある(写真に入り切らず。下手)。
土蔵の外に、大きなソメイヨシノがある(写真に入り切らず。下手)。
ここで花見をしたら最高だろうなぁ…。
ここで花見をしたら最高だろうなぁ…。
 男性の案内で、ラベルを描いた方のお宅へ。すると戦後の大変な時期のお話や絵との出会いのエピソードを伺う事が出来ました。

その3「ラベルを描いた人は、苛烈な戦後を生き抜き あの“神様”の絵に導かれた」は、こちらをクリック。
車で道案内をして頂いた。
車で道案内をして頂いた。
ラベルの絵を描いた方に出会えた!
ラベルの絵を描いた方に出会えた!
全文を読む
コメントを投稿してよろしいですか?
利用規約

中テレ会員サービス(以下「本サービス」)は、株式会社福島中央テレビ(以下「当社」)が提供する、ホームページ、各種ネットサービスを対象とします。
ユーザーは本規約の内容をよくご確認頂いた上で、本サービスをご利用ください。
当社は、ユーザーが本サービスをご利用されることにより本規約の内容を承諾したものとみなし、以後ユーザーと当社との間にて本規約が適用されるものとします。

1.    本サービスのご利用にあたって
本サービスへの登録は無料で行えますが、ユーザーの端末機からのアクセス、メッセージなどの受信に必要な通信費はユーザー自身の負担となる他、一部コンテンツは有料でご利用いただくものになります。ユーザーが本サービスの利用に際して行った一切の行為、その結果および当該行為によって被った損害について、当社は何等の責任も負わないものとします。

2.    個人情報の取り扱いについて
ユーザー情報は、当社からのサービス提供または利用者のサービス向上を図るための資料(個人が特定されない統計資料)等、当社の正当な業務遂行上必要な範囲に限定して利用し、その範囲を超えた個人情報の取扱い(目的外利用)を行いません。ユーザー情報自体の取り扱いについては、別途当社が定める「個人情報保護基本方針」に従い、適切に扱います。

3.アカウントの管理について
ユーザーは、本サービスのログインパスワード等の会員アカウント情報について、自己の責任において管理及び保管するものとし、第三者に開示あるいは貸与、譲渡、売買等をしてはならないものとします。アカウントの管理不十分または第三者の使用等によりユーザーに損害が生じた場合、その責任は故意・過失の有無にかかわらずユーザーが負うものとし、当社は一切その責任を負いません。

4.登録の変更・退会について
ユーザーは、登録情報に変更が生じた場合や、退会を希望する場合、当社が指定する所定の方法によって登録情報を変更または退会の手続きを行うことができます。

5.未成年による利用について
未成年者のユーザーは、本サービスの利用の一切につき、親権者等の法定代理人の同意のもと利用しなければなりません。未成年者のユーザーが、法定代理人の同意がないにもかかわらず同意があると偽り、または年齢について成年と偽って本サービスを使用した場合、その他行為能力者であることを信じさせるための詐術を用いた場合、本サービスに関する一切の法律行為を取り消すことはできません。本規約の同意時に未成年であったユーザーが成年に達した後に本サービスを利用した場合、当社は、当該ユーザーが本サービスに関する一切の法律行為を追認したものとみなします。

6.知的財産権について
本サービスに関する一切の特許権、実用新案権、意匠権、著作権、商標権等の知的財産権(それらの権利を取得し、またはそれらの権利につき登録等を出願する権利を含みます。以下「知的財産権」)は全て当社または当該権利を有する第三者に帰属します。ユーザーは、本サービスを利用するにあたって、一切の権利を取得することはないものとし、当社は、ユーザーに対し、本サービスに関する知的財産権について、本サービスを本規約に従ってユーザーの端末機においてのみ使用できる譲渡不能の権利として許諾するものです。したがって、ユーザーは個人で楽しむ目的(著作権法第30条第1項の範囲での私的使用)でのみ本サービスを利用できます。また、ユーザーは本サービスについて当社から提供された状態でのみ利用するものとし、本サービスに関する情報の全部または一部を、当社の了解を得ずに、複製、改変、貸与、配布等により転用してはなりません。

7.ユーザーによる情報の提供やアップロードについて
ユーザーは、本サービスの利用にあたってアップロードする文章、画像、動画、音声、音楽その他の情報(以下総称して「ユーザーコンテンツ」)について、その行為における適法な権利を有していること、及びユーザーコンテンツが第三者の知的財産権、所有権その他の権利を侵害していないことについて、当社に対し表明し、保証するものとします。ユーザーコンテンツに関する著作権は、当該投稿等を行ったユーザー自身に留保されるものとし、事前に著作権譲渡について当社がユーザーから許諾または同意を得たものを除き、当社は当該ユーザーコンテンツに関する著作権を取得することはありません。ただし、当社は、本サービスの提供、維持、改善またはプロモーション等に必要な範囲において、ユーザーコンテンツを複製、翻案、自動公衆送信などを、無償、無期限かつ地域非限定で行うことができるものとします。ユーザーは、当社及び当社から権利を承継または許諾された物に対し、著作者人格権を行使しないものとします。

8.禁止行為について
ユーザーは、本規約の他の条項に定めるものの他、本サービスの利用にあたって、以下の行為またはそのおそれのある行為を行ってはならないものとします。
(1)他のユーザー、当社または第三者に不利益または損害を与える行為
(2)公序良俗に反する行為
(3)法令に違反する行為
(4)当社の書面による事前の承認を得ずに、本サービスに関連して営利を追求する行為
(5)当社による本サービスの運営を妨害する行為
(6)本サービスの信用を失墜、毀損させる行為
(7)当社の承認した以外の方法で本サービスを利用する行為
(8)本サービスを譲渡、貸与、公衆送信、使用許諾する行為
(9)本サービスを複製、翻案、編集、改変する行為
(10)コンピュータウイルス等を本サービスで利用し使用をしたり、第三者に提供したりする行為、あるいはそのおそれのある行為
(11)その他、当社が不適切と判断する行為 

9.免責事項について
当社は、本サービスに関する情報およびデータの正常性、信頼性、正確性を保証するものではありません。本サービスにかかる情報によりユーザーまたは第三者に損害が生じた場合であっても、その損害についていかなる責任も負いません。また、当社は、本サービスの利用に起因するソフトウェア、ハードウェア上の事故、ユーザー間またはユーザーと第三者の間において生じたトラブル、その他の事故等による全ての損害についても、いかなる責任も負いません。

10.損害賠償について
本規約に違反して権利侵害等の問題が発生した場合、ユーザーは、自己の負担と責任においてかかる問題を解決するとともに、当社に何等の迷惑または損害を与えないものとし、仮に当社に損害を与えたときは、当社に対して当該損害の全てを賠償していただきます。

11.当社による本サービスの提供中止について
当社は、ユーザーが本規約に違反した場合、当該ユーザーに対してあらかじめ通知することなく、本サービスの全部または一部の内容の提供を中止することができるものとします。当該中止についてユーザーに損害が生じた場合であっても、当社はいかなる責任も負いません。

12.本サービスの変更・一時中断・廃止について
当社は、本サービスの内容を必要に応じて変更することがあります。また、メンテナンスや内容更新のため本サービスの提供を一時中断、あるいは本サービスの廃止を行う場合があります。当該変更または一時中断、廃止によってユーザーまたは第三者に損害が生じた場合であっても、当社はいかなる責任も負いません。

13.本規約の改訂
当社は、随時本規約を改訂できるものとします。当社は本規約を改訂した場合、その都度、改定後の本規約を掲示することによってユーザーに告知するものとし、改定後の本規約は当該掲示の時点で効力を生じるものとします。

14.準拠法、協議、管轄
本規約の解釈および運用は日本法に準拠します。 本サービスに関連してユーザー、当社ないし第三者との間で疑義、問題が生じた場合、その都度誠意をもって協議し、解決を図るものとします。 協議によっても疑義、問題が解決しない場合、これらに関する紛争は当社の本社所在地を管轄する地方裁判所または簡易裁判所を第1審の専属的合意管轄裁判所とします。
 
附則
本規約は2022年9月30日から実施します。