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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
with a camera in Hirata Village 1
 『ゴジてれChu!』木曜恒例「ぶらカメ」のコーナーの取材&こぼれ話です。
 前回はちょうど3月11日放送で東日本大震災から10年の特別篇だったので、スタジオ抽選がありませんでした。そこで今回も自ら抽選、当日に「平田村」に決まり、出かけて参りました。

 
今回は平田村。こちらの女性とも、旅の後半で出会う事に…。
今回は平田村。こちらの女性とも、旅の後半で出会う事に…。
 平田村は県の中部の郡山市と、沿岸南部のいわき市との間に位置する人口5800人余、93.42平方キロメートルの村です。森林公園「ジュビアランドひらた」の芝桜が有名なほか、最近は村で生産されるハバネロを使ったカレーやソフトクリームで辛い物好きの方を中心に注目されています。
 
平田村は、大きな市に挟まれるように位置する農業が盛んな村だ。
平田村は、大きな市に挟まれるように位置する農業が盛んな村だ。
 最初に取材OKを頂いたのは、こちらの写真館。村で一つの写真館です。
 朝9時前から開店していましたが、奥から顔を出した女性が
「あ、徳光さんだ!マスクしなくちゃ…。」
と奥に引っ込んでしまいました。
 
村で一つしかない写真館にお邪魔します。
村で一つしかない写真館にお邪魔します。
 代わりに対応してくれたのが、息子さん。この店の3代目で、戦後祖父がこの店を始めたそうです。
「村で唯一の写真館ですので、幼稚園・小学校・中学校の写真を撮りに行くんです。そうすると村の子どもの成長をずっと眺めている事になるんです。だから最初幼稚園で泣いていたあの子が、中学校に進んだ頃はぷいっと顔を背けてみたり、変化があるんですよ。また卒業などの記念に家族写真を撮りに来ると、あの子がこんなに成長したんだ、と感じる事もありますね。」
 
恥ずかしがり屋のお母さんに代わって対応してくれた写真館の息子さん。
恥ずかしがり屋のお母さんに代わって対応してくれた写真館の息子さん。
 村の子どもの成長を何年にも亙って見つめ、その瞬間を写真に収めてきました。
「やはりこの地域は古い家も多いので、大きくプリントして家に飾っておく事が多いですね。」
 
平田村の各家庭を彩った、記念の瞬間の数々…。
平田村の各家庭を彩った、記念の瞬間の数々…。
 そんな写真館には、2代目のお父さんまで使っていたカメラがあります。
「前の店は道路の向かいにあったんです。こっちの新しい店に引っ越す時にだいぶ処分したんですが、このカメラは処分出来なかったですね。」
 
年代物のカメラ。約50年前まで現役だった。
年代物のカメラ。約50年前まで現役だった。
 そう語る3代目は、カメラの専門学校ではこの手の古いカメラの使い方や機能などを学んだそうです。
 
被写体の“写り具合”を、この小さいルーペでアップにして確認したらしい。
被写体の“写り具合”を、この小さいルーペでアップにして確認したらしい。
「このハンドルを回すと、カメラの高さや角度が変わるんです。この頃はフィルムですが、一般の人が撮るカメラのフィルムより大きいんです。
 
ハンドルだから、微妙な高さ・角度を調整できる。
ハンドルだから、微妙な高さ・角度を調整できる。
板にフィルムを据え付けて撮るんですが、板の表と裏2枚しか撮れないんです。今はデジタルで一度に何百枚と撮れますが、この頃は2枚なら2枚しか撮れない訳です。ですからシャッターを切る瞬間の集中力は、今とは全然違うと思いますね。」
 構造は単純ですが、昔はレンズを通すと逆さまに見えた時代のカメラ。実際に3代目に立っていただくと、
 
中央の内側の四角の部分にフィルムが入る。
中央の内側の四角の部分にフィルムが入る。
 撮る側にはこんな感じで見えていました。
 
レンズを通すと逆様に見える。
レンズを通すと逆様に見える。
 この手のカメラの実物を見た事は遠い昔、七五三か何かの記念に実家近くの写真館であったような…。
 或いは市川崑監督、石坂浩二さん主演の名探偵、金田一耕助シリーズの中で見たのは覚えています(大抵この手のカメラで撮られた写真が、後々事件に関わったり曰く付きだったりするんですよね)。
 
幕を被り外光を遮って、被写体の写りに集中する。
幕を被り外光を遮って、被写体の写りに集中する。
 背景はシンプルなものから、
 
写真館の背景。証明写真にも使えそう。
写真館の背景。証明写真にも使えそう。
洒落た洋館を訪れたような背景まで、これぞ写真館というセットが揃っています(昔の家は和室が主流でしたし、今もこういう壁・窓・椅子はなかなか自宅にないので、特別な記念日感がぐっと増しますよね)。
 
こんな内装の家は、なかなか無かった。
こんな内装の家は、なかなか無かった。
 すると、
「きょうは何人ですか?あ、私は写さなくて良いですから。」
と言う女性。ご主人のお母さんです。また奥へ引っ込んでしまいました。暫くすると、
「コーヒーと、良かったらケーキもどうぞ。」
とわざわざスタッフの人数分用意してくれました。
「このケーキ、私が作ったんです。」
 
何とか、写真を撮らせて頂きました。
何とか、写真を撮らせて頂きました。
 えええ!?本格的なケーキじゃないですか。頂くと、ふわっとした食感、しっとりとしたケーキで香りも佳いんです。
「ラム酒を最後に塗るんです。」
 なるほど、それで…。でも我々の取材はアポなし(事前予約なし)なのに、よくケーキがありましたね。
「私、ケーキを作るのが好きで、よく作るんですよ。で、作ったら冷凍しちゃうんです。そうすると、お客さんが来るのが分かっている時は早めに冷凍庫から出しておくし、きょうみたいに急な時はレンジで温まらない程度に解凍するんです。」
 これは喜ばれますね。
「私は昔幼稚園・保育所の先生をやっていたんです。」
と仰るので、
「では幼稚園や保育園では、(写真を撮りに来る)ご主人の仕事ぶりを見ていたのですか?」
と聞くと、
「夫は大病したので、息子へ早くに譲ったんです。だから息子の仕事は見ています。」
 息子さんの仕事っぷりを聞くと、
「え~…それなりに頑張っていたと思いますよ。」
 ご本人の前では、褒めにくいですよね。失礼しました。
 
お母様お手製のケーキとともに、コーヒーが…。
お母様お手製のケーキとともに、コーヒーが…。
 お父さんの、写真館での思い出は?
「当時は工事関係で、施工の過程の写真を撮るんです。」
 ああ、よく工事の前後や最中に写真を撮って、自治体や施工主に提出するあれですね。
 
お父さん(2代目)と息子さん(3代目)。
お父さん(2代目)と息子さん(3代目)。
「この店の前を走る国道49号を作っていた頃は、道路にする所から石がよく出たんです。その石を処理する数によって、工事費が違うんです。だからその写真を現像する数が多かった思い出があります。」
 当時はフィルムから現像した時代、工事業者の収入を左右する写真を焼いていたんですね。
「まだ現像室がある時代ですよ。」
 赤いランプの中、現像液の中に浸けると段々画像が浮かび上がってくる場面、よく金田一耕助シリーズで見ました←しつこい。

 
大病後は普通の生活を送れるまでに回復したお父さん。
大病後は普通の生活を送れるまでに回復したお父さん。
 そんな写真館ご家族の皆さん、『ゴジてれChu!』をよく見て下さるのだとか。
「ちょうど写真館の休憩時間が、ゴジてれの時間なんですよ。」
「石井さんのサイコロが調子悪いでしょ、あれ見ていると気の毒になりますね。」
「ブンケンさんのごみ拾いを見ていると、段々『自分のごみ位自分できちんと捨てなさい』って思っちゃいますよね。」
「49号沿いを走っていて、ペットボトルが落ちていると、『あれ、おしっこかな?』※とか思っちゃいますね。」(※鈴木ブンケン(文健)さんの歩いてごみ拾いを続けるコーナーがあり、そこでペットボトルに用を足して道路わきに捨ててある事がよくあるのです。)
 
『ゴジてれChu!』の話で盛り上がる。記憶がかなり具体的。
『ゴジてれChu!』の話で盛り上がる。記憶がかなり具体的。
「前回の菊竹さんとやっていたサイコロは調子が好くて、最初の人は病室から参加していましたよね。」
「そういえば徳光さんが司会だった頃も、サイコロを外すと眉毛を下げて謝っていましたよね。本当に気の毒だなって思って見てました。」
 これはなかなかのコアな視聴者です。ご覧頂き、有難う御座います。今度は皆さんが映る番ですよ。
「写真を撮られるのは、すごく緊張しますね。」
 
私のサイコロを外した頃を覚えているとは、長年ご覧頂き有難う御座います。
私のサイコロを外した頃を覚えているとは、長年ご覧頂き有難う御座います。
 そういえば、私の写真の腕はどうなのでしょう?
「おかちゃんの頃から見ていますが、最初は露出や色が気になった事もありました。徳光さんも、上達してきていると思いますよ。」
 どうやったら巧く撮れるのでしょう?そう伺ったら、ご主人から素敵な答が。
 
フィルム時代のカメラも幾つか残っている。
フィルム時代のカメラも幾つか残っている。
「写真に正解は無いんです。」

 シャッターを切り続けた方だから言える、重みのある言葉です。シャッターチャンスを捉えきれない事が多いのですが、と伺うと
「やはり数多く撮る事が大事ですね。」
との事。私ももっともっと撮影して、場数を踏まないと…ですね。
 
「写真に正解は無い」…名言です!
「写真に正解は無い」…名言です!
 記念に、ご主人に私のカメラで写真を撮って頂きました。外光の入る位置から私の座る位置まで決まったのですが、
「本当は後ろをもっとぼかしたかったんですが…。」
と言って撮った一枚。うわ~、何だか決まっていますね。さすがプロ!本当はお金を払わなくっちゃいけませんね。済みません&有難う御座います。

 
写真館の入り口で(下を一部カット)。何かが全てで違う…。
写真館の入り口で(下を一部カット)。何かが全てで違う…。
 どなたか、村で面白い方等をご存じないか聞いてみると、お母さんが
「農家民宿をしている方はどうかしら?面白い方で、むかし一緒に幼稚園・保育所で働いていた方なんですよ。」
と言って、直接連絡をとってくれました。早速その農家民宿へ向かいます。
(3月17日のブログにつづく。)
 
最後はお母さん、カメラから隠れずに普通に振る舞って下さいました。
最後はお母さん、カメラから隠れずに普通に振る舞って下さいました。
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