2019.11.16
the semifinals of Fukushima high school soccer tournament in 2019
きょうは、全国高校サッカー選手権大会の福島県大会準決勝が行われた。その結果。
尚志2-1帝京安積
聖光学院1-0福島工業
今大会は台風19号の影響もあり、日程が大幅に変更になった。準々決勝から約3週間あいての準決勝は、私がサッカー担当になって30年の間でも、かつて無かったはず。例年だとあいても1週間だが、利点もあって、十分対策と選手の体のリカバリーに時間をかける事が出来た。
帝京安積は、台風19号の影響で校舎が1m以上床上浸水する等、大きな被害が出た。サッカー部員も、近所のあまりの状況に練習をとりやめ、家具の運び出し等の手伝いをした。一方で対戦相手がここまで県内の大会(新人戦・夏のインターハイ予選・選手権予選)で53連勝中、昨年度全国高校選手権・今夏インターハイベスト4の尚志とあって、策を練った上で臨んだ。帝京安積の小田晃監督のゲームプランは、「前半最悪1点リードされるまでなら、OK。」だった。
しかし先制したのは尚志、しかも前半9分だった。右からのクロスボールに、インターハイ得点王の山内大空(そら)主将がディフェンス2人の間に入りこみ、ヘディングシュート。早い時間帯に、1点のリードを許してしまう。
先制を許した帝京安積だが、その後はディフェンス陣の踏ん張りもあり0-1で前半を終え、小田監督の「想定内」で折り返す事が出来た。
後半もお互いゴールネットを揺らせず半分以上が過ぎるが、後半20分を過ぎたあたりから、徐々に帝京安積が攻める良い時間帯が生まれて来た…ところだったが、後半27分、その帝京安積の攻めを防いだ尚志のGK鈴木康洋選手が、判断良くすぐさまロングフィード。そこへツートップの1人阿部要門選手がヘッドでコースを変えると、そこにいたのが先制ゴールの山内選手。ドリブルで上がっていく。帝京安積は同点を狙って前がかりだった分、残っていたディフェンダーは2人。山内選手の対応は1人とGKで行う。じりっじりっと上がった山内選手に、飛び込まずにシュートコースを狭めるディフェンダー…すると山内選手がすかさず狭い方向への鋭いグラウンダーのシュート!ボールはディフェンダーが伸ばした足と、GKの横っ飛びした手の先を抜けて、ゴール左隅へ。重い2点目が尚志に入る。
だが帝京安積の小田監督が「水害を言い訳にしない。結果を残す。色々支えてくれた人に感謝の気持ちを。地域に元気を」と話してきた通り、イレブンも諦めない。アディショナルタイムには、石井陸斗選手のロングスローを3人がヘッドでつなぎ、その3人目の廣野諒選手がヘッドで落としたボールを小山航平選手がボレーシュート。1点を返す。全校応援の帝京安積応援席が、最もわいた瞬間だった。
しかし如何せん時間が足りなかった。1-2で帝京安積の今年の選手権は終わりを告げた。
私は、最後の帝京安積の1点に感動した。皆が力を合わせ、諦めず、「言い訳しない。地域に元気を」の気持ちがこもったゴールだった…そんな想いを小田監督にぶつけたが、小田監督は冷静に試合を振り返った。
「前半が良くなかったですね。最初の20分、もっと積極的にいければ良かった。(前半の)0-1は、こちらが『持ち込んだ』結果ではなかったですから…。その後(帝京安積のプレーは)良かったので、それが最初から出来ていれば…。」
確かに立ち上がりの失点は痛かったし、あの失点が無ければ後半の展開も違っただろう。
「いや、私達こそ(周囲の方から)元気をもらいました。やっぱり知っている人の『頑張って』より、知らない人の『頑張って』が救いの言葉になりました。」
と水害以降を振り返った小田監督は、
「これで終わりではなく、(12月の)プリンスリーグ参入戦が控えているので、それに向けて頑張ります。」
ときょうの経験を、次年度一つ上のステージで戦う為の「糧」にする決意を口にした。
尚志の仲村浩二監督は、
「前半、もう1点欲しかったですね。ボランチからパス交換などあれば良かったのですが…。」
と前半に試合の流れをもっと引き寄せたかった事、更には中盤から攻撃の組み立てがもっと出来た筈だった事に触れた。それでも勝ち切った事については、「プレミアリーグという高いレベルの試合をたくさん経験できた成果」と分析した。そして決勝へ向けて「次の試合を見て分析していきます。」と、観客席に向かっていった。
7年ぶり2度目の選手権を目指す聖光学院と、22年ぶり4度目の選手権を狙う福島工業の対戦は、前半13分、聖光学院のゴールキックから長いボールを素早く前線に入れると、半澤愛斗選手が左サイドでゴール方向の様子を窺うようにドリブル、この間中央へのパスを警戒する福島工業ディフェンダーが距離を或る程度保ちつつ警戒、するとプレッシャーが少ないと判断したか、半澤選手がミドルレンジから一閃右足を振り抜く。ボールは右へ弧を描きながら、ゴール右上隅へ。これが見事に決まり、聖光学院が先制する。
その後お互いフィジカルの激しいぶつかり合いを経ながら、隙あらば相手の裏を狙う攻防を繰り広げるが、どうしても両チームゴールネットを揺らせない。結果、前半にミドルシュートを決めた聖光学院が、虎の子の1点を守り切り、決勝進出を決めた。
福島工業の亀岡丈朗監督は、
「あのミドルシュートは…。でもあれは綺麗なシュートでした。」
と決勝ゴールを悔しさと、対戦相手ながら天晴れの気持ちを込めつつ振り返り、
「本当は0-0で延長戦にいければ良かった…。」
と持久戦に持ち込んで勝機を見出すゲームプランだった事を明かした。ただ私立高校ほど練習環境が恵まれない中、「公立最強 打倒私立」を掲げて県立高校で唯一ベスト4に進出したのは見事だったし、80分間選手も諦めずに戦い抜いた。選手に何と声を掛けるか尋ねると、
「いつも怒ってばっかりだったので、きょうは褒めます。」
と少し笑顔を浮かべた。
聖光学院の山田喜行監督は、準々決勝からの長い3週間での調整の難しさをあげた。
「特にこの1週間は、選手の、選手権にかける想いが空回りしてしまい、俺が俺がという状態になってしまったんです。」
それをまとめ上げたのが、キャプテンの小幡俊介選手だったと言う。あすの決勝に向けては、
「走り回って大暴れします。」
と一泡ふかせる、いや一波乱おこす決意を語った。
この結果、決勝は
尚志‐聖光学院
郡山市の西部サッカー場で、あす17日午後0時10分キックオフ。正午からは福島中央テレビで生中継する。
尚志2-1帝京安積
聖光学院1-0福島工業
今大会は台風19号の影響もあり、日程が大幅に変更になった。準々決勝から約3週間あいての準決勝は、私がサッカー担当になって30年の間でも、かつて無かったはず。例年だとあいても1週間だが、利点もあって、十分対策と選手の体のリカバリーに時間をかける事が出来た。
帝京安積は、台風19号の影響で校舎が1m以上床上浸水する等、大きな被害が出た。サッカー部員も、近所のあまりの状況に練習をとりやめ、家具の運び出し等の手伝いをした。一方で対戦相手がここまで県内の大会(新人戦・夏のインターハイ予選・選手権予選)で53連勝中、昨年度全国高校選手権・今夏インターハイベスト4の尚志とあって、策を練った上で臨んだ。帝京安積の小田晃監督のゲームプランは、「前半最悪1点リードされるまでなら、OK。」だった。
しかし先制したのは尚志、しかも前半9分だった。右からのクロスボールに、インターハイ得点王の山内大空(そら)主将がディフェンス2人の間に入りこみ、ヘディングシュート。早い時間帯に、1点のリードを許してしまう。
先制を許した帝京安積だが、その後はディフェンス陣の踏ん張りもあり0-1で前半を終え、小田監督の「想定内」で折り返す事が出来た。
後半もお互いゴールネットを揺らせず半分以上が過ぎるが、後半20分を過ぎたあたりから、徐々に帝京安積が攻める良い時間帯が生まれて来た…ところだったが、後半27分、その帝京安積の攻めを防いだ尚志のGK鈴木康洋選手が、判断良くすぐさまロングフィード。そこへツートップの1人阿部要門選手がヘッドでコースを変えると、そこにいたのが先制ゴールの山内選手。ドリブルで上がっていく。帝京安積は同点を狙って前がかりだった分、残っていたディフェンダーは2人。山内選手の対応は1人とGKで行う。じりっじりっと上がった山内選手に、飛び込まずにシュートコースを狭めるディフェンダー…すると山内選手がすかさず狭い方向への鋭いグラウンダーのシュート!ボールはディフェンダーが伸ばした足と、GKの横っ飛びした手の先を抜けて、ゴール左隅へ。重い2点目が尚志に入る。
だが帝京安積の小田監督が「水害を言い訳にしない。結果を残す。色々支えてくれた人に感謝の気持ちを。地域に元気を」と話してきた通り、イレブンも諦めない。アディショナルタイムには、石井陸斗選手のロングスローを3人がヘッドでつなぎ、その3人目の廣野諒選手がヘッドで落としたボールを小山航平選手がボレーシュート。1点を返す。全校応援の帝京安積応援席が、最もわいた瞬間だった。
しかし如何せん時間が足りなかった。1-2で帝京安積の今年の選手権は終わりを告げた。
私は、最後の帝京安積の1点に感動した。皆が力を合わせ、諦めず、「言い訳しない。地域に元気を」の気持ちがこもったゴールだった…そんな想いを小田監督にぶつけたが、小田監督は冷静に試合を振り返った。
「前半が良くなかったですね。最初の20分、もっと積極的にいければ良かった。(前半の)0-1は、こちらが『持ち込んだ』結果ではなかったですから…。その後(帝京安積のプレーは)良かったので、それが最初から出来ていれば…。」
確かに立ち上がりの失点は痛かったし、あの失点が無ければ後半の展開も違っただろう。
「いや、私達こそ(周囲の方から)元気をもらいました。やっぱり知っている人の『頑張って』より、知らない人の『頑張って』が救いの言葉になりました。」
と水害以降を振り返った小田監督は、
「これで終わりではなく、(12月の)プリンスリーグ参入戦が控えているので、それに向けて頑張ります。」
ときょうの経験を、次年度一つ上のステージで戦う為の「糧」にする決意を口にした。
尚志の仲村浩二監督は、
「前半、もう1点欲しかったですね。ボランチからパス交換などあれば良かったのですが…。」
と前半に試合の流れをもっと引き寄せたかった事、更には中盤から攻撃の組み立てがもっと出来た筈だった事に触れた。それでも勝ち切った事については、「プレミアリーグという高いレベルの試合をたくさん経験できた成果」と分析した。そして決勝へ向けて「次の試合を見て分析していきます。」と、観客席に向かっていった。
7年ぶり2度目の選手権を目指す聖光学院と、22年ぶり4度目の選手権を狙う福島工業の対戦は、前半13分、聖光学院のゴールキックから長いボールを素早く前線に入れると、半澤愛斗選手が左サイドでゴール方向の様子を窺うようにドリブル、この間中央へのパスを警戒する福島工業ディフェンダーが距離を或る程度保ちつつ警戒、するとプレッシャーが少ないと判断したか、半澤選手がミドルレンジから一閃右足を振り抜く。ボールは右へ弧を描きながら、ゴール右上隅へ。これが見事に決まり、聖光学院が先制する。
その後お互いフィジカルの激しいぶつかり合いを経ながら、隙あらば相手の裏を狙う攻防を繰り広げるが、どうしても両チームゴールネットを揺らせない。結果、前半にミドルシュートを決めた聖光学院が、虎の子の1点を守り切り、決勝進出を決めた。
福島工業の亀岡丈朗監督は、
「あのミドルシュートは…。でもあれは綺麗なシュートでした。」
と決勝ゴールを悔しさと、対戦相手ながら天晴れの気持ちを込めつつ振り返り、
「本当は0-0で延長戦にいければ良かった…。」
と持久戦に持ち込んで勝機を見出すゲームプランだった事を明かした。ただ私立高校ほど練習環境が恵まれない中、「公立最強 打倒私立」を掲げて県立高校で唯一ベスト4に進出したのは見事だったし、80分間選手も諦めずに戦い抜いた。選手に何と声を掛けるか尋ねると、
「いつも怒ってばっかりだったので、きょうは褒めます。」
と少し笑顔を浮かべた。
聖光学院の山田喜行監督は、準々決勝からの長い3週間での調整の難しさをあげた。
「特にこの1週間は、選手の、選手権にかける想いが空回りしてしまい、俺が俺がという状態になってしまったんです。」
それをまとめ上げたのが、キャプテンの小幡俊介選手だったと言う。あすの決勝に向けては、
「走り回って大暴れします。」
と一泡ふかせる、いや一波乱おこす決意を語った。
この結果、決勝は
尚志‐聖光学院
郡山市の西部サッカー場で、あす17日午後0時10分キックオフ。正午からは福島中央テレビで生中継する。
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