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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
with a camera in Izumizaki Village 1
 『ゴジてれChu!』毎週木曜にお送りする「ぶらカメ」のコーナー、今回は県南の泉崎村(いずみざきむら)に先月27日(日)に行ってまいりました。そのこぼれ話です。
 泉崎村は人口6000人余りの村で、白河市の北・西・南に囲まれるように面しています。ランドセルの工場があるほか(結構県内では特売等もしてくれるので有名です)、ねぎ・トマト等の農産物が生産されています。国道4号やJR東北本線が通っています。



泉崎駅前からスタート。
泉崎駅前からスタート。
 そのJR泉崎駅から歩いて間もなくのところ、日曜日ながら朝9時前から開いている店が一軒あります。自転車屋さんのようです。ご主人が「どうも~。」と対応してくれたのですが、店の中で目に入って来たのは、自転車…

自転車やバイクを扱う「荒井輪業商会」。中へ入ると…
自転車やバイクを扱う「荒井輪業商会」。中へ入ると…
が1台と、壁に幾つも並ぶ柱時計です。皆さんは、振り子が動きながら時を告げる柱時計を見た事がありますか?私の実家には、一番右のタイプにそっくりな柱時計がありました。正時になると時間の数だけ鐘が鳴り(3時なら3回)、毎時30分にも1回だけなって、1時間に2回時を告げます(だから0時半、1時、1時半はいずれも1回だけ鳴るんですね)。夜も昼も鳴っていたのですが、小さい頃は起きずに熟睡していたものです。

自転車屋さんの壁には、懐かしの柱時計が…。
自転車屋さんの壁には、懐かしの柱時計が…。
 そして真ん中に赤い丸が見えますね、これは「そろそろぜんまいを巻かないと、止まりますよ」という印(ねじで巻くと、文字盤と同じ白色になる。この時計は“30DAY”と書いてある通り、丸の中が白くなるまでぜんまいを巻くと、30日程動き続ける)。そして動き出させる為には、一度だけ振り子をどちらかに振ってやれば良いのです。

確か一番右の柱時計は、実家のものによく似ている気が…。
確か一番右の柱時計は、実家のものによく似ている気が…。
 ご主人の荒井さんの「趣味」で集めたものだそうです。
 荒井さんは、店を継いで40年余、お父さんの代から数えると60年余にもなるそうです。
「父が早くに亡くなったもので、下の弟と妹の学費は、店で稼ぎました。(自転車に関する事なら)何でもやりましたし、働きました。もしサラリーマンだったら、弟妹を卒業させられたかどうか…。」
 弟妹が独立し、子どもも大人になり、余裕が出来た分から、柱時計の購入に回したとの事。
「私はサラリーマンではないので、退職金が無いでしょ?その分の楽しみが、これかな…。(柱時計は)買う時は高いけど、売る時は安いんですよ。」
等と話を聞いている最中に、柱時計が9時を告げ始めます。

こちらが店主の荒井さん。自転車はこちらの1台だけ…。
こちらが店主の荒井さん。自転車はこちらの1台だけ…。
「最初は正しい時刻で動かし始めるんだけど、みんな少しずつずれていくんですよ。でもそれがまた良くてね…。」
 アナログな柱時計、そのずれは、人間にもせっかちさんやおっとりさんがいるように、時計ごとに個性があるという事でしょう。中には9時なのに4回しか鳴らない「怠け者」や、12回も鳴る「お調子者」もいます。正確な時刻は何で知るのか伺うと、

アナログな分、ずれがあるようですが…。
アナログな分、ずれがあるようですが…。
「この電波時計」
だそうです。これなら間違い無しですね。
 動いていない柱時計もあります。
「ではねじを巻きましょうか。」

ちゃんと時刻を把握する為の時計は、別にお持ちです。
ちゃんと時刻を把握する為の時計は、別にお持ちです。
 ご主人はそう言うと、椅子に上ぼって右の穴、左の穴にねじを差し込んで(ねじは時計ごとに専用のねじがあり、振り子の収まるスペースの隅っこに置いておく所があります)、ぐりっ、ぐりっと回していきます。そうして振り子を動かすと、待ってましたとばかりに、柱時計は再び時を刻み始めました。

そうです、高い所に掛ける柱時計は、脚立や椅子にのって、ねじを巻く必要があります。
そうです、高い所に掛ける柱時計は、脚立や椅子にのって、ねじを巻く必要があります。
 私は懐かしさの余りすっかり柱時計に目と心を奪われていたのですが、落ち着いて店内を見渡すと、柱時計以外にも懐かしい物が幾つも並んでいます。腕時計、鉄瓶、ジャノメミシン、一玉が5つあるそろばん、ミニチュアカー等々…。古い物がお好きなようです。中でも鉄瓶の話には、ちょっとびっくり。

昔はたまに見かけた、一玉が5つあるそろばん。
昔はたまに見かけた、一玉が5つあるそろばん。
「鉄瓶で沸かした湯で入れたお茶は美味しいって言うでしょ?錆びないように手入れするのが大変なんで、そこにあるのは飾っているだけなんですが、IHにかけたら一つだけお湯の沸く鉄瓶があったので、家ではそれでお茶を入れますよ。」
 IH対応(可能)な鉄瓶もあるんですね。数多く集めた甲斐があったというものです。
 そして自転車を修理できる技能をお持ちですから、恐らく時計等も直せちゃう…のかも知れませんね。

鉄瓶が幾つも…。
鉄瓶が幾つも…。
「70年以上も戦争が無くて、多くの人が暮らしていける、こんな日本に生まれ育ったっていうのは、幸せですね。外国人と話をしたり、震災を経験したりして、改めてそう思います。」
 食べていけて、雨風凌げる家があって、趣味でものを集める事が出来る位の余裕がある…、そんな事が当たり前に出来る暮らしに、感謝の気持ちを忘れない荒井さんでした。


荒井さんの言葉は、深みがあった。
荒井さんの言葉は、深みがあった。
 さて村内をぶらぶらしていると、何とも立派な庭をお持ちのお宅を見つけます。低く綺麗に刈り込まれた生垣の向こうに、白砂の庭に味のある石を配置した趣のある庭が広がっているお宅です。もしかして庭師を生業としているお宅でしょうか?
 突然呼び鈴を鳴らし、取材の趣旨を伝えると、快く撮影に応じて頂けました。
これ、自宅のお庭?立派ですねぇ。
これ、自宅のお庭?立派ですねぇ。
 道路に近い側のお庭は、元々畑として野菜を育てていた所。段々作らなくなると草が生えて仕方が無かったので、
「3年前に同級生の植木屋さんに、『草が生えないようにして』って頼んで、こうしてもらったんです。」
との事。白砂の模様はご主人が描いているそうですが、
「草が生えないように、この下はコンクリートを敷き詰めてあるんです。」
 そんな事は感じさせないこの風情、特に中央の苔むした石は、時間の経過を表しているようです。

寺にある庭園のよう…。
寺にある庭園のよう…。
 その庭の隣には、黄色い実のなっている木があります。
「蜂蜜に漬けると喉に良いって言う、あの花梨です。」
 花梨の実を直に見るのは初めて。近づくと淡く甘い香りがします。
「すぐもげますよ。採ってみたらどうですか?」

花梨の木と実。なっているのは初めて見た。
花梨の木と実。なっているのは初めて見た。
 実を持って傾けるだけで、力要らずで実が枝から離れます。勧められるままに3個ももぎまして、お土産に頂いちゃいました。

ご好意で、頂いちゃいました♪
ご好意で、頂いちゃいました♪
 ここだけではありません、ご主人の背後には立派な松が、そして家の近くには更に年月を感じさせる庭があります。お父様が造った庭で、50年にもなるそうです。
 どういう方なのか、話を伺うと
「今の名字になって私で七代目、その前の姓から数えると十代目。」
 今回はプライバシー保護の為に具体的な名字は伏せますが、実は白河藩付きの医者の家系。松平定信公が老中になって江戸に行った際に今の名字を授かり、その後白河藩に戻った時ここ泉崎に土地を得たそうです。道理で拾いお庭をお持ちの訳です。

大きな庭の持ち主の方。後ろの松(勿論庭にあるもの)も立派!
大きな庭の持ち主の方。後ろの松(勿論庭にあるもの)も立派!
 家の裏には蔵座敷があるというので、特別に見せて頂きました。
 中に入ると、見る人が見たらお宝なのでは?というような、歴史を感じさせる書や掛け軸などがあります。

これだけの組子細工は、個人宅だとなかなか見られない。
これだけの組子細工は、個人宅だとなかなか見られない。
 また今の家では少なくなりつつある組子細工や、鶴や亀の縁起の良い形をした釘隠しも残っています。
 白河藩と言えば「仁の心」ですよね。
「震災では壁が崩れました。」

白河と言えば「仁」の心。
白河と言えば「仁」の心。
 漆喰がはがれていますが、中の構造はしっかりしています。
「それでも傾いたりした所もあったんですよ。」

蔵の内部から。震災の影響だという。
蔵の内部から。震災の影響だという。
 蔵座敷は夏は涼しいので、小さな頃は暑い日に蔵座敷で過ごす事もあったとか。

 二階は完全な物置だそうですが、その階段下が引き出しになっているのも、昔の蔵にはよく見られたものの一つです。さすが旧家、歴史を端々からも感じます。突然の訪問にも関わらず快く案内して頂き、有難う御座いました。(11月6日のブログにつづく)

昔は、二階への階段の下が引き出し収納になっている所も多かった。
昔は、二階への階段の下が引き出し収納になっている所も多かった。
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