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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
with a camera in Kawamata Town 3
 8月29日分のブログから続いてきました「ぶらカメ」川俣町篇こぼれ話も、これが最終その3です。

 先程の「かいてんや」からも程近い所にあるのが、「菓心 竹屋」です。創業明治20年の老舗で、元は和菓子屋だったそうですが、中に入ると…うわぁ、飴が何種類も並んでいます。

ここが、「東北一」の飴を売る「竹屋」だ。
ここが、「東北一」の飴を売る「竹屋」だ。
 こちらのご主人穂積寿男さんは、四代目。元は和菓子屋としてスタートし、飴作りは祖父の代から始まったらしく、今は常時50種類程の飴を販売しています。しかもその50種類程の飴に、人気で順位がついています。一番人気を伺うと、圧倒的に
「これだね。」

竹屋四代目 穂積寿男さん。飴を語りだしたら、止まらない。
竹屋四代目 穂積寿男さん。飴を語りだしたら、止まらない。
と言って持ち上げたのが、しょうゆ飴。
「たまりせんべいの味がするって言うんだよね~。」
 頂くと、円やかな醤油の味に、程よい甘さとのバランスが最高です。
「もうとにかく色んな味を作ったよ。バター味をやろうとしたけど、飴って、溶かした温度は130度あるんだよ、バターを入れると焦げちゃって、鍋を一つ駄目にして大損よ。」
なんて失敗談も、包み隠さず話してくれます。

不動の一番人気「しょうゆ飴」。220円。
不動の一番人気「しょうゆ飴」。220円。
「俺は、竹屋の飴は東北一、日本一と思っているよ。」
 そう自負します。そして地元の良いものを応援する為に、その食材で飴を作る事もあります。
「例えばこれ、面白いでしょう。」

男前飴を片手に、商品の魅力を語る。
男前飴を片手に、商品の魅力を語る。
 やはり県北の保原町(ほばらまち)で造られている玉鈴醤油を使った飴を、その醤油屋の瓶に入れたもの。
「これは瓶の口が狭いから、飴のサイズだって変えなきゃならない。大変なんだよ。」
 でもなかなか洒落もきいていて、面白いですよね。

玉鈴醤油を使って作った飴を、醤油の瓶に入れた逸品。
玉鈴醤油を使って作った飴を、醤油の瓶に入れた逸品。
「これなんかさ、広野町(福島県の沿岸部)で海水を煮詰めて作った塩だよ。広野町は原発が近いから、一時多くの人が避難して、でも頑張って作っているんだもん、これで飴を作ってみたかったんだ。」
 その塩を店頭に置くと同時に、その塩で作った飴も販売しています。

広野町の塩(海水からとったもの)と、それを使った塩飴。
広野町の塩(海水からとったもの)と、それを使った塩飴。
 そのほかにも会津の山塩(塩分の入った温泉を煮詰めて取り出した塩。この塩を使ったラーメン等も有名)を使った飴など、塩飴だけでも複数の種類を作っています。ここまでくると、塩の作り手のこだわりと、飴屋のこだわりが重なって、唯一無二の飴に昇華されているのが分かります。これは種類も増えるわ。

会津山塩を使った塩飴。
会津山塩を使った塩飴。
 中には、逆に「この食材で飴を作って」と頼まれる事もあるそう。千葉の醤油屋に頼まれた飴なども作っているそうで、竹屋でその千葉の醤油そのものを販売し、飴は千葉の醤油屋だけで販売しているそうです。これも飴づくりの技術が確かだからなせる業。他にも複数の県外の店用に、その店の商品の味の飴を製造しているそうです。
 そして飴は、店内の中央に、いわば「飴の山」として並べられています。
「お客さんは必ずこの飴の処を一周するね。そういう楽しさが無いと…。」
とレイアウトにもこだわりを覗かせます。

店の中央に、四方から見られるよう飴を積み上げている。お客さんは必ずこの「飴山」とも言うべき場所を一周すると言う。
店の中央に、四方から見られるよう飴を積み上げている。お客さんは必ずこの「飴山」とも言うべき場所を一周すると言う。
「一粒で10分の幸せがあるのよ。」
 そう言って飴の魅力を力説する穂積さんは、飴を「子どものよう」と話します。
 鉄砲玉は、黒飴です。名前をどうしようか考えた時に、川俣町に因んだものとしてこの名前が浮かんだそうです。
「大きくて、黒くて…。しかも昔、織物を巻いた長い羽二重の事を、筒状の見た目から『鉄砲』と呼んだの。それで(絹織物で有名な)ここの町名も『鉄炮町』って言うようになったみたいだよ。」
 絹織物の産地だからこその地名。そこから浮かんだ、黒い「鉄砲玉」。なるほど、川俣町らしさがにじみ出ています。

2位の「鉄砲玉」。鉄砲と絹織物の産地には、意外な繋がりが…。
2位の「鉄砲玉」。鉄砲と絹織物の産地には、意外な繋がりが…。
 因みに順位はどこまで厳密なんでしょう?
「いやぁ、上位の人気の飴と、下位の飴はちゃんとした順位。なぜって、回転の速い(=売れ行きの良い)飴とそうでない飴があるから、作った量に対して売れた日数で割れば、順位はちゃんと見えてくるよ。ただ…20位以降の中盤は、大体の順位かな(^-^;)」
 商品名は、笑いを求めると意外に売れないのだとか。
「1位のしょうゆ飴と2位の鉄砲玉を合わせて作った飴。それで付けた名前が『アメとムチ』だったんだけど、全然売れないの。」
 売れると思って飴の名の入ったパッケージをいっぱい作って、売れずに余らせちゃった事もあるそうです。それでも
「突き詰めれば、このレベルまで行くのよ。」
 実はこの時、来客があったのですが、そのお客さんを待たせて飴の魅力を熱弁してくれました。

失敗があっての今。とにかく新しい飴を考え、作り続ける…。
失敗があっての今。とにかく新しい飴を考え、作り続ける…。
 そして今のご主人の代からは洋菓子も作っています。こちらはクリームがはみ出ただけで、半額の特価品。味は同じ。これは出血大サービス。

四代目から洋菓子にも力を入れる。クリームがはみ出たら、訳あり品だ!半額だ!
四代目から洋菓子にも力を入れる。クリームがはみ出たら、訳あり品だ!半額だ!
 更にはケーキも売っています。こちらの「たぬきちゃん」は、ケーキ部門で人気商品。たぬきケーキは昭和生まれのバターケーキの1種で、今人気があるそうですね。栃木や岩手からわざわざ買いに来る人もいるとか。
「顔が一つ一つ違うでしょ。だから作るのが大変なんだよ~。」
 でもこの手作り感がまた、お客さんの目と気持ちを惹くのでしょうね。

人気の「たぬきちゃん」。1個1個顔が違うのが、また良いのだ…。
人気の「たぬきちゃん」。1個1個顔が違うのが、また良いのだ…。
「んで、たぬきが売れるんだからって作ったのが、きつねちゃん」
 なぜかこの日は、「ご奉仕品」に回っていました…。たぬきちゃん人気には勝てないそうです。
 そしてショーケースを見ている私は、このケーキのこだわりも聞きたくなりました。
「このケーキの名前には、どんな意味が込められているんですか?」

たぬきちゃん人気に続けと「きつねちゃん」も作ったが…奉仕品の方へ。
たぬきちゃん人気に続けと「きつねちゃん」も作ったが…奉仕品の方へ。
 私の質問の意味を捉えかねたのか、怪訝そうな顔で、いつも売っているケーキのほうに顔を近づけるご主人。
「この『チュコモンブラン』の『チュコ』というのは…」
と尋ねるそばから
「あ、これは間違い。」
と言って、ご主人、ショーケースから顔を離して背を向けてしまいました。でも音の響きが可愛いじゃないですか。そしてご主人のあの熱弁ぶりから「これは間違い」といった時のそっけないまでの言い方の変わりっぷりも、可愛かったですよ。

このネーミングセンスは、素晴らしい!「チュコ」の由来は……!?
このネーミングセンスは、素晴らしい!「チュコ」の由来は……!?
 そのほか紅白2種類入った「絹飴」や、碁盤将棋盤を作る「榧(かや)」の木の実を、しっかり煮て灰汁を抜いて練りこんだ、珍しい榧の飴(昔、榧の実は飢饉の時に食べたそう。ご主人曰く、榧の実を食べると元気になるそうで、食べ過ぎ注意だとか)なんて「変わり種」もあります。中には色んな種類を何十袋と買って贈る人もいるとかで、この日も2ケース贈答用の注文を受けていました。


珍しい「榧飴」。実を存在感のある大きさで飴に練り込んだタイプも。
珍しい「榧飴」。実を存在感のある大きさで飴に練り込んだタイプも。
 川俣町は、絹織物にしても、かいてん焼にしても、古きよきものを大事に守りつつ、一方ではフォルクローレのような町にない新しいものを取り入れる柔軟さや好奇心も併せ持つ、発想豊かな地力を持つ町だと感じました。
 因みに今度の週末には、川俣シャモまつりが行われます。あの美味しい川俣シャモを長い串で通して丸焼きにしたり、焼き鳥にしたり…。圧巻にして、何て贅沢(想像しただけでも、じゅるると涎が出そうです)。
 そして恐らく川俣町が最も賑わうであろう「コスキン・エン・ハポン」は、今年は10月12日(土)から3日間行われます。フォルクローレを心から愛する人が、フォルクローレを応援する町に集う熱気は、一度行ってみないと分かりません。そして取材させて頂いた齋藤さんは、フォルクローレの音色は「日本人の好きな音色」と評します。確かに郷愁があって、理由は分からないけどなぜか惹かれますよね。40年余の歴史の重みも感じながら、美味しい川俣シャモを食べがてら、行ってみては如何でしょう?
川俣町は良きものを守り、取り入れ、発展させる力を感じた町だった。
川俣町は良きものを守り、取り入れ、発展させる力を感じた町だった。
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