2019.08.14
with a camera in Yanaizu Town 2
(8月15日分のブログからの続きです。)
観光案内所の駐車場に行くと、たまたま案内所の方が外に出ていました。撮影と分かると、
「まぁよく映していって下さい。」
とニコニコしながら話して下さいます。駐車場には、立派な七夕飾りがあります。
「旧暦に合わせるので、数日前に飾ったばかりですよ。昔はそれぞれの家で飾ったものですが、最近は少なくなりましたから、こうして案内所などでも飾るようにしたんですよ。」
七夕飾りが風に靡く様は、まるで青空に願いを届ける龍のようにも見えてきます。
「今日は花火大会があるんですよ。花火を上げる時は、風があった方が好いんです。」
風が無い方が安全に打ち上げられそうな気もしたのですが、
「風が無いと煙が立ち込めて、花火が見づらくなるんです。」
適度な風があった方が、花火は綺麗に見えるのだそうです。
観光案内所の駐車場に行くと、たまたま案内所の方が外に出ていました。撮影と分かると、
「まぁよく映していって下さい。」
とニコニコしながら話して下さいます。駐車場には、立派な七夕飾りがあります。
「旧暦に合わせるので、数日前に飾ったばかりですよ。昔はそれぞれの家で飾ったものですが、最近は少なくなりましたから、こうして案内所などでも飾るようにしたんですよ。」
七夕飾りが風に靡く様は、まるで青空に願いを届ける龍のようにも見えてきます。
「今日は花火大会があるんですよ。花火を上げる時は、風があった方が好いんです。」
風が無い方が安全に打ち上げられそうな気もしたのですが、
「風が無いと煙が立ち込めて、花火が見づらくなるんです。」
適度な風があった方が、花火は綺麗に見えるのだそうです。
![]() 観光案内所の七夕飾り。夏空に、願いよ届け。 |
そうこうする内に遊覧船がやってきました。SLの形をしている遊覧船の話は番組でもお伝えした事がありましたが、直に見るのは初めて。休業していた時期もありましたが、おととし復活しました。風光明媚な路線で有名なJR只見線沿線ですし、SLの形は只見川に馴染む気がします。また只見川に姿を現している岩も、見事なものです…なんて話をしていると、
「あれは『亀石』って言うんですよ。」
と教えて下さいました。只見川に所々見られる岩には、船石などの様々な名前が付けられているそうです。色々話をしている内に、地元に住む微細彫刻で有名な方の話になり、この近くに工房があると言います。こちらもニュースや番組で何度かお伝えした事がありますが、遊覧船同様一度直に見てみたいと思っていました。すると、
「あれは『亀石』って言うんですよ。」
と教えて下さいました。只見川に所々見られる岩には、船石などの様々な名前が付けられているそうです。色々話をしている内に、地元に住む微細彫刻で有名な方の話になり、この近くに工房があると言います。こちらもニュースや番組で何度かお伝えした事がありますが、遊覧船同様一度直に見てみたいと思っていました。すると、
![]() 只見川をSL型の遊覧船が行く。手前は「亀石」。 |
「実は、私の同級生なんです。」
と言って、連絡をとって下さいました。結果、いらっしゃる、との事で、早速向かう事にします。柳津町で会う方会う方、親切な方ばかり。案内所の方は、地図を示しながら
「坂を真っすぐ上って、駅の近くの右手に『富山(ふざん)工房』ってありますから。」
工房の反対側には、あわまんじゅうの店の名も地図に書いてあります。
「小池菓子舗の少し先なんですね。さっきこの辺りまで行ったんですよ。」
と話すと、
「私の店です。」
えええっ!?実はこちらの小池さん、息子さんに代を譲って、観光協会の仕事もしていたのです。小池会長、物産展などでは県外に行く事も多いそうですが、
「やっぱり柳津に戻ると、人の温かみにほっとする。」
と話していました。確かに、遊覧船に微細彫刻と取材のアポイントまで取って頂き、柳津の人の良さが垣間見えた気がしました。
と言って、連絡をとって下さいました。結果、いらっしゃる、との事で、早速向かう事にします。柳津町で会う方会う方、親切な方ばかり。案内所の方は、地図を示しながら
「坂を真っすぐ上って、駅の近くの右手に『富山(ふざん)工房』ってありますから。」
工房の反対側には、あわまんじゅうの店の名も地図に書いてあります。
「小池菓子舗の少し先なんですね。さっきこの辺りまで行ったんですよ。」
と話すと、
「私の店です。」
えええっ!?実はこちらの小池さん、息子さんに代を譲って、観光協会の仕事もしていたのです。小池会長、物産展などでは県外に行く事も多いそうですが、
「やっぱり柳津に戻ると、人の温かみにほっとする。」
と話していました。確かに、遊覧船に微細彫刻と取材のアポイントまで取って頂き、柳津の人の良さが垣間見えた気がしました。
![]() 小池さんも取材のアポ迄とって下さった。実は……あの店の会長さん。 |
こちらが、微細彫刻の「富山工房」です。お邪魔すると、金坂富山さんが作業の手を休め、対応して下さいました。
微細彫(びさいぼり)は、400年程前の戦国時代頃から柳津町に伝わる伝統工芸です。お父様の下で修業して彫師になり、約40年です。恵比寿大黒天や七福神等を、見事に彫っています。
「元は、この胡桃の中に彫ったんです。」
微細彫(びさいぼり)は、400年程前の戦国時代頃から柳津町に伝わる伝統工芸です。お父様の下で修業して彫師になり、約40年です。恵比寿大黒天や七福神等を、見事に彫っています。
「元は、この胡桃の中に彫ったんです。」
![]() 柳津微細彫 富山工房 |
しかし金坂さんの技は胡桃に留まらず、もっと小さな銀杏や籾殻の中に収まるサイズまで彫ってしまう腕をお持ちです。
「テレビで放送すると縮尺が無いでしょ、大きいものと勘違いして注文してくる方もいるんですよ。」
それだけ微細彫の形・表情も、普通サイズの像と変わらぬ精密さ・精緻さで彫られている証でもあります。
「テレビで放送すると縮尺が無いでしょ、大きいものと勘違いして注文してくる方もいるんですよ。」
それだけ微細彫の形・表情も、普通サイズの像と変わらぬ精密さ・精緻さで彫られている証でもあります。
![]() 微細彫。中央が本来のサイズ「くるみ入り」。左は「ぎんなん入り」。 |
ついには、こちら。この黒い粒は、何だか分かりますか?そう、胡麻の中に収まるサイズまで、彫ってしまいました。
「昔は調子の好い日だと、1日1体は彫りましたが、今は駄目ですね。」
時計職人が使うようなルーペを右目にして、細かい作業をしていきます。道具は手作りの物もあります。彫る為の金属部分については、
「昔の傘の骨を使ったものもありますよ。今の傘の骨は無理ですがね。」
「昔は調子の好い日だと、1日1体は彫りましたが、今は駄目ですね。」
時計職人が使うようなルーペを右目にして、細かい作業をしていきます。道具は手作りの物もあります。彫る為の金属部分については、
「昔の傘の骨を使ったものもありますよ。今の傘の骨は無理ですがね。」
![]() ごまに「微細彫」。拡大鏡でアップにしてみても、小さすぎる…。 |
この日は宮城に住んでいる小学2年生のお孫さんも、遊びに来ていました。おじいちゃんの仕事にも興味津々。おじいちゃんの仕事については、細かすぎると言いながらも
「3日あれば1個は出来そう。でも難しそう…。」
と、さすがおじいちゃんの血を引くお孫さんらしい言葉も飛び出します。そう話すお孫さんに、将来の夢を聞いてみました。もしかして、微細彫…??
「自動車の修理をする人か、レーサーになりたい。」
おじいちゃんも初めて聞いたらしく、目を細めています。お父さんがモトクロスバイクをやっていた事があり、その影響があるのかも、という事でした。
「3日あれば1個は出来そう。でも難しそう…。」
と、さすがおじいちゃんの血を引くお孫さんらしい言葉も飛び出します。そう話すお孫さんに、将来の夢を聞いてみました。もしかして、微細彫…??
「自動車の修理をする人か、レーサーになりたい。」
おじいちゃんも初めて聞いたらしく、目を細めています。お父さんがモトクロスバイクをやっていた事があり、その影響があるのかも、という事でした。
![]() おじいちゃんの作業に、孫も興味津々。 |
取材中には、只見線が好きで柳津に立ち寄った東京の女性がやってきました。
「えっ、どうやるんですか?」
微細彫に、驚きと感動を隠せません。
「胡麻って、こういう事をするものじゃありませんよね?」
あはは、確かに。このあと2時の列車に乗るとの事で、足早な見学でしたが、
「ここへ来て、本当に良かったです…。」
としみじみ仰っていました。誰もが同じ気持ちになると思います。
「えっ、どうやるんですか?」
微細彫に、驚きと感動を隠せません。
「胡麻って、こういう事をするものじゃありませんよね?」
あはは、確かに。このあと2時の列車に乗るとの事で、足早な見学でしたが、
「ここへ来て、本当に良かったです…。」
としみじみ仰っていました。誰もが同じ気持ちになると思います。
![]() 女性もびっくり。でも「立ち寄って、見られて良かったです。」 |
2時と言えば、美味しいパンが焼き上がり、またサップや遊覧船の社長が戻ってくる時刻です。お暇しようとすると、金坂さんが
「うちの水を飲んでいってください。」
自宅の湧き水を玄関の外に引いています。そこには「のんでかんしょ(飲んでいってください)」と書いた板が置いてあります。
「うちの水を飲んでいってください。」
自宅の湧き水を玄関の外に引いています。そこには「のんでかんしょ(飲んでいってください)」と書いた板が置いてあります。
![]() 作業する金坂さん。集中力と根気と技術が要る作業だ。 |
「検査を受けないと、『飲んでかんしょ』と出す事は出来ないんですよ。」
保健所で検査を受けた水ですが、これほど菌の無い水も珍しいと、保健所の人も驚いていたとか。きっと仏様・神様に命を吹き込む仕事をしてきた金坂さんの善行が、この湧き水に繋がっているのだと、私は確信しました。甘みのある、円やかな、美味しい水でした。ご馳走様でした。
保健所で検査を受けた水ですが、これほど菌の無い水も珍しいと、保健所の人も驚いていたとか。きっと仏様・神様に命を吹き込む仕事をしてきた金坂さんの善行が、この湧き水に繋がっているのだと、私は確信しました。甘みのある、円やかな、美味しい水でした。ご馳走様でした。
![]() 保健所も「お墨付き」の湧き水が、玄関の外に。上には「のんでかんしょ」の文字が。 |
2時の列車で来た観光客が、工房の前を過ぎていきます。夜の花火目当ての方もいるのでしょう。工房は、JR只見線の会津柳津駅のすぐ近くにあります。木造の駅舎は風情がありますが、いまは無人駅です。
駅の傍には、戦前の昭和18年から48年まで、30年半もの間走ったC11が展示されています。覆いの隣に昔の鉄道信号が立っていますが、若いスタッフは昔の鉄道信号を知りませんでした(嗚呼、世代間ギャップ)。ネットで調べると「腕木式信号機」と呼ばれるものだそうで、腕木の反対側に青と赤のガラス板がついています。写真のように腕木が真横になっている時は「止まれ(赤)」、斜めに倒した時は「進め(青)」、夜は電球が点いて、ガラス板を通して信号の色が分かる仕組みです。
駅の傍には、戦前の昭和18年から48年まで、30年半もの間走ったC11が展示されています。覆いの隣に昔の鉄道信号が立っていますが、若いスタッフは昔の鉄道信号を知りませんでした(嗚呼、世代間ギャップ)。ネットで調べると「腕木式信号機」と呼ばれるものだそうで、腕木の反対側に青と赤のガラス板がついています。写真のように腕木が真横になっている時は「止まれ(赤)」、斜めに倒した時は「進め(青)」、夜は電球が点いて、ガラス板を通して信号の色が分かる仕組みです。
![]() 会津柳津駅前に展示されているC11と「腕木式信号機」。 |
2時過ぎに「パン工房 あかべこ」に着くと、店から出てきた人がいます。
「何を買ったんですか?」
と聞くと、
「耳までやっこい食パンです。」
「まだ、売っていますか?」
「ありますよ。」
との返事。早速お店の中にお邪魔すると、ちょうど店員が焼き印を入れているところでした。直接火で熱したこてとパンからは、小麦の焦げる良い香りがします。
「何を買ったんですか?」
と聞くと、
「耳までやっこい食パンです。」
「まだ、売っていますか?」
「ありますよ。」
との返事。早速お店の中にお邪魔すると、ちょうど店員が焼き印を入れているところでした。直接火で熱したこてとパンからは、小麦の焦げる良い香りがします。
![]() 焼き立てに、最後は店内で店の焼き印を入れる。 |
早速1斤(写真は1本=2斤分です)買って、店内で頂きます。パンを割ると、ふわっふわの白いパンがぐい~んと伸びて、耐えきれなくなったところで裂けていきます。持っただけでも柔らかさが分かります。口に入れても、柔らかい食感の中から小麦の美味さとほのかな甘みが口の中に広がり、幸せな気持ちになります。耳も中よりは若干歯応えがありますが、所謂食パンの耳よりもずっと柔らかい仕上がりです。私はどちらかと言えばご飯党なのですが、ここのパンは本当に美味しい!何もつけなくても十分美味しい!因みに店内の貼り紙には、「2日目は水分が抜け甘みが増し、3日目には焼くことで別の食感が楽しめる」との事。これなら家族のいる方は、1斤でなく1本で買っても、最後まで美味しく頂けそうです(でも3日もたずに、食べちゃうかも…)。取材中にも週に1度三島町から買いに来るという方にも、お会いしました。
既に2時半を回ってしまいました。急いで遊覧船乗り場に向かいます。すると…
既に2時半を回ってしまいました。急いで遊覧船乗り場に向かいます。すると…
![]() 耳までやっこい食パン。1本(2斤分)600円、1斤(頼むと半分に切ってくれる)なら320円。 |
何と、只見川でサップを楽しむ人たちがいるではないですか。これはラッキー。
受付の建物にいた若い男性スタッフに尋ねます。
「済みません、社長さんはいらっしゃいますか?」
「私が社長です。」
スタッフの方ではなく、社長さんご本人でした。私は社長というのでてっきり、私以上の、50代60代を想像していたのですが、若い社長さんですねぇ。
受付の建物にいた若い男性スタッフに尋ねます。
「済みません、社長さんはいらっしゃいますか?」
「私が社長です。」
スタッフの方ではなく、社長さんご本人でした。私は社長というのでてっきり、私以上の、50代60代を想像していたのですが、若い社長さんですねぇ。
![]() おお!サップをやっている人がいる。急げ急げ! |
「柳津観洸船(かんこうせん)」の社長、鈴木悠貴さんは、柳津生まれ柳津育ち、30代半ばとばりばりの働き盛りです。地元を観光で盛り上げたいと社長に就き、遊覧船を復活させました。そしてサップの指導・体験を始めたのは今年だそうで、ボードの上に立って漕げるようになるまでの指導付きで、2時間楽しめます。
「いま川の上にいるのは、私の子どもです。」
「いま川の上にいるのは、私の子どもです。」
![]() 「社長」は、三十代半ばの若い方だった…。 |
何とお子さんがサップを楽しんでいるとの事。さっきまで川岸にいたのに、もう遠くまで漕いでいっています。でも山と田んぼの緑に囲まれて、只見川の上を漕ぐって、ロケーションは最高ですね。
「戻ってきて~。」
お父さんの呼びかけに、2人のお子さんが器用に漕いで戻ってきます。
中学1年生と小学3年生の姉弟。2人ともダンスを習っているそうですが、特にお姉さんは小学校に入る前から始めたのだとか。
「戻ってきて~。」
お父さんの呼びかけに、2人のお子さんが器用に漕いで戻ってきます。
中学1年生と小学3年生の姉弟。2人ともダンスを習っているそうですが、特にお姉さんは小学校に入る前から始めたのだとか。
![]() 只見川の上、山と田の緑に囲まれた中楽しめる。 |
「周りを笑顔にする、楽しませるのが好き。」
というのがダンスを続けている理由だそう。ダンスで笑顔を増やすって、凄く素敵な事ですね。お姉さんにダンスを見せて、と無茶ぶりすると、お父さんの携帯からダンス音楽を流してもらい、船着き場で踊ってもらっちゃいました。
というのがダンスを続けている理由だそう。ダンスで笑顔を増やすって、凄く素敵な事ですね。お姉さんにダンスを見せて、と無茶ぶりすると、お父さんの携帯からダンス音楽を流してもらい、船着き場で踊ってもらっちゃいました。
![]() サップにはすっかり慣れた感じ。姉弟が戻ってきてくれた。 |
浮桟橋で足元の踏ん張りがききにくい中、キレッキレのダンスを踊ってもらいました。有難う御座います。
![]() 揺れる浮桟橋の上でのキレキレのダンス。ありがとう! |
弟さんもダンスを習っているのですが、ここで踊るのは恥ずかしいとの事で、今回は無し。ただ次はお姉さんと踊っているところを見てみたいな。サップも含め、夏休みの楽しい思い出を沢山作ってくださいね。(つづく)
![]() サップもダンスも上手な姉と、サップは上手、ダンスは今後のお楽しみの弟 |
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