2013.10.26
semi-final in 2013
全国高校サッカー選手権福島県大会の準決勝が、雨の中行われた。その結果。
尚志 5−0 郡山商業
震災があった年、教員の異動が夏にずれ込んだ。齊藤勝監督が母校郡山商業に赴任したのも、2011年の8月だった。その年の1年生が現在の3年生だ。チームのターゲットマンは、184_の島田旬選手。3年生でキャプテンを務める。島田選手の高さを生かしての得点・ポストプレーが大きな武器だ。
上から見ていて異変は明らかだった。島田選手の走り方がおかしい。右足の肉離れだった。しかしチームのターゲットマンは前線へボールが出る度に反応し、やはり3年生のFW渡辺尚暉選手が、島田選手が落としたボールからの展開、島田選手がいないサイドへの開き等、島田選手の負担を軽減するかのような連動を見せていた。
夏のインターハイ出場校尚志の分厚い攻撃に対して、守備陣も踏ん張りを見せる。ペナルティエリアの中ではフリーでシュートを打たせる場面を作らせず、遠目のシュートもコースを狭めてGKが守りやすくしていた。
シュート数に明らかな差は出たが、それでも0−0。郡山商業としては無失点のゲーム展開は恐らくプラン通りだっただろう。しかし前半35分頃か、ディフェンスラインの裏をこの試合初めて取られた。一瞬ボールウォッチャーになったように見えた。危ない時間帯だった。そして前半37分、郡山商業はゴールキックを奪われると、尚志の足裏を使ったパスから高慶汰選手にスルーパスを出され、田鹿富夢選手にゴールを決められる。前半終了まで残り3分、嫌な時間帯で先制を許した。
0−1で折り返した後半も、郡山商業は粘り強く尚志の攻撃を止めていた。長谷川英選手のロングボールがペナルティエリアの中の島田選手に繋がる場面もあったが、ゴール出来ない。暫くして、けがをおして前線で戦い続けた島田選手はベンチに退いた。郡山商業は後半13分、尚志の佐藤誉晃選手から逆サイドに上げられ、峰島和哉選手にヘディングシュートを決められ、2点差に広げられた。
こうなっては郡山商業は点を取りに行かざるを得ない。その薄くなった守りを突かれ、後半30分過ぎから尚志の蔵五雄介選手、慶野雄大選手、佐藤誉晃選手にゴールをゆるし、試合が終わった。
嘗て福島東を全国ベスト8に導いた事もある齊藤監督は、敗戦を辛口に語った。
「一発勝負の選手権は相手に精神的な圧迫感を与え、焦らせなければならなかったが、そこまで至らなかった。」
前半35分頃の裏を取られた場面に就いてはやはり「嫌な予感がしたので、そこも注意をした」そうだが、前半を無失点で逃げ切れなかった。
「選手達が、強い相手と戦って0−0で良いと思えるかどうか。点を取られていないから良い訳ですよね。押しているチームが決定的なシュートを外すと、ダメージが大きいのはシュートを外した方ですよね。そう思えるか、押されていると思うか。」
だが客観的に見ていると、あの尚志を相手にピンチを何十回と凌ぎ、またゴール近くで自由にさせない粘りを見せ続けた。辛口に語ったのも、後輩だからこその叱咤激励に思う。島田選手をはじめ苦しい戦いを、苦しさから逃げる事無く戦い続けた郡山商業イレブンの姿に、後輩は何かを感じ取ったのではないか。観客席の保護者の80分諦めない声援も、私の心を打った。
富岡 1−0 福島東
福島東は、今年の県内の18歳以下のリーグ戦、F1で優勝を果たした。その福島東は、夏準優勝・東北プリンスリーグ5位の富岡と対戦し、お互い攻守の切り替えが速い試合を展開する。しかし徐々に富岡の運動量の多さと技術の高さで大きく展開され、福島東にピンチが増える。だが福島東のセンターバック佐藤亮太朗選手と平野健流選手を中心に守りを堅め、富岡の前線の選手を自由にさせない。富岡のシュートは2度も福島東のゴールポストを叩いた。福島東のしつこい守りが富岡の選手を苛立たせ、シュートコースを数センチ狂わせたのかも知れないと思った。
前半0−0で折り返したのは、福島東の狙い通り。後半には中盤で福島東がボールを奪って展開しようとする機会が増え、流れを引き寄せるかに見えたが、ゴールに至らない。そんなやや膠着気味の後半21分、富岡の内山翔太選手からのスルーパスを通してしまい、佐藤大悟選手にドリブルからのシュートを許す。福島東のゴールネットがこの試合初めて揺れた。
その後福島東も攻勢をかけるが、同点ゴールを決める事は出来なかった。
福島東の鈴木清文監督は特に無失点で終わった前半を
「相手の起点をしっかり押さえてよく頑張った」
と選手を称えた。
後半の良い時間帯に就いては、
「ハーフタイムで切り替えが出来て、あの時だけがうちの時間帯だった。」
と、流れが来た時間帯で得点できなかったのを悔やんだ。
「ほんのちょっとのところだった。そこなんですよね。」
尚志対富岡の決勝は、今度の土曜日。同じ鏡石町の鳥見山陸上競技場で12時10分キックオフ。
尚志 5−0 郡山商業
震災があった年、教員の異動が夏にずれ込んだ。齊藤勝監督が母校郡山商業に赴任したのも、2011年の8月だった。その年の1年生が現在の3年生だ。チームのターゲットマンは、184_の島田旬選手。3年生でキャプテンを務める。島田選手の高さを生かしての得点・ポストプレーが大きな武器だ。
上から見ていて異変は明らかだった。島田選手の走り方がおかしい。右足の肉離れだった。しかしチームのターゲットマンは前線へボールが出る度に反応し、やはり3年生のFW渡辺尚暉選手が、島田選手が落としたボールからの展開、島田選手がいないサイドへの開き等、島田選手の負担を軽減するかのような連動を見せていた。
夏のインターハイ出場校尚志の分厚い攻撃に対して、守備陣も踏ん張りを見せる。ペナルティエリアの中ではフリーでシュートを打たせる場面を作らせず、遠目のシュートもコースを狭めてGKが守りやすくしていた。
シュート数に明らかな差は出たが、それでも0−0。郡山商業としては無失点のゲーム展開は恐らくプラン通りだっただろう。しかし前半35分頃か、ディフェンスラインの裏をこの試合初めて取られた。一瞬ボールウォッチャーになったように見えた。危ない時間帯だった。そして前半37分、郡山商業はゴールキックを奪われると、尚志の足裏を使ったパスから高慶汰選手にスルーパスを出され、田鹿富夢選手にゴールを決められる。前半終了まで残り3分、嫌な時間帯で先制を許した。
0−1で折り返した後半も、郡山商業は粘り強く尚志の攻撃を止めていた。長谷川英選手のロングボールがペナルティエリアの中の島田選手に繋がる場面もあったが、ゴール出来ない。暫くして、けがをおして前線で戦い続けた島田選手はベンチに退いた。郡山商業は後半13分、尚志の佐藤誉晃選手から逆サイドに上げられ、峰島和哉選手にヘディングシュートを決められ、2点差に広げられた。
こうなっては郡山商業は点を取りに行かざるを得ない。その薄くなった守りを突かれ、後半30分過ぎから尚志の蔵五雄介選手、慶野雄大選手、佐藤誉晃選手にゴールをゆるし、試合が終わった。
嘗て福島東を全国ベスト8に導いた事もある齊藤監督は、敗戦を辛口に語った。
「一発勝負の選手権は相手に精神的な圧迫感を与え、焦らせなければならなかったが、そこまで至らなかった。」
前半35分頃の裏を取られた場面に就いてはやはり「嫌な予感がしたので、そこも注意をした」そうだが、前半を無失点で逃げ切れなかった。
「選手達が、強い相手と戦って0−0で良いと思えるかどうか。点を取られていないから良い訳ですよね。押しているチームが決定的なシュートを外すと、ダメージが大きいのはシュートを外した方ですよね。そう思えるか、押されていると思うか。」
だが客観的に見ていると、あの尚志を相手にピンチを何十回と凌ぎ、またゴール近くで自由にさせない粘りを見せ続けた。辛口に語ったのも、後輩だからこその叱咤激励に思う。島田選手をはじめ苦しい戦いを、苦しさから逃げる事無く戦い続けた郡山商業イレブンの姿に、後輩は何かを感じ取ったのではないか。観客席の保護者の80分諦めない声援も、私の心を打った。
富岡 1−0 福島東
福島東は、今年の県内の18歳以下のリーグ戦、F1で優勝を果たした。その福島東は、夏準優勝・東北プリンスリーグ5位の富岡と対戦し、お互い攻守の切り替えが速い試合を展開する。しかし徐々に富岡の運動量の多さと技術の高さで大きく展開され、福島東にピンチが増える。だが福島東のセンターバック佐藤亮太朗選手と平野健流選手を中心に守りを堅め、富岡の前線の選手を自由にさせない。富岡のシュートは2度も福島東のゴールポストを叩いた。福島東のしつこい守りが富岡の選手を苛立たせ、シュートコースを数センチ狂わせたのかも知れないと思った。
前半0−0で折り返したのは、福島東の狙い通り。後半には中盤で福島東がボールを奪って展開しようとする機会が増え、流れを引き寄せるかに見えたが、ゴールに至らない。そんなやや膠着気味の後半21分、富岡の内山翔太選手からのスルーパスを通してしまい、佐藤大悟選手にドリブルからのシュートを許す。福島東のゴールネットがこの試合初めて揺れた。
その後福島東も攻勢をかけるが、同点ゴールを決める事は出来なかった。
福島東の鈴木清文監督は特に無失点で終わった前半を
「相手の起点をしっかり押さえてよく頑張った」
と選手を称えた。
後半の良い時間帯に就いては、
「ハーフタイムで切り替えが出来て、あの時だけがうちの時間帯だった。」
と、流れが来た時間帯で得点できなかったのを悔やんだ。
「ほんのちょっとのところだった。そこなんですよね。」
尚志対富岡の決勝は、今度の土曜日。同じ鏡石町の鳥見山陸上競技場で12時10分キックオフ。
全文を読む