印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵

会期:2024年4月20日(土)~6月23(日) 会場:郡山市立美術館

印象派 モネからアメリカへ ウスター美術館所蔵作品の見どころ

郡山市美の富岡学芸員と鈴木学芸員が
「やさしく、わかりやすく」作品を解説してくれました。

似顔絵は、中テレ・井上千沙アナウンサーが手がけ、二人を応援します。

井上千沙アナウンサー

チー坊こと井上千沙です!実は、3歳から水彩画や油彩画を習っていて、いまでも絵を描くのが大好きです。

昨年は福島の海をテーマにしたポスターコンクールで約4600点の中から賞をいただきました!似顔絵は、学生の頃、友達に描いてあげると好評で、それがとてもうれしくて続けています。

今回、学芸員のお二人の似顔絵を描かせていただけて光栄です。印象派の魅力が福島の皆さんにたっぷりと伝わりますように~(^^)

富岡学芸員経歴紹介

郡山市立美術館、主任学芸員の富岡です。子どものころから、美術作品を見るのが大好き。美術鑑賞以外の趣味は、ギターと将棋(四段)です。今回、ウスター美術館からお借りした印象派の素晴らしい作品を紹介できるのを、とてもうれしく感じています!

鈴木学芸員経歴紹介

郡山市立美術館学芸員の鈴木です。美術の世界をたくさんの人に楽しんでもらえるように、また美術館が居心地のいい場所になるように、日々トライ&エラーしています。 趣味は美術館めぐりと猫の動画を見ること、そして家族とゴジてれの「きぼう」を見ることです!

今回は、知られざるアメリカ印象派の魅力をご紹介します。展覧会の予習はこれでばっちり。

印象派って何ですか?

印象派について知るには、印象の反対を考えてみるといいかもしれませんね。それは、対象の色や形を、ディテールにこだわって、忠実に、写実的にとらえることです。その反対、つまり、対象そのものよりも、光や空気につつまれた対象が自分の目にもたらす印象を重視したのが、印象派なのです。これがいかに革新的なことか、想像してみてください。まさに、コペルニクス的転回です!

アメリカ印象派とは?

印象派ってフランスで生まれたんじゃないの?と疑問に思われた方も多いと思います。そう、フランスで生まれたこの革命的な技法は、のちにアメリカにも渡って、各地で独自の進化を遂げたんですよ。

アメリカはとても広いですから、一口にアメリカ印象派と言っても、片やニューイングランドの穏やかな田園風景を描いた作品、片や西部の雄大な自然を描いた作品、というふうに、描く対象が変われば表現も変わります。ぜひ各地の風景から受ける「印象」の違いに注目してみてください!

クロード・モネ

モネといえば睡蓮、睡蓮といえばモネですね。モネが睡蓮を描き始めるのは1897年、57歳のころです。モネは自宅に、柳や竹、シャクヤクなどを植えた日本風庭園をつくりました。

そのなかには睡蓮の池があり、彼は亡くなるまで、きらめく水面に魅了されました。この作品は世界ではじめて美術館が購入した「睡蓮」で、歴史的名画です、

クロード・モネ《睡蓮》1908年 油彩、カンヴァス ウスター美術館 Museum Purchase, 1910.26

フレデリック・チャイルド・ハッサム

この絵に惹かれて、展覧会に興味をもった方も多いのではないでしょうか。草花の鮮やかな色彩や木漏れ日の揺らめきが、大胆な筆づかいで見事に表されていますね。描かれているのは、作者のハッサムがフランス留学中に滞在した、パリ周辺の友人宅の庭園です。

ハッサムはパリで印象派の技法を学んだのち、アメリカに戻って仲間たちにその表現を広めます。やがて彼はアメリカ印象派の代表的な人物になり、「アメリカのモネ」とも呼ばれるようになりました。

チャイルド・ハッサム《花摘み、フランス式庭園にて》1888年 油彩、カンヴァス ウスター美術館 Theodore T. and Mary G. Ellis Collection, 1940.87

メアリー・カサット

アメリカ生まれのカサットは、印象派を自国にいち早く紹介した女性画家です。カサットは、愛情あふれる母子像を得意としました。この作品は彼女特有の柔らかく温かい色調で母と子のきずなをあらわしています。子どもの無垢な表情と、なんといっても、ぷりんと丸出しのおしりが、もう、なんともキュートではありませんか!?

メアリー・カサット《裸の赤ん坊を抱くレーヌ・ルフェーヴル(母と子)》1902-03年 油彩、カンヴァス ウスター美術館 Museum Purchase, 1909.15

デウィット・パーシャル

こちらはアメリカの画家・パーシャルが、鉄道会社から依頼を受けてグランド・キャニオンを描いた作品です。この観光地に鉄道を使って行く人が増えるように、宣伝になる絵を求められたんですね。

彼は初めてこの壮大な風景を目の当たりにした時、「この世のものとは思われない輝きに包まれて、半狂乱で縁のあたりを何時間もさまよい歩いた」そうです。当時の感動が伝わってくるような素早い筆の動きと、淡いピンクや黄色で表された太陽光の煌めきがなんとも魅力的な作品です。

デウィット・パーシャル《ハーミット・クリーク・キャニオン》1910-16年 油彩、カンヴァス ウスター美術館 Museum Purchase, 1916.57