みなさん「化粧水の日」という記念日があるのを知っていますか？
平安時代、９月９日の「重陽の節句」に菊に綿を被せて朝露をしみこませ、その綿で顔や体をぬぐい健康や長寿を願う「着せ綿（きせわた）」という風習がありました。これが現代の「化粧水」に通じるとの思いから「化粧水」の良さや使い方を多くの人に伝えることを目的として、日本最大手の化粧品メーカー・資生堂ジャパン株式会社が制定。2020年に日本記念日協会が認定・登録したのが「化粧水の日」です。

太古の時代から美しい肌を保つことは人々の願いですが、現代ではそのためのさまざまな研究が行われ、世の中には多くのスキンケア方法や商品が存在しています。ただ、その膨大な情報の中から自分にはどれがベストなのか判断するのは、難しいと感じるのではないでしょうか？

今回の記事では「美容を通して子育て中のママたちを癒したい」という思いから、主婦の目線でヘチマを使った天然化粧品を開発し、福島県郡山市でエステサロンを主宰する横尾恵美さん（39歳）にスキンケア商品の使い方や選び方について話しを聞きました。

■そもそもなぜスキンケアは必要なの？
「肌は素晴らしい構造を持っています」と横尾さんは話します。 外部からの細菌や紫外線の進入を防ぎ、傷ついても自ら再生する機能が備わっているだけでなく、体温を調整する機能や熱さや痛みを感じる知覚機能など様々。その皮膚（肌）は、成人体重の約16％を占め“人体最大の臓器”とも言われています。

そうした様々な機能を持つ皮膚（肌）の一番外側にあるのが「皮脂膜」です。皮脂（脂質）と汗（水分）などが混ざり合った膜のことで、肌のうるおいを保ち乾燥や外的な刺激から守ってくれています。外的な刺激とはチリやホコリ、紫外線などのことで、肌を傷つける原因となりシミやくすみのもとになることもあるといいます。それらから肌全体を保護してくれるのが「皮脂膜」です。

この「皮脂膜」の状態を健康に保つことがとても重要で、化粧水や乳液は「皮脂膜」が洗顔などで流れてしまったときや本来のバランスが崩れてしまったときに保湿を補う役割があります。 スキンケアは皮膚（肌）が元々持っている様々な機能が最大限に発揮される健やかな状態を保ち、調子を補うために大切なのです。

■スキンケア用品の選び方と効果的な使い方の３つのポイント
では、自分の肌のために必要なスキンケア用品をどのように選び、どのように使うことが効果的なのでしょうか？ よく耳にするのが「肌タイプに合わせる」という言葉ですが、乾燥している日もあれば、ベタつきが気になる日もあるという人もいるかもしれません。

化粧品開発を手掛けエステサロンを主宰する横尾さんは「自分にあっているかどうかの判断基準は“使ってみて気持ちが良いかどうか”です」と話します。 使用したときの感覚は肌からのサインで「合っているかどうかは肌が教えてくれる」と言います。肌に合っているものは自分でも心地良く感じます。 また、夜のスキンケアから一晩経って朝起きたときなど、少し時間が経ったあとに「肌の調子が良いな」と感じるものが自分に合っているものと話します。 使用するとチクチクと刺激を感じたり不快に感じたりするときは「それは合わないよ」と肌が教えてくれている状態です。１つ目のポイントは、 気持ちよく、楽しく、ストレスなく使い続けられるものや使い方を選ぶことと横尾さんは話します。

２つ目のポイントは、肌の状態はその時々で変化するということです。肌の状態は、季節や健康状態、ホルモンバランス、年齢などで変わります。 そのときの肌の状態によって、スキンケア用品や使い方を変えてみることも必要です。肌の水分と脂質のバランスが保たれている状態が「気持ちが良い」と感じるときと横尾さんは話します。 そのバランスの良い状態を作れるよう「突っ張っているな」とか「脂っぽいな」と感じたときは水分が足りていない場合があるので、化粧水で保湿するなどのケアを行うこともポイントとなります。

横尾さんは「手で触れてみるとわかります」と話します。 手で触ってみて、肌の調子が良いと感じるときは、その化粧水や使い方が合っているということだそう。また、温かさがある手で保湿しながらスキンケアを行うことは、血行促進にもつながり、肌状態を良くする効果も期待できるそうです。

３つ目のポイントは、こすることで肌に負担をかけないようにすることです。 肌は繊細で傷がついたり炎症をおこしたりしてしまうと、再生や回復のために本来の機能が上手く働かない原因にもなります。肌をこする機会を増やしてしまうメイクや洗顔も肌への負担となるので、やさしく、やりすぎないスキンケアを行うことが肌の状態を守ります。 肌が気持ちよく感じることが丁度いいサイン。 そうした肌のサインを基準に、気持ちの良い状態が保てるように肌への負担を少なくすることが秘訣となります。

■ストレスは肌の健康には悪影響
年齢を重ねるごとに、身体はもちろん肌も老化していくのは自然の摂理です。 老化を止めることや年齢を戻すことは残念ながらできません。「年齢とともにあらわれる体の変化を受け入れて、うまく付き合っていくことが大切」と横尾さんは話します。肌のしわやくすみ、シミで悩む人も多いでしょう。 しかし、肌の老化を気にしすぎてストレスとなってしまうことが、逆に肌の健康にも悪影響を及ぼす一因となってしまいます。「そのときの自分の肌の状態を理解し受け入れることでストレスを軽減する。 そして、気持ち良く、楽しく続けられるスキンケアをすることが、肌を健やかな状態へとつなげます。」と横尾さんは言います。また、肌の健康は、スキンケアはもちろん、食生活や睡眠時間、生活習慣など体全体の健康状態が影響します。肌が健やかな状態でいられるよう、基本的な生活も規則正しいものを心がけることが大切となります。

■これからも美しい肌でいるために
今回の取材で印象に残ったのは「スキンケアの時間が、日々の疲れを癒す、楽しいものになってほしい」という横尾さんの言葉です。 「やらなきゃいけない」とストレスに感じるのではなく、多忙な一日の中でも、ほっと一息心休まる「気持ちの良いひととき」として幸せを感じられる時間となることが、肌にはもちろん、体と心の健康につながると感じました。

「温かい手で肌を包み込むスキンケアの時間を楽しいものにすることが一番の美容法」と横尾さんは話します。 取材した私も、スキンケアをきちんとできていないと肌がぼろぼろになってしまうのではないかと不安に感じ、スキンケアは「絶対にやらないといけないタスク」の一つと思っていました。しかし、横尾さんの言葉を受け、今回の取材の後、早速、お風呂上りに子どもと一緒にスキンケアをしてみました。子どもと向き合いながら、お互いの手で保湿しあう時間は、自然と笑顔があふれ、心から気持ちが良いと感じられる最高のひとときとなりました。 翌朝の私は、肌も気持ちも元気！スキンケアはもちろん、「ポジティブマインド」も肌の健康には必要なのだと実感しました。これから年を重ねても美しくいられるよう、楽しみながら自分の肌を大切にしていきたいと思います。

（取材）ケイリーパートナーズ
（構成）Chu!PRESS編集部