Chu! PRESS
福島市の映画館「フォーラム福島」で11月、日本の映画館では初公開となる作品が上映され注目を集めました。タイトルは『After Me Too』。週末の上映日は客席がほぼ満員になるほどの盛況ぶりでした。
この作品は、セクシャルハラスメントや性的な暴行を受けた人たちが、SNSを通じて被害や犯罪事実を告発する動きを追った韓国発のドキュメンタリー映画です。「MeToo」というハッシュタグは「私も被害者です」という意味で、日本でも女性ジャーナリストが先輩ジャーナリストや取材相手から受けた性暴力の告発をひとつのきっかけとして、映画業界や写真業界での告発が相次ぎ世間の注目を集めています。
作品の中で描かれているのは、韓国の女子高でまん延していた教師による生徒への性加害やマッチングアプリを通じた性的コミュニケーションの現状など4つの題材です。2021年8月にソウル国際女性映画祭で上映され、韓国国内では話題となっていますが、日本初の劇場公開がなぜ福島県での上映だったのでしょうか?
この作品は、セクシャルハラスメントや性的な暴行を受けた人たちが、SNSを通じて被害や犯罪事実を告発する動きを追った韓国発のドキュメンタリー映画です。「MeToo」というハッシュタグは「私も被害者です」という意味で、日本でも女性ジャーナリストが先輩ジャーナリストや取材相手から受けた性暴力の告発をひとつのきっかけとして、映画業界や写真業界での告発が相次ぎ世間の注目を集めています。
作品の中で描かれているのは、韓国の女子高でまん延していた教師による生徒への性加害やマッチングアプリを通じた性的コミュニケーションの現状など4つの題材です。2021年8月にソウル国際女性映画祭で上映され、韓国国内では話題となっていますが、日本初の劇場公開がなぜ福島県での上映だったのでしょうか?
■なぜ、福島で劇場初公開となった?
きっかけは福島市に住む元朝日新聞記者の牧内麻衣さんのある思いからでした。
上映後のトークイベントで「私も性被害を経験した一人です」と告白した牧内さん。記者時代に取材相手の警察官や高校球児らから2度の性被害を受けましたが、上司や会社側の判断で事件が公になることはありませんでした。
―― 私は沈黙を破れなかった。被害を公にしてしまったら、自分の存在を支えていられないと感じていた。(中略)自分に起こった事件に蓋をしたまま、誰かの心中に踏み込んで記事を書くことが、次第に苦しみとなっていった。自分の抱える矛盾に耐え切れず、私は病んでいった。
(牧内麻衣著:「映画『After Me Too』との出会い」より引用)
きっかけは福島市に住む元朝日新聞記者の牧内麻衣さんのある思いからでした。
上映後のトークイベントで「私も性被害を経験した一人です」と告白した牧内さん。記者時代に取材相手の警察官や高校球児らから2度の性被害を受けましたが、上司や会社側の判断で事件が公になることはありませんでした。
―― 私は沈黙を破れなかった。被害を公にしてしまったら、自分の存在を支えていられないと感じていた。(中略)自分に起こった事件に蓋をしたまま、誰かの心中に踏み込んで記事を書くことが、次第に苦しみとなっていった。自分の抱える矛盾に耐え切れず、私は病んでいった。
(牧内麻衣著:「映画『After Me Too』との出会い」より引用)
(画像:作品紹介のパンフレットとチラシ) |
被害にあったことの苦しみだけでなく、会社から見放され、自らの経験を社会に向けて声をあげられなかったことで自分を責め続けたという牧内さん。いまも通院やカウンセリングが欠かせない状況にある中、今年1月にお茶の水女子大学ジェンダー研究所が開いたシンポジウムでこの作品に出会ったといいます。
―― 静かに始まった映画に、たちまち引き込まれた。長年心に引っかかっていたことがほどけていくような感覚を覚えた。作中ではまさに「まだ聞こえていない声」が掬い上げられていたからだ。そしてそのことは、私が長年、欲していたことだった。
(牧内麻衣著:「映画『After Me Too』との出会い」より引用)
牧内さんは、シンポジウムの主催者や韓国の映画会社、福島市の映画館に自らの経験とともに「この映画を日本でも上映したい」との思いを伝え、福島市での上映が実現することになったといいます。
満員となった観客に向けて牧内さんは、次のような思いを語りました。
「性被害は誰にでも起こりうることだと思います。けれど、多くの人は自分事ではなく傍観者になってしまう。日本でも様々な性被害事件が起きているが、自分とは関係ないこととスルーされてしまう。けれど、そうした事件が公になる背景には“被害者の勇気”があることを知ってほしい。そして、そうした声を上げた人を勇気を持って応援して欲しい。」
―― 静かに始まった映画に、たちまち引き込まれた。長年心に引っかかっていたことがほどけていくような感覚を覚えた。作中ではまさに「まだ聞こえていない声」が掬い上げられていたからだ。そしてそのことは、私が長年、欲していたことだった。
(牧内麻衣著:「映画『After Me Too』との出会い」より引用)
牧内さんは、シンポジウムの主催者や韓国の映画会社、福島市の映画館に自らの経験とともに「この映画を日本でも上映したい」との思いを伝え、福島市での上映が実現することになったといいます。
満員となった観客に向けて牧内さんは、次のような思いを語りました。
「性被害は誰にでも起こりうることだと思います。けれど、多くの人は自分事ではなく傍観者になってしまう。日本でも様々な性被害事件が起きているが、自分とは関係ないこととスルーされてしまう。けれど、そうした事件が公になる背景には“被害者の勇気”があることを知ってほしい。そして、そうした声を上げた人を勇気を持って応援して欲しい。」
(画像=上映後のトークイベント/左側:お茶の水女子大学大学院・申 琪榮教授/右側:上映を企画した牧内麻衣さん) |
■被害者の声を無視できない社会
映画を観た人からは「全国での上映にもつなげて欲しい」という声が上がる一方で、「日本ではジェンダーバランスの悪い職場が多く、バッシングを恐れて声を上げない人が多いと感じる」といった感想が上がりました。
そうした声に対して、日本での上映に向けて、映画『After Me Too』の翻訳に関わったお茶の水女子大学大学院の申 琪榮(しん きよん)教授は、「被害者の声を無視できない社会になりつつある」と話します。
映画を観た人からは「全国での上映にもつなげて欲しい」という声が上がる一方で、「日本ではジェンダーバランスの悪い職場が多く、バッシングを恐れて声を上げない人が多いと感じる」といった感想が上がりました。
そうした声に対して、日本での上映に向けて、映画『After Me Too』の翻訳に関わったお茶の水女子大学大学院の申 琪榮(しん きよん)教授は、「被害者の声を無視できない社会になりつつある」と話します。
韓国では2018年にある女性検事が自らの顔と名前を出し、生放送のニュース番組で上司から受けた性被害を告発したことでMeToo運動がおおきなうねりとなったといいます。しかし、なぜ被害者がそこまでしなければいけないのか。申教授はその事情について「加害者が大きな権力を持っているからです。中途半端な告発では、お金やネットワークで事実をもみ消すほどの影響力を持っている。だから被害者は、編集されない形で生放送のニュースで告発するしか方法がなかった」と説明します。
韓国ではその放送が契機となり、「私も同じことをされた」と次々と性暴力の実態があぶり出され、有名な政治家や権力者が次々に裁判にかけられ実刑判決を受けることとなりました。「社会は前に進んでいます。日本でもじわりじわりと変わっていっているのを感じています」と申教授は話します。
劇場がほぼ満員となったこの日の上映。訪れていたのはSNSでハッシュタグを使いこなす若者たちよりも上の世代、社会的な地位や発言力を持つ40代から60代でした。性被害を受けた人たちが「#MeToo」へ託す思いは、もはやネットの世界で拡散されるだけではなく、幅広い世代にも広がろうとしています。
上映を企画した元新聞記者の牧内麻衣さんは、トークイベントの最後のこう締めくくりました。
「自分は性被害を受けたのにMeTooができないことで自分を責めました。声を出している人がいるのにできなかった。生きる意味を見失っていたけれど、映画館の座席を埋め尽くす人たちの前で、今こうして自分の経験や思いを話すことができました。この光景を見て、社会が変わることを実感しています。」
映画『After Me Too』は、この福島市での上映をきっかけに全国にも広がっていくことが期待されています。
Chu!PRESS編集部
韓国ではその放送が契機となり、「私も同じことをされた」と次々と性暴力の実態があぶり出され、有名な政治家や権力者が次々に裁判にかけられ実刑判決を受けることとなりました。「社会は前に進んでいます。日本でもじわりじわりと変わっていっているのを感じています」と申教授は話します。
劇場がほぼ満員となったこの日の上映。訪れていたのはSNSでハッシュタグを使いこなす若者たちよりも上の世代、社会的な地位や発言力を持つ40代から60代でした。性被害を受けた人たちが「#MeToo」へ託す思いは、もはやネットの世界で拡散されるだけではなく、幅広い世代にも広がろうとしています。
上映を企画した元新聞記者の牧内麻衣さんは、トークイベントの最後のこう締めくくりました。
「自分は性被害を受けたのにMeTooができないことで自分を責めました。声を出している人がいるのにできなかった。生きる意味を見失っていたけれど、映画館の座席を埋め尽くす人たちの前で、今こうして自分の経験や思いを話すことができました。この光景を見て、社会が変わることを実感しています。」
映画『After Me Too』は、この福島市での上映をきっかけに全国にも広がっていくことが期待されています。
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