選挙報道は投票日の前に！候補者の主張①「震災復興」・福島知事選

Chu! PRESS

#福島県知事選 (1件)

2022.10.24

「投票したいが政策がよくわからない！」「何だか選挙に興味がわかない！」福島中央テレビはそんな思いに応えます。「選挙報道は投票日の前に！」と題し、福島の舵取りを担う福島県知事選挙を深掘りします。３０日の投開票に向けて、現職と新人２人が立候補して選挙戦が繰り広げられていますが、過去３度の投票率はいずれも５０％を下回っています。県民の思いや候補者への独自アンケートを基に考えるシリーズ・１回目は「東日本大震災からの復興と風化」です。

■被災地直面…７割が「風化している」と回答

東日本大震災・東京電力福島第一原発事故の発生から１１年７か月が経過しました。民間企業が昨年３月に行った調査では、県民の約１００人のうち（15歳～25歳までの男女）約７割が、「震災の経験や教訓が風化している」と回答しています。特に震災を知らない世代に記憶と教訓をどうつなぐのか―被災地の課題として現れてきています。
福島県内の震災遺構として登録された浪江町の請戸小学校では、来館者が率直な思いを綴るノートがあります。その内容にも変化が生じていました。
「ごめんなさい、忘れかけていました」
「その時の記憶は全然ありません」

施設を管理する蒲原文崇さんは「復興している部分だけじゃなくて、これからやっていかなければいけない部分もあることを何かの機会を持ちながら見てもらいたい」と話しています。津波と原子力災害の被害を伝える施設の役割も年々重要性を増し、私たちも福島の現在地や課題を知ることが大切です。

■原発処理水の海洋放出…知事選の争点に

そして、福島復興を巡る大きな争点の一つは「原発処理水の海洋放出」です。福島第一原発の敷地内には１０００基以上の膨大なタンクが林立しています。炉心溶融（メルトダウン）を起こした燃料を冷やす際に出た汚染水を処理したもので、来春をめどに規制値の４０分の１以下に薄めて海に放出する方針が決まりました。
しかし、そもそも政府は海を仕事場とする「全漁連・県漁連の理解なしにはいかなる処分も行わない」と約束していただけに、漁業者からは結論ありきの進め方に不信感が募っています。国は海洋放出に伴う風評対策として以下の３つを柱にしています。

▼農林水産業者や地元自治体なども加わって放出前後の放射性物質濃度などを監視
▼IAEA＝国際原子力機関の監視のもと透明性の高い情報発信
▼漁業関係者への支援や観光客の誘致、地元産品の販売促進などの実施

この問題に県としてどう向き合うのか？今回の知事選でみなさんと一緒に考えたい課題です。ここからは中テレの独自アンケートを基に福島復興に関する候補者の主張を一気読みしましょう。

■福島復興　候補者への独自アンケート

【アンケート①】東日本大震災と福島第一原発事故による県の復興に対する取り組みについて、０点～１００点満点で評価してください。また、その理由も教えてください。

内堀雅雄氏（無・現）…点数記述なし
（理由）避難指示の解除や新たな拠点施設の整備進展、県産農産物の輸出拡大、移住世帯数の増加、只見線の全線運行再開等、確かな成果が現れている一方で、復興・創生はもとより、相次ぐ自然災害や新型コロナウイルス感染症、原油価格・物価高騰等、様々な困難を抱えており、点数での評価は難しい。

草野芳明氏（無・新）…０点
（理由）本来、被災県民の生活と生業が再建されてこその復興だが、本県復興は、県外・大企業などの呼び込み型、大型事業中心であり、「県民の復興」が中心に据えられていない。また、国の汚染水・ＡＬＰＳ処理水の海洋放出や原発再稼働など、県民多数が反対する中、国に対峙する姿勢が見られない。

【アンケート②】政府の福島第一原発の処理水を海洋放出する方針について、漁業関係者や消費者からの理解は
十分に得られたと考えますか？

内堀雅雄氏（無・現）
今なお、海洋放出に反対する意見や、新たな風評の発生を懸念する声、陸上保管による復興への影響を危惧する意見など、様々な意見が示されている。ＡＬＰＳ処理水対策は、長期間にわたる取組が必要であり、県民や国民の理解が極めて重要と考えている。

草野芳明氏（無・新）
９月の一部報道の世論調査で「理解は広がっていない」と答えた割合が５２％との結果である。また全漁連・県漁連とも「反対はいささかも変わらない」と述べ、県内７割の市町村議会は反対や慎重な対応を求める意見書を可決している。これらの客観的状況から理解は得られていないと判断できる。

【アンケート③】福島第一原発の処理水の海洋放出に伴い懸念される風評被害対策について、
あなたはどのように取り組んでいく考えですか。

内堀雅雄氏（無・現）
処理水の問題は、福島県だけでなく、日本全体の問題であることから、引き続き、「行動計画」に基づき、政府一丸となって、迅速かつ柔軟な事業執行に全力で取り組み、新たな風評への懸念が生じることのないよう、責任を持って取り組むよう求めていく。

草野芳明氏（無・新）
海洋放出しないことが一番の風評対策であると考える。

「選挙報道は投票日の前に！」次回は移住促進・新産業についてチェックします。

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