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#ミネアポリス美術館日本絵画の名品展 (5件)

2021.08.21

モノクロが映し出す鮮やかな世界観!水墨画を深堀 /「ミネアポリス美術館日本絵画の名品展」

モノクロが映し出す鮮やかな世界観!水墨画を深堀 /「ミネアポリス美術館日本絵画の名品展」
2021年9月5日まで福島県立美術館で開催され、日本美術のコアなファンも、思わず唸ってしまうほどの名品が勢揃いした「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品展」。
日本美術超初心者の筆者が実際に会場へ足を運んで感じた各展示の魅力と、それぞれの作品の裏側にあるアイデアの原点まで、じっくり深掘りして連載でお伝えしていきます。


※美術展は終了しました。2021年8月21日に掲載した記事です。

こんにちは。Chu!PRESS編集部のかなごんです。
連載2回目となる今回は、美術展に足を踏み入れて一番初めに目に飛び込んでくる展示「第1章水墨画」の魅力と面白さを、超初心者目線でお伝えします。



 

●水墨画ってなに?


皆さんは水墨画と聞いて、何を思い浮かべますか。

私が直感的に思い浮かべたのは、有名なお寺で出会う掛け軸や襖絵たち。
そして何故か、決まって山が描かれていることが多いなあという印象があります。

調べてみると、その印象はあながち間違いではないことがわかりました。
日本では、山や河などの自然を題材とした「山水画」というテーマが水墨画でよく描かれたそうです。

そもそも水墨画とは、墨が織りなす濃淡やにじみ、かすれやぼかしを駆使して描いたもののことを指します。
塗り直しや描き直しができないため、すべて一発勝負で描かれているそうです。

そんなことを考えながら作品を鑑賞していたら、モノクロだからこそ際立つ、細部に宿る匠の技に、そして筆を最後まで動かし続ける集中力と勇気そのものに圧倒されてしまいました。

 

●福島にも住んでいた?!個性派の画家・雪村の魅力が溢れ出る「花鳥図屏風」


今回の美術展プロデューサーに、第1章でおすすめの作品を伺ったところ、教えてもらった作品がこちら。
室町時代(今から約500年前)に雪村周継が描いた「花鳥図屏風」です。


雪村周継/花鳥図屛風 Gift of funds from Mr. and Mrs. Richard P. Gale

ぎょろりと目をむき水面を揺らすユーモラスな鯉、そして楽しげな会話が今にも聞こえてきそうな鳥たちと、優しく弛む柳の木、ほのかな香りまでもを想起させる白梅のコントラストが、なんとも絶妙で素敵な作品だなと感じます。


雪村周継/花鳥図屛風(部分) Gift of funds from Mr. and Mrs. Richard P. Gale

(どんなお話をしているんだろう…)

「日本絵画は好きなんてもんじゃない!」と断言していた男性は、閉館2時間前にこの作品の前に立ち、「こんなに素晴らしい作品が来ると知っていたら、もっと早めの時間に来館したのに…」と悔しがっていました。

作者の画僧・雪村は、奇想の画家とも言われており、学芸員さんも「エキセントリックな画家だ」と話します。

確かに、特にこの鯉の表情と動き、とても独創的ですよね。
水墨画として描かれているからこそ、より一層ユーモアが際立っているような気もします。


雪村周継/花鳥図屛風(部分) Gift of funds from Mr. and Mrs. Richard P. Gale

(でも正直、池で鯉に餌をあげる時、彼らってまさにこういう表情をしていますよね。私はこの絵を見て思わず、「わかる…」とつぶやいてしまいました。約500年前も鯉は今と同じようにこんな表情をしていたんだなぁ…。せっかくなので私が撮影した向かってくる鯉の写真も掲載します。)




そんな雪村。実は晩年を福島県で過ごしたとも言われていて、現在も郡山市には「雪村庵」があります。福島県立美術館を訪れた後に、少し足をのばしてみるのもよいかもしれませんね。

 

●圧倒的な迫力!山田道安「龍虎図屏風」


第1章の展示の中で、多くの人が見入っていた作品がこちら。山田道安の「龍虎図屏風」です。
 


雲の中から姿を表し、虚空を睨む龍と、風の強い竹林で大地を踏みしめる力強い虎。この屏風の前に立つだけで、風が吹いてきそうな作品です。

とにかく勢いのある筆づかいもあってか、溢れ出る力強さみたいなものを感じます。調べてみると、作者の山田道安は武人画家として活躍した人だそうです。妙に納得感がありますね。

そして、実はこの龍と虎を対に描く「龍虎図」は、戦国時代の武将にとてもよく好まれたテーマで、多くの画家が作品を残しています。色々な画家の「龍虎図」を比べてみるのも面白いかもしれません。
(前述した雪村も、龍虎図を描いています。東京の根津美術館で鑑賞できますよ。)

では何故、多くの画家が龍と虎をセットで描いたのでしょうか。

元々は、中国の儒教の経典の一つ『易経』の句「雲従龍、風従虎」、禅宗の書物『碧巌録』の「龍吟ずれば霧起り、虎嘯けば風生ず」に由来しています。
つまり、龍は雲(霧)を、虎は風を呼ぶとして、自然の象徴とされていたらしいのです。

(個人的には、実在しない龍と、実在する虎を対峙させる発想も、面白いなあなんて思います。そういえば、中国の四神にも白虎と青龍が並んでいますよね。)

また風と雲と聞くと、「風雲」という言葉を連想せざるを得ないのは私だけでしょうか。もしかすると、戦国時代の武将たちに龍虎図が好まれたのは、風雲–チャンスを逃さず世に頭角を表すことを願っていた、下克上の時代だったからこそなのかもしれませんね。

 

今回、2作品をご紹介しましたが、「こんなにも均整のとれた繊細すぎる粟の絵は見たことがないな…」と考えていたら知らぬ間に7分ほど鑑賞してしまった藝愛の『粟に雀図』など、第1章水墨画には、他にも魅力的な作品がたくさん詰まっています。


(これがその『粟に雀図』の部分写真です。精巧さにため息が出ます。)

ぜひ、皆さんも実際に作品を見て、モノクロが映し出す鮮やかな世界に旅してみてください。
次回は、第2章、第3章の魅力をご紹介します。お楽しみに。


Chu!PRESS 編集部 かなごん
 
〈参考〉
図録−ミネアポリス美術館日本絵画の名品Masterpieces from Japanese Painting collection of the Minneapolis Institute of Art
「一目置かれる知的教養日本美術鑑賞 」/ 秋元雄史, 大和書房



 
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