石橋杏奈さん

石橋さん演じる主人公の美緒。 役に対してどのような印象を受けましたか?

まっすぐで芯のある子。わりと自分に近いところも多く感じます。お父さん譲りの頑固さ、強さのようなものを一貫して表現できればと思い、ひとつひとつの感情を大切に、丁寧に演じるよう努めました。

撮影が行われた会津はいかかでしたか?

会津は初めてでしたが、自然が豊かで空も近く感じられてとてもすてきなところですね。わたしは田舎(福岡県出身)で育ったのですごく落ち着きます。歴史的な建物も多く、撮影の空き時間に、鶴ヶ城やサザエ堂に行ってきました。食べ物がとてもおいしくて、おそばも2、3回食べました。おはし代わりに長ネギでいただくおそばは、斬新でした。

視聴者のみなさんへメッセージをお願いします。

"ふるさと"を持つ方だれもがほっこりした気持ちになれる、人の温かさが感じられる作品です。ちょっと言葉が足りなかったり、うまくいかなかったり、そういう人間らしさがとてもリアルに描かれていて、初めて台本を読んだとき、私はなんだか実家に帰りたくなりました。実家の両親や高校時代の友人とのやりとり、なにげない日常の風景、その土地ならではの料理…映像の端々から懐かしさを感じていただけたらなと思います。

そして、思いを言葉にして伝えるコミュニケーションの大切さを改めて気づかせてくれる話でもあります。主人公・美緒が迷いながらも少しずつ成長していく姿に自分を、そして美緒を取り巻く登場人物にも自分の身近な人たちを重ねながらご覧いただけたら嬉しいです。

中村蒼さん

中村さん演じる主人公の恋人・雄太。 役に対してどのような印象を受けましたか?

演じていて、尊敬する部分が大きいです。結婚の許しを請いに行って歓迎されない、そんなときというのは、相手への愛情の深さや結婚への思い入れなど、色々試されると思うんです。それでもめげずに、福島のことを知ろうとしたり父親に対して素直になれない主人公を優しく励ましたり、積極的に認めてもらう努力をしていくところに魅力があります。

撮影が行われた会津はいかかでしたか?

以前(20歳ごろ白虎隊を演じたとき)来たことがあるのですが、スケジュールの都合でゆっくり景色を感じるのが難しかったんです。

今回は行くところ行くところで歴史のある街並みを楽しみました。優しい方が多く、鶴ヶ城での撮影の時は地元のお母さんたちが歴史的背景を教えてくれて、本当に「ありがとうございます」という感じでした。

会津の風景も素晴らしくて、猪苗代湖のシーンを撮影した日は天気にも恵まれ、磐梯山もきれいにみることができたのでとても嬉しかったです。

視聴者のみなさんへメッセージをお願いします。

劇的にドラマチックでとんでもない出来事が起きる!という作品ではありませんが、日常見落としてしまいがちな大切なことを改めて教えてくれる作品です。

前に進みたいと思って上をみることももちろん大切ですが、時には自分の半径5mくらいの近いところを見まわしてみると、すごく大切なことが実はあったりする。そんなことに気づけるドラマだと思います。主人公や登場人物たちが迷いながら、でも少しずつ成長する様子を見て、みなさんに少しでも元気になっていただけると嬉しいです。

ほぼオール福島ロケですので、会津の素敵な風景と共にこのドラマをみなさんに届けたいと思います。

タナダユキ監督

脚本を初めて読んだときの感想を教えてください。

素直な気持ちで若い二人を応援したくなるというのが第一印象です。と同時に、若い人たちだけではなく、主人公・美緒の父世代や、若者から見たら人生経験をたくさん積んでいるような大人でも、同じように色々なことに迷ったり悩んだりしながら生きている。老いも若きも、悩みながら必死に自分の人生に折り合いをつけていく姿が、美しいと思いました。

監督を引き受けた理由を教えてください。

主人公が、地元を離れて進学し東京の企業で働いていたものの挫折したという苦い思いを抱えながら自分の故郷の会津に帰り、家族や友人と関わっていくうちに、夢から逃げてしまった自分にきちんと向き合っていくストーリにとても魅力を感じたからです。

福島・会津での撮影、どのような印象を受けましたか?

福島のなかでも会津という特色ある地域が舞台なので、特に上の世代の方には昔のことに対する思いが強く残っているんだなというのを感じました。そしてみなさんあたたかくて、とても撮影しやすい街でした。

撮影で印象に残ったことはありますか?

鶴ヶ城での撮影の際、お城見学のお子さんがたくさん来ていましたが、「会津っ子」の良さなのか、「本番中静かにお願いしま~す!」と声掛けすると、みんなぴたっとおしゃべりをやめてくれて、とてもありがたかったです。OKがかかると「がんばって~」といった声もかけてくれて、嬉しかったですね。

視聴者の皆さんへメッセージをお願いします。

石橋さん、中村さんをはじめ、役者さんたちがとにかく素晴らしく、私の想像を超える瞬間が何度もありました。会津の人々のまっすぐなところやあたたかさ、そして美しい風景も撮れています。ぜひご覧ください。

タナダユキ

1975年生まれ。01年、『モル』で監督デビュー。

『百万円と苦虫女』(08)で第49回日本映画監督協会新人賞、第11回ウディネファーイースト映画祭観客賞を受賞。『四十九日のレシピ』(13)で中国金鶏百花映画祭国際映画部門監督賞受賞。

CM、テレビも手がける。小説に『復讐』(新潮社)、『ロマンス』(文藝春秋)等。最新映画作品『お父さんと伊藤さん』が本年10月8日公開。