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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
with a camera in Mishima Town 2-4
 JR会津宮下駅近くの商店街をぶらぶらしていた時に、気になる理容店がありました。理由は看板の文字です。
実は朝町歩きをしていた時気になっていたのが、こちらの理容店。
実は朝町歩きをしていた時気になっていたのが、こちらの理容店。
看板の文字がとても素敵♪
看板の文字がとても素敵♪
 「平成浮世床屋」という名前もさることながら、字体が寄席や大相撲、歌舞伎等の看板で見かけそうな文字ではありませんか? 入口の隣には「独楽流 落語文字」とあります。思い切って訪ねてみます。すると
伝統芸能の看板でみるような書体に惹かれる。
伝統芸能の看板でみるような書体に惹かれる。
落語文字か…寄席で見るタイプの文字だ。
落語文字か…寄席で見るタイプの文字だ。
「あ、徳光さん! 前もこの辺りに来ましたよね。」
 前回三島町を回ったぶらカメを覚えていてくださいました。看板の文字を書いたのは、店のご主人です。
私に気付いて下さったご主人。
私に気付いて下さったご主人。
看板の文字を書いたのは、ご主人自身だった。
看板の文字を書いたのは、ご主人自身だった。
「落語が好きで、特に古今亭志ん朝。寝落ちするまで落語を聞いたり、お客さんで落語が好きな人がいれば髪を切る間一緒に聞いてもらったり。
店内には、落語関連の書籍も並ぶ。
店内には、落語関連の書籍も並ぶ。
ご主人は、古今亭志ん朝が好き。
ご主人は、古今亭志ん朝が好き。
最近ではうちの2階を会場に三遊亭鳳楽師匠を呼んで、うちのお客さんを相手に内内の落語会をやっています。」
 それくらい落語が好きなご主人、落語好きが高じて落語文字を独学で?
こちらの鳳楽師匠を呼んだ落語会まで開く、大の落語好き。
こちらの鳳楽師匠を呼んだ落語会まで開く、大の落語好き。
ご主人の書いた、落語の演目。
ご主人の書いた、落語の演目。
「本当は寄席文字っていうんですけどね。文字に色気があるんです。寄席文字を書いた橘右近さん(『笑点』の文字を書いた橘左近氏の師匠)の本を買って、学びました。」
落語好きが高じて、寄席文字も独学。
落語好きが高じて、寄席文字も独学。
ご主人が寄席文字の手本とした、寄席文字の権威、橘右近氏の本。
ご主人が寄席文字の手本とした、寄席文字の権威、橘右近氏の本。
 独学で寄席文字を書いて、40年以上。理容店の2階の落語会用に書いたこちらが一番巧く書けたと言います。その字に惚れて、店のメニューや名刺を寄席文字で書いて欲しいという依頼もあるそう。
2階の会場に掲示した看板が、寄席文字では最上の出来と語る。
2階の会場に掲示した看板が、寄席文字では最上の出来と語る。
県内のお店に頼まれて、寄席文字のメニューを提供した事も。
県内のお店に頼まれて、寄席文字のメニューを提供した事も。
 そして我々が訪れる直前に、三島町に移り住んだ人の為に表札がわりの寄席文字を書きあげたばかりでした。
 ところで落語が好きで、寄席文字が好きなご主人がどうして理容店を?
名刺や千社札シールも、寄席文字だったら格好良さそう。
名刺や千社札シールも、寄席文字だったら格好良さそう。
左がプレゼントするもの。右はご主人の”寄席文字書家”としてのペンネーム。
左がプレゼントするもの。右はご主人の”寄席文字書家”としてのペンネーム。
「私は8人兄弟の末っ子で、この店の三代目なんです。継ぐ為に戻ってきました。」
 息子さんは東京で理容店を営んでいます。子どもは親の背中を見ているんですね。
こちらは代々理容店を経営。
こちらは代々理容店を経営。
料金表も寄席文字だ。
料金表も寄席文字だ。
 またご主人はジャンルを問わず音楽も好きで、蒐集したギターも壁に幾つも飾っています。
多趣味のご主人は、音楽も好き。
多趣味のご主人は、音楽も好き。
ご自身もギターを弾く。
ご自身もギターを弾く。
 こちら「遊弦亭いと屯」は“ミュージシャン”としての名前だそう。遊弦亭はギターを弾くから分かるとして、いと屯とは?
「下の名前の“純”を分解したんです。」
 純=糸へんに屯。なるほど落語好きだけに、頓智が利いた名前です。
ご主人のミュージシャン名。
ご主人のミュージシャン名。
今でもカセット・MD等で店内に音楽を流す事も出来る。
今でもカセット・MD等で店内に音楽を流す事も出来る。
 また写真の撮影も得意で、鳳楽師匠の落語会の宣伝写真を撮ったのもご主人。またこちらの写真は、某CMで半年ほど使われたものだと言います。(写っているお二人は町内の方だそう。)
写真もプロ級の腕前。
写真もプロ級の腕前。
某CMで使われた写真。町内のご夫婦を撮影したそう。
某CMで使われた写真。町内のご夫婦を撮影したそう。
 そんなご主人が、私の名前を寄席文字で書いて下さいました。
「書くのは、左の椅子の所と決めているんです。」
 字を書き入れるます目を、CDケース等を使って鉛筆で書くと、
寄席文字を書く時は、店の左の椅子に板を置いて書くのが決まり。
寄席文字を書く時は、店の左の椅子に板を置いて書くのが決まり。
まずは字の位置・大きさだけ、決めてしまう。
まずは字の位置・大きさだけ、決めてしまう。
墨汁に筆を付けて一気に書いていきます。
ます目を埋めるように、字を書いていく。
ます目を埋めるように、字を書いていく。
どんな徳の字になるのか。
どんな徳の字になるのか。
「よく『寄席文字を書く筆は、高いのを使っているんでしょう?』と言われるんですが、私は100金の筆でも書きますよ。」
 弘法筆を選ばず、です。
独特の体勢で寄席文字を書く。
独特の体勢で寄席文字を書く。
おお、これは素敵だ。
おお、これは素敵だ。
「寄席文字は縁起が良いんです。字が太くて隙間が少ないのは、会場にお客さんがびっしり入る様に通じます。また字体も右肩上がり。」
寄席文字は、縁起を担いで生まれた書体。
寄席文字は、縁起を担いで生まれた書体。
苗字より名前の方が大きい。
苗字より名前の方が大きい。
 途中、太さを揃える等の微調整を入れながら一字一字整えていきます。
「払いは下から上ではなく、上から下に書いた方が綺麗に書けるんです。書道では無いので、太さを揃える為に二度書きもしますし、払いの方向も関係ありません。まぁ独“楽”ですので。」
 なるほど、楽しく寄席文字が書ければOK。
寄席文字を書く表情は、真剣そのもの。
寄席文字を書く表情は、真剣そのもの。
仕上がりを微調整して…
仕上がりを微調整して…
 完成です。ご主人が落語ファンと言う事で、敢えて私の名前も落語家風に「亭」の字を入れて頂きました。
 この書体で書いていただくと、自分の名前も前座見習の落語家の名前に見えなくもありません。
 念のため、ご主人の本業は理容師です。
素敵~♪ 落語家になった気分だ。
素敵~♪ 落語家になった気分だ。
ご主人の本業は、飽くまで理容師。
ご主人の本業は、飽くまで理容師。
「工芸展は行ってきましたか?」
 ご主人からそう聞かれ、取材出来た旨を伝えると、奥にいる奥様に
「あれ、持ってきたら?」
と声を掛けます。奥様、恥ずかしがりながらも見せて下さいました。
話題は、この日開かれている工芸展に。
話題は、この日開かれている工芸展に。
呼び出された奥様の手には…
呼び出された奥様の手には…
 編み組細工です。しかも
「妻も習いに行ったんですよ。」
 何と奥様が作った編み組細工。自作とは思えない出来栄えです。
奥様お手製の編み組細工。
奥様お手製の編み組細工。
本当は5つ程お持ちらしい。
本当は5つ程お持ちらしい。
「材料は自分で買って、あとは教室で習って作りました。山ブドウなどの材料が高いだけでなく、編み込むのは大変手間がかかるんです。ですから販売されているものの値が張るのも、作ってみて納得しますね。」
 実際に使っているからか、持ち手のところの色が変わり始めています。
「この色が全体に及ぶ位使い込むと、また味わいになるんですよね。」
 それにしても工芸展の日のロケでなければ、奥様の編み組細工にまで話がおよばなかったかも知れません。これも巡り合わせですね。
教室で教わって作ってみて、材料費と手間で一般に高価なのも納得と話す。
教室で教わって作ってみて、材料費と手間で一般に高価なのも納得と話す。
工芸展の日でなければ、奥様の編み組細工を拝見できなかった…かも⁉
工芸展の日でなければ、奥様の編み組細工を拝見できなかった…かも⁉
「もう令和になったし、この看板もそろそろ変えようかな。」
 これからも独“楽”流落語文字こと寄席文字で、色々な人を楽しませてください。楽しいお話を聞かせて頂き、有難う御座いました。
平成浮世床屋の看板も、もしかしてそろそろ見納め?
平成浮世床屋の看板も、もしかしてそろそろ見納め?
これからもハサミと筆とピック(ギターを弾く)で、人を楽しませる。
これからもハサミと筆とピック(ギターを弾く)で、人を楽しませる。
 因みにこの商店街近辺のあちこちに道の名前が書いてありますが、お察しの通りご主人の筆によるもの。街歩きが楽しくなりそうです。

 次回はこの週末に、俳優の児玉磨利さんが現在開催中の「中テレ祭り2024」会場にお邪魔します。生児玉さんに会えるチャンス⁉ どうぞ宜しくお願い致します。
寄席文字が町を彩る。
寄席文字が町を彩る。
時間があれば、寄り道したくなる。
時間があれば、寄り道したくなる。
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