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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
with a camera in Tanagura Town 2
(6月3日のブログの続きです。)
 棚倉町の商店街の通りをぷらぷら歩いてみましょう。
 こちらは「白川屋」。青果やお肉の店のようです。
棚倉町は東白川郡だけに、「白河」ではなく「白川」屋さんだ。
棚倉町は東白川郡だけに、「白河」ではなく「白川」屋さんだ。
 取材の趣旨を伝えて話を伺います。こちらの店は古いのでしょうか?
「江戸時代からと聞いています。200年位かしら…。」
 確かに、200年前だと江戸時代の終盤あたりでしょうか。旧城下町、店にも歴史があります。
 以前は食べ物以外も扱っていたようで、昔でいう萬屋、今なら差し詰め何でも揃うコンビニエンスストア的存在だったようです。
店は江戸時代まで遡ると話す、白川屋のお母さん。
店は江戸時代まで遡ると話す、白川屋のお母さん。
「昔は山で採れた山菜なども店に並んでいたんですが、10年前の震災で原発事故が起きてからは並ばなくなりましたね。」
と話すのは、娘さん。嘗ては山の恵みも、店の棚を彩っていたようです。
親娘で店の番をしていた。山菜の美味しい季節ですね~。
親娘で店の番をしていた。山菜の美味しい季節ですね~。
 娘さん曰く、
「うちの名字は、聞いた話だとお殿様から頂戴したものだそうです。」
 娘さんはいまは別の名字ですが、お母さんの名字を聞くと、確かにお城に関係しそうな内容のもの…。人に歴史あり、という言葉を改めて思い出した白川屋でのお話でした。
これからも歴史を紡いでいって下さい。
これからも歴史を紡いでいって下さい。
 再び商店の並ぶ通りを歩いていると、店先にあの有名な機動兵器、モビルスーツが飾ってあります。しかもお肉屋さんのようです。お肉屋さんにモビルスーツ?世代的には私に近い可能性もありそう…早速お邪魔してみます。
「すみません、どうして店頭にモビルスーツが置いてあるんですか?」
こちらの店先には、なぜかモビルスーツが…。
こちらの店先には、なぜかモビルスーツが…。
「あ、あれ、私が操縦していたのを、小さくしてもらったんです。」
 奥から出てきたご主人の対応をはじめ、かぶっている帽子や後ろに飾ってあるもの等いろいろ伺いたい事が出てきます。
「いや、単に好きで、友人に作ってもらったものなんです。」
 …店頭に置いてある意味は、あまり無かったようです(^^;
 まずは、後ろのユニホームは…?
冗談好きのご主人。野球がお好き?
冗談好きのご主人。野球がお好き?
「私、以前野球の指導をしていた事がありまして…。」
 店頭の機動兵器より、色々エピソードがありそうです。まず一番左の光南高校は?
「あの当時(県立)矢吹高校から、県内で初めて総合学科のある『光南高校』になって、生徒も集まるようになったんですね。野球部も4人態勢で指導していまして、私もコーチとしてその1人だったんです。」
 ご主人、嘗ては学校の先生だったそうで、赴任校で野球部の指導をしていたそうです。
「最高で(福島大会)準優勝だったんです。」
 その時の思い出のユニホーム、という訳です。
左の光南高校では、県準優勝の時コーチをしていた。
左の光南高校では、県準優勝の時コーチをしていた。
 隣の水色のユニホームは、嘗て甲子園に何度も出場した県南の雄、(私立)学法石川高校のもの。その隣には、“TOHAKU”の文字が。
「私の母校です。私も高校時代野球をしていました。そして母校でもコーチをしている時に、一度準優勝した事があるんですよ。相手が学法石川で。それで2つ並べてあるんです。」

 県立東白川農商高校、略称「とうはく・のうしょう」。棚倉町にあった県立高校で、明治41(1908)年創立の伝統校でした。甲子園をかけた夏の大会準優勝は1993(平成5)年の事。いまは別の高校と統合され、“とうはくのうしょう”はなくなりました。
「その時にもらった銀メダルを一緒に掛けてあるんです。」
 母校でもあり、地元でもあり、一番思い出深いユニホームとメダルかも知れません。
当時”とうはく・のうしょう”のユニホームは学校持ちで、飾ってあるのは後に作ったもの
当時”とうはく・のうしょう”のユニホームは学校持ちで、飾ってあるのは後に作ったもの
「こちらは修明高校のユニホーム。東白川農商と(県立)棚倉高校が合併して出来た学校ですので、飾ってあります。」
 県立修明高校は、嘗ての東白川農商の地に設置されています。
「棚倉高校の校舎の解体が始まっていてね、何か寂しいですね。」
 以前は棚倉町の“早慶戦”よろしく、東白川農商と棚倉との定期戦が行われて、町民が盛り上がったそう。2校が統合された今、嘗ての定期戦は古き良き思い出として町民の心に残っています。
いまは東白川農商と棚倉の両校の歴史を、修明が継ぐ。
いまは東白川農商と棚倉の両校の歴史を、修明が継ぐ。
「学法石川があるんだったら、同じく強かった日大東北も、っていうんで…。」
 日大東北まで揃えるあたりは、高校野球が本当に好きなんですね。

 ご自身も高校球児だったという事は、お父さんも野球をやっていたのでしょうか?
「いや、競輪をやっていたんですよ。」
 ケイリン??
日大東北も、福島県高校野球の輝かしい歴史を作って来た1校。
日大東北も、福島県高校野球の輝かしい歴史を作って来た1校。
「昔、棚倉城の跡地で競輪をやっていた事があったんですよ。そこに出ていたんです。左から2番目が父です。」
お父様が写っているという写真を取り出すご主人。
お父様が写っているという写真を取り出すご主人。
 そこにはずらっと居並ぶ出場者や見守る観客が写っています。お父さんはなかなかお洒落な三つ揃いを着て並んでいます。この時は来賓側か主催する側だったのかも知れませんね。
 それにしても棚倉で競輪が行われていたとは…。郡山市でも開成山で競馬が行われていたと知った時位の意外性&驚き。因みに福島県の高校生の自転車競技は、県南地域と、平競輪場のあるいわき市が強いのですが、棚倉の競輪も何かしら影響を与えているのでしょうか。

 そうそう、すっかり忘れそうになっておりましたが、ご主人が被っている帽子もなかなかにインパクトがありますが…。
当時を知る方には懐かしい棚倉の競輪。こういう歴史もあったんですね。
当時を知る方には懐かしい棚倉の競輪。こういう歴史もあったんですね。
「これは肉屋としてオリジナルの帽子を作ろうと思って、数字の『29』にしようかと思ったんですが、やはり 漢字の『肉』の方が良いかと、野球つながりのスポーツ店を通して作ってもらいました。」
 1点物の肉の字帽子、決まっています。

 さて折角お肉屋さんにお邪魔したので、店のお勧めをご紹介いただきました。
力強く「肉」の文字。色も新鮮そう♪
力強く「肉」の文字。色も新鮮そう♪
「黄金コロッケと、梅の香(うめのか)巻ですね。」
 1個ずつを、断面が見えるようにして頂きました。
梅の香巻(左)と黄金コロッケ。
梅の香巻(左)と黄金コロッケ。
 先に「梅の香巻」を食べてみると、噛んだ瞬間に肉の旨味が油と一緒になって広がるとともに、梅の酸味がさっぱりして、後引く味です。シソの香りもまた良いです。
「買っていって、お弁当に入れる方もいますよ。」
 梅肉が入っている分傷みにくいでしょうし、冷めても美味しいタイプなのですね。
揚げ物だが、梅肉がさっぱりさせてくれる。味付け不要。
揚げ物だが、梅肉がさっぱりさせてくれる。味付け不要。
 そして「黄金コロッケ」は、じゃがいもほくほくで、ひき肉の旨味がしっかり出ています。特にじゃがいもは潰し切っていないいももあって、食感が良いのです。
「じゃがいもを食べているって食感を残そうと、手で潰していくんですが、全部を潰さないんですね。この味じゃなきゃって、こっちに戻ってくると何十個って買って帰るお客さんもいますよ。」
 分かります、地元の味ってやつですね。しかもソースがなくてもいけます。
「うちはソースをかけなくても良いように、下味をしっかりめにつけてあります。」
ジャガイモを完全に潰していないので、いも感がしっかりしている。
ジャガイモを完全に潰していないので、いも感がしっかりしている。
 またコロッケに厚みがあります。
「それ、妻が作ると、平たくしない内に成形を終えるので、サービス品なんです。私が作ると、もう少し平たいんです。」
 そうなんですか…。どちらが作った黄金コロッケが出てくるかは、行ってみてのお楽しみのようですよ。

 ところでこちらの店は、営業を始めて長いのでしょうか?
左が”サービス品”を作る奥様。
左が”サービス品”を作る奥様。
「以前うちの出した広告が家から見つかったというお客さんがいて、もし必要ならって持って来てくださったんですよ。」
 そこには「青物果実 豚肉販売商 磐城国棚倉町 伊勢屋清吉」と記された、木版画を思わせる広告がありました。
 因みに「磐城国(いわきのくに)」と呼ばれた時期は、戊辰戦争後の明治元(1868)年になってから。明治4(1869)年には廃藩置県で恐らく「磐城国」は正式名称では無くなった筈ですが、一般の人が使う「呼び名」としては残っていたかも知れません。いずれにしても、ご主人は
「清吉という先祖の名前は、ちょっと分からない」
そうなので、祖父等の近い代ではなさそうです。
時店が新聞に出した広告だと言う。個人の店の広告にしては大きくてお洒落。
時店が新聞に出した広告だと言う。個人の店の広告にしては大きくてお洒落。
 またご主人の聞き伝えとして
「東京と山形かどこかに、うちで修行した人が店を出したようです。恐らく『伊勢』とか『伊勢屋』を名乗っていたのではと思います。」
 精肉の技術を学んだのでしょうか。更に別の物も見せて下さいました。
当時の許可証のようなものか…。
当時の許可証のようなものか…。
「これが本当なら、県の認めた精肉店としては古いと思います。」
 取り出したものを見ると「食品衛生法による食肉販売営業」とある右下に「福島県確認第一号」と記されています。食品衛生法は昭和22(1947)年施行の法律です。戦後新たな法律の下認められた“お肉屋さん県内第1号”店となるのかも知れません。
右下に「第一號(号)」の文字が!
右下に「第一號(号)」の文字が!
 「肉の伊勢喜」は、通称棚倉街道沿いにあります。とにかくご夫婦揃って明るくて楽しい方々です。ご主人も
「野球部の指導では、お笑い担当でしたから。」
と冗談がぽんぽん飛び出します。お肉と会話で元気をもらえそうなお店でした。
 「白川屋」も同じく棚倉街道沿いです。
(6月1日のブログにつづく)
看板の「肉」も、帽子の「肉」と同じく赤文字だ。
看板の「肉」も、帽子の「肉」と同じく赤文字だ。
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