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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
Ampo-gaki, half-dried persimmons fumigated with sulfur
 『ゴジてれChu!』の木曜日、今回は、私の担当する「ぶらカメ」のほかに、宮城の『Oh!バンデス』と結ぶ「バンデス×Chu!」のコーナーも人繰りの関係で、私がリポートを担当しました。その両方の取材&こぼれ話をご紹介します(「ぶらカメ」の方は12月9日から順に遡ってご覧ください)。まずは「バンデス×Chu!」の方から!
 皆さんは「あんぽ柿」をご存じでしょうか。柿を“硫黄で燻してから”1か月間寒気の中干すと、干し柿よりしっとり柔らかで鮮やかなオレンジ色をした綺麗な仕上がりになります。甘さも上品にして濃厚、この味わいと食感は普通の熟した柿でも干し柿でも味わえないもので、私も福島に来て大好きになった食べ方の一つです。しかもこの作り方を国内で初めて編み出したのが、伊達市梁川の五十沢(いさざわ)地区です。
 このあんぽ柿、勿論そのまま食べても美味しいのですが、更にスイーツやお菓子で楽しめる品々が福島県内には色々あるのです。その内の幾つかを福島県と宮城県の方にご紹介しました。

左が干す前の柿、右があんぽ柿。色も大きさもだいぶ変わる。
左が干す前の柿、右があんぽ柿。色も大きさもだいぶ変わる。
 私達がロケで伺った一軒目は、そのあんぽ柿の発祥の地、五十沢地区で加工食品を作っている岡崎さんの加工場です。こちらではあんぽ柿自体も生産しています。
加工場。手前に柿の木、奥には柿を干している建物が見える。
加工場。手前に柿の木、奥には柿を干している建物が見える。
 今は便利な機械もあって、柿をさして皮を自動でむくもの、
こちらは「へた周り」のカット、皮むきを2段階で行える機械。
こちらは「へた周り」のカット、皮むきを2段階で行える機械。
また柿を回転させるだけの機械で、人が刃を合わせてむくバージョンもあります。
ものの2~3秒で1個の皮をむく。オレンジの皮の山が出来る。
ものの2~3秒で1個の皮をむく。オレンジの皮の山が出来る。
 皮をむいた柿はへたの部分を紐にくくり、硫黄で燻蒸したあと、寒風に晒します。柿がなるこの時期はあんぽ柿づくりの忙しい時期で、多くの人が働いています。農閑期の方に手伝ってもらうんですか?と岡崎さんに伺うと、
「いや、この地区も過疎化が進んで人がいないんです。で、全国から農業関係の手伝いをしてくれる人を集めて、借りた空き家に住んでもらって、手を借りています。」
との事でした。普段の従業員は十数人ですが、あんぽ柿作りの時期は倍以上の30人程が働きます。

柿を吊るすための紐にへたをくくる作業。ものすごい数になる。
柿を吊るすための紐にへたをくくる作業。ものすごい数になる。
 岡崎さんのところだけで生産するあんぽ柿は年間70万個!加工場の敷地以外にも柿を寒風に晒す干し場を持っているほど。地元の柿だけで足りるのか岡崎さんに伺うと、
「あんぽ柿は地元五十沢の柿を使ったものだけなんです。」
との事。来る途中には、12月になっても柿の生っている木が幾つもありましたが、

オレンジのカーテンは美しいの一言。柿の香りが漂う。
オレンジのカーテンは美しいの一言。柿の香りが漂う。
「柿の生産をやめた方もいて、その方々の木もあると思います。生き物に優しく、(柿は)鳥にあげています。」
と話す岡崎さん。農業の高齢化の波が、こちらの地区にも押し寄せているようです。


中には生産農家をやめて、実がなったままの木も…。
中には生産農家をやめて、実がなったままの木も…。
 そのあんぽ柿を岡崎さんの加工場では、ミルフィーユ状のスイーツ、その名も「福島あんぽ柿ミルフィーユ」にしました。その開発に携わった一人、冨塚さんは
「あんぽ柿って、若い人はあまり食べないんですよ。でもスイーツにしたら食べてもらえるかなと思って、作ってみたんです。」
 あんぽ柿でサワークリームを挟み、苦みのアクセントにカカオニブを入れたスイーツを開発しました。工夫した点の一つは、同じあんぽ柿を使うのでも“色味”に変化が出るようにした事。

「あんぽ柿の良さを若い人にも知ってほしい」と開発した冨塚さん。
「あんぽ柿の良さを若い人にも知ってほしい」と開発した冨塚さん。
「あんぽ柿は暫く置いておくと甘い白い粉を吹くんですね。それで白い粉を吹いたあんぽ柿を上下に、粉を吹いていないあんぽ柿を中の層に使いました。」
 一方、苦労した点は、切り出しです。柔らかいので、どうしても綺麗に切れなかったのを、或る工夫で克服。
「それでも機械だと、切った際のロスが大きいんです。最後は、自分達で切りました。手作業だとロスが最小限で済んだんです。」
 無駄をなくす一石二鳥の成果で、出来上がりました。

「福島あんぽ柿ミルフィーユ」。箱が渋いぜ。
「福島あんぽ柿ミルフィーユ」。箱が渋いぜ。
 実際に食べてみると、あんぽ柿の濃厚な甘さだけでなく、サワークリームが入る事で後味にさっぱり感が加わり、スイーツケーキ感が増すのです。濃厚な甘さがしつこさにならずに済みますし、またカカオニブの苦みだけでなくかりっとした食感もアクセントとなります。コーヒーにもお茶にも合いそうな一品でした。

白い粉は甘さの証拠。…冷めた角煮ではありません。
白い粉は甘さの証拠。…冷めた角煮ではありません。
 因みにネットで取り寄せる事も出来ますが、岡崎さんの加工場に近い東北自動車道国見SA(上り線側)でも購入可能です。冷凍して売られています。食べやすい大きさに切るには、硬い内の方が好いかも知れません。黒い渋いパッケージが目印です。

国見SA(上り線)の売り場。ずんだに比べても渋いぜ。
国見SA(上り線)の売り場。ずんだに比べても渋いぜ。
 岡崎さんの加工場ではほかにも納豆の麹漬けなどの加工食品も作っています。
 納豆の麹漬けは上記の国見PA(上り線側)で販売しています。


岡崎さんの加工場では、納豆麹漬けなども生産している。
岡崎さんの加工場では、納豆麹漬けなども生産している。
 続いては、郡山市の老舗和菓子店の『丹波家柿羊羹本舗』。その名の通り柿羊羹が「看板商品」の店です。
 こちらの店では、伊達市のあんぽ柿を更に3年以上干したものを、寒天などに練り込んで作る一品です。

老舗和菓子店。いちご大福も美味しい。
老舗和菓子店。いちご大福も美味しい。
 店の平栗洋子さんに柿羊羹の難しさを伺うと、
「あんぽ柿は元は渋柿なのですが、渋の元となるタンニン自体は柿の中に残っていて、熱を加えると渋さがまた顔を出すのです。しかし秘伝の技術で、このタンニンの渋を出さずに作るのが、うちの柿羊羹なのです。」
と話します。

柿羊羹。こちらは乾燥した竹に流し込んで作ったもの。
柿羊羹。こちらは乾燥した竹に流し込んで作ったもの。
 頂くと、あんぽ柿の甘さ・美味しさはそのままに、羊羹にした事で上品で滑らかな舌触りが加味され、一級の和菓子に様変わりします。
 贈答用でしょうか、羊羹を竹に流し込んでありますが、
「昔の包装の一種なんですね。昔ながらの良さを残そうと、竹を使いました。」
との事。この竹も、「油抜き」と言うそうですが、1年以上乾燥させて水分を抜く事で、保存のきく包装容器となるそうです。
「昔はこの竹も柿も、自分達で育てて調達していたんです。今は美味しいあんぽ柿が同じ福島県にあるので、そちらを使っています。」

竹の内側の模様も、うっすらついている。
竹の内側の模様も、うっすらついている。
 ただ家族も少ない家庭が増える中、いまは二口から三口サイズの小さい個包装の柿羊羹も販売されていて、時代のニーズに応えています。
「味も常に変わっているんですよ。」
とは、平栗さんの言。渋を出さないなどの技術は引き継ぎながら、時代や要望に合わせた味や形を進化させつつ、創業380年の店は令和の日本人の舌を喜ばせています(丹波家の柿羊羹は、全国にファンがいるそうです)。

こちらはちょっと一口用。これなら包丁も汚さず、自分用には便利。
こちらはちょっと一口用。これなら包丁も汚さず、自分用には便利。
 もう一つは、店のロケに私自身は行けていないのですが、あんぽ柿の産地伊達市梁川の「御菓子司 藤川屋」が生んだ、「あんぽの味野り(みのり)」です。あんぽ柿で黄身餡を包んだもので、黄身餡の優しい味わいがあんぽ柿の甘さを引き立て、あんぽ柿の食感そのままにスイーツとしての味わいも楽しめる一品です。凍らせてシャーベット状にしても美味しいので、炬燵の中に入って食べるのもアリですね。


「あのぽの味野り」。あんぽ柿の中に黄身餡が…。
「あのぽの味野り」。あんぽ柿の中に黄身餡が…。
 私はあんぽ柿そのものが既に好きなのですが、その良さ・美味しさをスイーツ・お菓子を通して逆に発見してもらう意味でも、あんぽ柿のスイーツはもっと知られて欲しいと思います。勿論、あんぽ柿を食べた事が無い方は是非一度お試しを。柿の味わい方の新たな発見がある筈です。
(12月9日からは、きょう12月10日に放送した「ぶらカメ」鏡石町篇の取材&こぼれ話です。)

あんぽ柿から食べるか、あんぽ柿スイーツから食べるか…。どちらも正解だ。
あんぽ柿から食べるか、あんぽ柿スイーツから食べるか…。どちらも正解だ。
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