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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
“Fukushima work × food CAFE“
 きょうの『ゴジてれChu!』では、先日東京で取材した或るイベントの模様をご紹介しました。
 現在、雇用環境は売り手市場で、県内の企業は人材確保にどこも苦労しています。そんな中、県南では或るユニークな取り組みをする事に。それは、

「世界一のパスタを食べながら、首都圏の学生に、県南の事を知ってもらう」

というイベントの開催でした。
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会場となった渋谷区のレストラン。ここが新たな試みの会場に…。
会場となった渋谷区のレストラン。ここが新たな試みの会場に…。
 11月25日、新国立競技場の建設現場が目と鼻の先の渋谷区のレストランに、県南地方振興局の職員と、一般社団法人「産業サポート白河」のメンバー、県南の企業5社の社員が午前中から集まっていました。準備は整っています。後は、学生が来るかどうか…。
 今回のイベントは首都圏の学生に、就職活動に入る『前』に、福島の県南地域の企業等を知ってもらおうと言うイベントだったのです。

レストランのすぐそばには、新国立競技場が…。建設が続く。
レストランのすぐそばには、新国立競技場が…。建設が続く。
 具体的なアイディアを出したのは、県南の地域振興を支援する「産業サポート白河」です。中心メンバーの一人、角田祥隆さんは、今回の案は7月から温めていたと言います。
「就職活動を前面に押し出した企画というよりは、県南の暮らし方や、良いところ、例えば待機児童が余りいませんよとか、東京に近いし自然も多いとか、車社会ですよとか、そしてそこで働く人たちの仕事内容から知ってもらえれば良いのかなと、思います。」

企画者の1人、角田さん(モニターを撮影した画面で見にくくて済みません)
企画者の1人、角田さん(モニターを撮影した画面で見にくくて済みません)
 実は、福島の県南地域の学生の実情が、今回のイベントに大きく関わってきます。
 県南の高校生は、大学や専門学校に進学したい場合、故郷を離れます。ただ進学する時は、学生は地元企業の事をほぼほぼ知りません。というか目が向きません。そのため、いざ就職活動となった時には、知らないままの地元企業は学生の選択肢に入ってこないという現状があるのです。

 そこで、まずは地元出身者には故郷の企業の存在を、そして、県外の学生には県南がどんな生活環境なのかを知ってもらう・興味を持ってもらう事が先決、と考えたイベントを開いたのです。
 そこで角田さんら主催者側は、「お互いスーツやネクタイと言ったドレスコードも一切なし」の普段着交流、そして「交流に参加する社員は、学生に世代も価値観も近い若手社員」と、交流が進む「仕掛け」を考えました。

会場の角田さん。ラフなスタイルだ。
会場の角田さん。ラフなスタイルだ。
 更に角田さんらは、学生を呼び込む為の大きな「目玉」を用意しました。第1回世界パスタ選手権で優勝した山田剛嗣(よしつぐ)シェフです。山田シェフは、その腕前に加え、去年県南の白河で期間限定のレストランを開いた縁などもあって、県南の為に一役買ってくれる事になったのです。山田シェフは
「僕が出来るのは、まずはパスタですよね。パスタで皆さんに盛り上がって頂きたいです。」
と意気込みを語っていました。

 お昼過ぎ、開場数分後から学生が集まり始めました。中には、主催者側の狙いでもある、県南出身の大学生もいました。Kさん(大学3年)は、首都圏の大学に通う高校時代の同級生と3人で訪れました。
「関東にいると福島の情報が余り無いので、将来の進路選択の為に何か知れる事がいっぱいあれば良いと思って来ました。」
と、その理由を話していました。
 学生19人が集まったところで、イベントがスタート。今回は、福島の県南に興味を持ってもらうのが一番の目的なので、企業のプレゼンは1社あたり僅か5分。しかも、このイベント用に画面や説明内容もオリジナルに作ってもらったそうです。そこで、国内は勿論世界でも通用する高い技術と実績を訴えるストレートなPRもあれば、社長が「白河ラーメン通」で職場の近くには温泉が豊富といった地元の良さを訴える企業もあり、更には高校を卒業して7か月の新人2人にプレゼンを任せる企業もありと、プレゼン一つとっても企業の個性が出ます。


山田シェフ(と、調理風景を撮影するSカメラマン)
山田シェフ(と、調理風景を撮影するSカメラマン)
 そしてこのあたりから、学生のお楽しみ、山田シェフのコース料理が登場します。実は、レストランの外にまで、にんにくの佳い香りが漂っていたんですよ。因みにこの日のコースは…

Antipasto…前菜4種をシェアスタイルで
・キャベツとしらすのガーリックソテー
・椎茸としめじ、パンチェッタのグリルとパルミジャーノ・レッジャーノ
・ブロッコリーとヤリイカ、アンチョビのソテー
・イタリア小麦、ファッロと8種類の有機野菜のサラダ
Pasta…なすとトマトのペンネアラビアータ
Secondo…
・スモークパプリカでマリネにしたチキンのロースト
・パプリカとジャガイモのソテー
Dolce…クラシックイタリアンティラミス
Drink…オレンジジュース・烏龍茶

 これ、普通に食べたら数千円しまっせ!勿論、参加者は無料です。嗚呼、学生の皆様が羨ましい…(って、ちゃっかり主催者側の御好意で、一部頂きました。ほっぺが落ちました(^.^)さすがパスタ世界一の山田シェフです)。

山田シェフのチームが、手際よくコース料理を作っていく。(以下、モニターを写した写真です。画質が悪くて済みません)
山田シェフのチームが、手際よくコース料理を作っていく。(以下、モニターを写した写真です。画質が悪くて済みません)
 プレゼンの後は、学生と企業側の交流会になだれ込みます。
 交流が深まるように、企業側から参加する人は20代を中心とした若手社員。プレゼン等に来ていた企業の責任者は、交流会を遠くから見守る側にまわります。
 またコースの内容を見ても分かるように「シェアスタイル」にする事で、話すきっかけを増やすようにしています。実際、若手社員の為に学生が料理を取り分ける姿も見られました。ほどなく、あちこちから笑い声が聞こえてきます。また「地域活性化に繋がるのだったら、都会よりも地方で働いて、地方を良くしていく事をしたい」と熱く語る学生や、「最初は自分で自由につかえるお金がもらえるのが嬉しかったけど、お客さんと接するようになると、「『有難う』と言われるのが嬉しくて、お客さんの為に頑張ろうと思えるようになって、それが楽しみです」といった働き甲斐を話す社員の話で盛り上がります。中にはバイト先の人間関係の悩みを学生に聞かれ、「運も関わってくる事だからね。本音で話す事じゃない?俺は飾らない事にしているから…」と、汗をかきかき人生のアドバイスをする社員もいました。
 高卒7か月で今回のイベントに臨んだ社員の方々は、年上の学生との交流となりましたが、
「大学生の皆さんが真剣に聞いてくれたので、話しやすかったです。」
「企業選択の一助になれば、良いなと思います。」
とコメント。う~~ん、19歳とは言え、もう発言は社会人です。
 その内の1人に、手応えを聞くと、
「う~~ん、どうだろう?でも結構楽しく食事をしながら交流できたので、楽しかったです。」
と笑顔で応えてくれました。

これらコース料理は、参加者に無料で提供。
これらコース料理は、参加者に無料で提供。
 或る大学の1年生は、大学で被災地の復興支援についてボランティア活動していて、「福島県にはどんな仕事があるのかと思って参加した」そうです。まだ1年生ですが、
「新しい選択肢がいっぱい広がったと思います。福島県も就職先の選択肢の一つに入りました。」
と、福島県にも関心を深めていました。
 また、前に触れた県南出身の学生たちに話を聞くと、
「自分の地元なのに知らない事もあって、福島にこんなに大きい企業があるのを初めて知りました。」
「仕事だけでなく、生活など生の声を聞けたのが良かったです。」
「自分達よりしっかりしているところを見習いたいと思いました。」
「きょうのイベントをきっかけに、Uターンの選択肢も考えてみようかなとも思いました。」
と、新たな発見や前向き発言もありました。
 学生からは企業のホームページや資料では分かりにくい、会社の雰囲気や社員の本音が垣間見えたようです。

 イベント終了後、産業サポート白河の角田さんは、
「場が盛り上がっていたので、運営側としてはほっとしています。」
と、まずは胸をなでおろしていました。印象に残った事は、
「『福島県ってあまり考えていなかったけど、就職活動を考えてみたい』との声もあった事です。このイベントをきっかけに福島の事をどんどん知ってもらいたいですね。」
と、手応えを感じていたようでした。一方で、
「今回、参加者は既に就職活動をしっかりやっている人が多かったんですね。これからは1・2年生の早い段階で目を向けてもらえれば。」
と課題も口にしました。
 また県は、UターンやIターンなどに関するアンケートをとって、しっかり学生の意向を調査していました。このイベントとその効果が、数字となって表れると良いですね。
 今回取材してみて思ったのは、県南の抱える課題「学生が地元を離れると、地元企業に戻ってこない」、これはどこの地方にも当てはまる問題ではないかという事です。進学を考える時点では、地元企業にまで関心がいかないのが学生にとっては普通で、どこも同じ状況ですよね。実際、この日のイベントには、別の地域の地方振興局からも職員が視察に来ていました。
 故郷をいったん離れ、故郷の良さを「客観視」できる人材は寧ろ貴重です。また故郷にこそ自分の才能や経験を生かせる会社や、自分が輝ける場があるかも知れないのに、その機会に気付かずに就職活動をしてしまうのは、学生にとっても勿体ないと思います。その「気付き」の機会を作る事は、地元の「大人」にも出来るのではないか、そしてその為の学生へのアプローチ方法はもっと工夫の余地があるのではと感じました。
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