アナウンスルーム

アナウンサーブログ

徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
two museums of art in Aizu
 『ゴジてれChu!』MCの担当曜日が変わり、平日に休みを取る事が出来るようになった。暦の上では冬だが、本格的な雪が降り出す前に、会津へ「芸術の秋」をしに出かけた。美術館巡りの一日旅だ。
 国道49号を西へ向かう。予報では会津は曇り夕方から雨だったが、なかなか天気が好い。トンネルを抜けて目に飛び込んできたのは、空の青を映し込んだ「天鏡湖」猪苗代湖だ。ラジオでも会津のリスナーが「晴れていますよ」とメッセージを送っている。車を志田浜に滑り込ませた。

こういう予報の外れ方は嬉しい。猪苗代湖の右奥に表磐梯。
こういう予報の外れ方は嬉しい。猪苗代湖の右奥に表磐梯。
 磐梯山も綺麗に見えている。対岸の山も見えるほど、空気も澄んでいる。本当に気持ちが良い。これだけ穏やかな晴れた猪苗代湖は、久しぶりに見た。この景色だけで会津に出掛けた甲斐がある。
 再び車を走らせ一旦49号に別れを告げて、115号へと入る。山肌の黄葉は、まだ見応えがある。そして459号に折れて、裏磐梯のホテル群を抜けると、右手に諸橋近代美術館が見えてきた。

湖の反対側の山並みも見える。
湖の反対側の山並みも見える。
 もうだいぶ葉は落ちてしまったが、裏磐梯もくっきり見える。川面もきらきら輝いている。ここにサルバドール・ダリの作品が常設展示されている。冬は閉館する為、今年行くなら今月いっぱいまでだ。
 いまは『「ダリの挿絵版画」-絵を読む、物語を見る。』という企画展が開かれている。ダンテの『神曲』に対するダリの解釈と発想(明るい地獄、引き出し等)、セルバンテスの『ドン・キホーテ』の制作に火縄銃を使うというダリのひらめき、ビゼーの『カルメン』の情熱が弾けるような絵の力。想像をかきたて創造へひきこむ原作の力も大きいのだろうが、ダリの絵からはダリがそう描かなければならない解釈と確信が見られるのが面白い。

ダリの常設展示が観られる、諸橋近代美術館。
ダリの常設展示が観られる、諸橋近代美術館。
 また無料で音声ガイドが借りられたので、絵の理解を助けてくれた。カルメンは音声ガイドで音楽も聞けるので、作品を立体的に感じられた。そして版画として一枚の絵が出来上がるまでの、何十枚もの途中段階の絵(刷り)を分解して展示してあるのも、最終段階の工程が見られて興味深い。


諸橋近代美術館から裏磐梯を望む。
諸橋近代美術館から裏磐梯を望む。
 「版画」繋がりでもう一つの美術館へ向かおうと思ったのだが、天気が好いので、すぐそばの五色沼の一つ「毘沙門沼」へ。車で数分かからない所。
 初めて訪れたのは、千葉の中学時代。日光~会津が修学旅行の定番コースの一つだった。この毘沙門沼の美しさに釘付けになったのを今でも覚えている。しかもこういう沼にボートを浮かべられる場所も、珍しいのではないか。ただ紅葉はそろそろ終わりだ。因みに冬に取材をした事があるが、雪の純白に囲まれた五色沼は、ほかの季節とは別の美しさを見せる(歩くスキーでないと巡る事は出来ない)。
 そして開いていれば立ち寄りたいのが、『ギャラリー五色』。以前『ゴジてれChu!』でもご紹介した、立体ステンドグラスの数々を観られる。おはじき大のガラスをはんだで繋ぎ合わせ、人や動物などの立体照明彫刻を作る方がいるのだ。

五色沼と呼ばれる湖沼群の一つ「毘沙門沼」と裏磐梯。
五色沼と呼ばれる湖沼群の一つ「毘沙門沼」と裏磐梯。
 途中昼食をとり、国道49号から252号へ入り、雲が厚くなる中、柳津町の『やないづ町立斎藤清美術館』へ。斎藤清没後20年の今年、アニバーサリー特別企画「The Style EPISODE 1」が開かれている。
 斎藤清については、福島県会津坂下町出身、また柳津町の風景が多く版画になった事から、県民の認知度は比較的高い。とはいえ、今回の企画展は、諸橋近代美術館とは対照的に、殆ど説明や解説が無い。プロフィール等が気になる人はウェブサイトで予習をしてから行くのが好いかもしれない。が、そんな事を気にさせない程、作品だけで十分納得の展示だ。
 私はこの歳になって初めて実物を見たのだが、やはり美術品は実物を見るに如くはない。シンプルな描写、選んだ色と配置の妙、木目の活かし方、構図と視点の素晴らしさ…。すっかり魅了されてしまった。アメリカ人に人気が出た理由も分かる。日本人が見ても、日本を再発見できるのだから。
 図版は本でも見られるが、寧ろ1つでも好い、本物を見てからだと、図版からも想像が広がる。斎藤清の作品が地元で見られる美術館は、柳津町は勿論、福島県の宝・財産である。
 個人的には『シグナル(B)』の虜。線路が、これほど彫刻刀の表現が似合い、また美しいとは。信号の赤いランプが印象的に浮かぶ。『雨のミシガン』の色と簡略化した人のインパクト、『石庭』の抽象画的石庭の美しさ、『秋』や『ニューメキシコ』に見る光と影、『凝視(二匹の猫)』の猫の「伸び」に表れる好奇心…、なんたる見応え。


柳津町へ。斎藤清の版画が待ち受ける。
柳津町へ。斎藤清の版画が待ち受ける。
 帰る頃には雨が降り出していた。美術館で売っている『版画芸術No.173』は斎藤清が特集されていて、私のような素人にも斎藤清の足跡や、版画に生かされた人生経験、さらに版画そのものの基礎知識が分かり易く、豊富な作品で美術館の余韻をたっぷり楽しめる。
 ただ一つ残念だったのは、美術館近くのアトリエは先週まで開けていたそうだが、今週から土日のみオープンと言われた事。合わせて見たい方はご注意を。
 帰る頃には猪苗代には防雪柵の入った所もあった。往復およそ200kmだが、ドライブも兼ねて楽しい美術館巡りだった。尚、これから車で行く方は、冬用タイヤで。
アトリエはすぐそば。中を見たかったなぁ。
アトリエはすぐそば。中を見たかったなぁ。
全文を読む
コメントを投稿してよろしいですか?
利用規約

中テレ会員サービス(以下「本サービス」)は、株式会社福島中央テレビ(以下「当社」)が提供する、ホームページ、各種ネットサービスを対象とします。
ユーザーは本規約の内容をよくご確認頂いた上で、本サービスをご利用ください。
当社は、ユーザーが本サービスをご利用されることにより本規約の内容を承諾したものとみなし、以後ユーザーと当社との間にて本規約が適用されるものとします。

1.    本サービスのご利用にあたって
本サービスへの登録は無料で行えますが、ユーザーの端末機からのアクセス、メッセージなどの受信に必要な通信費はユーザー自身の負担となる他、一部コンテンツは有料でご利用いただくものになります。ユーザーが本サービスの利用に際して行った一切の行為、その結果および当該行為によって被った損害について、当社は何等の責任も負わないものとします。

2.    個人情報の取り扱いについて
ユーザー情報は、当社からのサービス提供または利用者のサービス向上を図るための資料(個人が特定されない統計資料)等、当社の正当な業務遂行上必要な範囲に限定して利用し、その範囲を超えた個人情報の取扱い(目的外利用)を行いません。ユーザー情報自体の取り扱いについては、別途当社が定める「個人情報保護基本方針」に従い、適切に扱います。

3.アカウントの管理について
ユーザーは、本サービスのログインパスワード等の会員アカウント情報について、自己の責任において管理及び保管するものとし、第三者に開示あるいは貸与、譲渡、売買等をしてはならないものとします。アカウントの管理不十分または第三者の使用等によりユーザーに損害が生じた場合、その責任は故意・過失の有無にかかわらずユーザーが負うものとし、当社は一切その責任を負いません。

4.登録の変更・退会について
ユーザーは、登録情報に変更が生じた場合や、退会を希望する場合、当社が指定する所定の方法によって登録情報を変更または退会の手続きを行うことができます。

5.未成年による利用について
未成年者のユーザーは、本サービスの利用の一切につき、親権者等の法定代理人の同意のもと利用しなければなりません。未成年者のユーザーが、法定代理人の同意がないにもかかわらず同意があると偽り、または年齢について成年と偽って本サービスを使用した場合、その他行為能力者であることを信じさせるための詐術を用いた場合、本サービスに関する一切の法律行為を取り消すことはできません。本規約の同意時に未成年であったユーザーが成年に達した後に本サービスを利用した場合、当社は、当該ユーザーが本サービスに関する一切の法律行為を追認したものとみなします。

6.知的財産権について
本サービスに関する一切の特許権、実用新案権、意匠権、著作権、商標権等の知的財産権(それらの権利を取得し、またはそれらの権利につき登録等を出願する権利を含みます。以下「知的財産権」)は全て当社または当該権利を有する第三者に帰属します。ユーザーは、本サービスを利用するにあたって、一切の権利を取得することはないものとし、当社は、ユーザーに対し、本サービスに関する知的財産権について、本サービスを本規約に従ってユーザーの端末機においてのみ使用できる譲渡不能の権利として許諾するものです。したがって、ユーザーは個人で楽しむ目的(著作権法第30条第1項の範囲での私的使用)でのみ本サービスを利用できます。また、ユーザーは本サービスについて当社から提供された状態でのみ利用するものとし、本サービスに関する情報の全部または一部を、当社の了解を得ずに、複製、改変、貸与、配布等により転用してはなりません。

7.ユーザーによる情報の提供やアップロードについて
ユーザーは、本サービスの利用にあたってアップロードする文章、画像、動画、音声、音楽その他の情報(以下総称して「ユーザーコンテンツ」)について、その行為における適法な権利を有していること、及びユーザーコンテンツが第三者の知的財産権、所有権その他の権利を侵害していないことについて、当社に対し表明し、保証するものとします。ユーザーコンテンツに関する著作権は、当該投稿等を行ったユーザー自身に留保されるものとし、事前に著作権譲渡について当社がユーザーから許諾または同意を得たものを除き、当社は当該ユーザーコンテンツに関する著作権を取得することはありません。ただし、当社は、本サービスの提供、維持、改善またはプロモーション等に必要な範囲において、ユーザーコンテンツを複製、翻案、自動公衆送信などを、無償、無期限かつ地域非限定で行うことができるものとします。ユーザーは、当社及び当社から権利を承継または許諾された物に対し、著作者人格権を行使しないものとします。

8.禁止行為について
ユーザーは、本規約の他の条項に定めるものの他、本サービスの利用にあたって、以下の行為またはそのおそれのある行為を行ってはならないものとします。
(1)他のユーザー、当社または第三者に不利益または損害を与える行為
(2)公序良俗に反する行為
(3)法令に違反する行為
(4)当社の書面による事前の承認を得ずに、本サービスに関連して営利を追求する行為
(5)当社による本サービスの運営を妨害する行為
(6)本サービスの信用を失墜、毀損させる行為
(7)当社の承認した以外の方法で本サービスを利用する行為
(8)本サービスを譲渡、貸与、公衆送信、使用許諾する行為
(9)本サービスを複製、翻案、編集、改変する行為
(10)コンピュータウイルス等を本サービスで利用し使用をしたり、第三者に提供したりする行為、あるいはそのおそれのある行為
(11)その他、当社が不適切と判断する行為 

9.免責事項について
当社は、本サービスに関する情報およびデータの正常性、信頼性、正確性を保証するものではありません。本サービスにかかる情報によりユーザーまたは第三者に損害が生じた場合であっても、その損害についていかなる責任も負いません。また、当社は、本サービスの利用に起因するソフトウェア、ハードウェア上の事故、ユーザー間またはユーザーと第三者の間において生じたトラブル、その他の事故等による全ての損害についても、いかなる責任も負いません。

10.損害賠償について
本規約に違反して権利侵害等の問題が発生した場合、ユーザーは、自己の負担と責任においてかかる問題を解決するとともに、当社に何等の迷惑または損害を与えないものとし、仮に当社に損害を与えたときは、当社に対して当該損害の全てを賠償していただきます。

11.当社による本サービスの提供中止について
当社は、ユーザーが本規約に違反した場合、当該ユーザーに対してあらかじめ通知することなく、本サービスの全部または一部の内容の提供を中止することができるものとします。当該中止についてユーザーに損害が生じた場合であっても、当社はいかなる責任も負いません。

12.本サービスの変更・一時中断・廃止について
当社は、本サービスの内容を必要に応じて変更することがあります。また、メンテナンスや内容更新のため本サービスの提供を一時中断、あるいは本サービスの廃止を行う場合があります。当該変更または一時中断、廃止によってユーザーまたは第三者に損害が生じた場合であっても、当社はいかなる責任も負いません。

13.本規約の改訂
当社は、随時本規約を改訂できるものとします。当社は本規約を改訂した場合、その都度、改定後の本規約を掲示することによってユーザーに告知するものとし、改定後の本規約は当該掲示の時点で効力を生じるものとします。

14.準拠法、協議、管轄
本規約の解釈および運用は日本法に準拠します。 本サービスに関連してユーザー、当社ないし第三者との間で疑義、問題が生じた場合、その都度誠意をもって協議し、解決を図るものとします。 協議によっても疑義、問題が解決しない場合、これらに関する紛争は当社の本社所在地を管轄する地方裁判所または簡易裁判所を第1審の専属的合意管轄裁判所とします。
 
附則
本規約は2022年9月30日から実施します。