2017.11.17
two museums of art in Aizu
『ゴジてれChu!』MCの担当曜日が変わり、平日に休みを取る事が出来るようになった。暦の上では冬だが、本格的な雪が降り出す前に、会津へ「芸術の秋」をしに出かけた。美術館巡りの一日旅だ。
国道49号を西へ向かう。予報では会津は曇り夕方から雨だったが、なかなか天気が好い。トンネルを抜けて目に飛び込んできたのは、空の青を映し込んだ「天鏡湖」猪苗代湖だ。ラジオでも会津のリスナーが「晴れていますよ」とメッセージを送っている。車を志田浜に滑り込ませた。
国道49号を西へ向かう。予報では会津は曇り夕方から雨だったが、なかなか天気が好い。トンネルを抜けて目に飛び込んできたのは、空の青を映し込んだ「天鏡湖」猪苗代湖だ。ラジオでも会津のリスナーが「晴れていますよ」とメッセージを送っている。車を志田浜に滑り込ませた。
こういう予報の外れ方は嬉しい。猪苗代湖の右奥に表磐梯。 |
磐梯山も綺麗に見えている。対岸の山も見えるほど、空気も澄んでいる。本当に気持ちが良い。これだけ穏やかな晴れた猪苗代湖は、久しぶりに見た。この景色だけで会津に出掛けた甲斐がある。
再び車を走らせ一旦49号に別れを告げて、115号へと入る。山肌の黄葉は、まだ見応えがある。そして459号に折れて、裏磐梯のホテル群を抜けると、右手に諸橋近代美術館が見えてきた。
再び車を走らせ一旦49号に別れを告げて、115号へと入る。山肌の黄葉は、まだ見応えがある。そして459号に折れて、裏磐梯のホテル群を抜けると、右手に諸橋近代美術館が見えてきた。
湖の反対側の山並みも見える。 |
もうだいぶ葉は落ちてしまったが、裏磐梯もくっきり見える。川面もきらきら輝いている。ここにサルバドール・ダリの作品が常設展示されている。冬は閉館する為、今年行くなら今月いっぱいまでだ。
いまは『「ダリの挿絵版画」-絵を読む、物語を見る。』という企画展が開かれている。ダンテの『神曲』に対するダリの解釈と発想(明るい地獄、引き出し等)、セルバンテスの『ドン・キホーテ』の制作に火縄銃を使うというダリのひらめき、ビゼーの『カルメン』の情熱が弾けるような絵の力。想像をかきたて創造へひきこむ原作の力も大きいのだろうが、ダリの絵からはダリがそう描かなければならない解釈と確信が見られるのが面白い。
いまは『「ダリの挿絵版画」-絵を読む、物語を見る。』という企画展が開かれている。ダンテの『神曲』に対するダリの解釈と発想(明るい地獄、引き出し等)、セルバンテスの『ドン・キホーテ』の制作に火縄銃を使うというダリのひらめき、ビゼーの『カルメン』の情熱が弾けるような絵の力。想像をかきたて創造へひきこむ原作の力も大きいのだろうが、ダリの絵からはダリがそう描かなければならない解釈と確信が見られるのが面白い。
ダリの常設展示が観られる、諸橋近代美術館。 |
また無料で音声ガイドが借りられたので、絵の理解を助けてくれた。カルメンは音声ガイドで音楽も聞けるので、作品を立体的に感じられた。そして版画として一枚の絵が出来上がるまでの、何十枚もの途中段階の絵(刷り)を分解して展示してあるのも、最終段階の工程が見られて興味深い。
諸橋近代美術館から裏磐梯を望む。 |
「版画」繋がりでもう一つの美術館へ向かおうと思ったのだが、天気が好いので、すぐそばの五色沼の一つ「毘沙門沼」へ。車で数分かからない所。
初めて訪れたのは、千葉の中学時代。日光~会津が修学旅行の定番コースの一つだった。この毘沙門沼の美しさに釘付けになったのを今でも覚えている。しかもこういう沼にボートを浮かべられる場所も、珍しいのではないか。ただ紅葉はそろそろ終わりだ。因みに冬に取材をした事があるが、雪の純白に囲まれた五色沼は、ほかの季節とは別の美しさを見せる(歩くスキーでないと巡る事は出来ない)。
そして開いていれば立ち寄りたいのが、『ギャラリー五色』。以前『ゴジてれChu!』でもご紹介した、立体ステンドグラスの数々を観られる。おはじき大のガラスをはんだで繋ぎ合わせ、人や動物などの立体照明彫刻を作る方がいるのだ。
初めて訪れたのは、千葉の中学時代。日光~会津が修学旅行の定番コースの一つだった。この毘沙門沼の美しさに釘付けになったのを今でも覚えている。しかもこういう沼にボートを浮かべられる場所も、珍しいのではないか。ただ紅葉はそろそろ終わりだ。因みに冬に取材をした事があるが、雪の純白に囲まれた五色沼は、ほかの季節とは別の美しさを見せる(歩くスキーでないと巡る事は出来ない)。
そして開いていれば立ち寄りたいのが、『ギャラリー五色』。以前『ゴジてれChu!』でもご紹介した、立体ステンドグラスの数々を観られる。おはじき大のガラスをはんだで繋ぎ合わせ、人や動物などの立体照明彫刻を作る方がいるのだ。
五色沼と呼ばれる湖沼群の一つ「毘沙門沼」と裏磐梯。 |
途中昼食をとり、国道49号から252号へ入り、雲が厚くなる中、柳津町の『やないづ町立斎藤清美術館』へ。斎藤清没後20年の今年、アニバーサリー特別企画「The Style EPISODE 1」が開かれている。
斎藤清については、福島県会津坂下町出身、また柳津町の風景が多く版画になった事から、県民の認知度は比較的高い。とはいえ、今回の企画展は、諸橋近代美術館とは対照的に、殆ど説明や解説が無い。プロフィール等が気になる人はウェブサイトで予習をしてから行くのが好いかもしれない。が、そんな事を気にさせない程、作品だけで十分納得の展示だ。
私はこの歳になって初めて実物を見たのだが、やはり美術品は実物を見るに如くはない。シンプルな描写、選んだ色と配置の妙、木目の活かし方、構図と視点の素晴らしさ…。すっかり魅了されてしまった。アメリカ人に人気が出た理由も分かる。日本人が見ても、日本を再発見できるのだから。
図版は本でも見られるが、寧ろ1つでも好い、本物を見てからだと、図版からも想像が広がる。斎藤清の作品が地元で見られる美術館は、柳津町は勿論、福島県の宝・財産である。
個人的には『シグナル(B)』の虜。線路が、これほど彫刻刀の表現が似合い、また美しいとは。信号の赤いランプが印象的に浮かぶ。『雨のミシガン』の色と簡略化した人のインパクト、『石庭』の抽象画的石庭の美しさ、『秋』や『ニューメキシコ』に見る光と影、『凝視(二匹の猫)』の猫の「伸び」に表れる好奇心…、なんたる見応え。
斎藤清については、福島県会津坂下町出身、また柳津町の風景が多く版画になった事から、県民の認知度は比較的高い。とはいえ、今回の企画展は、諸橋近代美術館とは対照的に、殆ど説明や解説が無い。プロフィール等が気になる人はウェブサイトで予習をしてから行くのが好いかもしれない。が、そんな事を気にさせない程、作品だけで十分納得の展示だ。
私はこの歳になって初めて実物を見たのだが、やはり美術品は実物を見るに如くはない。シンプルな描写、選んだ色と配置の妙、木目の活かし方、構図と視点の素晴らしさ…。すっかり魅了されてしまった。アメリカ人に人気が出た理由も分かる。日本人が見ても、日本を再発見できるのだから。
図版は本でも見られるが、寧ろ1つでも好い、本物を見てからだと、図版からも想像が広がる。斎藤清の作品が地元で見られる美術館は、柳津町は勿論、福島県の宝・財産である。
個人的には『シグナル(B)』の虜。線路が、これほど彫刻刀の表現が似合い、また美しいとは。信号の赤いランプが印象的に浮かぶ。『雨のミシガン』の色と簡略化した人のインパクト、『石庭』の抽象画的石庭の美しさ、『秋』や『ニューメキシコ』に見る光と影、『凝視(二匹の猫)』の猫の「伸び」に表れる好奇心…、なんたる見応え。
柳津町へ。斎藤清の版画が待ち受ける。 |
帰る頃には雨が降り出していた。美術館で売っている『版画芸術No.173』は斎藤清が特集されていて、私のような素人にも斎藤清の足跡や、版画に生かされた人生経験、さらに版画そのものの基礎知識が分かり易く、豊富な作品で美術館の余韻をたっぷり楽しめる。
ただ一つ残念だったのは、美術館近くのアトリエは先週まで開けていたそうだが、今週から土日のみオープンと言われた事。合わせて見たい方はご注意を。
帰る頃には猪苗代には防雪柵の入った所もあった。往復およそ200kmだが、ドライブも兼ねて楽しい美術館巡りだった。尚、これから車で行く方は、冬用タイヤで。
ただ一つ残念だったのは、美術館近くのアトリエは先週まで開けていたそうだが、今週から土日のみオープンと言われた事。合わせて見たい方はご注意を。
帰る頃には猪苗代には防雪柵の入った所もあった。往復およそ200kmだが、ドライブも兼ねて楽しい美術館巡りだった。尚、これから車で行く方は、冬用タイヤで。
アトリエはすぐそば。中を見たかったなぁ。 |
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