2005.08.05
the movie full of chuckles
「脱力系」のゆるい笑い。
私にはこのゆるい笑いを巧く説明できないのだが、ゆるい笑いを楽しむ事なら私にも出来た。映画『亀は意外と速く泳ぐ』である。
平凡すぎて存在感が無いのかしら、私はこのままで好いのかしら?そんな悩みを抱える普通(?)の主婦がひょんな事からスパイになってしまうのだが、周囲の状況はその任務と裏腹になって…という話である←どんな話か分からないと思いますが…。ま、はっきり言って筋立てを説明しづらいというか、要は場面場面を楽しんでいけば好くて、あとは筋が自然とついてくるような感覚の映画なのだ。
普通(?)の主婦、片倉スズメを演じるのは上野樹里さん。『ジョゼと虎と魚たち』の演技にすっかり魅了されて以来ファンなのだが、今回も期待を裏切らなかったのが嬉しい。「普通(?)」と書いたのは、その主婦を普通と表現してよいのか悩む場面が出てくるからなのだが、それ以上にほかの登場人物が普通じゃないというか、非凡というか、濃い〜人たちなのである。岩松了さん、ふせえりさんが夫婦というだけで既に期待を裏切らないのだが、ほかにも村松利史さんの豆腐屋のオヤジや、緋田康人さんの水道屋、温水洋一さんのパーマ屋のおじさん、『スネークマンショー』や『宇宙戦艦ヤマト』の世代にはこたえられない伊武雅刀さんの公安などなど、個性派見本市のような皆さんが、一人一人のキャラクターをこれでもかと際立たせて見せてくれる。だから主婦が益々普通に見えてくる。
岩松さん演じるクギタニ家での水道屋がからむエピソード、要潤さん演じる加藤先輩一家の焼肉店でのエピソードもさる事ながら、中でも私が最も好きなのは岡本信人さん演じるスズメの父の家でのエピソードである。岡本さんの表情がたまらなく良くて、「おかしさ」と、スズメ父娘の幸せな時間が伝わる「嬉しさ」とで、思わず笑みがこぼれてしまう。ちょっぴりペーソスも入った絶品の場面だ。
プログラムも面白く出来ていて、(映画を観た方はその理由が分かると思いますが)紙相撲付きである。またあの歌の楽譜や、あのストローの作り方も載っていて、痒いところに手が届く感じだ。但し読むのは映画を観終わってからにしましょう。
読者から見ると主人公が普通で周囲が異常でも、そちらの世界では周囲が普通で主人公が異常なのだ…これがお伽噺とするならば、『亀は意外と速く泳ぐ』は平成の笑えるお伽噺という見方も出来そうだ。
色彩の美しさ、細かい小道具の作りこみも嬉しい映画で、心底楽しめる90分だった。
私にはこのゆるい笑いを巧く説明できないのだが、ゆるい笑いを楽しむ事なら私にも出来た。映画『亀は意外と速く泳ぐ』である。
平凡すぎて存在感が無いのかしら、私はこのままで好いのかしら?そんな悩みを抱える普通(?)の主婦がひょんな事からスパイになってしまうのだが、周囲の状況はその任務と裏腹になって…という話である←どんな話か分からないと思いますが…。ま、はっきり言って筋立てを説明しづらいというか、要は場面場面を楽しんでいけば好くて、あとは筋が自然とついてくるような感覚の映画なのだ。
普通(?)の主婦、片倉スズメを演じるのは上野樹里さん。『ジョゼと虎と魚たち』の演技にすっかり魅了されて以来ファンなのだが、今回も期待を裏切らなかったのが嬉しい。「普通(?)」と書いたのは、その主婦を普通と表現してよいのか悩む場面が出てくるからなのだが、それ以上にほかの登場人物が普通じゃないというか、非凡というか、濃い〜人たちなのである。岩松了さん、ふせえりさんが夫婦というだけで既に期待を裏切らないのだが、ほかにも村松利史さんの豆腐屋のオヤジや、緋田康人さんの水道屋、温水洋一さんのパーマ屋のおじさん、『スネークマンショー』や『宇宙戦艦ヤマト』の世代にはこたえられない伊武雅刀さんの公安などなど、個性派見本市のような皆さんが、一人一人のキャラクターをこれでもかと際立たせて見せてくれる。だから主婦が益々普通に見えてくる。
岩松さん演じるクギタニ家での水道屋がからむエピソード、要潤さん演じる加藤先輩一家の焼肉店でのエピソードもさる事ながら、中でも私が最も好きなのは岡本信人さん演じるスズメの父の家でのエピソードである。岡本さんの表情がたまらなく良くて、「おかしさ」と、スズメ父娘の幸せな時間が伝わる「嬉しさ」とで、思わず笑みがこぼれてしまう。ちょっぴりペーソスも入った絶品の場面だ。
プログラムも面白く出来ていて、(映画を観た方はその理由が分かると思いますが)紙相撲付きである。またあの歌の楽譜や、あのストローの作り方も載っていて、痒いところに手が届く感じだ。但し読むのは映画を観終わってからにしましょう。
読者から見ると主人公が普通で周囲が異常でも、そちらの世界では周囲が普通で主人公が異常なのだ…これがお伽噺とするならば、『亀は意外と速く泳ぐ』は平成の笑えるお伽噺という見方も出来そうだ。
色彩の美しさ、細かい小道具の作りこみも嬉しい映画で、心底楽しめる90分だった。
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