NOW
ON AIR

Chu! PRESS

2024.03.08

「これって全部、母親の役目?」心にモヤモヤを溜め込んだ働くママの声 ~『国際女性デー』に考える~

「これって全部、母親の役目?」心にモヤモヤを溜め込んだ働くママの声 ~『国際女性デー』に考える~
ある日の午後。
仕事終わりにスーパーで夕飯の買い物をして、ちょうど自宅についたタイミングで娘の通う小学校から着信があった。スマートフォンの着信画面に学校名が表示されるのは、学校とのやりとりは母である私がすることになっていて、以前アドレス帳に登録したからだ。

あわてて電話に出ると「急に発熱した娘を迎えに来てほしい」という連絡だった。学級担任に平身低頭で迎えに行く旨を伝えて電話を切り、すぐに夫にLINEで一報を入れる。が、これはあくまでも報告であって、どちらが迎えにいくかの相談でもなければ、代わりに迎えにいって病院に連れていって欲しいという依頼でもない。なぜなら、そのどれもが望み薄であることは経験上、身に沁みついているからだった。

しばらくすると夫からLINEに返ってきた「わかった。よろしく」だけが書かれたお決まりの返事。

部屋を暖めて布団を準備し、娘を学校に迎えに行こうと家を出ると同時に、頭の中では「あ!今日の午後はかかりつけの小児科は休診だった。急いで開いてる病院を探さないと。それから家に帰る前にスポーツドリンクも買い足そう。そういえば食欲はあるのかな。喉が痛いなら今夜つくる予定だった麻婆豆腐はだめだ。消化に良い煮込みうどんにするか。そうだそうだ、今日行く予定の習い事にも忘れずに欠席の連絡をしなきゃ。」などと、この後の段取りを目まぐるしく思い浮かべる。

病院に寄って娘を連れて帰るころには、辺りはもう暗くなり始めていた。帰宅後、時間がなくて中途半端になっていた家事を片付け、犬の散歩を急ぎ足で済ませた。それから昼食を食べ損ねたことを思い出し、空腹を埋めるように冷蔵庫に残っていた朝食の残りの卵焼きを頬張りつつ、夕飯の支度にとりかかる。そして学校から電話がきたときから頭の片隅にあった“気がかり”と、ここでようやく向き合うことにした。

それは、翌日の自分の仕事のことだった。
私は現在、パート勤務で働いている主婦だ。主に在宅勤務だが、週1回のオフィス出勤の日や年数回行われる社内研修の場は、私と同じような境遇を持つ職場の仲間たちに会える貴重な機会となっている。新しい学びもあり、働く楽しみの一つになっている。この時はまさに翌日が年数回行われる社内研修の日だった。どうしたものか…と思いを巡らせながら、「はぁー」と深いため息がひとつ出た。
※写真はイメージです。
※写真はイメージです。
その後、夜遅くになって帰宅した夫に娘の体調や明日の自分の仕事の話をした。返事は「明日かー。うーん、ちょっと俺は休めないな」だった。予想はしていたものの、実際に言われると今度はさっきより深い溜息がもう一度出た。

我が家は夫婦と小学生の娘、それから犬1匹の家族だ。夫の仕事は出張や残業が当たり前で、休みの日でも社用スマホが鳴らない日はほとんどない。多くの日本企業に古くから存在する「マッチョな働き方」をする四十路目前の中間管理職だ。

激務な夫の家事や子育てへの参加があまり期待できない分、私は仕事よりも主婦業と子育てに軸足を置けるようにと今の働き方をしている。私の職場のスタッフは役員含め9割が子育て中のママたち。フルタイム、時短、在宅、パラレル(複業)など働き方も多岐にわたり、それぞれが自分に合った働き方を選ぶことができる。言ってみれば“イマドキの会社”だ。また、子連れ出勤が可能であることも含め、職場全体に子育てに対する理解があり、夫に比べて私の方が柔軟な働き方ができていると実感している。周りの人からも「今の時代の女性にとって理想的な働き方だね」と言ってもらえることも多かった。しかし、それは暗に「それなら主婦業も子育てもしっかりやれるよね」と言われているようにも感じ、重圧で苦しくなったこともある。

そして翌日、結局、私は仕事を休んで看病をした。子どもの体調不良は突発的なものだし予防にも限界がある。仕方がない、わかっている。私たちの生活を守るために夫が平日にいきなり仕事を休めないことも、十分わかっている。頭ではわかっているつもりなのに、この日は気持ちのやり場がなくて一日イライラしたり悲観的になったりした。そして、そんな自分の心の狭さにも落ち込んだ。

私のように自由度の高い働き方であっても、タイミング悪く休みをもらわねばならないことがしばしばある。そして、こんな時には決まって「誰が」「何が」というハッキリした対象がない「モヤモヤ」や「やるせなさ」が自分のまわりを煙のように付かず離れず取り巻いている気がしてしまうのだ。場面や置かれた状況が違っても、こういうことは女性・母親には「あるある話」ではないだろうか。

■幸せって何?女性の働きやすさは世界でワースト2位

みなさんは3月8日の「国際女性デー」をご存じでしょうか?組織やコミュニティーにおける女性の可能性を広げて、世界的に女性の生き方を考える記念日。日本でも女性の社会的地位を尊重する意識が高まる中、今特に注目を集めているのが「Well-being」(ウェルビーイング)という概念だ。
心身ともに良好な状態にあることを意味し、日本では「幸福」とも翻訳される。似たような意味を持つ、Happiness(ハピネス)には瞬間的に幸せな気持ちを表すニュアンスが含まれる一方で、Well-being(ウェルビーイング)は持続的な幸せを指し、精神的にだけでなく、身体的にも社会的にも満ち足りた状態にあることを意味している。国もこの概念を取り入れた「国民の満足度・生活の質に関する調査」を始めていている他、多くの企業でも従業員の働き方改革や健康経営を目指す取り組みが目立ち始めている。しかし、イギリスのメディアが公表した「女性の働きやすさの国別ランキング」で日本は2016年以降7年連続でワースト2位となっていて、まだまだ浸透していないのが現状だ。

Well-being(ウェルビーイング)がどんなに意義のある考え方であったとしても、一介の主婦にはその言葉や概念に出会う機会はほとんど無い。私自身は、言葉は聞いたことはあったが特に意識して生活することはなかった。職場の子育て中のママたちにも 聞いてみたが「何のことかよくわからない」との答えだった。ハッキリ言えば、日々の生活に追われて女性の生き方について考える時間も気持ちの余裕もなく過ごしているからだ。言い方は悪くなるが、そんな崇高なことを考えていても、子どもの夜泣きが終わるわけでもなければ、寝ている間に溜まった洗濯物が片付くわけでもない。それが働く女性たち、母たちの現実のように思う。このままWell-being(ウェルビーイング)という概念は、認知されずに多くの女性にとって単なる“夢物語”となって終わってしまうのだろうか。

■“自分のご機嫌取り”がもたらした変化

長い間、専業主婦として家事や子育てと向き合っていた私が、在宅でのパート勤務という働き方に出会ったとき、長雨が止み青空に虹がかかったように晴れ晴れしく希望に満ちた気分だった。それなのに、気づけばいつのまにか心にモヤがかかっている。あの日、満ち足りた気分で働き始めた気持ちはしぼみ始めてしまっている。私よりももっと大変な状況で子育てをしながら仕事をしている人のことを思えば、わがままなことかもしれない。それでも心のモヤモヤが消えないのはどうしてなのだろうか。

それはきっと「理想的な働き方だね」と周りの人に評価されることが、自分が幸せかどうかの判断基準になっていたからだ。自分には不満があるのにも関わらず、他人から見える自分の姿を重視し、自分が満足しているかどうかは後回しになっていた。これではモヤモヤが溜まっていくはずだ。

Well-being(ウェルビーイング)の示す「精神的にも身体的にも社会的にも満ち足りた状態」になるためには、誰かの評価や機嫌を気にするような考え方ではなく、どういう選択だったら自分の心を守り、自分が“ご機嫌”でいられるかが大切なのではないだろうか。

必要なのは「自分の機嫌を自分でとる」ことができるかどうか。それは自分勝手に行動するという意味ではなく、自分を含めた家族が幸せになるために必要だと感じる。実践するのは難しそうではあるが、もしそれができれば何かが変わるのではないかと思いチャレンジしてみることにした。

娘が発熱したときと同じような、別な家庭でのトラブルが発生した場面で、今度は自分の都合を後回しにせず夫に仕事を調整して欲しいと打診してみたのだ。自分としてはなかなか勇気を出した行動ではあったものの、残念ながらこのときは願い通りとはいかなかった。それでも、この日はいつもより夫の帰宅時間は早かった。そして、私の心の中にモヤモヤが起きることはなかった。
また、その後も折に触れて、自分が今の働き方を大切にしていることや母親である自分が全ての家事や子育てを引き受けるのは困難なことを伝え、夫にできる限りの協力を求め続けた。すると、たとえ毎回希望通りの結果にはならなくても、自分の気持ちをないがしろにしなかったことで充足感や達成感を再び感じ、一度しぼんでしまった気持ちが膨らんでいくようだった。

さらに、正直にいうと以前は時々敵意すら感じる日もあった夫にも、私自身の気持ちに余裕ができたことで理解が及ぶようになり、これまで見落としていた多くの良い面にも気付けるようになった。
 

■自分に合うことだけではなく“合わないこと”も知る

「自分の機嫌を自分でとる」という意識変化が効果絶大であることは実感した。ただそうはいっても、毎回確実に実践できるとも限らない。そんなときは、モヤモヤを抱えて殻に閉じこもってしまうのではなく、あえて世の中の様々なモノ、人、コト、場所などとの接点を増やし「自分にとっての心地よい」を探求している。普段から大切にしている事はもちろん、これまで出会うことのなかった未知の分野に触れることは、自分にとっての新たなWell-being(ウェルビーイング)の発見につながり、自分のご機嫌取りのバリエーションを広げることにもつながる。もしも途中で合わない、居心地が悪いと気づいたとしても、それは自分視点で物事を意識しているという成果。自分に合わないことを知ることもまた、更なる心地よさを追及することにつながっていく。
この行動によって、私には特に人間関係の場面で変化があった。専業主婦時代は家族や限られたママ友との付き合いが主で、それ以外の接点は特に持とうとしていなかった。ところが今では、これまでの人間関係にプラスし、縁あって出会った職場の仲間、奉仕作業をきっかけに親しくなったご近所の方々。さらに、犬を迎えた事をきっかけに、人生初の犬友という新たなジャンルの友人もできた。その結果以前の限られた交友関係からは比べ物にならないほど、私の周りには新しい世界が広がっていった。そして、それぞれのコミュニティーに自分の居場所ができたことにも安心感を覚えた。きっかけとなる接点はほんの小さな点だったとしても、点が次の点とつながり、それを何度も繰り返すことで、新しい世界や意外なお気に入りをたくさん見つけることができるかもしれない。
こうして私は再び自分で選んだ環境で心が満たされ潤ったような気持ちを取り戻した。今後子育てを終えたとしても、同じような問題に幾度となくぶつかるだろう。時には大きく心がしぼむ日もやってくるだろう。でもそんな時でも忘れずにいたいのは、自分視点での心地よさを大切にしているか、ご機嫌でいられる選択か、そして納得しているか。どんな時でも、私らしく、地道に乗り越えていきたい。そして、この記事が誰かにとって「自分の心が満たされ、自分らしくいられる状態」について考えるきっかけとなることを願っている。
Well-being(ウェルビーイング)をただの夢物語で終わらせないために。

執筆 ㈱ケイリーパートナーズ 髙木まなみ

※文中に挿入している画像は全てイメージ画像です。登場人物とは関係ありません。

この記事は、福島中央テレビ発の女性活躍推進活動「My Life~はたらくで、かがやく~」の一環で実施する株式会社ケイリーパートナーズとの共同連携企画です。
全文を読む
もっと見る
すべて
#グランケット桑折
#いちい
#ふくしま子育て応援隊
#SDGs
#中テレ祭り
#きぼう
#会津若松市出身
#ヱビスビール
#印象派展郡山
#印象派展
#モネ
#米粉ピザ
#Pizza TT Brothers
#開成山公園
#Park-PFI制度
#神尾佑 酒に交われば
#峰の雪酒造
#三春酒造
#ねこ駅長
#ふにゃ~り日和
#矢澤酒造店
#お弁当
#お惣菜
#リオン・ドール
#中テレ社内見学
#マルト
#からあげ伊達屋
#桜八
#Hawaiian Cafe HERO
#ハワイアンパンケーキ
#PR
#ふくしま発酵旅
#cafe nda焙
#味噌博士
#三五八漬け
#ライスバーガー
#海カフェ
#石焼き芋
#おなはまタンタンめん
#古民家らーめん 福寿庵
#ネコマ マウンテン
#ゲレ食
#道の駅ふくしま
#干支パフェ
#1位づくしの温泉旅
#万葉亭
#八幡屋
#土湯温泉
#野地温泉ホテル
#庄助の宿 瀧の湯
#男山酒造店
#朝日ドライブイン
#朝ドラ
#會津おでん
#ご当地グルメ
#高校サッカー
#七日町通
#抹茶専門カフェ
#カレーパン
#ゴロゴロ系
#石林
#フカヒレ
#曙酒造
#海ごみ
#SDGs
#TOKIO-BA
#船
#榮川酒造
#スポーツ
#豊国酒造
#24時間テレビ
#メタバース
#美容
#らーめんHOME
#出汁
#宮泉銘醸
#千駒酒造
#七転び八起き
#納屋カフェ
#桃
#割烹食堂 かいね
#ご褒美ランチ
#FANTASTICS畑
#日本酒
#アナウンサー
#冷やしラーメン
#会津坂下町
#子育て
#笹の川酒造
#TOKIO-BA×ゴジてれ
#国分太一
#白河うどんマーケット 櫓
#手打ちうどん
#檜物屋酒造店
#ぶっとんでるいきもの展
#小名浜潮目交流館
#伊集院光
#大内宿
#塔のへつり
#白河
#末廣酒造
#古代エジプト美術館展
#いわき市立美術館
#クロワッサン
#SHARE
#人気酒造
#古民家カフェ
#モリアオガエル
#有賀醸造
#東や3代目
#中華一番
#四家酒造店
#食べログ百名店
#本場広島お好み焼き かっちゃん
#天ぷら 佐久間
#ごみ削減
#鈴木酒造店
#グップラ
#ブンケン歩いてゴミ拾いの旅
#鶴乃江酒造
#二本松ドライブイン
#スタミナラーメン
#大和川酒造店
#日本酒の神様
#大天狗酒造
#仁井田本家
#メダカ
#郡山ブラック
#しょうや
#ラーメン
#成
#たもや
#麺や 笑華
#枡はん
#昼ふろや
#麺屋 信成
#角麺
#らぁ麺おかむら
#皐月亭
#あさくさらーメン
#サムライ
#トラクター
#醤油プリン
#南相馬市
#ジェラート
#フードロス
#只見線
#途中下車
#キャンプ飯
#会津
#ふくしまラーメンショー
#風とロック
#スノーピーク
#天栄村
#女性活躍
#田楽カフェ
#須賀川市
#手打ち蕎麦
#会津観光
##中テレ祭り
#Libretto
#ギフト
#無印良品
#冷凍食品
#MyLife
#JR只見線
#再開通
#テロワージュふくしま
#食と酒
#氷の神殿
#飯坂
#みりょくいちば
#激安スーパー
##永井麻葵
#福島応援
#マルシェ
#桑折町
#メルバ
#鬼ぐるみ
#エコ食材
#会津四季もち
#豆腐もち
#中華街展
#うすい百貨店
#田村市都路町
#パワースポット
#福、笑い
#甘酒
#いちご
#ロールケーキ
#酪王カフェオレ
#赤べこ
#二本松市
#木幡の幡祭り
#ゴジてれ
#矢吹町
#パン屋
#教育
#タイ料理
#焼き立てパン
#キャンピングカー
#おでん
#コンニャク
#鉄道
#Chu!PRESS編集部
#ごみ排出量
#全国ワースト2位
#福島県知事選
#台風
#避難
#キッザニア
#職業体験
#Chu!PRESS編集部
#バンクシーって誰?展
#オンライン特別授業
#スイーツ
#グルメ
#にゃん旅鉄道
#いわき市
#文具女子
#風とロック芋煮会
#相馬野馬追
#ドローン
#ブンケン
#蕎麦
#ヘルシー
#神獣ベコたち
#ガシャポン
#張子
#会津鉄道
#フラのまち
#新名物
#サクマ&ピース
#サクピー
#中テレアプリ
#福島の桜
#富岡町
#三春滝桜
#カフェ
#復興
#起業支援
##SDGs
##いわき市
#狛犬
#福島の桃
#いなかといいなか交流ツアー
#就職活動
#いわきサンシャインマラソン
#海ごみ削減プロジェクト
#常磐もの
#ミデッテ
#イチゴ
#海の幸
#相馬市観光
#舞妓
#京都
#大京都展
#クリスマス
#いなか暮らし
#体験交流
#旅
#中テレクリスマスドリーム
#やなせたかしの世界
#佐久間宣行
#アルコ&ピース平子祐希
#ふくしま麺フェア
#まるや
#イベント
##Chu!PRESS編集部
#ChuTube
#岡田
#伝統野菜
#バスケットボール
#福島ファイヤーボンズ
#歌唱王
#こおりやま街の学校
#オンライン
#ドラマ
#映画
#ミネアポリス美術館日本絵画の名品展
#YouTube
#オリンピック
##スイーツ
#野球
#ドライブインシアター
#tuperatuperaのかおてん.
#驚き
#癒し
#会社見学
#防災
#豪雨
#特産
#UFO
#ゴルフ
#スタジオジブリ
#ナウシカ
#ガンダム
#BBQ
#おうち時間
#かわいい
#ダンロップ・スリクソン福島オープン
#豪雨災害
#Chuリズム
#新型コロナ
#妖怪
#クマ
#意外
#デリバリー
#梅雨
#カビ対策
#サウナ
#冷やしグルメ
#潮干狩り
#名物
#お取り寄せ
#高校生クイズ
#テイクアウト
#専門店
おすすめ情報