水素自動車からカブトムシまで！楽しめるワークショップ満載のイベントをリポート｜「REIFふくしま2022×ふくしまゼロカーボンDAY!2022」

Chu! PRESS

#SDGs (64件)

2022.10.26

会場となった福島県郡山市の「ビックパレットふくしま」にずらりと並んだ出展ブース。１０月１３日（木）から１５日（土）までの３日間、福島県などが開催した「REIFふくしま２０２２×ふくしまゼロカーボンDAY！２０２２」は、体験イベントやワークショップなどを含めて１８０の団体や事業者が出展し、多くの親子連れでにぎわっていました。

このイベントは福島県が目指す「２０５０年カーボンニュートラル」と「再生可能エネルギー先駆けの地」の実現に向けて開催されたもの。出展する団体や事業者のブースでは、環境やエネルギー問題などの社会問題について一緒に考えてもらい、さらに自社の取り組みを具体的に知ってもらおうと、様々な体験型の企画が用意されて、参加者たちは楽しみながら学びを深められるイベントとなっていました。

また、風力というテーマひとつとっても１９ブース、燃料電池・蓄電池のテーマは８ブースと、同じテーマでも三者三様の取り組みをしていて、様々な最新技術を見比べる面白さもありました。
例えばこちらの写真をみて、何の実験かピンときた方はいるでしょうか。

水の入ったペットボトルの中に鉛筆の芯が２本入っていて、それとつながった電線の先に乾電池がつながっているのですが、細かな泡がブクブク出ていますね。

これは、水（H₂O）を電気分解して酸素（О）と水素（H）を取り出した後に、その酸素（O）と水素（H）を再び結合させて水と電気を作るという実験です。この仕組みを使って「燃料電池」の仕組みを学ぼうという実験です。

乾電池からの電流で分解された酸素と水素を鉛筆の芯の中の細かい隙間に貯めていきます。そして乾電池を外せばこのペットボトル自体が電池の代わりになるんです。実際に乾電池を外して、電線を小型の電気オルゴールとつなぐと音楽が鳴りました。

この仕組みを使って作られるのが「水素自動車」です。会場ではモデルカーに搭載した水素と空気中の酸素を反応させて、モデルカーを走らせる体験も行われました。参加した子どもたちに人気のブースになっていて、子どもたちが操縦するモデルカーでコースが渋滞してしまうという場面もありましたが、燃料電池について子どもたちは楽しそうに学んでいました。

また、会場には、世界最大のカブトムシとして知られる「ヘラクレスオオカブト」も登場。地球環境の変化で様々な種類の動物たちが絶滅に追い込まれていく中、こうした多様な生き物たちが住める地球環境を守るためにも、温室効果ガスやCO2の排出量を実質ゼロにする「ゼロカーボン」をひとりひとりが意識したいですね。

福島中央テレビのブースでは、「生ごみ減量ダイエット」に挑戦しました。福島県は１人１日あたりのごみの排出量が全国ワースト２位と、全国の中でもごみの多い県です。そのごみの排出量を減らすためには、約８０％が水分ともいわれる「生ごみ」を減らすことが重要なポイントとなります。ごみに含まれる水分が少なくなればなるほど、ごみを燃やすとき消費されるエネルギーも削減できるのです。

福島中央テレビのブースで行った実験は、生ごみから水分を減らす便利グッズを作るというもの。まずは、ペットボトルの上の部分をハサミでカットします。そのペットボトルの飲み口の部分にネットに入った生ごみを通します。すると、ペットボトルの口の部分で水分を搾り取ることができるのです。実験なので生ごみに見立てた水を含んだスポンジを使いましたが、体験した子どもたちは、水を含んだスポンジの重さと、搾り取ったあとのスポンジの重さを比べて「軽くなった！」とその効果を実感していました。

また、この日のステージでは「Road to 2050～みんなで描く、ふくしまの環境の未来」というテーマでトークセッションも開催されました。
登壇した平工業高校の生徒は、CO２排出量を２％削減しようと校内で呼びかけたところ、１１．５％もの削減につながったと発表。「SDGｓという言葉を知っているだけで、実際には行動できていない人もいると思います。実際に活動することで新たな発見があり、周りに伝わっていきます。他人事ではなく自分に何ができるかを探していきたい。」と話していました。

このトークセッションにファシリテーターとして参加した福島中央テレビの野尻英恵アナウンサーは「身近なところで行われている様々な取り組みを知り、自分の生活を変える多くのヒントを得ることができました。ごみを回収している登壇者から、ペットボトルの中にたばこの吸い殻が混ざっているごみが多いという事例を聞き、ごみ処理を行う人の立場や分別すれば資源になるなど、“その先”に想像力を働かせることで意識が変わっていくと感じました」と話していました。

さらに、ステージイベントの最後には「オールふくしまごみ減量大作戦」で募集した「ごみ減量アイディアコンテスト」の表彰式が行われました。

優秀賞を受賞した南相馬市の小学生・岡島悠静さんは、生ごみを微生物で肥料に変えるコンポストを手作りし、なんと年間１４５キロもの生ごみ削減に成功。受賞後のインタビューでは「コンポストの中身をかき混ぜる作業がとても力が要る作業だったため、将来はかき混ぜてくれる機械を作りたい」と話し、会場を沸かせました。

イベントでは子どもたちが主役となって楽しそうに体験をするシーンが多く見られ、その姿をみていると、「再生可能エネルギー」や「ゼロカーボン」について大人が真剣に考えて、次の世代が安心して暮らせる環境を残していかなければならないと改めて感じました。

（福島中央テレビＳＤＧｓ推進チームリーダー　中山可那子）

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