2020.02.18
with a camera in Motomiya City 3
(2月20日・19日のブログの続きです。)
築106年、震災にも台風19号にも耐えて残って来た本宮映画劇場を後にして、また別の路地を入ると、風情のある佇まいの所があります。
築106年、震災にも台風19号にも耐えて残って来た本宮映画劇場を後にして、また別の路地を入ると、風情のある佇まいの所があります。
劇場に残るお手洗い。昔の実家のお手洗い(の入口)を思い出す。 |
本宮方式映画『秋桜』の舞台の一つにもなった酒蔵、明治5年創業の大天狗酒造です。
本宮方式とは、地元の人が資金を集めるなどして地元で映画を作る取り組みを指し、嘗ては50年以上前に『心の山脈(やまなみ)』が、20年以上前には『秋桜』がここ本宮市(旧本宮町)で作られています。
酒蔵のお店の方に、突然お邪魔しました。対応して下さったのは、伊東滋敏さん。大天狗酒造の四代目です。
本宮方式とは、地元の人が資金を集めるなどして地元で映画を作る取り組みを指し、嘗ては50年以上前に『心の山脈(やまなみ)』が、20年以上前には『秋桜』がここ本宮市(旧本宮町)で作られています。
酒蔵のお店の方に、突然お邪魔しました。対応して下さったのは、伊東滋敏さん。大天狗酒造の四代目です。
本宮市の酒蔵「大天狗酒造」。昔ながらの佇まいを残す。 |
今年度は台風19号の影響で、仕込みが1か月遅れています。しかも暖冬の影響もあるようで、
「わざと温度を低くするなどしています。低温で発酵に時間をかけた方が、じっくり熟成して美味しいお酒になるので。」
そして酒米を集めるのにも苦労をしたそうです。
「やはり浸水で、近くの水田は被害を受けました。ほかの水田など県内いろいろ集めて、何とか仕込みが出来た状態です。」
不躾ながら蔵の中の撮影をお願いすると、快く了解してくださいました。
「わざと温度を低くするなどしています。低温で発酵に時間をかけた方が、じっくり熟成して美味しいお酒になるので。」
そして酒米を集めるのにも苦労をしたそうです。
「やはり浸水で、近くの水田は被害を受けました。ほかの水田など県内いろいろ集めて、何とか仕込みが出来た状態です。」
不躾ながら蔵の中の撮影をお願いすると、快く了解してくださいました。
四代目の伊藤さん。昼食時にも関わらず、笑顔で取材に応じて頂いた。 |
入るともう、酒の甘い好い香りがしてきます。
こちらは熱を加える器械ですが、
「下のボイラー部分が浸水して駄目になっちゃったんです。膝位まで水が来ました。ただまだ酒造りに忙しい時期ですので、処分は後回しにしています。あと瓶詰用の器械もお借りしてきている状態です。」
こちらは熱を加える器械ですが、
「下のボイラー部分が浸水して駄目になっちゃったんです。膝位まで水が来ました。ただまだ酒造りに忙しい時期ですので、処分は後回しにしています。あと瓶詰用の器械もお借りしてきている状態です。」
浸水した器械。酒造りが忙しく、撤去に至っていない。 |
奥には発酵させている段階のものが。ぷつぷつと穴があいているのも見られ、発酵が順調に進んでいるのが分かります。
発酵中。こうして酒へと変わっていく。 |
またお酒を絞っている段階のものもあります。
「最初は(もろみの)自分の重さで絞れていくんですね。その後に、圧をかけてやります。」
「最初は(もろみの)自分の重さで絞れていくんですね。その後に、圧をかけてやります。」
もろみを絞っているところ。 |
これはまだ濾していないので、濁り酒状態です。「粗絞り」などと呼ばれる事も。この、絞られてちょろちょろ流れ落ちる音も、何とも素敵です。
圧をかけて絞られ、細い濁り酒の「糸」が落ちて、軽やかな音を響かせている。 |
また昔米を蒸す等した釜に繋がっていたのでしょう、煙突も残っています。この煙突が、映画『秋桜』の中で私の印象に強く残っているのです。
「震災でレンガなどは崩れたところはありますが、残りましたね。」
ビルを背景に、今も煙突は本宮の空に聳えています。因みに上に見える「や二」は屋号で、
「(酒蔵は)弥次エ門(やじえもん)さんが造ったそうで、その頭文字の『や』と、次エ門の『次』の音から『二』としたと聞いています。」
蔵直売の店では、所謂伝統の味の「大天狗」ラベルが並んでいます。ディレクターが、「新しい商品はありますか」と尋ねると
「震災でレンガなどは崩れたところはありますが、残りましたね。」
ビルを背景に、今も煙突は本宮の空に聳えています。因みに上に見える「や二」は屋号で、
「(酒蔵は)弥次エ門(やじえもん)さんが造ったそうで、その頭文字の『や』と、次エ門の『次』の音から『二』としたと聞いています。」
蔵直売の店では、所謂伝統の味の「大天狗」ラベルが並んでいます。ディレクターが、「新しい商品はありますか」と尋ねると
震災も耐えた煙突。地域交流センターのビルとの対比が今っぽい。 |
奥から出してきて下さったのが、「卯酒(うさけ)」という商品です。
「この1つ前の冬バージョンは売り切れで、桜の花びらが舞う春バージョンはこれからなんです。これ、娘が造ったんですよ。フルーティーな香りがします。」
「この1つ前の冬バージョンは売り切れで、桜の花びらが舞う春バージョンはこれからなんです。これ、娘が造ったんですよ。フルーティーな香りがします。」
卯酒「花見卯(はなみうさぎ)」(春バージョン)。かわいい…。 |
こちらが(未来の)五代目、小針沙織さん。杜氏でもあります。
「大天狗自体は辛口なので、女性や初心者でも飲みやすいものをと造ったお酒で、3年前に初めて造った時は、それきりで終わりにしようと思っていました。でも評判が良かったので、お客様のご意見も聞きながら、2年前から季節商品にして、四季に合わせて少しずつ味わいを変えてシリーズ化したんです。」
「大天狗自体は辛口なので、女性や初心者でも飲みやすいものをと造ったお酒で、3年前に初めて造った時は、それきりで終わりにしようと思っていました。でも評判が良かったので、お客様のご意見も聞きながら、2年前から季節商品にして、四季に合わせて少しずつ味わいを変えてシリーズ化したんです。」
卯酒を造った杜氏の小針さん。本人は「まだ五代目では…」と謙遜。 |
こちらがその4バージョン。眩しい緑に入道雲が浮かぶ夏、名月が空に浮かぶ紅葉の秋、安達太良連峰が雪を被り冴えわたる空の青が強烈な印象を放つ冬がある。
「私が卯年生まれなんです。しかも夢占いではウサギは幸福を運んでくると言われています。それで安達太良の山が見える所にウサギをデザインしてもらって造りました。」
大天狗の酒は代々基本辛口ですが、小針さんの造る「卯酒」は、「少し円やかな甘み、フルーティーに」仕上げたそう。味わいを変えるには、仕込む時間を長くするなど工夫をしています。
「私が卯年生まれなんです。しかも夢占いではウサギは幸福を運んでくると言われています。それで安達太良の山が見える所にウサギをデザインしてもらって造りました。」
大天狗の酒は代々基本辛口ですが、小針さんの造る「卯酒」は、「少し円やかな甘み、フルーティーに」仕上げたそう。味わいを変えるには、仕込む時間を長くするなど工夫をしています。
これが「卯酒」の四季のバージョン。 |
「(この春バージョンは)お花見に持って行っても良いような味わいにしています。常温か、冷が良いでしょうね。」
店内には利き酒用のテーブル・椅子・御猪口も用意されています。造った小針さんご本人にお注ぎ頂き、試飲です。
…大天狗本来の辛口の良さはそのままに、軽やかな甘さ、後味のすっきりさがあり、香りも豊かです。
瓶の裏のラベルには、こんなメッセージが書いてあります。
店内には利き酒用のテーブル・椅子・御猪口も用意されています。造った小針さんご本人にお注ぎ頂き、試飲です。
…大天狗本来の辛口の良さはそのままに、軽やかな甘さ、後味のすっきりさがあり、香りも豊かです。
瓶の裏のラベルには、こんなメッセージが書いてあります。
造り手手ずから注いで下さった。 |
優しい香りの素は原料米“ユメノカオリ”
usakeを飲んだら、夢の中のウサギが
幸せを運んでくれるかも
五代目の想いをそのまま表現したメッセージです。
「原料米が『福島県産夢の香』で、酵母も『うつくしま夢酵母』、福島県オリジナルの酒米・酵母を使っているという意味でも福島のお酒なんです。」
四合瓶で1シーズン400本程を造ります。これがシーズン内で売り切れる量だと言います。
伝統を守りながらも、時代のニーズに合ったバリエーションにも取り組む娘の頑張りに、四代目は
usakeを飲んだら、夢の中のウサギが
幸せを運んでくれるかも
五代目の想いをそのまま表現したメッセージです。
「原料米が『福島県産夢の香』で、酵母も『うつくしま夢酵母』、福島県オリジナルの酒米・酵母を使っているという意味でも福島のお酒なんです。」
四合瓶で1シーズン400本程を造ります。これがシーズン内で売り切れる量だと言います。
伝統を守りながらも、時代のニーズに合ったバリエーションにも取り組む娘の頑張りに、四代目は
フルーティーな香りも楽しめる。撮影では三杯ほど…(勿論、1本買った上で、ですよ) |
「嬉しいですねぇ。」
とカメラの前で破顔一笑。
蔵元では冬バージョンは売り切れたそうですが、酒屋さんの在庫にあれば手に入る可能性もあるそうです。
とカメラの前で破顔一笑。
蔵元では冬バージョンは売り切れたそうですが、酒屋さんの在庫にあれば手に入る可能性もあるそうです。
一瞬父親の顔を見せた四代目。 |
実はこちらの小針さんが、先程劇場見学に来ていた一人とマップ作りをしているのだとか。今は紙ベースのマップを作る段階に入っているそうで、どんなマップが出来るのか、そして個人的には夏バージョンの卯酒も気になります~♪
親子で記念撮影。大天狗の酒は、確実に受け継がれていく…。 |
今回は、花屋の奥様、映画劇場の娘さん、そして老舗酒蔵の娘さんと、女性のパワーを感じました。女性の才能を発揮できる場があり、同時に女性の需要にどう応えていけるのかが、商売に限らず、生活、文化面も含めて、一層求められているのが令和の時代の気がします。そんな事を、本宮市の取材を通じて感じました。
安達太良連峰を、卯酒のラベルっぽく撮ってみる… |
取材帰り時の話題を2つ。
本宮市には、市外の人にも人気の「みずいろ公園」があります。晴れて暖かかったこの日も、郡山市から遊びに来ている親子がいました。お食事中にお邪魔したのですが、
本宮市には、市外の人にも人気の「みずいろ公園」があります。晴れて暖かかったこの日も、郡山市から遊びに来ている親子がいました。お食事中にお邪魔したのですが、
みずいろ公園で出会った子ども達。元気元気。 |
カメラを向けると、おおはしゃぎ。
ポーズも決まっています。 |
子ども達自らシャッターも切ってくれました。
カメラに近付く近付く… |
滑り台などでたくさん遊んだそうです。三世代でお出かけ、好いですね~。
三世代で公園遊び。平和な休日の光景だ。 |
そして台風19号で水が溢れた阿武隈川に行くと、堤防の嵩を上げる工事が進んでいました。色の違う部分です。人の身長分位は、前より高くなりそうです。
阿武隈川が溢れ、対岸では堤防のかさ上げが行われている(白っぽい部分がそれ)。 |
その堤防を造っている反対側の川岸には、流れたり倒れたりした木が残る一方、早くもオオイヌノフグリが咲き始めていました。自然の逞しさを感じると同時に、暖冬を実感します。例年、中通り(会津を除く内陸部。東北新幹線や東北自動車道が通っている地域とその周辺)でこの花を見るのは3月の気がします。
そう言えば、先日のNHKとのコラボ企画で会津の金山町を取材した際も、杉林が明らかに花粉色を纏っていました。日本気象協会は、浜通り(太平洋側の市町村)で花粉は既に飛散し、中通りでも飛散し始めとの事。新型コロナウイルスにインフルエンザ、更にはスギ花粉と、2月は色んな要素が重なって余計に、私のマスク依存度は高まりそうです。
そう言えば、先日のNHKとのコラボ企画で会津の金山町を取材した際も、杉林が明らかに花粉色を纏っていました。日本気象協会は、浜通り(太平洋側の市町村)で花粉は既に飛散し、中通りでも飛散し始めとの事。新型コロナウイルスにインフルエンザ、更にはスギ花粉と、2月は色んな要素が重なって余計に、私のマスク依存度は高まりそうです。
2月中旬にオオイヌノフグリ。暖冬の表れだろう。 |
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