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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
the debut in Spain
 きょうの『ゴジてれChu!』では、来週スペインで開かれる国際料理学会の日本ブースに、白河市生まれのジャム「ももれーど」が出品される話題をご紹介しました。放送内容とこぼれ話をご紹介します。


国際料理学会の日本ブースに出品される「ももれーど」
国際料理学会の日本ブースに出品される「ももれーど」
 この「ももれーど」を開発したのは、白河市にある「しらかわ五葉倶楽部」です。5年前に出来たばかりで従業員20人の小さな工場です。福島県産を中心とした野菜や果物のペーストやムースといった加工を専門に行っています。大手メーカーや県内企業にも、果物の糖蜜漬けを提供し、スイーツなどに使われています。

県内産の成果物を中心に、加工品を作るのを得意とする。
県内産の成果物を中心に、加工品を作るのを得意とする。
 また県内の学校給食用のゼリーやコンポートなども作っていて、この日はリンゴのコンポートを製造していました。もしかしたら、しらかわ五葉倶楽部で作られた果物や野菜の加工品を、知らずに食べているかも知れませんね。

こちらは給食用のりんごのコンポートのカップ詰め。
こちらは給食用のりんごのコンポートのカップ詰め。
 こちらで「ももれーど」が開発されたのは、今から2年前です。開発を担当したのは、芳賀由香さん。名刺には、「工場長代理」との肩書が!!ジャム作りの話を伺うと、
「ジャムを作る事が初めてだったので、とにかく大変だったよね…ははは…」
と照れ笑い。両脇にいる同僚も、大変だったというところで頷いています。
「何も分からなかったので、一から勉強しました。」
 そう話すあたり、苦労が伺えます。


「ももれーど」を開発した芳賀さん(中央)と、同僚。
「ももれーど」を開発した芳賀さん(中央)と、同僚。
 使う桃は、福島県が生んだブランド品種「あかつき」。強い甘さ、酸味の少なさ、果肉の適度に歯応えのある食感が、福島県民にも人気です。果樹地帯の県北で獲れた「あかつき」を使って薬品を使わず、湯煎した後に一つ一つ手剥きをします。
 更に重要なのが、工場自慢の「急速凍結」の技術です。マイナス35度まで一気に凍結させる事で、あかつきの鮮度を保ったまま、食感や風味を損なわずに保存できると言います。何でも食細胞をきめ細かく凍らせる事が出来るので、解凍した時も美味しいのだそうです(これ以上難しい事は、巧く説明できません)。
 この凍結技術のお蔭で、出荷に応じていつでも美味しいジャム作りが可能なのです。



右の大きな急速凍結機で、旬の美味しさを保ったまま一気に凍らせる。
右の大きな急速凍結機で、旬の美味しさを保ったまま一気に凍らせる。
 で、この先の工程に、「ももれーど」ならではの美味しさの秘密があるのです。
 一つは、解凍したあかつきを、大きくカットする事。果肉感を残す為です。そしてもう一つが、芳賀さんが一番拘ったところ、「レモンの皮ごとペースト」を入れた事です。
「最初はレモン汁を使っていたのですが、普通(の味)なんですね。ま、どこにでもある(味)。これでは駄目だねっていうので、レモン汁を何にするかで凄く苦労して、『あ、これだ。皮ごとだ』って思ったんです。皆、『何言っているんだ』って思ったと思うのですが、(食べてみたら)凄く美味しくて、感動しました。」
と、とても嬉しそうに話します。


美味しさの秘密は、食感を感じる「大きさ」と「皮入りレモンペースト」の投入。
美味しさの秘密は、食感を感じる「大きさ」と「皮入りレモンペースト」の投入。
 皮ごとレモンペーストと砂糖を加えると、数時間じっくり煮込みます。芳賀さんは鍋の隣で、丁寧にあくをすくいとりながら、火の通り具合などを目で確認していきます。

あくをとりながら、ジャムをじっくり煮詰める芳賀さん。
あくをとりながら、ジャムをじっくり煮詰める芳賀さん。
 味が全体にしみ込んだジャムは、果肉の形を崩さないよう、詰めるのも手作業なのです。添加剤や着色など一切加えません。
 このように冷凍に関する高い技術、食感を大切に守る手作業、皮ごとレモンに行きついた味付け、この三位一体こそが、あかつきの風味と食感を最大限に生かしたジャム、「ももれーど」の完成度を高めたのです。

ジャムを手詰めにすることで、大きなカットの食感を楽しめる。
ジャムを手詰めにすることで、大きなカットの食感を楽しめる。
 私も食べたのですが、ごろっとした果肉感があって、食感は桃そのものです。さっぱりした甘さの後に、レモンペーストが入っているからか深みもあって、『あかつき』の美味しさが生きています。糖度は44度で、日本ジャム工業組合の基準では低濃度にあたります。ジャムとコンフィチュールの中間というのでしょうか、ジャムとしては勿論、ヨーグルトにのせたり、紅茶にいれても美味しそうですし、甘さがしつこくないのも魅力です。

あかつきの美味しさ・食感そのままに、苦みが「奥深い味わい」に。
あかつきの美味しさ・食感そのままに、苦みが「奥深い味わい」に。
 芳賀さんは、
「甘いだけじゃなく、後から(レモンの皮の)多少の苦みがくる事で、普通のジャムじゃない、“大人の味”になったのかなって思います。」
と、味の深みの理由を話していました。そして、その苦み故、
「お子さんでは苦手な子もいるんですよ。」
と言います。私は深みとしか感じませんでしたが、子どもに分かる「苦み」こそ、「ももれーど」の独自の特長なのです。

ハンドメードで、添加物等も入れず、実直に果物の美味しさを引き出す。
ハンドメードで、添加物等も入れず、実直に果物の美味しさを引き出す。
 この「ももれーど」は、日本の料理通や専門家20人が選ぶ雑誌『料理王国』の、今年度の100選に選ばれました。この100選の中でも、「ももれーど」の「日本独自のオリジナリティの高さ」が選者の目にとまり、今年で16回目を迎えるスペインの国際料理学会「マドリッド・フュージョン」の、日本ブースに並ぶ7つの商品の1つに選ばれたのです。この7つの中で福島県産は、「ももれーど」だけだそうです。
 芳賀さんが、
「福島のお土産と言ったら『ももれーど』と、最終的にはなってほしいので、(選ばれたのは)凄く嬉しかったです。敢えて『福島』とうたった美味しい『ももれーど』を、多くの方に食べて頂きたいです。」
と話す様子からは、味への自信も感じられました。

ふただって、一つ一つ手作業で拭いていく。
ふただって、一つ一つ手作業で拭いていく。
 この「ももれーど」を作っているしらかわ五葉倶楽部の工場は、国際衛生管理基準FSSC22000の認証を受けた、世界水準の施設でもあります。
 「マドリッド・フュージョン」には、世界から600人以上の料理人やジャーナリストが集うと言われています。その日本ブースで、「ももれーど」がいよいよ来週、世界デビューを果たします。これをきっかけに、福島の桃「あかつき」の美味しさが知られると同時に、福島の「ももれーど」が世界の「ももれーど」となる日が来るかも知れませんね。
 尚「ももれーど」は、国産農林水産物の消費拡大を促そうと農水省が主催する「フード・アクション・ニッポン・アワード2017」の100選にも選ばれています。

衛生基準も、世界に通用する工場だ。
衛生基準も、世界に通用する工場だ。
 値段は1つ800円(税込、希望小売価格。取材時点)です。販売しているのは、リステル猪苗代や裏磐梯ロイヤルホテル、エクシブ那須白河、小名浜美食ホテル、道の駅くにみ、までい館、福島空港、ふくしま逢瀬ワイナリー、地元白河ではコミュニティ・カフェEMANON、しらかわ五葉倶楽部で手に取って見られるほか、ウェブでは「ふくしま市場」「楽天市場」で買う事が可能です。
この手間ゆえ、利益は小さいという。
この手間ゆえ、利益は小さいという。
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