2023.03.23
with a camera in Aizubange Town 2-4
「ぶらカメ」会津坂下町篇、2巡目その4です。
2巡目その1「エーデルアイスには出会えなかったけど… WBCを陰から支えるお店が会津坂下に」は、こちらをクリック。
2巡目その2「これぞ“本家”レトロ ネットで人気に火が付いた昭和グッズ」は、こちらをクリック。
2巡目その3「町民の需要に応え続けて… 創業120年余の老舗万屋に匠の品あり」はこちらをクリック。
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現代から昭和までの雑貨が溢れる「山内屋商店」4代目のご紹介で、齋藤さんというくるみのお店へ。看板を見ると斎藤さんの名字は出ていませんが、場所的にはここで間違いなさそうです。山内さんのご紹介で伺った旨お話すると、
「あ、やっています。」
とご主人。暖簾を出して
「少々お待ちください。」
と奥へ引っ込むと、間もなく奥様が登場。
「あ、やっています。」
とご主人。暖簾を出して
「少々お待ちください。」
と奥へ引っ込むと、間もなく奥様が登場。
「斎藤」の屋号は出ていないが、ここがくるみ店のよう。 |
暖簾を出すご主人。 |
「いま、割り方(わりかた)をやっていまして…。」
要はくるみの殻を割って中身を取り出す作業をしているというので、お願いして見せて頂く事にしました。作業場は店の裏にあって、
要はくるみの殻を割って中身を取り出す作業をしているというので、お願いして見せて頂く事にしました。作業場は店の裏にあって、
店内はシンプルにくるみ商品が並ぶ。 |
くるみの中身を取り出す作業場へ、案内して下さった。 |
「くるみを煎って、それをゆでたものを、金槌で割ってくるみを取り出すんです。」
作業場の中。 |
煎ったくるみが、剥かれるのを待っている。 |
職人さんは25年から30年以上のベテランさん。当番の職人さんが朝7時頃からお湯を沸かし始め、8時から茹でたくるみを割っていきます。
炒ったくるみを茹で上げる。 |
茹で上がったくるみを割って、中身を取り出す。 |
「くるみの尖っている所に金槌を当てると、割りやすいんです。」
殻を割ると、千枚通しのようなもので中身を取り出していきます。
殻を割ると、千枚通しのようなもので中身を取り出していきます。
くるみを金槌で割って… |
中身を取り出す。職人は大きなまま傷つけず取り出すそう。 |
職人さんは多い人だと1日で3kgほどを取り出すそう。
「工場は最近建て直したんですが、くるみを割る台の石はそのまま。最初は平らだったのが、作業を重ねる内にくぼんでくるんです。」
「工場は最近建て直したんですが、くるみを割る台の石はそのまま。最初は平らだったのが、作業を重ねる内にくぼんでくるんです。」
くるみの中身。 |
台の上、金槌を打っている脇を見ると… |
このくぼみ、くるみの殻を割る度に削れていったんですね! いかにくるみが堅いかが分かります。
2か所、台にくぼみが付いているのが分かる。 |
くるみの殻が割れる度に削っていった。堅さが分かる。 |
町内にはくるみの店が2軒あると伺いましたが、
「昔は3軒あったんです。それが2軒になり、実はもう1軒が3月に店を閉めるそうで、そうなるとうちだけになるんです。県内でも鬼くるみの店はここだけじゃないですかね。」
「昔は3軒あったんです。それが2軒になり、実はもう1軒が3月に店を閉めるそうで、そうなるとうちだけになるんです。県内でも鬼くるみの店はここだけじゃないですかね。」
茹で上がったくるみを取り出して、次々割っては中身を取り出す。 |
鬼くるみ専門店は、来月にはここ1軒になるそう。 |
鬼くるみはどうやって手に入れるんですか?
「秋に収穫したものを1年かけてむいていきます。くるみの木は大きくなるので、山から農閑期になった方に木から落ちたのを拾ってきてもらうんです。会津坂下は山に囲まれていますし、ちょっと寒くなる地域がとれるそうです。
「秋に収穫したものを1年かけてむいていきます。くるみの木は大きくなるので、山から農閑期になった方に木から落ちたのを拾ってきてもらうんです。会津坂下は山に囲まれていますし、ちょっと寒くなる地域がとれるそうです。
くるみを煎った黒色が、台にも手袋にも付く。 |
地元のくるみを集めてきてもらうそう。 |
浜通りの縄文時代の遺跡からは、かごいっぱいに入った鬼くるみが出土したそうで、縄文時代から日本人はずっとくるみを食べてきているんです。高たんぱく低カロリーで、鬼くるみは海外のくるみに比べるとえぐみが少ないんです。
縄文時代から日本人の食を支えて来た。 |
生で齧るリスは凄い。 |
店でくるみを買うのは地元の人くらいで、あとは卸ですね。例えば名産の『くるみゆべし』用に使ったり…。」
そういえば蕎麦にしてもお菓子にしても、くるみは使われていますね。
そういえば蕎麦にしてもお菓子にしても、くるみは使われていますね。
このくるみは、多くは店・業者に卸される。 |
くるみ商品の数々。こちらはオーソドックスなくるみ。 |
因みに堅い殻はどうするのかというと
「燃やすんです。」
くるみを煮る為の燃料になっていました。
「脂を含むので、燃えるんですよ。」
なるほど、無駄がありません。
「燃やすんです。」
くるみを煮る為の燃料になっていました。
「脂を含むので、燃えるんですよ。」
なるほど、無駄がありません。
剥き終わった殻は… |
茹でる燃料に! よく燃えるのだと言う。 |
作業場で特別に茹でたてを頂きましたが、しっとり感があって、クセが無く美味しいんです。
ただ実際に手に入れるくるみは剥いた後、茹でて湿気を含んでいるので、かびが生えないよう乾燥させます。乾燥させたものの方が旨みが強くなって、やや歯応えが生まれます。
ただ実際に手に入れるくるみは剥いた後、茹でて湿気を含んでいるので、かびが生えないよう乾燥させます。乾燥させたものの方が旨みが強くなって、やや歯応えが生まれます。
乾燥させたくるみ。一般的に食べるくるみは、この状態の物。 |
クラッシュタイプは、かけたりまぶしたりするのに向いている。 |
くるみは、砕いたものや、搾って油にしたものやドレッシング、更には会津山塩の入ったキャラメルでコーティングしたお菓子まで、様々な形になります。頂いたら、くるみの美味しさにキャラメルの香ばしさと甘さ、それを引き立てる会津山塩の優しいしょっぱさが良いバランスで、後ひく美味さです。
キャラメルコーティングした、お菓子タイプのくるみも。 |
おやつで食べたら滋養強壮に良さそう。 |
「油はドレッシングのようにしてかけたり、植物性なのでそのまま飲んでも大丈夫です。」
それはオリーブ油のように実から搾った油だからでしょうか?
「いえ、くるみは実は種子なんです。」
くるみって実じゃなかったんですね。でもあの堅い殻を割ってよく芽を出すものですね。それだけ生命力のある植物なんですね。
それはオリーブ油のように実から搾った油だからでしょうか?
「いえ、くるみは実は種子なんです。」
くるみって実じゃなかったんですね。でもあの堅い殻を割ってよく芽を出すものですね。それだけ生命力のある植物なんですね。
くるみは、搾って油にも。加熱しなくても良い。 |
ドレッシングにも…。 |
鬼くるみに特化した店は県内でも1軒のようですが、後継者はどうなのでしょう?
「息子が継いでくれそうです。でもくるみを取り出す職人さんの後継者がなかなかいなくて…。」
「息子が継いでくれそうです。でもくるみを取り出す職人さんの後継者がなかなかいなくて…。」
くるみの殻は、燃料以外にも… |
植物の表土を覆って、草防止・霜よけにもなるそう。 |
蕎麦文化も含めて、縄文時代から日本人の食を支えてきた鬼くるみ、是非これからも残して下さいね。(つづく)
水曜定休 10時から夕方5時半 |
お昼も過ぎましたし、最初のスポーツショップで伺ったお勧めの店「こもと」へ食事に行く事にします。農家レストランはお洒落で、ご夫婦の経験と愛情が詰まった食事が頂けるお店でした。
その5「「点と点が繋がった! 旅の集大成となる和風イタリアン?レストラン」は、こちらをクリック。
その5「「点と点が繋がった! 旅の集大成となる和風イタリアン?レストラン」は、こちらをクリック。
旅で勧めて頂いた農家レストラン。 |
ご夫婦の愛情が詰まった料理が待っていた。 |
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