2022.12.22
with a camera in Fukushima City 2-3
「ぶらカメ」福島市篇2巡目その3です。
2巡目その1「山道でダッシュ 指導者は日本記録保持者⁉&柚子に松茸 豊かな信夫山」は、こちらをクリック。
2巡目その2「20歳の“リベンジ” 11か月越しの想い」は、こちらをクリック。
2巡目その1「山道でダッシュ 指導者は日本記録保持者⁉&柚子に松茸 豊かな信夫山」は、こちらをクリック。
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今度は福島駅近くを離れて、折角の果物の名産地に来ているので、いわゆるフルーツラインへ行ってみます。観光果樹園が並びますが、このあたりは果物の自動販売機や無人販売所も設けられていて、美味しい果物が安い値段で手に入るので、利用者も多いのです。
通称フルーツライン沿いには、果物の無人販売も盛ん。 |
りんご(サンふじ)を格安販売中。 |
こちらの棚は4個入って100円!? しかもその内の1個が大きい! これ100円で良いの?と思ってしまいますが、小さな丸い斑点のような傷が何個かついた、所謂「傷もの」です。その傷の理由は、500円の棚の方に書いてありました。
右の棚は一袋で100円。 |
4個入り(但し、傷あり)。でも安すぎ~。 |
「ひょうが降って痕がついています。」
お店で並ぶ売り物には厳しいですが、こちらに書いてある通り「味は一人前」。嘗ては加工用に回されましたが、傷の部分さえ除けば品質は同じ、という事で買っていきます。
お店で並ぶ売り物には厳しいですが、こちらに書いてある通り「味は一人前」。嘗ては加工用に回されましたが、傷の部分さえ除けば品質は同じ、という事で買っていきます。
安い理由は、雹だった。 |
こんな掘り出し物が、探せばほかにも…。 |
フルーツラインから少し外れたところをぶらぶらしていると、「ラ・フランス」と書かれた自動販売機を見つけます。ラ・フランスとは珍しい。
別の通りには、ラ・フランスの自販機?? |
本当だ。しかも300円! |
撮影していると、近くからお辞儀をしながら車で出掛ける人が。
「もしかすると、生産農家のご家族だったかも…。」
惜しい事をしました。取りあえず撮影を続けましょう。
ラ・フランスの食べ頃などが書かれた説明書があります。どれどれ…
「果肉が硬いままでは、ラ・フランス本来の甘さと香りはでません。全体が黄金色になってプ~ンと香りが強くなったら熟したしるし」
なるほど、そういうものなんですね…。とラ・フランス素人が納得していると、同じ車が戻ってきました。
「もしかすると、生産農家のご家族だったかも…。」
惜しい事をしました。取りあえず撮影を続けましょう。
ラ・フランスの食べ頃などが書かれた説明書があります。どれどれ…
「果肉が硬いままでは、ラ・フランス本来の甘さと香りはでません。全体が黄金色になってプ~ンと香りが強くなったら熟したしるし」
なるほど、そういうものなんですね…。とラ・フランス素人が納得していると、同じ車が戻ってきました。
ラ・フランスの食べ頃などが書いてある。 |
3個で300円? 1個100円とは…。 |
「やっぱり徳光さん? いや、似ているなと思ったんですが、まさかと思って出かけたんですが、もしかしてと思って戻って来たんですよ。」
話を聞かせてもらおうとすると電話をかけ始め、
「母が対応します。」
折角なので待っている間に話を聞くと、
「私で8代目になります。まだまだ勉強中なので…。」
その前に出て来たのはお父さん(7代目)です。
話を聞かせてもらおうとすると電話をかけ始め、
「母が対応します。」
折角なので待っている間に話を聞くと、
「私で8代目になります。まだまだ勉強中なので…。」
その前に出て来たのはお父さん(7代目)です。
私に気付いて戻って来て下さった。 |
7代目(お父様)登場。 |
「うちは農家をして長いですよ。ただ私が病気をしたもので、息子に譲って頑張ってもらおうと思って。」
とお父さんが言えば、
「まだまだです。農業の高校に行ったんですが、現場で父親から教わる事の方が多いですね。」
と息子さん。
「息子はずっと会社員をやっていて、跡を継いでもらう事になったものですから。」
「(やるからには)観光果樹園には負けたくないなって…。」
観光果樹園は会社化して、多くのスタッフを抱え多くのお客さんを迎えます。一方家族経営の農家は人数をかけられず、生産に特化している農家もあり、観光果樹園ほどには目立ちません。それでも質はどちらも優劣つけがたいレベルを保っています。これぞ福島の農家の誇りです。
とお父さんが言えば、
「まだまだです。農業の高校に行ったんですが、現場で父親から教わる事の方が多いですね。」
と息子さん。
「息子はずっと会社員をやっていて、跡を継いでもらう事になったものですから。」
「(やるからには)観光果樹園には負けたくないなって…。」
観光果樹園は会社化して、多くのスタッフを抱え多くのお客さんを迎えます。一方家族経営の農家は人数をかけられず、生産に特化している農家もあり、観光果樹園ほどには目立ちません。それでも質はどちらも優劣つけがたいレベルを保っています。これぞ福島の農家の誇りです。
代々続く農家。息子に代を譲った。 |
「まだまだ勉強中。」元は会社員。 |
今年の果物の出来はどうだったのでしょう?
「今年は6月に雹が降ったでしょ?15分位でこんな。りんごもラフランスも被害が大きかったんです。」
と、被害に遭った果物を見せて下さいました。霜は或る程度防げるそうですが、突然降ってくる雹に、ハウス栽培でもない生産物はひとたまりも無かったようです。それであの無人販売も、傷物を販売していたのですね。
「今年は6月に雹が降ったでしょ?15分位でこんな。りんごもラフランスも被害が大きかったんです。」
と、被害に遭った果物を見せて下さいました。霜は或る程度防げるそうですが、突然降ってくる雹に、ハウス栽培でもない生産物はひとたまりも無かったようです。それであの無人販売も、傷物を販売していたのですね。
7代目が奥から持ってきたのは… |
雹の被害に遭った果物。痕が残っている。 |
そうこうする内に、本来取材に対応してくださる予定だった奥様登場! 手には食べ頃のラ・フランスが!!
「福島県民は桃でも堅いのが好きな方が多いので、ラ・フランスも堅いうちに欲しいという方もいます。出荷も自動販売機もうちでは堅い内に出しますが、美味しいのは、軸のそば(の果肉)を押して、少しへこむくらいに柔らかくなった時。」
確かに軸のそばを押すと、指で押した“あと”が出来ます。
「ただ柔らかくなりすぎてもダメ。メロンと同じです。」
自宅で追熟して食べ頃を見計らって食べるのが美味しいそうです。
「福島県民は桃でも堅いのが好きな方が多いので、ラ・フランスも堅いうちに欲しいという方もいます。出荷も自動販売機もうちでは堅い内に出しますが、美味しいのは、軸のそば(の果肉)を押して、少しへこむくらいに柔らかくなった時。」
確かに軸のそばを押すと、指で押した“あと”が出来ます。
「ただ柔らかくなりすぎてもダメ。メロンと同じです。」
自宅で追熟して食べ頃を見計らって食べるのが美味しいそうです。
奥様登場。 |
こちらは傷なし、追熟したラ・フランスが! |
「どうぞ食べてみて下さい。」
と言いながら奥様が皮を剥いて下さるのですが、剥くそばから果汁が滴って、手が果汁でどんどん濡れていきます。この状態が食べ頃なんですね。
「私は加工品もやっているので、皮むきは得意なんです。」
と言いながら奥様が皮を剥いて下さるのですが、剥くそばから果汁が滴って、手が果汁でどんどん濡れていきます。この状態が食べ頃なんですね。
「私は加工品もやっているので、皮むきは得意なんです。」
加工品も作るので、皮むきが手際よい。 |
剥く度に果汁が滴り落ちる(手も果汁だらけ)。 |
頂いてみると……おおお! 柔らかくて、甘くて、香りが強い。フォークが止まりません! 洋ナシってこんなにおいしいものだと初めて知りました。もしかしたら今までは食べ頃を迎える前、追熟しない内に食べていたのかも知れません。
そして加工品のジャムやコンポートも見せて下さいました。
そして加工品のジャムやコンポートも見せて下さいました。
今が食べ頃、福島産ラ・フランス。 |
奥様手作りの加工品。 |
「震災前から加工はやっていたんですが、商品として作る前には10年以上勉強していました。」
ご主人が奥様の努力をそう説明します。ご本人は
「でも原発事故があって、心折れそうなときもありました。」
と振り返ります。それでも自分たちで育てた果物の味には自信があり、作り続けています。
「ラベルも全部手作りなんですよ。」
奥様の笑顔も可愛いですね。
ご主人が奥様の努力をそう説明します。ご本人は
「でも原発事故があって、心折れそうなときもありました。」
と振り返ります。それでも自分たちで育てた果物の味には自信があり、作り続けています。
「ラベルも全部手作りなんですよ。」
奥様の笑顔も可愛いですね。
傷があっても、中身は同じ。保健所の許可も得て、加工品作りもしている。 |
ラベルの奥様のイラストが可愛い♪ |
「ここら辺は果樹農家が多いんですが、後継者がいなくて辞めちゃった人が多くて…。土も気候も、果樹栽培に向いているんですよ。」
後継者不足はどこも大きな課題。そんな中阿部果樹園は、8代目が福島の果樹王国を支えていきます。
「ラ・フランスは山形が有名ですが、福島市でも生産していたんです。ところがラ・フランスは、病気に弱いので生産が難しいんです。それで段々生産する農家が減っていっちゃいました。今ではフランスでも生産していないらいしいですよ。」
元は別の梨の授粉用に花を育てたのが、ラ・フランス生産の始まりだそうです。
後継者不足はどこも大きな課題。そんな中阿部果樹園は、8代目が福島の果樹王国を支えていきます。
「ラ・フランスは山形が有名ですが、福島市でも生産していたんです。ところがラ・フランスは、病気に弱いので生産が難しいんです。それで段々生産する農家が減っていっちゃいました。今ではフランスでも生産していないらいしいですよ。」
元は別の梨の授粉用に花を育てたのが、ラ・フランス生産の始まりだそうです。
家族経営で、福島産の質の高い果物を生産し続けていく。 |
ラ・フランスは、今年は終わり。 |
2ヘクタール以上の畑を持つ阿部さんは、
「今(12月)も剪定をしていますし、1年中休む暇が無いんですよ。『忙しい』が口癖になっちゃって…。」
これからもそのプライドで美味しい果物をたくさん作ってください。
因みに阿部果樹園の自販機は、福島市の松川を渡る「大萱橋」を南下して、右手に見えます。また7代目の奥様が作る加工品は、道の駅やJAの直売所「ここら」で買う事が出来るそうです。(つづく)
「今(12月)も剪定をしていますし、1年中休む暇が無いんですよ。『忙しい』が口癖になっちゃって…。」
これからもそのプライドで美味しい果物をたくさん作ってください。
因みに阿部果樹園の自販機は、福島市の松川を渡る「大萱橋」を南下して、右手に見えます。また7代目の奥様が作る加工品は、道の駅やJAの直売所「ここら」で買う事が出来るそうです。(つづく)
果樹農家は1年中休む時が無いそう。 |
この自販機で、旬の果物が手に入る。 |
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