2022.10.07
My Broken Mariko
漫画『マイ・ブロークン・マリコ』に初めて出会ったのは、今から2年前。たまたま話題になっている凄い作品があるというので、書店で買って読んだ。ものすごい作品に出会った。普通のコミック単行本の1冊分未満の分量なのだが(もう1つ別のストーリーも掲載されて1冊になっている)、とにかく絵力も話力も圧倒的で、内容が重くて、でも友人を大切に思う“想いの強さ”故の切なさがあって、読み応え抜群の濃密な漫画だった。これが平庫ワカさんのデビュー作なんて…、才能は年齢や経験を選ばないものである。
それが映画化された。監督がタナダユキさん! 中テレ製作のテレビドラマと映画による連作『浜の朝日の嘘つきどもと』でも監督を務め、私も(弊社製作だから、というのではなく)テレビから映画、映画からテレビとリピートしたくらい、面白くて温かみがあって泣いて笑っての作品だった(円盤買ったくらいです)。映画『四十九日のレシピ』も、心にじんわり来る映画だったっけ。
人間の心の機微を温かく描くのが巧い監督なので、でも原作もかなりしっかりしているので、どのような実写版になるのか興味津々だった。
いやぁ、原作を読んだ人間としては、大満足の作品だった。基本、原作に忠実に作られている(手を加えるべきところが少ない、完成度が高い原作だからだ)。そして間が良い。じっくり、ストーリー展開を慌てず、見せるところを見せてくれる。
「シィちゃん」ことシイノトモヨは、ブラック企業に勤めるサラリーマン。或る日、親友の「マリコ」ことイカガワマリコに起きた出来事を知る。親友に起きたその出来事が信じられず、自分に何も言わずにその出来事を起こした事に失望し、シィちゃんはマリコの家に乗り込み、マリコと最初で最後の旅に出る。だがその旅先でも信じられない、シィちゃんを絶望させる“事件”が起き、時間が経過すればするほど親友マリコの記憶が薄れていく事に苛立っていく。一方でいろんな事に裏切られ、傷つくシィちゃんの事を、距離感を保ちながら見守る男性…、しかしその男性も嘗て心に深手を負っていた。
自暴自棄になるシィちゃんに、マリコを思い出させるもう一つの“事件”が起き…、というストーリー。
作品に描かれるシィちゃんは感情むき出しの、恥も外聞もない、そうしなくてはいられなくて全身であがいてもがく女性なのだが、永野芽郁さん、よくここまで演じているなぁ。旅に出る前にどうしようもなく感情がこみ上げる場面、もう見ているこちらも我慢できず一緒に泣いた(今度は映画『母性』で、ドラマ『ハコヅメ』で共演した戸田恵梨香さんと母子役で再共演するんですよね。これも観なくちゃ)。
そして親友のマリコ…奈緒さん凄いです。原作をお持ちの方は41ページだったかのマリコをご覧ください。奈緒さんそっくり! その奈緒さんが、心が壊れちゃったマリコを、ちょっとやばいマリコを、そして自分でも自分に起きる理不尽に説明が付かず「そう思わないと割に合わない」と自分を追い詰めるマリコを演じ、時に無機質で時にシィちゃんの前だからの笑顔を、それはそれは自然に浮かべて見せてくれる(映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の、自分の心を表に全く出さずに笑顔を見せる女性・永作博美さんを思い出したよ。こっちも凄いよ~~(きのう始まったドラマ『ファーストペンギン』の奈緒さんは、シィちゃんに近い? アジを食べた時の笑顔溢れる幸せを、マリコにも味わわせたかったよ~←役柄と中の人がごっちゃになってる)。
そして観ていてぶっ飛んだのは、シィちゃんとマリコの中学時代を演じた佐々木告さん・横山芽生さんの2人!! 巧い!凄い!! 永野さん・奈緒さん演じる2人と、熱量・技量が同じ!!! 特にシィちゃんを演じた佐々木さん、絶叫も煙草を吸う姿も、シィちゃんだよ…。震えたなぁ。
それが映画化された。監督がタナダユキさん! 中テレ製作のテレビドラマと映画による連作『浜の朝日の嘘つきどもと』でも監督を務め、私も(弊社製作だから、というのではなく)テレビから映画、映画からテレビとリピートしたくらい、面白くて温かみがあって泣いて笑っての作品だった(円盤買ったくらいです)。映画『四十九日のレシピ』も、心にじんわり来る映画だったっけ。
人間の心の機微を温かく描くのが巧い監督なので、でも原作もかなりしっかりしているので、どのような実写版になるのか興味津々だった。
いやぁ、原作を読んだ人間としては、大満足の作品だった。基本、原作に忠実に作られている(手を加えるべきところが少ない、完成度が高い原作だからだ)。そして間が良い。じっくり、ストーリー展開を慌てず、見せるところを見せてくれる。
「シィちゃん」ことシイノトモヨは、ブラック企業に勤めるサラリーマン。或る日、親友の「マリコ」ことイカガワマリコに起きた出来事を知る。親友に起きたその出来事が信じられず、自分に何も言わずにその出来事を起こした事に失望し、シィちゃんはマリコの家に乗り込み、マリコと最初で最後の旅に出る。だがその旅先でも信じられない、シィちゃんを絶望させる“事件”が起き、時間が経過すればするほど親友マリコの記憶が薄れていく事に苛立っていく。一方でいろんな事に裏切られ、傷つくシィちゃんの事を、距離感を保ちながら見守る男性…、しかしその男性も嘗て心に深手を負っていた。
自暴自棄になるシィちゃんに、マリコを思い出させるもう一つの“事件”が起き…、というストーリー。
作品に描かれるシィちゃんは感情むき出しの、恥も外聞もない、そうしなくてはいられなくて全身であがいてもがく女性なのだが、永野芽郁さん、よくここまで演じているなぁ。旅に出る前にどうしようもなく感情がこみ上げる場面、もう見ているこちらも我慢できず一緒に泣いた(今度は映画『母性』で、ドラマ『ハコヅメ』で共演した戸田恵梨香さんと母子役で再共演するんですよね。これも観なくちゃ)。
そして親友のマリコ…奈緒さん凄いです。原作をお持ちの方は41ページだったかのマリコをご覧ください。奈緒さんそっくり! その奈緒さんが、心が壊れちゃったマリコを、ちょっとやばいマリコを、そして自分でも自分に起きる理不尽に説明が付かず「そう思わないと割に合わない」と自分を追い詰めるマリコを演じ、時に無機質で時にシィちゃんの前だからの笑顔を、それはそれは自然に浮かべて見せてくれる(映画『腑抜けども、悲しみの愛を見せろ』の、自分の心を表に全く出さずに笑顔を見せる女性・永作博美さんを思い出したよ。こっちも凄いよ~~(きのう始まったドラマ『ファーストペンギン』の奈緒さんは、シィちゃんに近い? アジを食べた時の笑顔溢れる幸せを、マリコにも味わわせたかったよ~←役柄と中の人がごっちゃになってる)。
そして観ていてぶっ飛んだのは、シィちゃんとマリコの中学時代を演じた佐々木告さん・横山芽生さんの2人!! 巧い!凄い!! 永野さん・奈緒さん演じる2人と、熱量・技量が同じ!!! 特にシィちゃんを演じた佐々木さん、絶叫も煙草を吸う姿も、シィちゃんだよ…。震えたなぁ。
休みに小名浜まで自宅から下道で2時間弱…。2本観て来た。 |
映画には、漫画には無い場面も幾つか加えられている。個人的には、旅先からシィちゃんが戻る場面、リアルで好いなぁ。ずれるかも知れないが、石坂浩二版金田一耕助が、事件解決後に探偵料を貰うみたいな…、ずれているか。でもシィちゃんの生きていく事への意欲を感じる、原作には無い素敵な場面だ。
パンフレットは1冊1000円。これは“買い”である。
マリコの手紙の一部が見られるし、あの手紙を書いたのは…。
また裏話も豊富。役作りの凄さ(尾美としのりさん、そこまでしたんですか?)、タナダユキ監督の熱意、出演者も含めた原作と映画へののめり込みようが伝わる。
しかも『浜の朝日の嘘つきどもと』を作っていく時と、映画『マイ・ブロークン・マリコ』の時期も、小道具も、名前も重なったりして…。
そうそう、『浜の…』と言えば、このドラマ版をご覧になった方は必見、パンフレットにはあの“駄作”のポスターまで!? いやぁ、遊び心もファンには嬉しい。
白抜きのページを読むと、もう1回映画をリピートしたくなる(原作を読んだ人は、もしかしたら白抜きのページは上映前に読んでも良いかも!?…責任は取りませんが)。
これで冒頭に原作の1ページまるごと、最後に映画の脚本もついているんだから、映画を楽しめた人は買わない手はない(ツイッターを見ていると、福島県外の一部上映館では売り切れらしい)。
映画『マイ・ブロークン・マリコ』は、県内ではポレポレシネマズいわき小名浜のみの上映。
朝のテレビ小説『エール』で古関裕而をモデルにした役を演じた窪田正孝さんは、シィちゃんが旅先で会う男性マキオの役。佇まいと台詞が染みたなぁ…。映画『ある男』も、観なきゃかな。
※尚、『マイ・ブロークン・マリコ』には児童虐待の内容が含まれています。
パンフレットは1冊1000円。これは“買い”である。
マリコの手紙の一部が見られるし、あの手紙を書いたのは…。
また裏話も豊富。役作りの凄さ(尾美としのりさん、そこまでしたんですか?)、タナダユキ監督の熱意、出演者も含めた原作と映画へののめり込みようが伝わる。
しかも『浜の朝日の嘘つきどもと』を作っていく時と、映画『マイ・ブロークン・マリコ』の時期も、小道具も、名前も重なったりして…。
そうそう、『浜の…』と言えば、このドラマ版をご覧になった方は必見、パンフレットにはあの“駄作”のポスターまで!? いやぁ、遊び心もファンには嬉しい。
白抜きのページを読むと、もう1回映画をリピートしたくなる(原作を読んだ人は、もしかしたら白抜きのページは上映前に読んでも良いかも!?…責任は取りませんが)。
これで冒頭に原作の1ページまるごと、最後に映画の脚本もついているんだから、映画を楽しめた人は買わない手はない(ツイッターを見ていると、福島県外の一部上映館では売り切れらしい)。
映画『マイ・ブロークン・マリコ』は、県内ではポレポレシネマズいわき小名浜のみの上映。
朝のテレビ小説『エール』で古関裕而をモデルにした役を演じた窪田正孝さんは、シィちゃんが旅先で会う男性マキオの役。佇まいと台詞が染みたなぁ…。映画『ある男』も、観なきゃかな。
※尚、『マイ・ブロークン・マリコ』には児童虐待の内容が含まれています。
こちらがパンフレット(B6サイズ。蛍光灯の明かりが入って、済みません)。 |
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