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2024.12.26

映画製作が地域に与えるインパクトとは?浪江町請戸地区を描いたドキュメンタリー映画『そこにあるべきものたち』 板橋基之監督の思い -アートレック#1-

映画製作が地域に与えるインパクトとは?浪江町請戸地区を描いたドキュメンタリー映画『そこにあるべきものたち』 板橋基之監督の思い -アートレック#1-
福島県浪江町請戸地区は、2011年の大津波で住宅も学校も商業施設も全てが流され誰も住めない場所になりました。その一角に土台だけが残っている神社があります。300年以上続く伝統芸能「田植え踊り」が奉納されていた苕野(くさの)神社です。

あれから13年が過ぎた2024年、この神社がついに再建されました。その再建までの道のりと住民たちの姿を撮影し続け、ドキュメンタリー映画を制作した男性がいます。

板橋基之(いたばしもとゆき)さん48歳。
板橋基之さんはフリーのテレビディレクターとして長年活動し、39歳の時に製作した初監督作品はモントリオール世界映画祭でも上映され注目の存在となりました。東京都出身ながら福島にも幾度となく通い、津波被災地に再建されていく神社の姿を撮影し続けていました。

そこには、福島県の外に住んでいる立場で被災地と向き合う葛藤とその時にしか撮れない価値を映画として記録したいという思いがありました。
大津波の被害を受けて土台しか残っていなかったこの苕野神社が再建されるまでを記録したドキュメンタリー映画『そこにあるべきものたち』。撮影のきっかけとなったのは、板橋監督がテレビ番組のディレクターをやっていた震災前に遡ります。

板橋基之監督 「震災前にテレビ番組の取材で請戸漁港の漁師さんたちを取材していました。2011年2月まで取材して3月に放送される予定でしたが、震災が発生したため番組が放送されずにお蔵入りになってしまったんです。」

板橋監督は震災が起きた後も心に引っかかりを感じていました。震災前の浪江町の映像をいつか世の中に出せないかと考え続けていたのです。しかし、被災者ではない"よそ者"という立場でどう向き合うべきか悩みました。実際に震災後、取材対象者に会いに行った際も、カメラを向けることができなかったといいます。
板橋基之監督 「当時取材している人に会いにいったんですけど、やっぱりカメラを向けられなかったんですよ。レンズを顔に向けるのは暴力的な行為になるので、それを受け止められなかった。」

震災後、多くのメディアや被災地を取材していますが、あまりにも甚大過ぎる被害の大きさや被災者が抱える心の傷を理解しきれず、批判を浴びることもありました。板橋さんは、そのような状況の中でほとんど人と会わずに浪江町に通い続け、変わりゆく景色を撮影し続けていたといいます。そんな時、「苕野神社の再建を目指している人たちがいる」という話を耳にします。2023年のことでした。その時の心境を板橋さんは、手記にこう記しています。

【板橋さんの手記 noteより】

この13年間、私は、動かない理由を探して生きてきました。

言い訳して、逃げて、生きてきました。

あぁもうこのままシレッと言い訳して終わっていくのかもな、と、

正直思っていた自分がいたのは確かです。

ちょうどそんな時に「神社が再建されるよ」という情報が届きました。

勢いで、知り合いに電話して、関係者に繋いでいただき

「映画にしたい」とお伝えし、企画書を書いて、取材を開始したのです。
板橋基之監督 「ここに通っている中で出会う人たちはみんな前を向いているんですよね。前を向いて頑張っている。僕は映画を作るときに下向いて歩くより上向いて歩く人を描きたいというのがあるので、その気持ちが徐々に受け入れてもらえたのかなと思います。」

©BasicCinema CO.,Ltd. 映画『そこにあるべきものたち』より
映画『そこにあるべきものたち』に描かれているのは、津波で失われた神社の悲惨な物語ではありません。震災によって人が住めない土地となり、避難を余儀なくされた住民たちが、なおも伝統芸能を守り続ける姿です。豊漁豊作を祈り神社に奉納されてきた「田植え踊り」を継承しようと奮闘する女性たちの姿が印象的で、板橋監督は、まるで一緒に避難生活を送っているかのような目線で彼女たちの言葉や思いを撮影しました。

板橋監督はこの浜通りで映画を作る意味について「そのときしか撮れない価値がある」と言います。

板橋基之監督 「被災地は撮影に訪れるたびに景色が変わっていきます。景色だけでなく、人口がゼロになった町に戻って来る元住民と移住者たちとの交流が次々に生まれています。そこで化学反応というか新たなものが生まれる瞬間は、その時にしか撮れないものなんです。これがフィクション映画だとしても、その風景の中で役者が立っていたら、その時しか撮れないものなので、"価値あるもの"だと思います。」
苕野神社は2024年2月についに完成の時を迎え、板橋さんが撮影した映画も11月に完成しました。その初上映は映画館ではなく、なんと、映画の舞台となった苕野神社の境内で行われました。製作に関わった関係者も「神社で初上映を行う映画はみたことがない」と言います。境内に設置された大きなスクリーンを見て、宮司も驚きを隠せませんでした。

苕野神社宮司「全てを失った請戸地区の住民たちの心情を察してですね、本当に丁寧に撮影していただきました。神社での奉納上映ということで、まず神様にみていただければならないんだという板橋さんの思いを感じ、本当にすばらしいことだなと感じています。」

上映会には、映画でも描かれた「田植え踊り」の指導者、佐々木繁子さんも訪れ、涙ぐんで板橋監督に駆け寄りました。
浪江町請戸地区出身・佐々木繁子さん 「涙が出てきました。板橋監督にはわがままばかりを言いましたが、息子のような人。その人柄の良さが映画にも出ていると思います。全てを失った私たち請戸にとっては、この映画は宝物です。永久に残る宝物です。」

"よそ者"であった一人の映画監督が、撮影を通して地域の人に認められ、その作品を「宝物」、とまで評されるようになったのです。ある浪江町の人は「請戸の復興の1歩目が苕野神社の再建。そして2歩目がこの映画だと思っている」と話します。映画が被災地にもたらすインパクトはそれほど大きなものでした。
板橋基之監督 「東京の人たちに浪江町に取材で通ってますと言うと、『浪江町は入れるの?住めるの?飲食店あるの?コンビニあるの?泊まれる場所あるの?』とみんなに言われます。何もわかってない。原子力災害があって、誰も住めなくなりました。というところで思考がストップしちゃって、認識がストップしちゃってる。やっぱり被災地に映像製作者や様々なアーティストが入り、創作活動の中で地域の人たちと交流すること、すごく大切なことなのかと思いますね。」

福島県浜通りでも、映画、演劇、現代アート等の分野で活躍する芸術家たちの被災地での滞在や創作活動が行われており、地域住民との交流も生み出されています。板橋さんもその一人ですが、被災地で創作をする意義について、次のように話します。
板橋基之監督 「福島県浜通りは"ゼロからイチを生み出すきっかけとなる場所"だと思います。住んでいる人たちにとって、この発言は失礼になるかもしれないのですが、被災地の現状を知らない人が来て、復興していく様子やまだ震災の爪痕が残っている現状をみることは、新たな作品を生み出すためには必要なことだと思います。」

映画『そこにあるべきものたち』は、2025月1月にも福島県内で上映が予定され、今後は国内外の映画祭への出品や劇場公開を目指しています。

震災前に撮影した映像を眠らせないために浪江町に通い続けた13年間、板橋監督にとって福島県浜通りは「震災から時間が止まった場所」ではなく、「ゼロからイチを生み出すきっかけとなる場所」です。

苕野神社の再建と地域の人々が上を向いて歩く姿を記録した映画は、地域の人々にとって「永遠に残る宝物」となりました。その映画は神様に奉納され、いよいよ世に送り出されます。
<☑YouTube動画はコチラ>
<映画『そこにあるべきものたち』HP>
https://www.sokoniarubeki.com/

<「ハマカルアートプロジェクト2024」HP>
https://hamacul-project.com/
シリーズ企画「アートレック」
タイトルの「アートレック」はアート(芸術)、アトレ(魅力)、トレック(旅)、レック(記録)を組み合わせた造語です。アーティストたちが被災地を訪れその魅力を記録していく活動や思いをYouTube動画・WEB記事・テレビ番組で伝えていきます。
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