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2022.07.16

バンクシーの人気作品《風船と少女》から見える世界とは―?開幕から10日で来場者1万人「バンクシーって誰?展」

#バンクシーって誰?展
バンクシーの人気作品《風船と少女》から見える世界とは―?開幕から10日で来場者1万人「バンクシーって誰?展」

謎に包まれたアーティスト、バンクシー。
その謎に迫る企画展「バンクシーって誰?展」が、6月29日(水)から福島県郡山市のビッグパレットふくしまで開催中です。
今、世界で最も注目を集めるアーティストと言っても過言ではないバンクシーの魅力を連載でお伝えし、「バンクシーって誰?」という問いかけの先にある答えを、皆さんと一緒に探していきます。

 


7月8日(金)に、開幕から10日で来場者数1万人を突破した大好評の美術展「バンクシーって誰?展」郡山展。さらに来場者数は伸びて、7月15日(金)には、2万人を突破しました。
なぜこれほどまでにバンクシー作品が多くの人の関心を集めているのか、そして、「バンクシーって誰?展」の魅力とは一体何か、深堀していきたいと思います。



来場者数1万人目となったのは茨城県水戸市に住む神長さんご家族。
カタログやタオルなどの記念品が贈られました。

既に会場を1周してきたという神長さんは、
「前から観たいと思っていた作品が、こういう時代背景で、こういう人物によって作られたということがわかって、とても勉強になり、影響を受けた。今後もバンクシー作品を観ていきたい」と話していました。

そんな、神長さんがずっと観たいと思っていた作品とは、バンクシーの代表作といってもいい作品《風船と少女》だそうです。
前回の記事でもご紹介した、2018年にサザビーズのオークションで約1億5000万円で落札された直後に、額縁に仕込まれたシュレッダーで裁断された事件を知り、観てみたいと思ったそうです。
(※なおこのいわゆる「シュレッダー事件」の《風船と少女》は、のちに《愛はゴミ箱の中に》という名前に改名しました。)

ちなみに、《愛はゴミ箱の中に》は、2021年、再び競売にかけられ、なんと前回の価格を大幅に上回る約25億円で落札されたそうです。


郡山展にてスタッフが撮影

赤いハートの風船に向かって手を伸ばす少女。このハートの風船が意味するものは何なのか。そして、この少女が浮かべている表情が映し出しているものは絶望なのか、それとも希望なのか。それは見る人によって解釈が違うかもしれません。

そんな中、シリアの内戦開始から3年がたった2014年に、反戦を訴えるキャンペーンの広告塔になり、アメリカの歌手ジャスティン・ビーバーが腕にこの作品をモチーフにしたタトゥーを入れるなど、平和や希望を願う象徴として知られるようになりました。

この《風船と少女》という作品。今回の「バンクシーって誰?展」では、3つの形で楽しむことが出来ます。

ひとつめは、額装作品の《風船と少女》。



Screen Print on paper 
つまり、こちらは紙の上に描かれたシルクスクリーン作品です。
シルクスクリーン作品とは、デザイン部分にのみ孔(あな)があいているメッシュ状の版をつくり、インクを押し出して印刷するというシンプルな技法です。

ふたつめも、額装作品の《風船と少女》。
タイトルにDiptych(ディプティック)とありますが、これは2枚のキャンバスに描かれていることを示しています。



キャンバスが2枚になっているため、同じモチーフでも、風船が遠くまで飛んでいて、上の作品とは少し違う印象を受けますよね。
こちらはSpray paint and acrylic on canvasとありますので、ステンシル(型紙)を使用してスプレーで描かれた作品です。少女の指先がスプレー特有のうっすらとした表現になっていて、なんだか想像が掻き立てられます。

三つめは、イギリス・ロンドンのウォータールー橋のたもとの階段に描かれた《Girl with Balloon》の街並み再現です。


郡山展にてスタッフが撮影


この場所は、《風船と少女》がはじめて描かれた場所です。(ちなみに他にも《風船と少女》は様々な場所に描かれたそうです。)
現在は塗りつぶされてしまい、もう実物を見ることは出来ません。
右側の「THERE IS ALWAYS HOPE(いつも希望はある)」という言葉は、バンクシーが書いたわけではなく、通りすがりの人がバンクシーのこの絵に呼応して書き加えたものです。このように、ストリート・アートだからこそ、バンクシーではない何者かによって作品がどんどんアップデートされていくことも、とても面白いポイントです。

同じ《風船と少女》でも、3つのパターンがあることからもわかる通り、バンクシー作品は同じモチーフが様々な形、様々な場所で描かれることがしばしば。これは、バンクシー作品が「デザイン」としての価値を持っているから、ともいえるでしょう。


ちなみに、バンクシーの作品の中で、実は風船と少女をモチーフにした他の作品もあります。それは、今もなおイスラエルとパレスチナの紛争が続くベツレヘムに描かれた《Flying Balloon Girl》という作品です。


©Shiotsuka Yuta

丸い8個の風船につかまって、分離壁を乗り越えようとする少女の姿。描かれているのはシルエットだけなのに、不思議とこの少女の表情が浮かび上がってくるような気がする作品です。

この作品は、イスラエルによってイスラエル人をパレスチナ人による自爆テロから守るという名目で建設されている、イスラエル人とパレスチナ人を隔てる"分離壁"に描かれました。
人を隔てる壁といえば、ベルリンの壁を思い浮かべる方も多いかもしれませんが、このパレスチナとイスラエルを隔てる壁は、ベルリンの壁のなんと約2倍、8メートルもの高さ。さらに驚くべきことに、最終的な長さは710kmになるということで、郡山から大阪まで行けるくらいの長さの、途方もないくらい巨大な壁です。

この壁があることで、人々はたとえ壁の向こう側にある場所が自分の土地であっても、自由に行き来することが出来ないなど、生活が分断され、この壁は国連によって国際法違反と人権侵害であると非難されています。
バンクシーはこの分離壁について、自身が手がける作品集「Banksy Wall and Piece」の中で、「現在のパレスチナは、世界最大の野外刑務所である」と綴っています。つまりこの作品は、そんな分離壁について、そしてパレスチナ問題について、もっと世の中の人々に知ってもらうために描かれました。

他にも、バンクシーはこの分離壁に9点の作品を描き、更に「The Walled Off Hotel(世界一眺めの悪いホテル)」と称した、窓から分離壁しか見ることが出来ないホテルもつくりました。このホテルはバンクシーが装飾を手掛けており、勿論、実際に泊まることも出来ます。(ちなみに「バンクシーって誰?展」ではこのホテルの窓からの眺めを再現したエリアがあります。)
公式Webサイトも面白いので、もしよろしければぜひご覧ください。
https://walledoffhotel.com/

『BRUTUS Casa バンクシーとは誰か?』によると、このホテルが出来たおかげで、世界各国から報道陣や観光客が集まり、ホテル近くにあったイスラエル軍の駐屯地は撤退したと書かれています。


―アートを通じて世界を変えるー

受け取り方は様々だけれど、たしかに人の心を、足を、そして組織を動かすバンクシー作品。
アートという平和的な手法で世界を変えるのは難しい、でもバンクシーのその強い影響力をみていると、それは本当に可能なことなのかもしれないと思えてきます。
そして、彼の作品はきっかけであり、ただ鑑賞するものではなく、そこから鑑賞者が"考えること"と”行動すること”のほうがずっと大事なのかもしれないことに気づかされます。
もっと言えば、私たちが考えたり、行動することそのものも、作品の一部なのかもしれませんね。

次回の連載では、「バンクシーって誰?展」とのコラボメニューをご紹介します。


Chu!PRESS編集部 かなごん
 
※この記事はストリート・アートに言及していますが、「公共物に絵を描くこと」は犯罪行為で、器物損壊罪や建造物等損壊罪にあたる可能性があります。「バンクシーって誰?展」では犯罪行為を推奨・容認していません。

「バンクシーって誰?展」郡山展は8月24日(水)まで福島県郡山市のビッグパレットふくしまで開催中。

〈参考文献〉
・「バンクシーって誰?展」カタログ, 2021, 日本テレビ放送網
・Banksy,Wall and Piece, 2005, Century
・BRUTUS Casa 特別編集マガジンハウスムック バンクシーとは誰か?【完全版】, 2021年8月1日発行, マガジンハウス

 
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