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#ミネアポリス美術館日本絵画の名品展 (5件)

2021.09.04

時代を超えて生き続ける日本絵画のデザインの魅力に迫る!/ミネアポリス美術館日本絵画の名品展

時代を超えて生き続ける日本絵画のデザインの魅力に迫る!/ミネアポリス美術館日本絵画の名品展
2021年9月5日まで福島県立美術館で開催され、日本美術のコアなファンも、思わず唸ってしまうほどの名品が勢揃いした「ミネアポリス美術館 日本絵画の名品展」。
日本美術超初心者の筆者が実際に会場へ足を運んで感じた各展示の魅力と、それぞれの作品の裏側にあるアイデアの原点まで、じっくり深掘りして連載でお伝えしていきます。


※美術展は終了しました。2021年9月4日に掲載した記事です。

こんにちは。Chu!PRESS編集部のかなごんです。
連載最終回となる今回は、「第4章琳派」「第5章浮世絵」の魅力と面白さを、素人ながらにご紹介します。
9月5日で福島県立美術館での展示が終わってしまいますので、この記事で、日本絵画の魅力を少しでもお伝えできれば、展示を思い返すきっかけをつくることができれば嬉しいです。

 

●琳派って何?



琳派の代表的な絵師と聞けば、尾形光琳を思い浮かべる方も多いのではないでしょうか。
特に、金色の屏風に、スタンプのように燕子花の絵が並んだ、有名な作品「燕子花図屏風」は、シンプルでありながら、その高いデザイン性で高く評価されています。

今回、「ミネアポリス美術館日本絵画の名品展」では、そんな琳派で才能の花を咲かせた尾形光琳の作品をご覧いただくことは出来ませんでしたが、琳派を始めたと言われており、寛永年間(1615-44、だいたい江戸幕府第3代将軍の徳川家光の時代です!)に活躍した俵屋宗達の作品や、尾形光琳から学んだ酒井抱一などの作品をご覧いただけます。

では、そもそも琳派とは何でしょうか。
前回の連載で、日本絵画史上最大の流派である、狩野派をご紹介しました。彼らは血縁で繋がっていた流派でしたが、琳派は血縁で繋がっているというわけではなく、それぞれが琳派の作風に憧れ、直接師弟関係があるわけではないけれど、作風を継承していった流派です。

画材は岩絵具や金箔銀箔などを使用しており、とても鮮やかな作品が多いそうです。

 

●今にも会話が聞こえてきそう?!池田孤邨の三十六歌仙図屏風



写真だと伝わらないかもしれませんが、この作品、とても大きいです。173センチくらいあります。
一際鮮やかに描かれているこの作品、よく見ると黒装束(おじさんたちが着ている黒いお召し物)に滲みがあるなぁなんて思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。これは、俵屋宗達がはじめたと言われる「たらし込み技法」で、にじみをコントロールして描いているんだとか。計算され尽くした偶然が生み出す芸術です。

この三十六歌仙図屏風、尾形光琳や酒井抱一も描いているそうなのですが、三十六歌仙とは平安時代の和歌の名人36人のこと。つまり、この作品は、実際にこのような光景を見て描いたのではなく、想像して描かれたものだということがわかります。バラバラの視線、表情…だからこんなにもそれぞれが個性的なのか…と合点がいきますね。

右上の黒装束のおじさんはどうやら左側の様子が気になっているようだし、左の真ん中のおじさんは今で言うカメラ目線で、まるで絵の前に立つ私たちを見透かすような眼差しです。左上の緑色のお召し物を着たおじさんなんかは、どこかクスッと笑ってしまうような、そんなユーモアを感じます。



誰がどの歌仙なんだろうか、と考えながら鑑賞するのも楽しそうです。

 

●浮世絵って何?


浮世絵といえば、このあとご紹介する葛飾北斎の富嶽三十六景や、東洲斎写楽の役者絵を思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。
日本だけでなく、世界で愛されている浮世絵とは、そもそもどんなものなのでしょうか。



浮世絵は、現在でいう雑誌のようなものだったそうです。
つまり、浮世絵に描かれているものは当時流行っていたものたち
風景画は旅行雑誌のようなものだったし、歌舞伎の役者たちを描いた作品は、今で言うアイドルのプロマイド写真のようなものでした。
庶民の人々も手に入れることのできる、比較的安くて質のいい美術品として、親しまれていたそうです。

浮世絵が誕生した頃は肉筆画と木版の単色刷りでしたが、のちによく目にする「錦絵」と呼ばれる色鮮やかな多色刷りが主流になっていったそうです。

現代では、作品の全工程をアーティスト自身が手がけることが多いので、個人的には浮世絵もすべて絵師がひとりで作品が作り上げられたのではないかという漠然としたイメージがありましたが、実は浮世絵には絵師・彫師・摺師というそれぞれの分野のプロが存在し、分業体制で生み出されていたそうです。
チームワークが生み出した芸術ですね…。

 

●デフォルメの達人・東洲斎写楽の「二代目市川門之助の伊達与作」


つぶらな瞳と、物言いたげなへの字に結ばれた口元が、なんとなく、「わかる」なあと思ってしまうこの作品。
歌舞伎役者の二代目市川門之助が描かれています。

この作品を描いたのは、東洲斎写楽。(写楽と聞くと、福島の方なら日本酒を思い浮かべてしまうのは私だけでしょうか…)
彼はGoogleで検索しようとすると2番目に「東洲斎写楽 謎」と出てくるくらいに謎に包まれた絵師だったようなのですが、その理由は、デビュー作で一気に28作品も手がけ、その後わずか10ヶ月間で姿を消したからなんだそうです。
たったの10ヶ月で世界をまたにかけて知られる作品を作った写楽、冷静にすごすぎます。

話は変わりますが、音楽室に並んでいる肖像画って美化されすぎていて、実は本人に似ていないという説がありますよね。
浮世絵の世界でも同じだったようで、普通は少し美化して描いていたそうなのですが、写楽はそれぞれの顔の特徴を強調して、ありのままを描いていたそうです。(……歌舞伎役者からは嫌われそうですね…。。。)

 

●誰もが一度は見たことのある作品「葛飾北斎/富嶽三十六景凱風快晴」


冨嶽三十六景 凱風快晴 葛飾北斎 Gift of Louis W. Hill, Jr.

この作品はとても有名なので、どこかで見たことがあるかもしれませんね。
赤く染まり、威風堂々とした富士山が描かれています。
最近ビールのラベルにもこの赤富士が印刷されているのを発見しました。葛飾北斎は亡くなってから170年以上たった現在も、ある意味デザイナーとして生き続けているってことです…圧倒されてしまいます。

富士山をさまざまな角度から描いているこの富嶽三十六景、この凱風快晴は、山梨県側の山の北部か、あるいは北東部から見た景色だと言われているそうです。

私は、葛飾北斎が何度も改名していて、ある時「画狂人」と自称していたというエピソードが大好きです。自分で、「絵に狂った人」だと名乗るって、相当絵に没頭していた人じゃないと出来ないと思うのです。
そんな北斎の生きざまを、作品から垣間見るのも楽しいです。

 

今回で、「ミネアポリス美術館日本絵画の名品展」の連載を終わります。
このほかにも、今回の美術展には、とても面白い作品が沢山展示されていました。
一部を写真でご紹介します。
 

左から、「河鍋暁斎/手長足長図」「葛飾北斎/百物語 さらやしき」「伊藤若冲/鶏図押絵貼屏風」

この連載は超初心者目線で日本絵画の魅力を紐解いてまいりました。
少しでも日本絵画に興味を持ったり、美術展を思い返すきっかけになっていたら嬉しいです。


Chu!PRESS編集部 かなごん
 
〈参考〉
図録−ミネアポリス美術館日本絵画の名品Masterpieces from Japanese Painting collection of the Minneapolis Institute of Art
「一目置かれる知的教養日本美術鑑賞 」/ 秋元雄史, 大和書房
「マンガで教養 やさしい日本絵画」 / 山下裕二(監修), 朝日新聞出版



 
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