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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
with a camera in Minami-soma City 2
 相馬野馬追の新旧名騎馬武者にお話を伺った後は、市役所の観光交流課の方に伺った市の名物「アイスまんじゅう」の生産工場に行ってみる事にします。
 松永牛乳は明治33(1900)年に創業した老舗の牛乳工場です。地元の方は、牛に「まつなが」のデザインはよくご存じのことでしょう。
こちらが「アイスまんじゅう」を作っている松永牛乳の工場。
こちらが「アイスまんじゅう」を作っている松永牛乳の工場。
地元で親しまれている牛乳会社。
地元で親しまれている牛乳会社。
 早速お邪魔すると、最初に対応して下さった女性がわざわざ社長を呼んでくださいました。アイスまんじゅうの工程を撮影出来ないか伺うと、中の製造の様子の取材はNGでした。というのも手作業があり、衛生管理された従業員しか入れず、また見学用のガラス張りの窓なども無いとの事でした。
「でも出来上がったアイスまんじゅうならありますよ。」
 試食はOKを頂きました♪
牛にまつながのマークは、地元ではなじみ深い筈。
牛にまつながのマークは、地元ではなじみ深い筈。
工場内は衛生上の問題などで従業員以外は入れない。
工場内は衛生上の問題などで従業員以外は入れない。
「どうぞ。」
と出して頂いたのは、まさに“産直”の「手作りアイスまんじゅう」。あ、正式名称は「手作り」とつくんですね。
試食用に出して下さった。
試食用に出して下さった。
これが南相馬市名物「手作りアイスまんじゅう」。
これが南相馬市名物「手作りアイスまんじゅう」。
 袋を開けると、梅の花のような形をした白いアイスに、中のあんこが透けて見えます。
 まず一口…さっぱりした甘さの中にもミルクの味がしっかりしています。ただあんこに届かなかったので、もう一口……おお、滑らかなあんこが、外のミルクアイスに負けない存在感を表し、ミルクのコクとよく合います。
「うちではまず外のアイス部分を固めていき、途中にあんこを入れて、最後にスティックを刺す方法で従業員が一つ一つ作っているんです。」
 なるほど、文字通り「手作り」なんですね。このアイスまんじゅう、どうやって生まれたのでしょう?
アイスまんじゅうは、アイスをまんじゅうの皮に見立てている。
アイスまんじゅうは、アイスをまんじゅうの皮に見立てている。
「手作り」である所以を話す社長さん。
「手作り」である所以を話す社長さん。
「太平洋戦争が終わって、冷たいもの・甘いものは貴重だったんですね。当時の社長がアイスまんじゅうの作り方を聞いて、その作り方(の権利)を買い取ったんです。うちは既に牛乳は明治時代から作っていたので、当時の社長がどこからか冷凍機械を手に入れてきたんです。それで作ったら売れたんです。」
 なるほど別に元祖があったんですね。
「考えた人は天才ですね。西日本は粒あんなんですが、うちは練り餡なんです。練り餡は練ってある分甘さの味付けも全体に浸透しやすいんです。それでうちは周りのアイスの部分はあっさりした甘さにして、中の餡の甘さとバランスをとっています。西日本は逆に外のアイスを甘くしているんです。面白いですよね。うちの中の餡は周りのアイス程硬くならないように、工夫して作ってもらっています。外は硬くて、中はやや柔らかめにして、食べやすいように。」
 確かに外のアイスに比べて、中のあんこは滑らかで食べやすい=かじり易かったのです。そうやって全てが引き立つのも、牛乳が美味しいからでもあります。
「スイーツはコミュニケーションツールなんです。だから全国にアイスまんじゅうがありますが、『こちら(松永牛乳)が元祖なんでしょ?』と言われても『そうです』と言わずに『実はこういう経緯で作り方を教わって作ったもので、全国にいろんなアイスまんじゅうがあるんです』って話をします。そうすると話が弾んでいくんです。スイーツはそういうコミュニケーションが生まれる為のきっかけになるものだと思っています。」
 これは深いい話です。そう言えば、最後にアイスが落ちちゃうっていう「あるある」を聞いたのですが…。
アイスまんじゅうの由来を、丁寧に話して下さった。
アイスまんじゅうの由来を、丁寧に話して下さった。
食べると中はこんな感じ(役所で頂いたプリントより)。
食べると中はこんな感じ(役所で頂いたプリントより)。
「最後が巧く食べきれず落とす人が多いのは、アイスまんじゅうを売っている道の駅などに行くでしょ、そうすると白い跡のようなものが地面についているんですよ、それを見て『あ、これは最後に落としたな』っていうのが分かります。これは周りを上から下へと食べて、また上から下へと周りから攻略して、最後は中の棒に近い部分に残ったのを一口で行くのが好いですね。」
 それを聞いた私は、落とさず最後の一口まで食べる事が出来ました。
 そういえば昔ながらの味って、実は時代に合わせて少しずつ分からないように変える…なんて話を聞く事がありますが、アイスまんじゅうに関してはどうなのでしょう?
「味は20年近く前から全く変えていません。」
 試行錯誤の末、これ以上味を改善する必要がないところまで行きついた、いわば味を極めた証でもあります。
 すると先程対応して下さった女性の方が、こんなのもありますと別のものを持ってきてくださいました。
アイスまんじゅうの味は、約20年前から変えていないという。究極の味わいなのだ。
アイスまんじゅうの味は、約20年前から変えていないという。究極の味わいなのだ。
こういった場所の地面に、アイスまんじゅうの解け落ちた”跡”が散見されるらしい。
こういった場所の地面に、アイスまんじゅうの解け落ちた”跡”が散見されるらしい。
 「のんだら乗るな 飲むなら牛乳」と書かれたステッカーです。作ったきっかけを社長に伺いました。
「これは最初、うちの工場に掲げてあった標語なんです。これが面白いんじゃない?って話になって、ステッカーにしたんです。これは車に貼る想定で作ったので、だったら神社で御祈祷してもらおうと。最初は『車はお祓いした事はあるけど』と言われ、戸惑われました。」
 わざわざ御祈祷済みとは、神社のお守り並みのご利益がありあそうです。そして4色もあるんですね。白は工場の掲示と同じ色として、ほかはもしかして交通安全だけに信号の色ですか?
交通安全ステッカー(神社祈祷済み)。モデルは…
交通安全ステッカー(神社祈祷済み)。モデルは…
工場に掲げられた標語。
工場に掲げられた標語。
「白だけでは面白く無いので、色を増やそうと思って浮かんだのが、相馬野馬追なんです。野馬追の神旗争奪戦の旗って、神社によって旗の色が違うんですよ。そこでそれぞれの地区の神社の旗の色に合わせて4色にしました。」
 赤は相馬太田神社、黄色は相馬小高神社、青は相馬中村神社の色で、それぞれの神社で御祈祷を受けたそうです(因みに白は松永牛乳のある相馬太田神社に祈祷してもらっているとの事です)。
「ステッカーは白以外にも…」と思いついたのが、野馬追だった。
「ステッカーは白以外にも…」と思いついたのが、野馬追だった。
神旗争奪戦に合わせて、各神社に祈祷してもらってある。
神旗争奪戦に合わせて、各神社に祈祷してもらってある。
 更には新型コロナウイルス対策にもなるマスクです。
「うちの会社のマークをもじっていて、牛にもマスクをさせています。マスクは二重構造で、間にフィルターを入れても良いし、暑い時には保冷剤を入れる人もいるそうです。」
 そして極め付きは、こちら!
マークの「まつなが」が「しっかり」に、MILKがMASKになっている。
マークの「まつなが」が「しっかり」に、MILKがMASKになっている。
牛もちゃんとマスクをしている。
牛もちゃんとマスクをしている。
 なんとCDまで出していたのです!! 裏を見ると、ナレーションやジングルのほか5曲も収録されています。何でも神奈川のバンド「相模の風 THE めをと」がアイスまんじゅうの美味しさに感動して歌を作ったのだとか。歌詞には全てアイスまんじゅうが織り込まれているそう。
こっちの牛はカメラ目線だ。
こっちの牛はカメラ目線だ。
牧歌的なデザインが素敵だ。
牧歌的なデザインが素敵だ。
「私はアルバム世代。形に残したいし、シングルじゃなくて、アルバムの曲構成に感じるところがある世代なんです。そこで1000枚作ったんですが…まだありますよ。」
 基本はアイスまんじゅうを色々な曲調や、恋愛になぞらえる歌詞などにして、歌い上げています。そこまで思い入れがあるのには、こんな若い時の経験がありました。
「内にいると分からないんですよ。私は高校・大学と福島県を離れて、『あ、アイスまんじゅうが無いんだ』と気付いたんです。そういう味が地元にあるって凄い事だと思います。例えばババヘラアイスにしても、独特な名前ながら、そのまま昔ながらの形と味で残っている、こういうものが大事なんだと思います。」
サブスクではなく、CDを作った。
サブスクではなく、CDを作った。
ご当地スイーツの意義についても、熱く語る社長さん。
ご当地スイーツの意義についても、熱く語る社長さん。
 これらのグッズやアイスまんじゅうは、道の駅などで手に入るそう。帰りに、寄っていく事にします。
 色々お話を聞かせて頂き、有難う御座いました。そして帰ろうとすると…外が大変な事になっていました。
松永牛乳グッズは、道の駅などで入手可能。
松永牛乳グッズは、道の駅などで入手可能。
外は局地的な雷雨に…。
外は局地的な雷雨に…。
 画像でも分かる位の土砂降りの雨。しかも雷鳴が轟いています。屋根には雨樋があるのですが、恐らくその雨樋から溢れているのでしょう。屋根の雨水を受け止め地下へ流す雨樋の入口が溢れ、滝のような状態に…。この雨では、ちょっと人との出会いは難しそうです。
 でもここまで野馬追と、美味しい地元名物(と関連グッズ)の話が聞けていたので助かりました。この後、お昼ご飯とします。(つづく)
雨樋から溢れるように、大量の雨水が滝のように…。
雨樋から溢れるように、大量の雨水が滝のように…。
雨樋の排水量を超えたようだ。
雨樋の排水量を超えたようだ。
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