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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
two books on unique culture
 この土日月の3連休と木曜の休日とを合わせて「シルバーウィーク」と呼ぶ向きもあるとか。コロナ禍で連休をどう過ごそうか、悩まれている方もいらっしゃる事でしょう。読書の秋なんていうのは、如何でしょう?福島県関連の話題も出て来る2冊をご紹介します。個人的に面白かった2冊です。
 
読書の秋のお供に、宜しければ…。
読書の秋のお供に、宜しければ…。
『自然との共生を目指す山の番人 奥会津最後のマタギ』(滝田誠一郎著 小学館 1540円)

 夕方の番組『ゴジてれChu!』を毎日のようにご覧の方は、見た事があるという方がいらっしゃるかも知れません。番組でも取材した、金山町の猪俣昭夫さんとその周辺の方々の話です。
 マタギとは東北などの山間で狩猟を生業とする人の一団を指しますが、単なる狩猟集団というよりは、その集団ごとの決まり事や文化なども継承する集団です。ただ奥会津の金山町では、マタギが猪俣さんただ1人となり、そのマタギの文化や自然への考え方を伝えるべく、後継者を育てながら、尚且つ令和の今マタギとして暮らしていけるよう狩猟以外の収入源の確保まで考えを巡らす猪俣さんとその周辺の人々を追いかけています。
 改めて猪俣さんの自然に対する考え方が、とても深くて学ぶことが多いのです。人間と自然とが巧く折り合いながら、干渉しすぎず、お互いが生かし合える“良い関係”を続けている、先人の知恵を受け継ぎ、そして今の時代・事情に合わせながら、でも本筋は変えない・変わらない(それを伝統というのでしょう)、そんなマタギを含めた色々な文化を伝えようとする猪俣さんの“哲学”も垣間見えてきます。
 そうそう、番組で追いかけていた時の熊狩猟の場面も、滝田さんの視点から書かれていますよ。その道のりの大変さを知るに、うちの番組スタッフもよく猪俣さん達を雪山で追いかけ切れたなぁと思わず嘆息(私も行ってみたいと思ったけれど、こりゃ無理だわ)。
 個人的には番組の猪俣さんの特集が好きで、そしたらたまたま聖火ランナーにもなった猪俣さんを取材する機会に恵まれ、お会いする事が出来たのが、ついこの間のように思われます。お元気かな。新型コロナが落ち着いたら、奥様の店のラーメンを食べに行きたいな…。

その取材時のこぼれ話は、こちらをクリック(2020年2月7日)


 9月4日の福島民友新聞の書評にも載ったので、今なら県内の書店だと手に入りやすいかも知れません。
 
去年取材した時、猪俣さんとの2ショット。
去年取材した時、猪俣さんとの2ショット。
『土偶を読む』(竹倉史人著 晶文社 1870円)

 たまたま出かけた書店で平積みになっていたので、手に取った一冊だったのですが…
 土偶への見方が完全に変わる一冊。面白い!
 著者の竹倉氏は「土偶は本当に人体をデフォルメしているのか?」という疑問から、或る結論を導き出します。それは本の冒頭に写真付きでネタバレするのですが、その結論が如何に真実(に近い筈)かをフレイザーの『金枝篇』から始まり、発掘された地域の土偶製造当時の植生などときちんと照らし合わせ、時に現場に赴き、紐解いていきます。
 ハート形土偶をはじめ、福島県で発掘された土偶も出てきますよ。
 個人的には著者の説に、大いに納得。なるほど、だから或る意味統一感のある土偶のグループ(ハート形など)が出来上がるのね、そうやって精霊と対話し、感謝していたのね、と縄文人の暮らしに思いを馳せました。読んでいて止まらなくなり、一気読みした一冊です。

 個人的に面白かった本の話でした。コロナ禍の生活が、少しでも充実したものになりますように…。