2021.08.25
Japanese flavored ramen
きょうの『ゴジてれChu!』では約2か月ぶりに、県内の美味しい麺料理を紹介する「ふくしまイケ麺探し」のコーナーをお送りしました。今回リポーターを務めた私が訪れたのは福島市にある「支那そば 二階堂」。きょうはその取材&こぼれ話です。
支那そば二階堂の、味わうべき定番「しょうゆ」(750円) |
こちらの店は住宅街の中にあり、店を構えて20年になります。ここの定番が、「しょうゆ」です。
まずは予備知識なく頂く事に…。
まずは予備知識なく頂く事に…。
福島市笹谷(ささや)の住宅街にある「二階堂」。駐車場17台分あり。 |
店内は(新型コロナウイルス流行前は)20人余りが入れる。 |
見た目は昔懐かしのラーメンといった趣で、醤油と何かの出汁でしょうか、旨味を伴った佳い香りがします。
スープは、見た目よりあっさり。醤油がそれほど強くなく、寧ろ旨味がしっかりしていて、和を感じさせる上品な味わいで、飲み干せるタイプのスープです。
麺は細く、縮れています。これがスープをよくからめとります。あっさりスープとバランスをとるには、やはり細麺でないと、麺の小麦の味が勝ってしまいます。麺をすする度に旨味が広がります。
こちらのご主人、近野さんの経歴を伺ってびっくり。
「以前は和食の料理人だったんです。」
スープは、見た目よりあっさり。醤油がそれほど強くなく、寧ろ旨味がしっかりしていて、和を感じさせる上品な味わいで、飲み干せるタイプのスープです。
麺は細く、縮れています。これがスープをよくからめとります。あっさりスープとバランスをとるには、やはり細麺でないと、麺の小麦の味が勝ってしまいます。麺をすする度に旨味が広がります。
こちらのご主人、近野さんの経歴を伺ってびっくり。
「以前は和食の料理人だったんです。」
「しょうゆ」のスープ。澄んだ琥珀色だ。 |
麺は細い縮れ麺。スープとのバランスが素晴らしい。 |
実はラーメン店を開く前に和食の料理人として23年間勤めあげ、最後はとある店の料理長にまでなった方です。その近野さんが一念発起、ラーメン店を開く事にしました。その時に生きたのが、和食料理人としての出汁の取り方などです。
お店の皆さん(右が近野さん)。休憩時間にロケさせて頂き、有難うございます。 |
「ゲンコツ・鶏ガラ・モミジと、魚介系のものをそれぞれじっくり煮て、あくを丁寧にとっていくんです。」
和食の料理人の時に培った丁寧なあくとりで、動物系スープも綺麗に澄んでいきます。
それをお客さんに出す直前に合わせる店もありますが、こちらは事前に1つの寸胴に合わせます。
「それぞれに良さがあると思うんですが、私は事前に合わせた方が一定の味が維持出来るかなと考えまして、合わせる方にしています。」
そういった出汁の取り方もあって、スープを味わった時に「和」を感じたのかも知れません。
和食の料理人の時に培った丁寧なあくとりで、動物系スープも綺麗に澄んでいきます。
それをお客さんに出す直前に合わせる店もありますが、こちらは事前に1つの寸胴に合わせます。
「それぞれに良さがあると思うんですが、私は事前に合わせた方が一定の味が維持出来るかなと考えまして、合わせる方にしています。」
そういった出汁の取り方もあって、スープを味わった時に「和」を感じたのかも知れません。
こちらは全てのラーメンのベースになるスープ。 |
魚介系に入れる「節」(店内に積んであった)。和食の料理人らしく、幾つもの種類を使う。 |
「しょうゆ」はそのスープに醤油だれ(これも出汁入り)を加え、背脂とチーユ(鶏油)を載せるので、コクに加えてスープが冷めにくいのも特徴です。
「あっさり系なんでお客様の年齢層が高くなるかなと思ったんですが、結構若い方や女性も1人でいらしたりしますよ。」
本当に美味しいからこその客層の広さなのでしょう。
「あっさり系なんでお客様の年齢層が高くなるかなと思ったんですが、結構若い方や女性も1人でいらしたりしますよ。」
本当に美味しいからこその客層の広さなのでしょう。
あくを丁寧にとったスープが、温められている。 |
全てのメニューに、旨味の重なり合ったスープが供される。 |
続いて頂いたのは、「赤そば」。その名の通り、スープが赤い!唐辛子の色です。ネギの緑が対照的で、見た目にも鮮やかな一品です。こちらは名物の「ナンコツ」をトッピングで足してあります。
ひき肉たっぷりのスープを頂くと、辛い!けど旨い!!ひき肉から旨味や甘みが出て、単に辛いだけではないので「あとひく辛さ」です。
麺は「しょうゆ」よりやや太いものの、中細系でしょうか。持ち上げると、辛子やひき肉がからんでいるのが分かります。これがまた麺と合わさると、ちょうど良いピリ辛加減です。
そして「ナンコツ」は、丼の直径を横断するくらいの大きさ。これがとろっとろ♪よく煮込んであるので(5時間程煮込むのだとか)、煮汁の旨味が心までしっかり入っていて、これぞ職人技。和食の煮込みの技が生かされています。
「辛さだけを求めるなら、幾らでも辛く出来るんです。でも旨味もあるスープにしたかったので、まずひき肉を出汁でしっかり煮ていくんです。そこに辛子を合わせたひき肉たねを作るので、辛いけど美味しいスープに仕上がるんです。」
スープと麺を一口ずつ頂いたあたりから、こめかみに汗がじんわり出てくるのが分かる辛さですが、旨味があるからまた手が伸びます。
「お客さんの中には、麺を食べ終わった後に『ご飯をください』と言ってご飯(120円)と食べていく方もいますし、生卵(50円)を注文して、すき焼きのように溶き卵に付けて食べるお客さんもいます。寧ろお客さんに新しい食べ方を教わっているようで…。」
ひき肉たっぷりのスープを頂くと、辛い!けど旨い!!ひき肉から旨味や甘みが出て、単に辛いだけではないので「あとひく辛さ」です。
麺は「しょうゆ」よりやや太いものの、中細系でしょうか。持ち上げると、辛子やひき肉がからんでいるのが分かります。これがまた麺と合わさると、ちょうど良いピリ辛加減です。
そして「ナンコツ」は、丼の直径を横断するくらいの大きさ。これがとろっとろ♪よく煮込んであるので(5時間程煮込むのだとか)、煮汁の旨味が心までしっかり入っていて、これぞ職人技。和食の煮込みの技が生かされています。
「辛さだけを求めるなら、幾らでも辛く出来るんです。でも旨味もあるスープにしたかったので、まずひき肉を出汁でしっかり煮ていくんです。そこに辛子を合わせたひき肉たねを作るので、辛いけど美味しいスープに仕上がるんです。」
スープと麺を一口ずつ頂いたあたりから、こめかみに汗がじんわり出てくるのが分かる辛さですが、旨味があるからまた手が伸びます。
「お客さんの中には、麺を食べ終わった後に『ご飯をください』と言ってご飯(120円)と食べていく方もいますし、生卵(50円)を注文して、すき焼きのように溶き卵に付けて食べるお客さんもいます。寧ろお客さんに新しい食べ方を教わっているようで…。」
その名も「赤そば」(800円)。トッピングは追加の「ナンコツ」(250円)。 |
麺はスープの辛みや味の強さに負けないよう、「しょうゆ」よりはやや太め。 |
これも美味しい辛さだからこその楽しみ方。残暑厳しいこの時期に、辛いもので暑さを吹き飛ばすのも好いですし、9月上旬までの「つけめん」もお勧めです。
こちらはごまベースのつけ汁に、ラー油を加えてあります。麺は前の2つに比べると一番太い麺ですが、それでも中太麺とまでいくかどうか位の太さのストレート麺です。これくらいは太さが無いと、つけ汁のコクに負けそうです。ただつけ汁もごま以外の旨味が強いのと、ラー油の辛みが入る事で、決して重たい味にはなりません。旨味とコク、そして冷水でしめた太めの麺が一体となって、爽やかに頂けるのです。
こちらはごまベースのつけ汁に、ラー油を加えてあります。麺は前の2つに比べると一番太い麺ですが、それでも中太麺とまでいくかどうか位の太さのストレート麺です。これくらいは太さが無いと、つけ汁のコクに負けそうです。ただつけ汁もごま以外の旨味が強いのと、ラー油の辛みが入る事で、決して重たい味にはなりません。旨味とコク、そして冷水でしめた太めの麺が一体となって、爽やかに頂けるのです。
「つけめん」(850円)。つけだれの濃いめの味・コクに負けない太めの麺を使う(茹で時間8分かかるそう)。 |
「『しょうゆ』にも『赤そば』にも『つけ麺』にも、全部同じスープを使っています。」
なるほど、スープやつけ汁から感じる旨味は、同じベースのものだったんですね。共通する旨味は、まさに『二階堂』の味です。しかも麺にもこだわりがありました。
「どの麺も、卵を使っていないんです。」
卵アレルギーのある人にも食べて欲しいという思いからだったそうですが、卵を入れないと大変な点も…。
「どうしても麺が伸びやすくなったり、こしが少なくなったりするんです。」
それを様々な工夫で、卵が入っていなくてもお客様に提供できるレベルにまで仕上げたそうです。
そんなご主人は、和食料理人時代同様、味には飽くなき挑戦を続けています。
「或る時に、『この味、違うんじゃないか』とふと気付いた事があったんです。それまでは、これで良いと思っていた味だったんですが…。ですから今の『しょうゆ』の味も、4~5年前に固まった味で、その前の味とは変わっているんですよ。だからこれからも、これで完成という事は無くて、変わっていくのかなぁ…と思っています。」
なるほど、スープやつけ汁から感じる旨味は、同じベースのものだったんですね。共通する旨味は、まさに『二階堂』の味です。しかも麺にもこだわりがありました。
「どの麺も、卵を使っていないんです。」
卵アレルギーのある人にも食べて欲しいという思いからだったそうですが、卵を入れないと大変な点も…。
「どうしても麺が伸びやすくなったり、こしが少なくなったりするんです。」
それを様々な工夫で、卵が入っていなくてもお客様に提供できるレベルにまで仕上げたそうです。
そんなご主人は、和食料理人時代同様、味には飽くなき挑戦を続けています。
「或る時に、『この味、違うんじゃないか』とふと気付いた事があったんです。それまでは、これで良いと思っていた味だったんですが…。ですから今の『しょうゆ』の味も、4~5年前に固まった味で、その前の味とは変わっているんですよ。だからこれからも、これで完成という事は無くて、変わっていくのかなぁ…と思っています。」
「つけめん」のつけだれはベースのスープの旨味に、ごまと鰹節のコク・深みが加わる。 |
つけめんの麺は、3つの中で一番太い。 |
因みに今回ご紹介した麺の器を見ると、店名が入っているだけでなくそれぞれ色が違います。出す料理によって丼を変えているのでしょうか?
「いえいえ。最初は青いのだけだったんです。青いラインに、赤い字で「支那そば 二階堂」って入れていたんですよ。でも“赤字”ってお店としては余りよくないでしょ?それで次から作る丼は、赤いラインに『黒字』で店名を入れるようにしたんです。でも古い丼がまだ残っているので使っていて、(料理ごとに丼が違ったのは)たまたまです。」
丼の向きは、お客さんに正対するように店名が見える位置が正解。ただ青いラインの「赤字」丼は、いずれ無くなってしまうかも…って、これはマニアの皆さん以外には余り関係ない情報でした(^^;
「いえいえ。最初は青いのだけだったんです。青いラインに、赤い字で「支那そば 二階堂」って入れていたんですよ。でも“赤字”ってお店としては余りよくないでしょ?それで次から作る丼は、赤いラインに『黒字』で店名を入れるようにしたんです。でも古い丼がまだ残っているので使っていて、(料理ごとに丼が違ったのは)たまたまです。」
丼の向きは、お客さんに正対するように店名が見える位置が正解。ただ青いラインの「赤字」丼は、いずれ無くなってしまうかも…って、これはマニアの皆さん以外には余り関係ない情報でした(^^;
こちらは最初に作った丼。赤い字で「支那そば」と見える。 |
こちらは「黒字」版の丼。いずれはこちらの丼に完全移行予定。 |
最後に一つ疑問が…。
「どうして近野さんのお店が『二階堂』なんですか?」
すると近野さん、
「妻の旧姓なんです。お店を開くのにあたって、店の名前って大事じゃないですか。それで和食の料理人をやめてラーメン店を開く時にも協力してくれた妻の事を名前に刻むのと、あと『二階堂』って響きが何か良くて、この響きを使わない手はないかなと思って…。」
そんなご主人の奥様想いが感じられる店名なのでした。
なお新型コロナウイルスが流行中ですので、お店で食べるのは…という方には「お土産そば」(しょうゆ・味噌そば・塩そば)も売っています。麺・スープ・チャーシュー・メンマ・ネギのセットです。家で美味しく作るポイントは1つ。
「スープと麺を同時に出来上がるように作ってください。大幅にずれると片方がぬるかったりして味に影響しますので、大変でしょうが同時の出来上がりを目指してください。」
との事。麺茹で用とスープ用の鍋を、同時に火にかけていくと好さそうです。
ほかにも、ナンコツ・中華ちまき・鶏手羽等もお土産として持ち帰りが出来ます。開店時間中にお店に来られる方はどうぞ(前日までに事前予約しておくと、確実に受け取れます)。
「どうして近野さんのお店が『二階堂』なんですか?」
すると近野さん、
「妻の旧姓なんです。お店を開くのにあたって、店の名前って大事じゃないですか。それで和食の料理人をやめてラーメン店を開く時にも協力してくれた妻の事を名前に刻むのと、あと『二階堂』って響きが何か良くて、この響きを使わない手はないかなと思って…。」
そんなご主人の奥様想いが感じられる店名なのでした。
なお新型コロナウイルスが流行中ですので、お店で食べるのは…という方には「お土産そば」(しょうゆ・味噌そば・塩そば)も売っています。麺・スープ・チャーシュー・メンマ・ネギのセットです。家で美味しく作るポイントは1つ。
「スープと麺を同時に出来上がるように作ってください。大幅にずれると片方がぬるかったりして味に影響しますので、大変でしょうが同時の出来上がりを目指してください。」
との事。麺茹で用とスープ用の鍋を、同時に火にかけていくと好さそうです。
ほかにも、ナンコツ・中華ちまき・鶏手羽等もお土産として持ち帰りが出来ます。開店時間中にお店に来られる方はどうぞ(前日までに事前予約しておくと、確実に受け取れます)。
店は福島市笹谷の住宅街の中、「ふくしま北中央公園」のやや南にある。 |
テイクアウトはラーメン以外にも、手羽先・ナンコツ・中華ちまき等もある。 |
和食はおかず単品としての美味しさと、ご飯と合わせた時の美味しさを両方楽しめます。このラーメンも、スープをれんげで頂いても良し、麺と合わせた時はまたバランスが取れて全体としての味わいも良く、どこか和食に通じる感じがしました。
「支那そば 二階堂」は、基本火曜が定休です(営業時間は新型コロナウイルスの影響で変わる事も。問い合わせやお土産そばの予約は電話で(024)559-3272まで)。
「支那そば 二階堂」は、基本火曜が定休です(営業時間は新型コロナウイルスの影響で変わる事も。問い合わせやお土産そばの予約は電話で(024)559-3272まで)。
どれも、和食の肝の一つである優しい出汁の「旨味」をしっかり味わえる。 |
ご飯や生卵と合わせて美味しいのも、旨味が濃いからだ。 |
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