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徳光 雅英
徳光 雅英Masahide Tokumitsu
not unnecessary
 私が最初に出会ったのは『サマーウォーズ』だった。鼻血を出しながらの「宜しくお願いしま~す!」は印象深い場面の一つだ。インターネット世界ってこういうものか…とその映像表現に感動し、危機を乗り越える為に人々が自分の出来る得意分野で全力を出し、結束していく姿に涙し、心の中で「こいこい!」と一緒に叫びながら、数学と花札の勝負と“恋”を応援した。青春ドラマでもあり、2009年という時代を反映した作品でもあった。
 この作品に魅せられてからというもの、自分の犯した“取り返しのつかない”事を“取り返”そうと、自分の選択の安易さを後悔し自らの尻拭いをしながら成長していく高校生の物語『時をかける少女』をDVDで楽しみ、以後新作が上映される度に映画館で作品を観て来た。そう、細田守監督作品の話である。そして今、『竜とそばかすの姫』が封切られていて、観に行ってきた。
 
映画『竜とそばかすの姫』を観に行った。
映画『竜とそばかすの姫』を観に行った。
 主人公のすずは、“内気”な高校生。過去の或る出来事がきっかけで心に傷を負い、“内気”になってしまったのだ。ところが毒舌の親友に誘われ、「U(ユー)」というネットの仮想世界に分身「ベル」として飛び込んだところ、歌が評判を呼んで大人気の歌姫となる。
 ところがその世界で乱暴狼藉を働く嫌われ者の「竜」と出会うところから、話は急展開。竜の正体を探る事は、なぜ竜はそれほどまでに乱暴なのか、その“秘密”を探る事にも繋がっていく。
 竜は誰?そしてベルの歌声が導くものとは…。
 
 最初のUの世界観からぐぐっと引き込まれていく。12年前(ちょうど干支一回り前ですね)に感動した『サマーウォーズ』のネット空間の映像化、まさにあの感動再び、細田守監督作品だわ~と心で拍手を送りたくなるオープニングだ。しかも今回はすずを演じる中村佳穂さんの美しい歌声も加わるのだから、その意味では『サマーウォーズ』超えをしてくる。あの“生き物”の登場も細田作品だわ~。
 主人公の成長物語でもあり、また困難に直面し親しい人が結束して立ち向かっていくところ、そして何より今回も今と言う時代を映しているのが『サマーウォーズ』に通じている。映画の終盤、人々の心が温かくなり、その温かさや想いが広がっていく“映像”表現はぐっと来る。
 中村佳穂さんの歌声や、周りを固める俳優陣が良いのは言わずもがなで、個人的にはすずをUに誘い込んだ毒舌の親友、ヒロちゃんを演じた幾田りらさんが良い!演技初挑戦とは思えない。高笑いには思わずつられて笑ってしまうかも。 
パンフレットには、作品で重要な役割を果たすベルの歌の”詞”が載っている。鑑賞後の余韻に浸るには好いかも。
パンフレットには、作品で重要な役割を果たすベルの歌の”詞”が載っている。鑑賞後の余韻に浸るには好いかも。
 新型コロナウイルスは収束がまだ先で、不要不急の事は自重しなければならない。だが先日ミネアポリス美術館の絵画を取材にかこつけて鑑賞し、同じくロケで民謡「会津磐梯山」の生歌を聞き、今回映画を観に行って、改めて娯楽は「不急」かも知れないが「不要」では無い事を実感する。音楽、本、絵画、映画、演劇、寄席、コンサート…、この内の幾つかは新型コロナウイルス流行以来、私は楽しめていない。さすがに1年半は精神的にきつくなってきて、心身が“要求”しているのが分かる。
 新型コロナウイルスが収束して、安心して不急の事を、好きなタイミングで楽しめる日が来てほしいと心から願う。
映画を見終え、郡山の空を撮ってみた。細田監督の作品を観ると、無性に入道雲に惹かれる。
映画を見終え、郡山の空を撮ってみた。細田監督の作品を観ると、無性に入道雲に惹かれる。