2021.03.14
After a decade 1
2021年3月11日午後2時46分を過ぎ、あの東日本大震災から10年が経ちました。この日、日本テレビ系列では『未来へのチカラ』と題して午後の時間帯で特番を編成し、中テレもその一部として『ゴジてれChu!特別版』を双葉町の産業交流センターと東日本大震災・原子力災害伝承館から放送し、あの日を振り返りました。
3月11日に中継した産業交流センター(正面)。左が伝承館。 |
そんな中で明るい未来も感じるようなコーナーを…という事で、ちょうど木曜日という事もあり、「ぶらカメ」の特別篇として沿岸部、浜通りのいわき市と相馬市をカメラ片手に旅してきました。その取材&こぼれ話です。
外にはキャンドルが「キオク ツナグミライ」と並べられている。 |
まずは福島県の南部、茨城との県境にあるいわき市の小名浜港からスタートです。早朝歩いていると、遠くからジョギングをしてくる2人が。
いわき市で最初に出会ったのは、ジョギングのご夫婦… |
「ご夫婦ですか?」
と伺うと、
「あははは…違います。ラン友(ランニング友達)です。」
早朝から失礼しました。
と伺うと、
「あははは…違います。ラン友(ランニング友達)です。」
早朝から失礼しました。
と思ったら、ラン友。ご家族の皆様、失礼いたしました。 |
「きょうは小名浜でランナーが集まってごみ拾いをするんです。その前に走っておこうかと思って…。」
県内の道路沿いのごみ拾いを続けている、月曜コーナーのブンケンさんが聞いたら、泣いて喜びそうです。
ところで10年前の震災の時に困った事はありましたか?
県内の道路沿いのごみ拾いを続けている、月曜コーナーのブンケンさんが聞いたら、泣いて喜びそうです。
ところで10年前の震災の時に困った事はありましたか?
いわきサンシャインマラソンの会場にもなるいわき市を、ランナーできれいにしようというものらしい。 |
「水が出なかったんですよ。だから井戸水の出る人から分けてもらったり、山の方に行って水を汲んできたりしていました。」
今は普通にジョギング出来る幸せを噛みしめているご様子です。そんなお話をしていると、後から別のラン友も現れ、話の輪に加わります。
今は普通にジョギング出来る幸せを噛みしめているご様子です。そんなお話をしていると、後から別のラン友も現れ、話の輪に加わります。
今は普通に地元を走れる喜びがある。 |
「まだ風評もあるので、そこら辺がちょっと…。」
そして先月13日には東日本大震災の余震がありました。娘さんは、東日本大震災の経験はありません。
「この前の地震は、揺れ自体が大きかったのと、その前の緊急地震速報の音で目が覚めて、怖がっていましたね。」
余震を含め、東日本大震災・原発事故の影響がいまだに残る福島県です。
そして先月13日には東日本大震災の余震がありました。娘さんは、東日本大震災の経験はありません。
「この前の地震は、揺れ自体が大きかったのと、その前の緊急地震速報の音で目が覚めて、怖がっていましたね。」
余震を含め、東日本大震災・原発事故の影響がいまだに残る福島県です。
お父さんもラン友。お子さんは2月の余震が怖かったという…大人の私も怖かったですよ。 |
さていわき市と言えば、私にとっては昔『ズームイン!!朝!』の中継で刺身定食を全国に紹介したお店がある事でも、思い出深い地の一つです。「うろこいち」という店で、その中継以来色々な放送局でも取り上げられた、小名浜の有名店の一つです。震災後ニュースセンターから伝える事が多かった私にとって、初めて中継した場所もいわき市小名浜、そして「うろこいち」です。
昔の朝の情報番組で中継した「うろこいち」。小名浜の有名店の一つだ。 |
「わかめなど、すぐ使える食材は避難所などに配っていました。」
震災当時は津波で海底の泥等も、店の敷地や店内にあがりました。粘っこくて、臭いもありました。当時ご主人は
「店はもう無理じゃないですか。これから借金して店を再建しても、返せるかどうか…。」
震災当時は津波で海底の泥等も、店の敷地や店内にあがりました。粘っこくて、臭いもありました。当時ご主人は
「店はもう無理じゃないですか。これから借金して店を再建しても、返せるかどうか…。」
うろこいちのご主人。今はお孫さんのいるおじいちゃん。 |
と消極的だったのを覚えています。ご主人は避難所などから通いながら、店の片付けをしていたと言います。しかし2年程して店は復活しました。
「当時支えてくれたのは、お客さんを含め多くの方です。『頑張れ』でなく、寄り添ってくれたんです。いやぁ、有難いですね。本当に感謝です。」
「当時支えてくれたのは、お客さんを含め多くの方です。『頑張れ』でなく、寄り添ってくれたんです。いやぁ、有難いですね。本当に感謝です。」
こちら刺身定食。盛りが好いのだ。 |
そんな店主のお孫さんは、仏像大好き。お兄ちゃんが仏像に魅せられ、以来仏像やお経を覚える等、「博士」と呼ぶに相応しいほど詳しくなりました…という話を以前「ぶらカメ」のコーナーでもご紹介しました。その後今年の放送では、月曜恒例「ブンケン歩いてゴミ拾いの旅」でもロケ中ブンケンさんに兄弟で差し入れに来てくれました。
写真を撮る時に、ポーズをとるお孫さん(兄弟)。 |
写真を撮り始めると、シャッター音が響く度にポーズを変えてくれます。これ、様々な仏像のポーズで、一つ一つ違う仏像の姿を真似てくれているのです。
仏像の数だけポーズがある。 |
2人が着ている仏像Tシャツは、夏物。長袖の上に着ています。
仏像Tシャツを着て、仏像ポーズ…。 |
「子ども用のTシャツってなかなか無いんですよ。大人用はあるんですけど…。」
とお母さん。仏像Tシャツを探した事がある人でないと分からない、コアな情報です。
とお母さん。仏像Tシャツを探した事がある人でないと分からない、コアな情報です。
弟さんは、目を瞑って瞑想をしている…。 |
別のバージョンも見せて頂きました。マスクも仏像柄です。弟さんは、仏像の螺髪に見立てた毛糸の帽子にご満悦です。
マスクも仏像。螺髪帽子も似合っている。 |
いまは仏像のフィギュアの出るガチャガチャ(1回300円)があるそうで、この数、結構な“投資額”になっていそう…。
仏像関連グッズを次々と見せてくれた(これでも一部だそう)。 |
でもおじいちゃんはニコニコ顔。もう孫が可愛くて仕方がないようです。
そんなお孫さんが仏像にはまるきっかけとなった出来事を、店内に貼ってある写真を見ながら教えてくれました。
そんなお孫さんが仏像にはまるきっかけとなった出来事を、店内に貼ってある写真を見ながら教えてくれました。
光る仏頭はクリスマスプレゼントでサンタさんにもらったと言う。 |
「お兄ちゃんが1歳半の時かな、茨城のお寺に行った時、深々とお辞儀しながら手を合わせて…。周りの人からも『凄いね』『偉いね』と言われて、何でこの格好を始めたのか分からない。」
とご主人(おじいちゃん)は話します。
とご主人(おじいちゃん)は話します。
店内に貼ってあるお孫さんの写真。深々とお辞儀をして拝んでいる。 |
以前に取材した時、将来は「仏像博士になりたい」と話してくれていたお兄ちゃんですが、将来の夢を改めて聞くと、
「仏師になりたい。」
との答が。
「仏像を研究するのも良いけれど、実際に作ってみたいです。」
既に彫刻刀も使い始めていると言います。その時のエピソードをお母さんが話してくれました。
「仏師になりたい。」
との答が。
「仏像を研究するのも良いけれど、実際に作ってみたいです。」
既に彫刻刀も使い始めていると言います。その時のエピソードをお母さんが話してくれました。
お兄ちゃんは『仏像図鑑』を執筆中。以前より仏像の描写も細かく表情も豊かになった。 |
「小さな仏像を作っていたら、集中し過ぎて肩が凝っちゃって、小学校の入学式では首が固まっちゃって、全部首が傾いた写真になっちゃいました。」
こちらがお母さん(店のご主人の娘さん)。 |
先日は、削ると下の色が出て来るスクラッチタイプのもので、千手観音像を描いたそう。
「1時間位で描けました。」
と話すと、すかさずお母さんが
「2時間はやっていたでしょ?」
凝り性なんでしょうね、集中すると時の経つのも忘れてしまうようです。
「1時間位で描けました。」
と話すと、すかさずお母さんが
「2時間はやっていたでしょ?」
凝り性なんでしょうね、集中すると時の経つのも忘れてしまうようです。
スクラッチして(絵の線の部分をひっかいて)描いた千手観音。細かい…。 |
お兄ちゃんの“教え”もあって、弟さんも次々に仏像の知識が深まっているようです。
こちらは、阿弥陀像を描いた絵を何枚も貼った割り箸を持つ弟さん。勿論「空也上人立像」がモチーフです。
こちらは、阿弥陀像を描いた絵を何枚も貼った割り箸を持つ弟さん。勿論「空也上人立像」がモチーフです。
歴史の教科書で見た事のある格好だ。 |
お兄ちゃんは、私に薬師如来の絵を描いてプレゼントしてくれました。薬師如来の理由は、
「病気から人を救うから。早く新型コロナウイルスが収まるように…。」
薬師如来への知識と、何と言ってもこの心遣い、まさに仏のお導きでしょうか。お守りとして飾らせて頂きます。
次回は、「うろこいち」復活にまつわるもう一つのエピソードから。
(3月13日のブログにつづく。)
「病気から人を救うから。早く新型コロナウイルスが収まるように…。」
薬師如来への知識と、何と言ってもこの心遣い、まさに仏のお導きでしょうか。お守りとして飾らせて頂きます。
次回は、「うろこいち」復活にまつわるもう一つのエピソードから。
(3月13日のブログにつづく。)
こちらは大日如来(カラーバージョン)。表情が優しい。 |
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