つながろう ふくしま

大阪交響楽団~ともに奏でる明日への旋律~

東日本大震災から1年が過ぎた3月29日、郡山市の郡山女子大学建学記念講堂で、プロのオーケストラと小中学校の管弦楽部の児童生徒、合わせて150人を超える大共演がありました。

きっかけを作ってくれたのは、大阪・堺市に本拠を置く「大阪交響楽団」。その呼びかけに応じて参集したのは郡山市内の10校の小中学校管弦楽部」。被災地支援のコンサートをバックアップしているロームミュージックファンデーションの助成を受けて、このコンサートは実現しました。

コンサート前日の3月28日、会場となった郡山女子大の建学記念講堂に続々と子供たちが集まってきました。ほどなくして講堂内では、ヴァイオリン、ビオラ、チェロ、コントラバス、フルート、クラリネット、ホルン、ティンパニー・・・。様々な楽器の輪ができていました。


子供たちの小グループに大阪交響楽団の楽団員がついて、即席のミニ音楽教室が始まったのです。最初は緊張気味の子供たちの表情も、楽団員の熱心な指導にしだいに和らいでいきます。途中からは、すぐ隣の音色が耳に入らないかのように集中していました。

150人が所狭しと繰り広げたミニ楽器教室は、何とも壮観でした。

元々、郡山地区の小中学校の管弦楽は全国でもトップレベルの実力を誇っていましたが、あの大震災以降、部員たちは、ホールの被災などによってコンサートを聴く機会も、日ごろの鍛錬の成果を披露する機会も奪われていました。プロの楽団員と直接触れ合うことができるこの共演コンサートのもうひとつの意味が、この前日リハーサルにはありました。


そしていよいよ、郡山市出身で彼らの大先輩、現在はベトナム国立交響楽団の音楽監督で首席指揮者を務める本名徹次さんを迎えてのリハーサルです。

本名さんは、かつて大阪交響楽団が大阪シンフォニカー交響楽団と名乗っていた当時、その首席指揮者を務めていた縁もあって、このコンサートのためにわざわざ、ベトナムから駆け付けてくれたのです。

子供たちは、1月から、それぞれの学校ごとに、自分たちが演奏する曲を練習してきましたが、楽団と音を合わせるのは、この日が初めて。クラシックの素養がないFCTの担当者は、彼らのレベルの高さに驚いていましたが、そこはもっとずっと上の世界、本名さんから音程のズレを修正されたりしながら、子供たちは翌日の本番に向け、本名さんのタクトに合わせて真剣な表情を見せていました。


3月29日、いよいよコンサート本番です。会場にはおよそ800人の聴衆が訪れました。

哀悼の曲が演奏された後、小中学生と大阪交響楽団の共演が幕を開けました。

曲は全部で5曲、大阪交響楽団54人のフル編成のなかに30人から40人の児童生徒が代わるがわり入って、次々と演奏が繰り広げられていきます。

舞台裏では次の演奏に備える子供たちがスタンバイ。前日のリハーサルの成果もあって、入れ替わりもスムーズに進行しました。

共演最後の曲は、J.シュトラウス作曲の「ラデツキー行進曲」、舞台の上に子供たち全員が上がり、この日の共演コンサートの第一部を締めくくりました。

第2部では、大阪交響楽団のプロの演奏が披露され、有名なスメタナの「モルダウ」など、会場の聴衆も名曲の数々に聞き入っていました。

最後は、声楽アンサンブル全国大会に参加するため福島を訪れていたアメリカの女性コーラス「ピクダム」の3人が特別出演、「ふるさと」を会場の人たちと全員で歌って、この日のコンサートは幕を閉じました。

日時・会場

2012年3月29日 午後2時開演 郡山女子大学建学記念講堂

指揮

本名徹次(ベトナム国立交響楽団音楽監督・首席指揮者 郡山市出身)

演奏

大阪交響楽団(54名)

共演

小学校(金透小、橘小、開成小、芳賀小、赤木小、桜小、朝日が丘小)
中学校(郡山二中、郡山五中、緑ケ丘中)
*郡山市立小中学校10校(102名)

特別出演・合唱

合唱団 Piques Dames(ピクダム)アメリカ

演奏曲目

◆大阪交響楽団
バーバー: 弦楽のためのアダージョ
◆大阪交響楽団&郡山市内小中学校管弦楽部10校
マスカーニ: 歌劇 「カヴァレリア・ルスティカーナ」 間奏曲
スーザ: 行進曲 「星条旗よ永遠なれ」
杉本竜一: Believe
ビゼー: 歌劇 「カルメン」 前奏曲
J.シュトラウス: ラデツキー行進曲
◆大阪交響楽団
ブラームス: ハンガリー舞曲 第1番
ドヴォルザーク: スラヴ舞曲集より
  第1番、第7番、第8番、第9番、第10番、第15番
スメタナ: 連作交響詩「わが祖国」より“モルダウ”
チャイコフスキー: バレエ「くるみ割り人形」 花のワルツ
◆大阪交響楽団の演奏&合唱団ピクダム、児童生徒と会場のみなさんの合唱
岡野貞一: 故郷(ふるさと)

今回のコンサートは、FCTが仲立ちをさせていただきましたが、大阪交響楽団の赤穂事務局長と、郡山市音楽教育研究会の斎藤先生の尽力がなければ、100人を超える児童生徒が参加するこれだけの規模の共演コンサートは実現しなかったのではないかと思います。さらに、10校の小中学生を指導されている先生方、会場を提供してくれた郡山女子大学、郡山市教育委員会など多くの方々の支援もいただきました。

また、郡山市の小中学校の管弦楽のレベルの高さにあらためて気付かされたコンサートでもありました。この秋には、全国の小中高生が集う初めての管弦楽コンクールも郡山市で開催されることが決まっています。

合唱王国として知られる福島は、合奏でも全国に誇れる実力を持っていることを実感できた2日間でもありました。

大阪からやってきてくれた交響楽団と過ごした日々が、子供たちの心に少しでも明日への思いを育んでくれることを願わずにはいられません。

今回のコンサート開催に当たり、大阪交響楽団は、これまでのコンサートで募った義援金140万余りを、福島の学校の合奏のために役立ててほしいと福島県音楽教育研究会に寄付しています。