つながろう ふくしま

創エネ×省エネ 体感!再生可能エネルギー

  • 2012年11月2日(放送)
  • 学んだ児童
    いわき市立小川中学校(1年生73人、生徒会12人)
  • 学んだ場所
    水土里ネット那須野ヶ原、小川中学校
  • 教えてくれた人
    いわき明星大学 東之弘教授
    水土里ネット那須野ヶ原 郡司忠之さん
    いわきおてんとSUNプロジェクト 島村守彦さん、鵜沼光弘さん

福島は、水力発電でも国内最大クラスの実力がある。

一般の水力発電所としては日本一の出力を持つ奥只見発電所(檜枝岐村:56万kw)をはじめ、田子倉発電所(只見町:40万kw)など、福島県には只見川水系を中心に多くの水力発電所があります。その出力の合計は原発4基分に相当する397万kwにもなります。

原子力発電所や火力発電所だけでなく、福島県は水力でも日本のエネルギーを支えてきました。

≪福島県の主な水力発電所≫【一般水力】●奥只見発電所(檜枝岐村:電源開発)…56.0万kw●田子倉発電所(只見町:電源開発)…40.0万kw●大鳥発電所(只見町:電源開発)…18.2万kw●秋元発電所(猪苗代町:東京電力)…10.7万kw●宮下発電所(三島町:東北電力)…9.4万kw●滝発電所(金山町:電源開発)…9.2万kw【揚水式水力】●下郷発電所(下郷町:電源開発)…100.0万kw●第二沼沢発電所(金山町:東北電力)…46.0万kw(注)揚水式水力発電所は、水をくみ上げるために別のエネルギーが必要です。

水力発電は、自然の中で循環する水の力を利用しますから、繰り返し使えて、もちろん地球温暖化の原因になる二酸化炭素も出しません。

大規模水力から中小水力へ

しかし大規模な水力発電所は、水の豊富な山奥の川をせき止めてダムを作ったりするので、どうしても自然を壊してしまいます。建設費用もかかります。また消費地まで遠い所が多く、送り届けるまでに電気のムダが出てしまいます。そして現実的に、今の日本国内では大規模なダムと水力発電所を新しく作ることは難しくなっているのです。

そこで今、注目されているのが「小水力」、「マイクロ水力」という小さな規模の水力発電です。身近な所を流れている水を利用しようという試みです。大きなダムもいらず、比較的短い時間で発電機を設置できて、その地域で使えば送電のロスも少なくなります。

「小水力発電」の先進地が、すぐ近くの那須にあった。

今回の特別授業の場所は、おとなり栃木県の那須塩原市です。いわき市立小川中学校の1年生が訪ねたのは、小水力発電に先進的に取り組んでいる那須塩原市の水土里ネット那須野ヶ原(那須野ヶ原土地改良区連合)です。

説明してくれた郡司さんの話では、かつて荒れ地だった那須野ヶ原は、長い年月をかけて農業用水路が整備され、農地として生まれ変わりました。

その張り巡らされた用水路の水をほかにも利用できないだろうかと考えて、平成4年から始まったのが、水路の落差を利用した「小水力発電」の取組みでした。

那須野ヶ原の小水力発電は、今や全国から視察や見学の人たちが訪れるほど注目されています。

現在までに作られた小水力発電所は、「那須野ヶ原発電所(340kw)」や百村第一、第二など5ヶ所になりました。あわせて1000kwの発電を実現しています。

水力発電は、二酸化炭素を出さない発電ですから、年間のCO2の排出削減量は、3000トン余りになります。

水管理センターで話を聞いたあと小川中学の一年生が向かったのは、5つの発電所の中で最初に運転を始めた「那須野ヶ原発電所」です。最大出力は340kwですから、100世帯近くの電気をまかなう発電能力があります。

ダムは見当たりません、上流の農業用水路を流れてきた水で発電しているのです。

まっすぐの用水路に4つの水力発電機

農地をうまく利用した「那須野ヶ原」の小水力発電の特徴がわかるのが、百村第一、第二と名付けられた発電所です。農地に沿ってまっすぐ流れる用水路に、ほぼ等間隔に4つの水力発電機が設置されていました。建物は見当たりません。2メートルの落差を使って1基当たり30kwの電力を作りだし、4基でおよそ30世帯分の電気がまかなうことができます。

ちなみにこの水力発電機は福島県の会社が作ったものです。

水路は環境学習の場でもあった

「那須野ヶ原」には、訪れた人たちに目で見て学んでもらえるように様々な水車なども設置されていました。一番わかりやすいのが昔ながらの「水車」ですね。「ガラガラ水車」と名付けられていました。出力は1.8kwです。上の写真の用水路にピッタリと収まった水車は30kwですから、方式や据えつけ方によってずいぶん違うものです。

小川中学校は夏井川のすぐそば。水に恵まれた環境にありました。

(小川中学校)

(学校の前を流れる夏井川)

いわき市立小川中学校のすぐ前には夏井川が流れています。夏井川には、古くから水力発電所が作られてきました。写真の東北電力夏井川第一発電所は、大正時代に運転を始めた歴史ある発電所。小川中学校の上流には、塩田、夏井川第3、第2など、いくつもの水力発電所があって、「水力」を学ぶには絶好のロケーションです。

小川にすぐ据え付けられる水力発電機

その小川中学校に、いわきおてんとSUNプロジェクトの島村さんと鵜沼さんによって、この日運び込まれたのは、「ピコピカ」と名付けられた小さな水力発電機です。出力はわずか2.4wですが、そのまま運んで小川の中に置けば、すぐ発電できるという代物です。

いわき明星大学の東先生も、小川中学校のまわりは、たくさんの自然のエネルギーがある恵まれた環境なので、ぜひ地域のエネルギーを活用してほしいと生徒たちに話しかけ、水力発電のメリットなどを説明しました。

小さな「小水力発電機」は、電灯を灯せるか

さて、この日の体験の舞台は、学校のすぐ近くを流れる小川です。発電機は、男子生徒がふたりで運んでくれました。持ち運べる重さなんです。

始める前に、水深や流れの速さを計測するなど、さすが中学生ですね。水深はおよそ30センチ、流速は毎秒0.6mほど、浅くて緩やかな流れですが、果たして・・・。

なるべく発電機に水が集まるように、両脇にブロックを置いてやると、LEDライトがしっかり点灯しました。最大2.4wという小さな電気ですが、水の力を実感できた瞬間です。身近な所にある自然エネルギーのひとつが、目に見える形となって姿を現したのです。

私も一緒に学んでいます! FCT大野智子アナウンサー

比べてみよう、再生可能エネルギーの実力

国内最大の水力発電所、「奥只見発電所(檜枝岐村)」は、4つの発電機をあわせて総出力が56万kwです。広野火力発電所は、1基(1号機)だけで60万kwの出力があります。全体では5基、合わせて380万kwもの出力になります。水力発電の意外な実力を知るとともに、またもや火力発電や原子力発電のパワーのすごさを思い知らされることになりました。

今回学んだ「小水力」は、これとは比べ物にならない小さな力です。でも「ちりも積もれば山となる」という言葉があります。「万里の道も一歩から」という言葉もありますね。今、何が必要とされているのか、何が大事なのかを、皆さんもそれぞれ考えてみて下さい。未来のために難しい道も歩んでいかなければならない時もありますよね。

大きな発電所だけに頼らず、地域の自然の力を利用して、たくさんの種類の小さな発電所を確実に増やしていけば、災害などにも強い社会ができるかもしれません。二酸化炭素を減らし、地球温暖化の防止にもつながります。

再生可能エネルギーは、使う場所の近くで、その地域にあった方法を選んで組み合わせていけば、ひとつひとつは小さくても効率的にエネルギーを活用できる可能性があります。