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アナウンサー日記

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2018.05.14from various angles

 少し前に、私の住んでいる郡山から福島に出かけた際は映画をまとめて観る事があると書いた。昨日も福島で2本観たのだが、私なりに2作品に通じ合う点を感じ、自分にとって「当たり」の組み合わせだったので、ちょっとご紹介。

 映画『生きる街』は、東日本大震災の津波で被災した石巻が舞台。津波で被災した或る一家を中心にした物語だ。
 映像になっているのは、震災から5年以上経ったと思われる日常。震災・津波を経験した千恵子(夏木マリさん)は、高台の家で民泊を受け入れている。佳苗(佐津川愛美さん)は看護師として働き、震災後に結婚をしている。哲也(堀井新太さん)は水泳で名をはせた元選手。でも実は3人とも東日本大震災とその津波の被災者だ。特に佳苗と哲也は震災・津波で心に傷を負って、故郷を離れていた。そして3人とも或るものを失っていた…。
 心の傷の問題は難しい。詩人・吉野弘氏は言う。「私が、人間の心の傷ということを、一方で思い浮かべていたからです。時間が人の傷を癒すとは、よく言われるところです。しかし、はたしてそうか。おそらくそれは表面のことだけで、本当はいつまでも傷は傷のままなのではないかと思われます」(『詩への通路』思潮社より)
 あの震災で、多くの人が心に傷を負った。だが心の傷は時間が解決するとは限らない。傷を負った人の中には、どこかで区切りをつけ、踏ん切りをつけ、前を向く人がいる。或いは日常の多くの時間その傷に自らかさぶたをしている人だっている。そうでなければ、前に進めないから。過去は変えられないから。今でも生傷の人、治りかけの人、かさぶたが出来た人、治ったとしても傷跡が残っている人、様々だ。傷跡の残り方だって一人一人違うし、ましてや治ったように思っていたって、古傷が突然痛む事だってある。
 3人の心の内が、オムニバスのように徐々に明らかになっていく。千恵子が見せる人としての強さと弱さは、人間の可能性と真実を観ている者に訴えてくる。そして佳苗が失った「もの」は取り戻せるのか。哲也が或る人から受ける叱責とは…。
 私も郡山市で震災を経験したのであって、津波を「直接」経験した訳ではない。その私でもこの映画で描かれている、震災を経験した人の心のあり様と、それを支える人たちの温かさ、理解しようとしている人の存在、でも推し量るしかないもどかしさ…、そういったものにとても共感出来た。震災後の公の日常と、大事な人との私的空間の日常だけを映す事で、却って万人に伝わる作品になっていると思う。皆さんのお住まいの地域で上映があったら、予備知識がなくても大丈夫なので、ご覧頂きたい。

 映画『あなたの旅立ち、綴ります』は、予告編を見てどうしても気になった映画。何でも自力で出来てしまう80歳を超えた女性が、他人の新聞の訃報記事を読んでいてこう思う。「美辞麗句が並んでいるが、実際はそんな人じゃなかった」。死人に口なし、ではないが、私の死後に好き勝手に自分の訃報記事を書かれてもどうかと思ったこの女性、或る事を思いつく、「自分の訃報記事を、生前に書いてもらおう。」
 そこで訃報記事担当の新聞記者に、自分の訃報記事を生前に書くよう頼むのだが、取材してみると、この女性に関わった人の口から出るのは悪口ばかり。そこから、依頼した女性が望む内容の「生前訃報記事作り」に向けて、悪戦苦闘が始まる…。
 何といっても、依頼者役のシャーリー・マクレーンさんの演技!説得力がある。会話がとことん大真面目だから、余計に喜劇。しかもアマンダ・セイフライドさん演じる記者が取材を続けていく内、依頼者の、そして記者自身の色々な「真実」が見えてくる展開が、観ている側の興味をひっぱり続けてくれる。また台本が非常に練られていて、印象に残る台詞が幾つもちりばめられている。特にマクレーンさん演じる依頼者は、或る場面で「良い一日を過ごすのでなく、○○な一日を過ごしてほしい」と語りかける。実に心に響く言葉で、一つ一つのやり取りに笑って泣けてほっこりして元気が出る。

 2つの映画に共通するのは、主役の存在感、そして私たちは他人の一面や上辺しか見ていない事が多い、という事。でも人は多面的であり、その人と話すほど、理解が進むほど、一緒に過ごすほど新たな発見がある。人と接する時の色眼鏡や先入観や思い込みは、なかなか無くせない事も多い。だが視線という光の通し方や通す角度を変えれば、相手の見え方・光り方も変わってくる、という頭で分かっている事を、2つの違う作品の、違う角度から再認識した。どちらもフォーラム福島で木曜日まで観られる。

 この日の昼食は、同じく福島市内の『たなつものSHOKUDOU(食堂)』へ。11時半の開店前に5~6人が並んでいた。何度も『ゴジてれChu!』で紹介しているように、ヘルシーな食材を使う店であり、熟成肉の美味しい店でもあるのだが、ふくしまラーメンショーの後地元の美味しいラーメンに飢えていた私は、福島鶏白湯ラーメン(900円)、追加で御飯セット(200円)とドリンクセットのホットコーヒー(100円)を頼んだ。

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福島鶏白湯。チャーシューではなく鶏肉が入っている。濃厚スープは、細麺だからこそ美味しい。

 ここの福島鶏白湯は、喜多方や白河に続く「ご当地ブランドラーメンの開発」を目指す中で生まれた「福島鶏白湯(福島の三大鶏を使ったラーメン)」の一つ。スープが濃厚にして臭みが無いのは、他の(例えば二本松市の『麺処 若武者』や郡山市の『麺屋 信成』の)福島鶏白湯と一緒。誤解を恐れずに言うなら「スープが主人公」のこのラーメンは、細麺がよく合う。更にトッピングのモヤシやメンマなどは別皿で用意してくれて、好みのタイミングで入れられる。例えば食べるその都度モヤシを入れれば、熱が殆ど通らぬしゃっきしゃきの状態、という訳。この日の御飯セットは雑穀米だったが、白米だけとは違う香り・食感・味わい、そしてそこに流し込むスープ…、舌の喜ぶなかなかに贅沢な時間だった。

 サッカー天皇杯の県代表決定戦も見に行った。今年も去年と同じカード、J3の福島ユナイテッドFCと東北社会人リーグ2部のいわきFCの対決。いわきFCはサイドを巧く使った攻撃で、サッカーの危ない時間帯である「立ち上がり・終了間際の5分間」にしっかり先制・追加点を取り、前半で2点をリードするしたたかなサッカー。後半は福島ユナイテッドFCも、前半いわきFCが見せたようなボールへの早い寄せでチャンスを作り、決定的なシュートを何本か放ったが、いずれもゴールネットを揺らせず、PKの1点のみ。2-1でいわきFCが2年連続2回目の県代表の座を勝ち取った。試合中は殆ど雨が降らなかったのが幸いだった。いわきFCには去年に続いてジャイアントキリングを、福島ユナイテッドFCにはリーグ戦でそれぞれ頑張って、県内のサッカー熱を更に盛り上げて下さい!

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右はトッピング用(別皿で出てくる)。左が追加したご飯セット。

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