アナウンサー

アナウンサー日記

感想・メール

2018.11.12A bowl of rice topped with mutton and tofu

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福島市の「めし ひろ田」へ。上町テラスの中の1つ。

 先月ブログに書いていた二本松の長編エピソードの番外編です。

 二本松で美術展を見た後、「芸術の秋」の後は「食欲の秋」、福島市でお昼を食べてきました。大原綜合病院の隣、5月に『ゴジてれChu!』の中継で紹介した福島市「上町テラス」の中の一軒、「めし ひろ田」です。
 この店は熟成肉などを提供する「たなつものSHOKUDOU」等のグループの店の一つで、代表の廣田さんの経営する店です。
 食べてきたのは、「マトンめし」(750円)。ご飯の上に豆腐とマトンがたっぷり載って、中継でも美味しそうだったんですよね。個人的にはマトンの「くせ」が少々苦手ですが、行ってみました。
 ちょうどお昼に行くとカウンター席が空いていましたが、私が座って5~6分も経つと店は満席に。人気なんですね。

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これが「マトンめし」と追加トッピングの煮卵。肉の色の濃さが好い。

 何でも福島ではかつてマトンを食べる文化があったとの事。そこに、店のコンセプトである「バランス良い食事(主食・主菜・副菜・発酵食品)」を合わせて生まれたのが「マトンめし」です。
 カウンター席の前の大きな鍋でマトンを煮ていて、つやつやのご飯に、100年以上の老舗の大黒屋豆腐を載せ、その上に目の前で鍋からマトンをよそい、その煮汁をかけて、刻んだネギを載せて出してくれます。

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横から見るとこんな感じです。こちらはご飯が大盛り。卵が傾いて、黄身が…。

 今回は煮卵(100円)を追加してもらいました。黄身がたれてきています。これだけでも「映える」写真ですねぇ。そこに鼻をくすぐる美味しそうな匂いも漂います。
 れんげで食すと…マトンがじっくり程よい甘辛さで煮込まれていて、マトン特有の匂いは殆ど気になりません。これなら美味しく食べられます。また豆腐との味や食感のバランスも好いですね。ねぎやお漬物で口の中をさっぱりさせつつ、ばくばくいけます。因みにランチの時間は、ご飯の量を無料で調節できます(私は大盛りで。特盛りだけ50円増し)。

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食べ終わった後に気付く、目の前の追加用たれ…。丼に目が釘付けだったからか。

 食べ終わって、テーブルに「豆腐めし(マトンめしのマトンなしバージョンですね)・マトンめし用たれ」が置いてありました。味をもうちょっと濃くしたい人には、好いのでしょうね。気付くのが遅かった、かけてみたかったな。

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食べ終わった後は満足満腹、空のように爽快な気分だった。

 「めし ひろ田」はランチと夜の営業で日曜が定休、車で行く場合は近くの有料駐車場に止める必要があります。ま、ランチなら30分100円の駐車場代ですから、負担は少ないでしょう。リポーターの鈴木美伸さんによると「夜もリーズナブルでお勧め」との事でした。福島で知人と飲む機会があったら、利用してみようかな~。

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2018.11.11the final of Fukushima high school soccer tournament in 2018

 更新が遅くなりました。11月3日の話を書かせていただきます。


 全国高校サッカー選手権大会の県大会決勝が行われた。

尚志 1-0 学法石川 (尚志は5年連続10回目の出場)

 試合2時間余り前、両チームが会場の郡山市西部サッカー場にやってきた。学法石川の稲田正信監督と尚志の仲村浩二監督は、前日、某入浴施設でばったり会ったそうだ。
「昨日、ユニホームを決めておけば良かったね」
と冗談を交わす。その後の審判の判断で、今回は尚志がエンジ、学法石川が紫、どちらも正ユニホームで戦える事が決まった。

 バックスタンドには生徒を中心に応援団が集まる。尚志は今年、初めて県大会決勝で1年生全体の応援が入った。決勝当日の土曜日を登校日とし、月曜日を振り替え休日としたという。学法石川は、全校応援という力の入れよう。特にほかの運動部が、それぞれの活動着(ジャージー等)で応援に駆け付けた。
 ホームスタンドには、それぞれのチームカラーを身にまとった保護者が集まり、ユニホームと同じ色に染まった。実況席に座るとこの声援の大きさに、決勝は毎回ボルテージが上がっていく。これは見ている人も、チームも同じだろう。

 学法石川は、夏の県大会で尚志に0-6で敗れている。3年前の選手権決勝では、延長で決着がつかずPK戦でやはり敗れた。2つの意味での雪辱戦となる。稲田監督は前半無失点でいくゲームプランを立て、守備陣には「抜かれてもカバーリングをする事、その為の選手間の距離感を大切にする事」を徹底させた。「ゴールネットを揺らされなければ、問題ないんだ」、そう言って選手を送り出した。
 選手はそのプランを忠実に実践すべく、尚志の突破やスルーパスをことごとく封じ、前半を0-0で折り返した。
 後半は学法石川も攻撃に転じていく分だけ尚志にも攻める「隙」が生まれ、立ち上がりから積極的にパスを回し、シュートを放つ場面が増える。
 試合が動いたのは、40分ハーフの後半38分。尚志の吉田泰授選手が左足でクロスボールを入れると、ボールの向かう先にはエンジのユニホームが3人。その中の1人、二瓶由嵩選手のヘディングが決まり、福島県出身選手のアシストとゴールで尚志が均衡を破る。
 ところがその後に出たアディショナルタイムは4分。学法石川にもチャンスがあったが、ゴールネットを揺らせず、1-0で尚志が10回目の選手権出場を決めた。

 敗れた学法石川の稲田監督は、
「前半はプラン通りでした。選手もいけるとなったと思います。後半はもう何回か攻めたかったが運動量が足りず、ツートップが孤立しました。まだまだだと、思い知らされました。
 足りないもの?全てです。技術も気持ちもフィジカルも。あれだけ守っても、攻める事が出来ないとね…。
 前半に勝負が決まるような試合ではなく、良い所もあって、会場を含めてこっちのペースだったと思います。0-1の何割かは、全校応援のお蔭です。普段以上の力が出ました。(チームと)同じ気持ちで応援してくれました。(ほかの部活動の部員と)皆仲が良くて、陸上とサッカー以外(大会が)終わっているから、3年生が応援してくれますよね、『他人(ひと)の為に』というのが伝わってきます。
 今年はマスコミの取材は断りませんでした。取材されるのは、選手冥利に尽きると思うんですよ。その上でどれだけ謙虚に出来るか、ですよね。
 きょうのゲームは、明日からのチームに繋がると思います。」
と、先を見据えた。

 優勝した尚志の仲村監督は、
「結果オーライです。後半でも延長でも1点とってくれると思っていました。サッカーは、1年生が全員応援に来てくれたのは今年が初めて。高校サッカーって、学校を変える力があるんじゃないかなと思います。学法石川も全校応援で雰囲気が上がってくるし、全体を引き込む力は両校の応援にあるんじゃないですかね。
 今年の決勝は苦しかったです。そして(チームが)まだ成長できるのは、確かめられました。」
と、全国大会で成長した姿を披露する自信を見せた。

 お二方とも、学校の応援について触れていたのが印象的だった。

 尚志高校は19日の抽選会に臨み、12月30日の開会式に参加、翌日以降の初戦に挑む。
 チームの合言葉である「笑ってロッカールームを出る」事が最後まで出来るか、楽しみだ。

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2018.10.28Episode in Nihonmatsu 5

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今のライブペイントの展示場。手前には小松さんからのメッセージが。

 『小松美羽展』のエピソードの続きです。
 ライブペイントは、大山忠作美術館と同じ階の市民ギャラリー側に現在も展示されています。当日の入場券を見せると、入れます。
 手前には、小松さん直筆のメッセージが(詳しくは実際に行って、見て下さい)。そして反対側の奥には、小松さんの着ていた白装束も。
 ライブペイントを守るように、『拒魔犬』の絵が22枚、囲むように展示されています。

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10月7日、カメラマンの奥に小松さん。ライブペイントが始まった。

 10月7日ライブペイントの当日、小松さんに話を聞く事が出来ました。我々は放送する前に、取材映像からインタビューを文字に起こすのですが、今回はYディレクターが文字にしたインタビューを、出来るだけ小松さんの口調も残しつつ、未放送分も含めてご紹介しましょう。
 昔話や民話が好きな小松さんは、かつて福島県に来た時に黒塚に行ったそうです。
「興奮しました。住んでいた岩とか残っているじゃないですか。(今は)民家がひしめく中、『昔はここに川が流れていたんだろうな』とか、色々想像しました。」
 ライブペイントの際には、どういう思いでキャンバスに向かうのでしょうか?
「二本松に来てたくさんの人に協力していただいて、今があります。本当に感謝の気持ちと、(二本松の)氏神様とつながって描いていくということで、神事みたいな気持ちでやらせていただきます。祈りを込めてぶつけていく姿をぜひ福島のたくさんの人に見ていただけたらいいなと思っています。」
 前日には、南相馬市や浪江町も回ってきたと言います。
「小さい頃からそういうお話(民話・昔話等)が好きだからか、(福島は)憧れていた場所でもありますし、なんかまだ河童がいるような気配があるような場所がすごく残っていて、本当に愛が込められている、なんか自然の中にそういう光をつまんでいく作業が、福島で出来るんじゃないかなと思っています。
 南相馬や浪江に行って、帰宅困難区域の向こう側はやはり人の気配って感じられなくなってはいるんですけども、やはりその土地には氏神様がいらっしゃいますので、『どうか力をお貸しください』とお祈りをしてきました。」
 因みに描く前に、イメージは固まっていないのだと言います。
「3枚に描くっていうのも初めてですし、基本的に狛犬だと対の作品が多いんですけど、こういう奇数の作品というのは初めてなので、何かまたひとつ昇華できるものがあればいいなと思っています。」

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掌がパレットになったり、筆代わりになったりする。

 ライブペイント当日は、整理券をとれて着席できた人から、立ち見の人で、会場にはまさに人垣が出来ていました。その人垣の中に、ビニールで養生された所にキャンバスが3枚立てかけられ、キャンバスを囲むように半円状にアクリル絵の具のチューブが22種類、250本置かれてあります。
 私は取材の為にキャンバスの脇にいたのですが、小松さんを案内するスタッフの方から、控室から小松さんが出てくる時だけ「控室のドアを開けたまま、押さえておいてもらえますか?」と頼まれ、キャンバスの真裏にある控室の戸を、登場直前、半開きのまま押さえていました。すると、戸の隙間から、アキレス腱を伸ばす小松さんの足首が見えます。準備運動とともに気合が入っていくのでしょう。
 登場した小松さんは、真っ白な装束で登場すると、キャンバスに向かって合掌し精神を集中させ、一気に描き始めます。
 両端の2枚には、菊の花を描きます。二本松市は菊人形・千輪咲き等、菊で有名な所です。でもその描いた菊の上に、小松さんは別の物を描いていきます。小松さんは絵の具を取りに行ってキャンバスに戻る刹那だけで全体像を捉えると、あとはキャンバスに顔がつくのではという距離感で絵を描きます。
 最初は筆を使っていましたが、段々掌をパレットのようにして絵の具を混ぜたり、その手を筆代わりに線を描写したり、絵の具のついた手を振り下ろしてキャンバスに絵の具を飛ばしたり、絵の具のチューブから直接絞り出しながら描いたりと、自由です。足元に使い終わったチューブがあると邪魔なので、描いている最中はぽんぽんチューブを絵から離れる方向へ放り投げていきます。そのチューブや絵の具を避ける為、最前列の人は、水を使う芝居よろしくビニールシートを持っているのですが、それを超えて客席に絵の具のチューブが飛んでいきます。近くで撮影する取材陣は、髪の毛も服も絵の具まみれ。中にはこのライブペイント取材用に、既に絵の具だらけの服を着てくる常連と思しき方もいます。

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絵の具のチューブを絞っては投げ、絞っては投げ、絵が出来上がっていく。

 更に、小松さんは真ん中のキャンバスの上の養生したビニールに、紫色で山のようなものを描きます。もう描きたいものがキャンバスには収まり切りません。しかも山のようなものを描くと、その塗った絵の具を、両手のひらで下のキャンバスまで塗りながら下してきます。一体、どんな絵が仕上がるのでしょう?観客は固唾を飲んで、真剣な表情で見入っています。まさに聖なる空間での聖なる出来事が、ライブペイントといった感じすらします。
 約1時間10分、最後に筆ですらすらっと河童や菊等を描き、観客に向かって正座して拝み、ライブペイントが完成しました。

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最後には、キャンバスの外に菊や河童の絵をすらすらっと描いた。

 小松さんはこの後、1時間以上かけてファンにサインを認め、その後に、お疲れのところインタビューに答えて下さいました。白装束の特に袴の部分には、絵の具が隙間の無いほどついています。「凄い事になるんですね」と言うと、小松さんは「お恥ずかしい」と言いながら、足の方をさすっていました。その手も絵の具色です。
 描いた後の率直な気持ちから伺いました。
「あ、すごい楽しかったです。皆さんに協力してもらってやっと実現できて、設営も福島大学の学生さんや二本松の皆さんが手作りで一生懸命作ってくれたりしたので、本当楽しかったです。」
 この絵は何を表現しているのでしょう?
「(これまで)何度か福島に来る機会があり、そこからすごく感じたものの断片みたいなものを最初抽象的に拾っていく感じだったんですけど、最終的にやっぱり、何て言うのかな、ちょうど昨日南相馬市に向かってく途中にある、オオカミの神社(注:飯舘村の山津見神社)の天井の絵から結構インスピレーション頂きまして…。(私は)狛犬っていうのをライフワークでやってきているので、やっぱりその土地その土地、今絶滅してしまったかもしれないですけど、日本中にニホンオオカミのいろいろな民話とか神話とか残ってますので、そういうのも探すのが好きで、それで昨日神社にお祈りしましたところ、そこからインスピレーション受けたオオカミの狛犬さん一対、両サイドにいまして、で、真ん中にはちょっと自分でもなんだかなんとも形容しがたいものが生まれてきたんですけど、なんか菊っぽいようなシャクナゲっぽいようなちょっと花っぽいような何かが出てきました。」

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インタビュー時の小松さん。白装束の絵の具がライブペイントの証だ。

 事前にイメージは固めていないという話でしたが、いつこのイメージが浮かぶのでしょう?
「冒頭、キャンバスに向かってお辞儀してそこからちょっとマントラを唱えるんですけど、その時にぱーってやっぱり色々な、やっぱり何か一つのことに集中するというのは大切にしているんですけど、だから今この土地に対して集中した時にその昨日の行った経験の山が出て来たんですよね。あー、じゃあこれは描いたほうが良いと思って。だからやっぱりライブペイントするにはたくさんの経験であったり人との出会いが必要なので、そこの中の集約みたいなの、ばーって集まってくるものを掴んでいくって感じです。」
 そしてキャンバスから絵がはみ出し始めた時は、どうなるかと思いましたが…。
「最初は上にやっぱり安達太良山…が必要だなと思って、前回は結構阿武隈川からば~っと光が出ているような絵を描いていたので(注:一昨年智恵子の生家・智恵子記念館で描いた作品)、今度は最初に山を描きまして、そこから垂れるように何か絵の方に向かってくるっていう風にやりたいなって変わりました。」

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今はライブペイントの横に、小松さんが着ていた白装束も展示してある。

 周りには河童も描いてありますが…。
「河童をすごく尊敬しているんですね。やっぱり河童描こう!と思って、このまま展示されるので、地元の方たちにもなんか親しみもってもらいたいなと思っていて、それでちょっと後半描きました。
 菊と、その上に描いたのは、これは『8』でもありますし、インフィニティマーク(無限『∞』)でもあり、無限に紡がれていきますようにっていう意味を込めてちょっと描きました。」
 ライブペイントに対する思いは、どういうものなのでしょう?
「やっぱりラブペイントっていうのは真実を伝えるものだと思っているんですね。嘘がない。皆さんの前でやるわけですから。やっぱりそこに来た人たちのエネルギーをそのまま吸収して、その人たちの真実の祈りみたいなものをぶつけていかなきゃいけないので、やっぱり芸術っていうのは真実があるかどうかって思っているので、嘘や迷いを持ってはいけないので、ライブペイントではスピード勝負でとりあえず手に取った絵の具は基本的に使うっていう。それが私の今の運命というか、だからこの色に合わせてこの色じゃなきゃってことで悩まない、今取ったものが真実っていう。なんか生き様みたいなのを共鳴してくださる方がいて、さっきもああやって(サイン会で)並んでくださった中で、たくさん共鳴していただいた意見とかも聞いて、それで自分の中でももっと成長しなきゃいけないこととかたくさんいっぱいまた受け取って、それをまたこうインプットしたものをアウトプットしてくみたいな。なんかループみたいなのって自分じゃ出来ない事で、人が集まったからこそ出来る事なので、そういった共同作業みたいなものを体感、一緒にしていかれたなと思ってやっています。」

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絵の具も散らばったままだ。余韻とともに11月4日まで見られる。

 作品を仕上げた達成感なのか、プレッシャーからの解放感からなのか、絵を描く前よりも後の方が、小松さんの表情が晴れやかになったようにお見受けしました。
 小松さんはほかにも、美術館やギャラリーが東京の次に多い長野県出身で、休みの日は美術館などにお母さんと一緒によく行った事、小さい頃から「画家になるんだ」と言いながら絵を描いていた事、そのお母さんからは絵を「勉強しないで自由にやりなさい」とのびのび描かせてもらった事、オフには「ぐうたら」して、絵を描くのは「楽しく」て且つ「自分のセラピーみたい」なものである事等もお話し頂きました。
 こんなエピソードを踏まえて見ると、小松さんが二本松で生んだライブペイントの作品の世界に、また少し近づけた感じがしました。

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2018.10.27the semifinals of Fukushima high school soccer tournament in 2018

 全国高校サッカー選手権福島県大会の準決勝が行われた。
 第1試合は、5年連続10回目の選手権出場を目指す、夏の王者尚志と、6年ぶり2回目の選手権出場を狙う、夏県ベスト4の聖光学院の対戦。
 尚志は質の高さで「魅せる」サッカーをするチームだが、試合前の雨のせいか、スリップする選手や、中盤のミスが見られる。対する聖光学院は、尚志のミスや中盤からのラストパスを出す選手、受ける選手へのプレッシャーを多くしてボールを奪い、裏を狙う戦術をとるが、シュートには至らない。尚志はチャンスを作れるまでゆったりと自分のペースで試合を組み立てているようにも見える。が、枠内のシュートを打つもののゴールネットは揺らせず、両チーム無得点で前半を折り返す。
 この内容に、尚志の仲村浩二監督は相当お冠だった。取材スタッフによると、ドアを閉めたロッカールームから、外に仲村監督の声が聞こえてきたという。
 後半開始時点で3人を代えてきた尚志は、俄然ボールが回り始める。すると、後半開始3分にファウルを受けた尚志は、フリーキックのチャンスに沼田皇海選手が直接ゴールネットを揺らし、先制点を挙げる。
 だが聖光学院も、須藤祐斗選手を投入し、同点のチャンスをうかがう。そしてサイドからの攻撃で尚志ディフェンダーと交錯しながらも、バランスを立て直してかわした前川龍之助選手が抜け、スルーパスを出す。尚志のディフェンスが足を伸ばす…が届かない。そこに抜け出した、代わった須藤選手が走り込み、ゴールキーパーと1対1になりシュート。キーパーの森本涼太選手も触るが、ボールはゴールへ。選手起用が功を奏し、聖光学院が同点に。尚志は今大会初失点を喫する。
 その後も尚志はチャンスを作り続け、シュートを重ねていく。ディフェンスラインで回す展開に、聖光学院は前線からプレッシャーをかけるがこれがファウルに。そこから再びパスを繋いだ尚志は、サイドからのパスで、伊藤綾汰選手からスルーパス。これに抜け出た染野唯月選手がディフェンス2人の間に入り込み、ダイレクトでシュート。ボールは、スライディングで止めにかかるキーパーをかわしてゴールへ。後半から出場した染野選手のゴールという、こちらも選手起用が当たって、尚志が勝ち越しに成功する。
 このまま尚志が逃げ切り、2-1で聖光学院を下して6年連続で決勝に進出した。

 試合後、仲村監督は「全然駄目だった。(前半は)ロングキック、バックパスの重いサッカー。あれだけ重い動きだと、相手も崩れない。次の(決勝への)切符をとった事だけは良かった。」と、厳しい言葉。「前半(シュートを)5本しか打ってないなんて、これまで無かったのでは?」と振り返り、「(選手は)疲れていないんじゃないですか?」と前半の試合内容を皮肉った。
 一方で、「聖光学院はよく(尚志を)研究して、どこに立てば尚志のパスが崩れるか考えていた。」と、相手チームの良さが印象に残ったようだ。
 こうは言っても勿論収穫もあり、先制点の沼田選手については「本番で決められたのは良かった。」、決勝点を挙げた染野選手に関しては「こういう試合で点を取れたメンタルは褒めたい。」と語り、「後半(点を)とれたのは良い形。最終的にトータルで勝てたのは良かった。」と語った。
 だがそれでも今日の試合には納得いかないようで、「(出ている試合で)巧く行かなかったら、何をするか、でしょう。走ったって好いし、守りでスライディングに行ったって好いし、泥臭くて構わない。チームの為に頑張れないと。きょうは聖光学院の方が『心』で戦っていましたよ。」と、それが結果になって表れたと見た様子。どの監督にも共通するが、勝ち負け以上に「選手が全力で『戦わない』」事を指導者は最も嫌う。私が「(3年生も出場する)公式戦であれだけハーフタイムに怒ったのって、いつ以来ですか?」と聞くと、仲村監督は「え~~…う~ん、…思い出せない位(前)。」だそう。決勝を前に、兜の緒は相当締まったようだ。

 第2試合は、どちらも選手権初出場を狙う帝京安積と学法石川の対戦。
 先週のブログにも書いたように、準々決勝後、帝京安積の佐藤源起選手は、
「3年生は最後ですし、1週間で成長できると思います。1日1日の時間を無駄にせず、(準決勝で対戦する)学法石川戦に向けて課題を克服していきたい。この1週間、命を懸けてやらないと。ゴールを決めて勝利するのが僕の役割です」
と勝利への執念を口にしていた。「命を懸けて」とまで言ったのには、佐藤源起選手のこれまでの苦しみがあったからだ。
 佐藤源起選手は、けがに泣いた3年間だった。膝のけがや腰痛に苦しんだ。
「1年のインターハイ(県予選)は背番号が24で、選手権は11でした」
 1年生から登録メンバーに入って背番号をもらい、しかも冬の選手権では11番と、期待の大きさがうかがえた。しかし膝をけがし、冬には手術をした。
 続く2年目。
「2年生のインターハイは9番で、選手権は11番。」
 だが、腰のけがで思うようなプレーは出来なかった。
 最後の年、背番号は13番となった。夏の県大会、フル出場をしていた。が、試合中、左足首のじん帯を損傷した。けがをし、その後の試合に出場する機会は無かった。3年連続のけがとの闘い…、そして漸く選手権に間に合った。選手権の背番号も、13番だった。
「けがもあって、3年生の中で自分が一番成長していないと思います」
と、選手としての自分と背番号の意味合いを説明してくれた。
「下の学年には背中で、プレーで、見せたいなと思っています。」
 佐藤源起選手はこの時点で、競技サッカーは今年が最後と考えていた。だからこそ、さきの「1週間、命を懸けて」という言葉になったのだろう。私は聞いた、「選手権県大会でプレーするのは、どんな気持ちですか?」
すると、
「けがが多かったので、試合に出られるのは嬉しいです。だから楽しいんですけど…最後は結果なので。」
「充実していますか?」
「充実しているけれど、充実の中にも厳しさがあります。(準決勝では)胸を張って決勝で戦えるプレーをしたいと思います。」
と競技サッカー最後の大会への意気込みを語った。

 今日の準決勝、攻撃力のある学法石川は立ち上がりから帝京安積を攻め、シュートまでもっていく。対する帝京安積は、ここまで無失点の守りからの速攻を武器に、徐々にチャンスをつかみ始める。背番号13は前線で起点となり、自らもシュートを放つ。しかし決め手を欠き、前半を0-0で折り返す。
 試合が動いたのは、後半。学法石川は、ディフェンスラインでボールを奪うとすかさず前線へ。ポストプレーでボールを落とすと、そこには押し上げの速い学法石川の選手が数的優位を作って一気にチャンスを広げる。樋口裕平選手は、柔らかいボールを相手ディフェンスの間へ。そこに走りこんだ清水大成選手がダイレクトに落ち着いてシュート。これが綺麗に決まり、学法石川が後半27分に均衡を破る。
 だが帝京安積もあきらめずにワンチャンスに懸ける。粘り強く攻撃を続ける帝京安積は、右サイドの攻撃を止められると、そのまま逆サイドへ展開。するとここまで再三左サイドで相手選手の突破を試みていた伊東幸岐選手が、この時も相手選手と1対1で勝負に出て、交わす事に成功。ゴール近くには、13番佐藤源起選手も張っている。抜けた伊東選手がゴール前へボールを放り込むと、途中出場の遠藤祥馬選手が相手ディフェンスの前に入り込み、ヘディングシュート。少ないチャンスを見事にものにし、帝京安積が残り3分で同点に追いつく。
 1-1のまま80分が終了し、そのまま10分ハーフの延長戦へ。しかし延長でも決着がつかず、勝負の行方はPK戦にまでもつれ込む。結果は…
 PKを全員が決めた学法石川が4-3で制し、3年ぶりの決勝進出を決めた。

 試合後、人目も憚らず、佐藤源起選手は男泣きに泣いていた。だが競技生活最後となるであろうこの準決勝に、佐藤源起選手は100分間フル出場を果たし、帝京安積の7本のシュートの内、3本を放った。後輩たちはきっと13番の背中とプレーを、目に焼き付けている筈である。

 学法石川の稲田正信監督は、「PKは毎朝練習しているので、ばたばたしなかった。3年前の子に比べたら(今の選手は)甘かったが、選手権での戦いを通してだいぶ変わってきた。チームとして成長してきた。」と目を細める。
 3年前は決勝で尚志とあたり、準優勝。今度の決勝は、学法石川にとって雪辱戦となる。
「(選手権の試合は)練習試合何百試合分の価値がある。先々の人生の中でも(選手権で戦うのは)代えがたい経験だし、チームの財産。(尚志とは)力の差はあるが、きょうの帝京安積のように、必死にやって頑張りたい。選手権はそれこそ何が起きるか分からない。夏の悔しさを晴らす。」と意気込みを語った。夏のインターハイ県予選では、準決勝で尚志に0-6で敗れている。最も歴史と権威のある大会の決勝で、この夏の、そして3年前の借りを返しにかかる。

 この結果、決勝戦はこちら。

尚志―学法石川
11月3日(土) 郡山市西部サッカー場 午後0時10分キックオフ
入場料 一般1000円、中高生500円

 福島中央テレビでは、試合の模様を正午から生中継する。


 帰り際、嘗てお世話になった先生にお会いした。千田則和さん。1995年のふくしま国体をきっかけに福島県に来て、福島FCのゴールキーパーとして国体の地元優勝にも貢献した方で、今から11年前には、39歳現役ゴールキーパーとして天皇杯県予選に臨む千田さんとその家族を取材させて頂いた。その時、息子の和駿さんは、奥さんのひろみさん、弟の和廣さんと一緒に、お父さんの試合の応援に来ていた。その和駿さんが、今年の帝京安積のゴールキーパーだ。
「惜しかった~。」
 千田さんは、目を合わせると笑みを浮かべてそう話しかけてきてくれた。ひげが伸びていたのは、験を担いでいたからだろうか。今日はお父さんとして、和廣さんと一緒に応援に来ていた。あの日と同じ、郡山市西部サッカー場に…。

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2018.10.26Episode in Nihonmatsu 4

 二本松のエピソードその4です。
 昨日、もう一度『小松美羽展』に行ってきました。平日の午前中はやはり空いています。じっくり、堪能してきました。
 が、まずは、小松さん自身の解説の続きから。

 会場に入って、有田焼の狛犬の手前、奥の壁左手に展示されているのが、『深地の龍脈』です。
「これは3月に香港で個展をする時に展示したものです。中国はアート市場が2位(日本は44位)で、アートに対しての考え方を、香港の人は深く持っています。山に登ったり自然の側面から見たりすると、『龍脈』を大事にして、それをとぎらせないように町が作られています。赤・金・黄色の龍が交叉しうごめく。うごめく事が出来るから、エネルギーが集約する。香港をイメージして色を描きました。」

 狛犬の手前、左手に展示されているのが、『風の声と共に』というライブペイントの作品で、アメリカからきた作品です。
「これはダラスで描きました。天然資源がある所です。カウボーイのイメージと違い都会でした。外でライブペイントをする中、感じた事の無い位強風が吹き荒れていました。自然の力が強い日は、描きやすい日なんです。きょう(注、二本松でライブペイントをする10月7日)も風もあり、虹も出て、人間は大変ですが、恵みを感じられる時でもあります。風の中から感じる、目に見えない音や色々なものがありますから。」

 そして会場入って右手、三体の狛犬が描かれた作品が、『Pray for prosperity ~幸せに生まれ、幸せに栄える~』(英語部分は「繁栄の為の祈り」とでも直訳できようか)です。
「狛犬が母・父・子といます。獅子のように(断崖から)子を落として這い上がらせる『獅山(ししやま)』という作りがあります。敢えて子を落として強くさせるのは人間と同じです。でも狛犬は『守護獣』として全うする役割があるのが、違います。魔を跳ね返す爪・牙が重要です。でも子を触る手だけは、爪がありません。愛情の一面を描いています。」

 順路通りに見ていくと、最後の方に見られるのが、墨を使った『麒麟』と『蜃気楼』です。
「これは池坊専好(せんこう)を主人公にした映画『花戦さ』の劇中絵画を担当した時に描いたものです。スタッフがいない時に、映画には出てこない神獣を描いていました。映画の合間に描いたものです。」
 映画『花戦さ』を見ると、実在しない(映画の為に作られた登場人物)女の子、れんの描いた(事になっている)絵を、小松さんが担当しています(メイキング映像には、ちらっと小松さんも映っています)。


 ここからは飽く迄私の感想です。見方は人それぞれ、多分小松さんの意図ともずれた「感じ方」だと思います。殆ど想像・妄想に近い部分もありますので、これから見に行く方は、前述部分までを元にご覧ください。


 改めて見て、やはり小松さんの基本、というか立脚点、拠るべきところは、最初に注目された『四十九日』に見られる細かな線描画なのだと思います。小松さんの絵には、ライブペイントを除いて、大変緻密にして細かな線による描写が欠かせません。小さい頃は図鑑を写すのが好きだったそうですが、それを証明するような細かな観察、緻密な描写がベースにあるように思われます。それは『四十九日』と同じ年に制作された銅版画『生死』『覧死』の絵の、蝶などの昆虫を虫眼鏡で覗いた時のようなデザインと描写にも表れているように思います。
 「線」という意味では、展示順で言うと、入口入って左手の壁、『新・風土記』の奥、獅子の絵3点の「毛並み」の描写に表れています。『吽獅子 最終形態』は、前足と顔が下です。前足の力強さは、寺の入り口の仁王像の足を想起させる、筋骨隆々の力強さです。
 『阿獅子 第一形態』は、雛が親鳥の色と違うように、第一形態は少々兎にも似た愛らしい子獅子が、最終形態的な親獅子との対比で描かれています。親ほど、後光もエネルギーも発していません。
 続く『阿獅子 最終形態』では、(吽獅子の最終形態もそうですが)、爪は立派、鈴は鈴なり、鳥のような羽毛も生えて、現れる前から音を忍ばせるのは不可能な、それでいて何かを守る為には逃げも隠れも必要のないばかりの存在感と強さを感じさせる、まさに最終形態です。ただこの3作品は、獅子たるものをきちんと伝えたかったのか、ほぼほぼキャンバスに収まるように描かれています(小松さんが獅子に頼んで、キャンバスに収まる格好をしてもらったような感じです)。
 その奥の小部屋的なところに、有田焼の狛犬一対(作品としては『守護獣』と表現されています)、その奥に絵としての狛犬(『吽―大地に向かって』『阿―空に向かって』)が展示されています。有田焼の狛犬の毛並みも、線描画的細かさでびっしり描きこまれる一方、「模様」(と言ったら宜しいのでしょうか)は大胆な筆使いが見られます。それぞれの足の後ろには1つずつ、爪のような突起があるのですが、これも対になるように一つだけ色が違います。
 個人的には、『吽獅子』が青系(陰)一角、顔が下、『阿獅子』が赤系(陽)二角、顔が上なのに対し、有田焼側の狛犬は吽が赤系(陽)一角顔が下、阿が青系(陰)二角、顔が上なのも、面白い対比だと思います。吽は顔が低いので、首の鈴を見る為には屈んで回り込んで…が必要。下に鏡を置いたり、下に潜り込んでガラス越しに見られたりするような展示も、今後は面白いのかも知れません(六面透明ガラス張りの中の有田焼を、電動ボタン一つで上げ下げして色々な角度から見られるとか、ね)。

 そんな画面に収まりきらないのが入って一番奥の壁、ライブペイントの『風の声と共に』や『深地の龍脈』等なのでしょう。『3頭龍の木』は、題名を見るまで手前の木がメーンだとは気付かず。

 入って右の壁面の絵は、ライブペイントでないのですが、絵の具の盛り上がりも生きている作品が幾つかあります。何でしょう、対極を一枚に収めた絵が続く、と表現したら良いのでしょうか。対極とは、「熱いと冷たい」「大胆と緻密・繊細」「動きと静謐」といった感じです。『鍾乳洞に響く神獣達の地鳴りと、満月の日』は、もうどこまでが鍾乳洞なのか、地鳴りがしてくるかのように所狭しと神獣が跋扈しています。もうキャンバスに収まって下さいという願いを聞き入れそうにない神獣達です。絵の具の盛り上がりも凄い。それでいて、細かい線の描写も共存している(というかベースで、そこに大胆な絵の具使いが入り込んでいる、割り込んでいる、といった感じでしょうか)。
 そして私が一番好きな作品が『Pray for prosperity ~幸せに生まれ、幸せに栄える~』です。愛情・繁栄といったものが、闇の中、炎のように神獣を包み込むようでいて発散するようにあります。小松さん自身の解説のように、子を撫でる前足にだけ、鋭い爪はありません。指紋すら見えます。私は『阿獅子 第一形態』とこの作品から、熱風と冷風を感じました。音を感じた絵画は今までありますが、真逆の風を一枚から感じた絵は、私は初めてでした。家族の行く末には何があるのでしょう、未来とは闇から自分が見出していくものなのかも知れません。子を撫でる親の尾からは、生命の萌芽と神秘を感じます。神獣の生誕は、人知を超えた形なのかも知れません(というか、小松さんの創造力の凄さに、やられます、参りました、はい)。
 そして『こちらとの交信』は、他の作品と一線を画します。既に背景、キャンバスの「下地」が光沢と凹凸のある白なのです。そこに神獣の聖なる神々しさと、毛並みの反射を思わせる美しさが確かにあります。龍のような神獣には、「第三の目」(それとも模様?それとも心眼?)があります。そうそう、小松さんの神獣はとにかく「目力」が凄い。血走る、というのともちょっと違うのでしょうが、白目や黒目に走るエネルギーがほとばしっている感じです。

 一度でもいらした方はご存じのように、大山忠作美術館のメーンは、広く四方を囲まれる空間です。そこに、神獣を描いた絵が四方からエネルギーを送ってきます。片方の絵から離れても、後ろの絵に近づく寸法です。この独特な雰囲気は、「囲まれる」という造りからも来るのでしょう。
 それでいて最後、出口へ向かう順路に続く、「第2展示室」の存在!大山忠作氏の描く、鯉の泳ぐ姿にほっとし、二本松の美しい風景に落ち着き、神獣の世界から現実へと戻してくれる空間。何と巧く出来た構成か!小松さんの世界観にぽんと放り込んでおいて、最後は優しく二本松に着地させてくれる(神獣が見えなかった普通の日常へ)…そんな展示は、大山忠作美術館ならではと言えるのではないでしょうか。

 先日の二本松でのライブペイントは、市民ギャラリー側にあります。この続きは、次回に。

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